昨日からの「半分、青い。」の続きではありませんが、今日の秋風先生のデッサン&クロッキー教室を見て、はからずも学生時代を思い出しました。
朝ドラをご覧になってない方のために申し上げると、クロッキーとは速写とも訳されるフランス語の絵画用語で、文字通り5分とか10分くらいでの時間でチャチャチャと描き上げるスケッチのことです。
細かいところはかっ飛ばして、ぱっと見たものを線にする作業ですが、学生時代は私はクロッキーが苦手で好きではありませんでした。下手くそだったこともありますが、10分とか時間で拘束されるのがイヤだったのかもしれません。
でも今日のドラマを見たこともあって、あらためて絵を描く上でクロッキーの大切さがわかった気がしました。
▲こちらは知り合いのピアニストを描いたクロッキーの拙画。
私にクロッキーという言葉を最初に教えてくれたのは、小学校の図画の先生でした。
(その方は今、画壇では有名な方になっているようです)。
5分とか10分で完成された絵を描けるはずはありませんが、目と手のウォーミングアップにはまたとない運動です。
クロッキーを数こなすと姿形ばかりでなく、ある程度内面にも入ることが出来て、モデルの本質本体に近づくことができるのですね。
いや、秋風先生。お忙しい中、弟子のために10時間以上もレッスンに費やしてあげて、なかなかご立派ですね♪
実はマンガ家さんというのは、こと線画に関して言うと描き込む分量が圧倒的ですから、 本当に上手な人が多い。ペン画でリアルな背景など描かせたら、その辺の絵描きなんか、ぜったいマンガ家に勝てません(含む私。もっとも私も肩書きに『マンガ家』って書いてあったりしますが♪)。
ドラマにもあったように、クロッキーでは基本消しゴムなどは使いません。
これは失敗をおそれない生きた線を描くトレーニングの意味もあると思います。
スケッチやラフでもそうですが、だいたい最初に描いた線が一番良かったりするもので、そこに上書きすると、その線がだんだん死んでいくのです。
マンガ家や画家は、そこを生かすために色々な工夫をするのですね(その方法はここでは非公開。知りたい方は、直接お問い合わせくださいませ)。
絵を描く人なら誰でも「上手に描きたい」と思うものですが、不思議なもので「どうだ上手いだろう」と思って描いたものは、なぜか作品にそのドヤ顔が浮き出てきて、人の心を本当に動かす絵にはなりにくいもの。
クロッキーは短時間でそのヒマを与えないため、そんな余計なものを払拭する効果があるとも言えます。
最近は短時間で似顔絵を描く機会が多いこともあってか、「半分、青い。」のクロッキー教室に見入ってしまいました。たぶん専門家の意見が相当入っているのでしょうけれど、それにしても絵のことをよくわかった上で書かれた脚本に感服でした。