昨日は曇天の中、サントリー美術館で開催中の北斎展に行ってきました。
北斎は近年とみに頻繁に開催されていることが多いのですが、今回は大英博物館に収蔵されている作品を中心にしたもので、初めて目にする作品も多かったので、たいへん興味深いものとなりました。
大英博物館は早くから北斎に注目をしており、5人ほどのコレクターが寄贈した作品が中心になって、彼らの肖像画や写真も一緒に展示されていたのも面白かったです。
お約束の展示ですが、何度見ても飽きない「冨嶽三十六景」の作品群。
なかでも神奈川沖浪裏は、やっぱり横綱ですね♪
ただ、私が今回面白いなと思ったのは、いつも見ている富嶽三十六景よりも、北斎の珍しい花鳥画や百人一首をテーマにした作品でした。
花鳥画などは、作品のクオリティ的に言えば「冨嶽三十六景」におよびませんが、自然に対する北斎の視線が穏やかで、肩の力を抜いた感じがなんとも良い感じでした。
北斎という画家…どの絵も全力を注いでいるのですが、花鳥画はこの人にしては珍しく、ほんとにサクッと描いた感じで、ゆったりした気持ちで見ることができました。
一方で、一番最後の方に展示されていた肉筆画ですが、花鳥画とは対照的な力の注ぎ方ですね。個人的な好みでいうと、私は北斎の肉筆画は迫り来るものが強すぎて、ちょっと苦手だったのですが、今回の展示はやはり一度は目にしておきたいものばかり。
特に鯉を描いた肉筆は、グググと迫ってくる迫力です。
見ていて、なかなかキツいものはありますが、ともかく一見の価値はあるでしょう。
先日のメトロポリタン美術館展もそうでしたが、最近の展覧会は、見た後の疲労感がさほどでもありません。逆に今回の北斎展は、見たあとに元気になる感じですね。
寿命の短かった時代、画業を生業として90歳まで生きた北斎の生命力が、そのままもらえる感じです。展覧会は6月12日まで、ぜひ足を運ぶことをオススメいたします。