浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ビジネスホテル一考

2014-03-25 21:44:29 | 日記
ちょこちょこ出張している。

もちろん出張が無い月もあるけど、多い月で5,6泊、少ない月で2,3泊はしてるんじゃないかな。それでも昔よりは減ったんだけど。

僕の最長出張期間は名古屋での20連泊。それくらい泊まってると飽きるのを通り越してちょっとした引っ越しだよね。

で、出張の時にはビジネスホテルに泊まる。あんまり「常宿」と決めているところがなくて、ネットで適当に選んでるだけ。ひどい時になると取るの忘れててその日の夕方に慌てて探すときもある。

僕の考えるいいホテルってのを書いてみますが。

前提として、ホテル選びって「その人が何を重視するか」だから人に寄るんだけどね。

お金を払えばそりゃいいホテルに泊まれるってのはあたりまえだけど、僕の場合、仕事で行っているからそんなにお金も使えない。という前提でね。

まず僕が重視するのは立地。駅から近ければ近いほどいい。キャリーケースごろごろさして歩きたくないもん。食事はどうでもいい。朝ごはんついてたら嬉しいけどなければないでいい。

最初に「こういうの勘弁して」ということだと(異常に汚いとかは論外ね)、全館統合空調はほんとに勘弁して欲しい。全館統合空調と言うのは冷房の季節は冷房しか入らず、暖房の季節は暖房しか入らない、というもの。部屋ではその強さしか調節できない。これ、ほんと腹立つんだよなぁ。そりゃ夏は冷房でいいけど春に暖房しか入らなくてでも暑い時とか腹立ってくる。これが一番ヤダね。

あと、コンセントがデスクにしかなくてしかも一個とか。僕はiPhoneを枕元において目覚まし代わりにするので枕元まで持ってきたいんだよね。しかも一個ってっさー、この時代、一個じゃ足りないでしょう。で、こういうとこに限って「延長コード貸してください」って言っても無かったりするから。

あと「髭剃りはフロントからお取りください」ってのもやだ。大体、シャワー浴びてる時に無いのに気づくんだもん。

逆にこういうの嬉しいな、と思うのは、浴槽の鏡が曇り防止になっていたり、シャワーのヘッドの高さが調節できるとかだね。大浴場ももちろんついてたら超うれしい。

つーことで今日は鹿児島です。鹿児島は珍しく僕としては常宿があってアービックホテル鹿児島です。鹿児島中央からはアホみたいに近いし、浴槽の鏡は曇り防止。コンセントはデスクにしかないけど延長コードは貸してくれる。朝ごはんもついてる。もちろん非常に綺麗。これで全館統合空調でなければ最高なんだけど。

ゴーン・ガール

2014-03-19 17:40:57 | 
ネットで紹介されてて、面白そうだなと思った本がちょうど図書館にあったので借りて読んでみた。
ゴーン・ガール 上 (小学館文庫)ゴーン・ガール 下 (小学館文庫)
「ゴーン・ガール」

(関係ないけど上下巻並べると絵になる装丁の本っていいよね)

「イヤミス第一位」ってあって何だろ、と思ったら「嫌なミステリー」だってさ。言っていることはわかるけど、その一位を読むってのも物好きな話だね。もちろん僕のことね。

冒頭はシンプル。いろいろあるけど普通に暮らしている夫婦の奥さんがある日失踪する。それに気づいた旦那の章と奥さんの章が交互に描かれる。

肝としては旦那の章はあくまで現在進行形であるのに対して、奥さんの章は数年前からの日記、つまり「過去」ということ。

特に奥さんの章で描かれる旦那の描写が、僕は同じ男性として「ああ、こういうとこダメだよなぁ」と思いつつ「でも、こういうとこあるよなぁ」と身につまされました。

旦那はもちろん普通の男だから奥さんを殴ったり反社会的なことをやっているわけではない。

ただ男がよくやる「女性からの信頼を少しずつ損なっていくこと」をやっているだけ。

これがねぇ、痛いんです。男なら少なからず皆やっている場合があることだから。

僕が「ああ、、、」と思ったのは「女性から聞いた話を覚えていない」ということ。例えばこの小説の中では「来月のいついつは誰々と食事に行く」なんてことを奥さんが言ったのに覚えていなくてその日に「食事に行かない?」と誘っちゃう、とかね。

