浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

愛してる、って言葉じゃ足りないから

2010-07-13 21:51:10 | DVD、映画
ワールドカップ終わっちゃいましたね…。(遠い目) ああ、楽しい一ヶ月だったなあ。毎日毎日「お、今日イタリア戦あるじゃん」だの「よっしゃニュージーランドの試合も観てやるか」だの「え!?オランダとブラジルやるの!?」とか思って生きる日々って幸せだったなぁ。

つーことでワールドカップも終わったことだしテレビのアンテナ線抜いてこれからまたしばらくテレビtとは距離を置く日常に戻る。

テレビあるとついつい観ちゃうからね。

何しているかというと平日夜は本読んだり音楽聞いたりビール飲んだり、休日はDVD観たりビール飲んだり。

映画のDVDは結構観てますよ。

こう見えてミュージカル映画好きなんです。

ミュージカル映画、ってよりも「突然歌いだす」というシーンがある映画が好きなんですよね~。

ミュージカル映画といえば例えば「マンマ・ミーヤ」←好き

突然歌いだすシーンがある映画といえば例えば「ブルース・ブラザーズ」←神

ま、とにかくこんな感じの映画あたりが好き、とご理解ください。

でもね、ミュージカル、って言うとさアレルギーかと思うほど嫌う人もいる。

曰く「ららら~♪あなたを愛してます~♪なんて歌う人、現実にいるか!?」と。

あのね、僭越ながら言わせていただきますけどね、

現実にいる人の映画なんて誰が見たいんだ!このすっとこどっこい!

僕らの住んでる世界は人を好きになっても、「愛してる」と言葉でしか表現できない不自由な世界なんですよ。そりゃ僕らだって人を好きになってその気持ちをいきなり歌ってもいい、って世界に住んでたらミュージカル映画なんて見ませんよ。でもそれが出来ないから、愛してるって言葉だけじゃ足りないから歌うんじゃないのさ!せめて映画の中でだけはそういうロマンティックなシーンが見たいじゃない!そりゃ僕だってね、フレディ・マーキュリーくらい声出たら愛の告白は歌でしますよ。やっぱ歌うなら『I was born to love you』だな。

ま、実際に歌で愛の告白する人がいたらそれはそれで困ったもんなんだけどね。(昔、元気が出るテレビの企画であったよね、ありゃ確かに困った。)

つーことで非現実でもって現実を表現するのが映画。それでよし。

「ダークナイト」を見返して、やっぱりヒース・レジャーはすごいな、と思ったんだよね。

うわ、もうかっこよすぎ!!

すごかったよなぁ、ネタばれになるから書かないけど×××のかっこしたジョーカーが××を爆破して出てくるとこ。そもそもギャングの会議に出る冒頭のシーンが最高にすごかったね、あの鉛筆マジック。「ジャジャーン!」って最高にひどくてクール。

あ、ちなみに留置所でのバットマンとの会話のシーンは「ヒート」を参考にしてるらしいです。うん、言われてみれば。

有名な漫画の有名な悪役を、更には名優ジャック・ニコルソンがやってる役をこれほどまでにしっかり自分のものとして演じられる、ってのは本当にすごいよ。

ヒース・レジャーという俳優のことは僕はもともとほとんど知らなくてダークナイトでジョーカーをやった直後に亡くなった、ということくらい。なんと28歳で亡くなりました、合掌。

やっぱり「ダークナイト」を観ると「ああ、この人の演技をもっと観たかった」と思うよね。

と、言うことで「ヒース・レジャーの恋のからさわぎ」を観ました。

ヒース・レジャーの恋のからさわぎ [DVD]ヒース・レジャーの恋のからさわぎ [DVD]

ヒース・レジャーのハリウッドデビュー作だそうです。高校生役やってます。いま見返してみると「こんなさわやかな高校生が後にジョーカーに…」って感慨深いものがあります。

話としては、転校生が学校のマドンナに一目惚れするけど、そのマドンナのお父さんが厳しい。じゃあお姉さんも男とつきあえば許してくれるだろう。でもお姉さんは超堅物。ってことで学校の変わり者(これがヒース・レジャー)にお姉さんを落としてもらうようお願いする、ってこと。

シェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」を下敷きにしているそうですよ。

だから堅物のお姉さんの名前はカトリーナ。

だったら日本語タイトルも「ヒース・レジャーのじゃじゃ馬ならし」にすればよかったのにね。

正直映画としては前半ぐだぐだだし、お姉さんの気持ちの変化もご都合的なんで「どうかな~」って感じ。

筋もね、「じゃじゃ馬ならし」のストーリーって、主人公がいて、マドンナがいて姉がいて変わり者がいて更に主人公にだまされて変わり者を雇うスポンサーがいて、って結構複雑だから「あれ?この人なんだっけ?」と思っちゃう。

でもねぇ、ヒース・レジャーがカトリーナを振り向かせるためのシーンがいいんだ!

もし映画館で観てたら「うーん、どうかな~」って思ってたところにいきなりこのシーンが来て飛び上がってただろうね。

ヒース・レジャーはグラウンドでサッカーやってるお姉さんに内緒で、ブラスバンド部を買収し放送室をジャック、そして「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU(君の瞳に恋してる)」を歌うんです。

しかしさー、「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU.」直訳すると「君から目が離せない」を「君の瞳に恋してる」って邦題にした人、天才ね。



キャー!!ステキ!!!こんなん僕でも落ちる!!抱かれてもいい!!

いいよ~、こういうの。

しかしほんとこんな好青年が後にジョーカーになるなんて…。


※字幕入ってない動画だったので歌詞。

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You're just too good to be true.
Can't take my eyes off of you.
You'd be like heaven to touch.

信じられないくらいきれいだよ
君から目が離せないんだ
まるで天国にいるみたいだ

Oh wanna hold you so much.
At long last love has arrived.
And I thank God I'm alive.

君をぐっと抱きしめたいよ
ずっと探してやっと見つけたんだ
神に感謝したいくらいだ

You're just too good to be true.
Can't take my eyes off of you.

信じられないくらいきれいだから
君から目が離せないんだ

I love you baby, and if it' s quite alright.
I need you baby, to warm the lonely nights

愛してるんだ、かまわないだろ?
君が必要なんだ、寂しい夜を暖めるために

I love you baby, trust in me when I say.
Oh pretty baby, don't bring me down, I pray

愛してるんだ、どうか信じてくれよ
ベイビー、どうかがっかりさせないでくれよ

Oh pretty baby, now that I found you, stay
And let me love you, baby, let me love you,

ベイビー、やっと見つけた、一緒にいてくれよ
ベイビー、好きになってもいいだろ?

(拙訳、かなり意訳)
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で、映画のほうだけど、1回目はなめて観てたんで「筋ようわからんなぁ」と思ってた。

何回か観直して(この歌のシーンを観るために)たら、やっと筋分かってそしたら「よう出来た映画だなぁ」と思ったね。

これどう考えても元々下書きになってるシェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」の構造がよくできてるんだよね。

一目惚れした女の子をどうにか落とそうとする主人公、その相手の女の子、その姉、それを落とそうとする男、何も知らず金で男をけしかけて姉を落とさせようとする男、それら辺を裏で操る男、、、といろんな登場人物がいてそれが絡まって、、という構造がすばらしい。

すげーな、シェイクスピア。英語科出てるくせにシェイクスピアはあんまり読んで来なかったけどちょっと見直した。

英語科のくせにシェイクスピアを読んでない理由は怠惰じゃなくて僕の中では明確な理由があってさ。

一応英語科の中でも「語学・文学」コースだったんでシェイクスピアの授業もあったんだよね。

でも僕はどうもピンと来てなかった。

だってね、英語の授業で読むシェイクスピアって戯曲、つまりは「台本」なわけだよね。シェイクスピアは演劇を作ろうと思って戯曲を書いていたわけで、それで戯曲だけ取り出して云々するのってどうも僕は違うなぁと思ってたんだよね。

それってなんかさ、麻婆豆腐を語るのに豆腐だけちんたら語ってるようなもんでしょ。そりゃ豆腐も大事だけど一番大事なのは麻婆豆腐じゃないですか。

戯曲って演劇の一要素(もちろん大事な要素だけど)でしかないんじゃないかなぁ、と生意気に思っててね。

でもテネシー・ウィリアムズの戯曲は好きで結構読んでたんだけど。なんのこっちゃ。