カズオイシグロがノーベル文学賞を受賞、取るべき人が取ったなという感想です。
この人、生まれは長崎ですが、早いうちから家族でイギリスに移り住み、家の会話も英語だったのか、文化的なアイデンティティは完全にイギリスですね。初期の作品は日本を題材にした作品ですが、彼の受賞を日系イギリス人の受賞と喜んで良いのかどうか。
ともかくもカズオイシグロは、近年の作家には珍しいほど読書の幸福感を覚えさせてくれる作家ではないでしょうか。文体こそ違いますが、フランスのプルーストにも通じる、読む時間の愉しさ、幸福感はページをめくるのがもったいないと思うくらいです。
映画にもなった「日の名残り」では、これこそ小説と思った記憶がありました。
よく、資料などを読む上で「速読術」なんて使うようですが、これは小説ではNG。
司馬遼太郎など、次々にページをめくらせるのを得意にする作家がいる一方、ゆっくりページをめくる読書の愉しみを与えてくれる作家もいます。そっちの方がむしろ稀な才能かもしれまえんが、カズオイシグロはそれを与えてくれる希有な作家に思えます。
最近のこの人の著書、目を通してませんが、この気に読んでみようかな。
近著はアーサー王の後日談だそうですが、西洋人の好きな題材を取り上げているのですね(笑)。
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