これをやられると「こっちの言ったこと覚えてないんだな」と思われちゃうよね。

でも、僕よくこれやります。ほんとにごめんなさい。

聞いていないわけじゃなくて、聞いているつもりなんだけど、単純に頭からスポッと抜けてしまうだけ。いや「それを人の話をちゃんと聞いてないと言うんだ」と言われればごめんなさい、というしかないけどさ。

仕事でもなんでも手帳にメモをしないと忘れてしまうから、すぐにメモをしておくようにしている。メモをした瞬間に「よし、忘れていい」と安心しちゃうんだよね。

「記憶力がないんだ」というのは好きなもの(例えば映画とか、どこぞで食べた豚バラとか)をいつまでも覚えているんだから当てはまらないと思う。

いやぁ、嫌ですね、我ながら。

「町山智浩の映画Q&A」

2014-03-07 11:54:15 | DVD、映画
先日、「町山智浩の映画Q&A」というトークイベントがあったので行ってきました。

これは映画評論家の町山智浩氏が事前に映画に関する質問を受付け、それに答えるというもの。

僕にとって、この人はある意味「神様」、それが大げさだとしたら勝手に「師匠」だと思っているので即効でチケットを取ってえいさえいさと馳せ参じました。

質問は3本の映画についてのものが多かったので今回はその3本を解説するということになった。その3本というのがコーエン兄弟監督「バーン・アフター・リーディング」、ポール・トーマス・アンダーソン監督「ザ・マスター」、アンドレイ・タルコフスキー監督「ストーカー」。

僕はこの企画を聞いた時にすぐに送った質問が「バーン・アフター・リーディングという映画はどういう意味がある作品なのかさっぱりわからないので教えてください」というものだったので取り上げてくれてすごく嬉しかった。

コーエン兄弟という人は一見、意味不明な映画を撮るんだけどそれでもその作品には何か深い意味がある。たとえば脱獄ドタバタものに見える「オー・ブラザー!」だってこれはオデッセイウスを下敷きにしている。「バートン・フィンク」だって「ノー・カントリー」だって何かしらの意味がある。でも「バーン・アフター・リーディング」だけは単なるドタバタ劇にしか僕は思えなかった。

ざっとあらすじを説明すると(自信ないけど)、アル中でCIAを首になったオズボーン(ジョン・マルコヴィッチ)が腹いせのために回顧録を書いてCD-ROMに保存しといた。それをひょんなことから手に入れたリンダ(フランシス・マクドーマンド)は美容整形をする金が欲しいのでそのCD-ROMを何かの極秘文書(CIAだからね)だと勘違いし、それを元に脅迫しようと考える。同僚のチャド(ブラッド・ピット)を巻き込み、そこにオズボーンの妻のケイティ(ティルダ・スウィントン)とその不倫相手ハリー(ジョージ・クルーニー)が絡んできてドタバタに、、という話。

とにかくこの映画の解説がすごかった。

コーエン兄弟がユダヤ人であることから、他の作品の宗教的ベースの説明なども盛り込みながら、結論にグイグイと近づいていく。町山智浩独特の語り口がぐんぐんドライブしていく。そして、ここに出てくる登場人物たちの特長を列挙していく。

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美容整形をすれば幸せになれるという「願望」を持った女、リンダ。
身体ばっかりで「頭が空っぽ」なチャド。
連邦保安官なのに「度胸のない」ハリー。
冷たく「心がない」女、ケイティ。

この組み合わせどこかで観たことないですか?

そして、マルコヴィッチの役名がオズボーン、つまりオズ。

これは「オズの魔法使い」の話なんです。
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この瞬間、僕はほんとにのけぞりそうになった。会場全体から「おおおお」と声が上がった。

これはすごかったなぁ。

つまり「バーン・アフター・リーディング」はオズの魔法使いの形を借りて「神が人の望みを叶えること」について、コーエン兄弟らしいペシミスティックな風味をつけた物語だということ。

僕が「バーン・アフター・リーディング」を観たのは2008年だけど、そこからずっと「あの映画はなんだったんだろう?」と思っていた気持ちがスカーンと解決してしまった。

2本目「ザ・マスター」の解説も素晴らしかった。この解説の冒頭で会場から「この映画を見てわからなかったところ」を会場から募集したんだけどみんな「わからないところ」ばかりだった。「なぜ砂の女を抱いているのか」「なぜ砂漠をバイクで走るのか」「なぜ海の上の船の軌跡が何度も出てくるのか」「なぜ主人公が映画を見ている時に電話がかかってくるのか」「そもそもこの映画はなんの意味があるのか」、、、

それで町山智浩氏が言っていた。「これだけ分からないところがある映画なのに、日本ではまともにこの映画を解説している人がいない、それっておかしくないですか?」と。

確かに僕もそう思う。

「バーン・アフター・リーディング」はネット上に公式サイトが残ってるけど「大ヒット上映中」って書いてある。「ザ・マスター」だって宣伝文句は「本年度アカデミー賞最有力」と書いてある。それだけ煽ってお客を呼んで、そして観たお客さんが「ぜんぜん意味分かんないな」と思っているとしたらそれはちょっとひどい話なんじゃないかと思う。せめて誰かが「この映画はこういう意味なんですよ」と解説して欲しい。そうしてくれれば「あ、そんな意味があったのか」と思ってもう一回観る人もいると思うよ。少なくとも僕は今回の話聞いて「バーン・アフター・リーディング」「ザ・マスター」をもう一度観たいと思ったもの。「ストーカー」は未見だけど観てみたいと思った。

「そんなの自分で考えろよ」と言われたらそりゃそうなんだろうけど、でも普通の人はそこまで深い知識ないですよ。

今の日本でそれを、つまり映画について深い知識を持ち、わかりやすく解説すること、をやってくれている稀有な人が町山智浩だから僕は話を聞きに行くんです。この人の話を聞くとより深く映画がわかるし映画をもっと好きになる。

今回の話を聞いて、僕はこう思った。

どんな映画もその映画単体では存在し得ない。今までたくさんの人がいろんな映画を作ってきて、それらの映画はいわば人類の「集合知」となっている。これから映画を作る人はそれらを踏襲するにせよ、あえて反発するにせよ、それらの集合知から完全に無関係というわけにはいられない。何か新しい映画を作りたいと思う人はその集合知に自分なりのレンガを一つ積む。「映画なんてその映画一本見て楽しければいいんだよ」という意見もあると思う。それはそれで僕もいいと思う。だけど、僕は映画監督がどこにレンガを積んだのか、そのレンガとは何なのか、を知りたいと思う。それがわかればどんな映画だって愛おしくなると思う。

そういうことに気づかせてくれたので町山智浩氏には改めて感謝しております。

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町山智浩の解説がどれだけすごいのかはこの動画を観て頂ければ即ご理解頂けると思います。
「午前十時の映画祭」という古い名作を映画館でやる企画のトークショー。主に学生向けに名作の解説をしている。
賭けてもいいけど「ローマの休日」「メリー・ポピンズ」と言ったいわば「手垢の付いた」名作の本当の意味がスカッと解る。「メリー・ポピンズ」の話を聞いてグッと来るなんて想像も出来なかった。しかもね、映画本編ではなく解説だからね。ちなみにこの人の解説はたまに映画本編より面白いことがあって、それはちょっと困っちゃうんだけど。。動画が6パートに分かれれてますが、映画好きな方はぜひご覧頂きたい。

町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.1


町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.2


町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.3


町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.4


町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.5


町山智浩氏が語る 学生のための20世紀名作映画講座 Vol.6

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この人の著書。これはもう映画ファンにとってはクラシックというか古典になりつつある。


キック・アス/ジャスティス・フォーエバー

2014-03-05 08:30:19 | DVD、映画
個人的2010年ナンバーワン映画だった「キック・アス」、その続編が公開されたので観てきました。

「キック・アス ジャスティス・フォーエバー」


2月22日(土)公開|映画「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」5分で思い出せる予習・復習特別映像


いやー、良かった。もう早くも今年ナンバーワンです。

続編を観て改めて思ったんだけど、この映画を僕が好きなところってのはもちろんキャラが立ってるというのもあるし、アクションは満載だしブラックなところもあるんだけど、一抹の「ほろ苦さ」なんじゃないかと思う。

一作目は個人的遺恨で娘を殺人マシーンに仕立てた父親、それに育てられ可愛い顔して人を殺しまくるヒット・ガール、相手がマフィアとはいえバズーカでぶっ殺す主人公キック・アス、と、「いや、しかたがないんだろうけどそれにしてもさ」というところがあった。それが「普通の人が正義を行う」ということの難しさだよね。バカ映画を見せかけてそれをきっちりと描いているところが好きだった。

その一作目のラストが「これ続きますよー」という終わりだったので続編を楽しみにしていました。

続編ってのは楽しみ半分不安半分もあって、更にはメインキャストのクロエ・モレッツがどんどん成長しすぎてるのも懸念してたけど、そんな不安や懸念を吹き飛ばすくらい面白かったです。

まず、キック・アス、ヒット・ガールに加えて仲間が増えていくのがイイね。しかもそれぞれみなブラックで。ドクター・グラビティはゼログラビティという重力を無力化する武器を持ってる、という触れ込みだけど実は単なるバット、リメンバートミーは息子トミーが行方不明になった夫婦が週末だけやってる。いやぁヒドイ(笑)あとはなんと言ってもナイト・ビッチ。もう名前からしてヒドイ。

そして敵役は前作レッドミスト改めザ・マザーファッカー。なにこのシンプルすぎる名前(笑)

<以下、ネタバレ>
















前作も僕はところどころ泣きそうになったんだけど、今回もかなりグッと来た。

いや、はっきり言ってこれは泣ける映画じゃないと思うし、泣いているのなんて僕だけかも知れないけど。

「なんでみんな、幸せになれないんだよ」と思って泣きそうになったんです。

そしてなんと言ってもヒット・ガールだよねー。この映画、結局のところヒット・ガールの物語なんだと思う。前作では父により殺人マシーンになっていたわけだけど、それは父の愛であると共に呪いでもあった。

その呪いは父の死後も続いていて、更に今作では父の元同僚、マーカスによる呪縛もある。もちろんマーカスは「普通の女の子になってほしい」と思っているわけで何の呪いでもないんだけど。これって普遍的なティーンエイジャーの女の子の感じる気持ちを表現しているよね。「親はがみがみ言うんだけど、本当の私はこんな私じゃない」という。

そのヒット・ガールが「これが本当の私」と道を選ぶ姿にはやっぱりグッと来ましたよ。そしてラストはほろ苦いキスをして、ただ一人、バイクで走って行くヒット・ガール、というねぇ。なにこのかっこよさ。

一方で、主人公であるキック・アスの影が薄かったけど、まぁそれは前作も一緒だから、しかたがないね。

もっと活躍して欲しかったのはジム・キャリー演じるキャプテン・スターズ&ストライプスだね。もっと狂って手が付けられなくなるのかな、と思ったけどそのへんはあっさりでした。

あと、ささやかだけど、ラストで町中でスリに合う人を見かけて、ニヤリと笑って駆け出すドクター・グラビティがグッと来たなぁ。個人が正義を振りかざしたために、悪のザ・マザーファッカーを産み、戦いを産んでしまった。正義とはなにかは複雑な問題だけど、それでも一般人が少しでも誰かのために小さな正義を行おうと思うことは決して悪いことではないだろう。

終わり方を見ると続編がありそうな感じだけど、どうなることやら。出来ればパート3まで作ってもらってトリロジーにしてもらえればDVD-BOXも出るだろううしなぁ。そうなったら即買いますよ。

個人的に期待していることがブラッド・ピットの登場。実はこの映画、1も2もブラッド・ピットが社長やってるプランBエンタテイメントが制作している。実はこの映画制作会社、すごくいい作品を作っていて例えば「ディパーテッド」「ワールド・ウォーZ」そして今年のアカデミー作品賞となった「それでも夜は明ける」。これだけ観てもブラッド・ピットは映画プロデューサーとして目利きだな、と思いますね。

そういう関係でキック・アス3には特別ゲストとしてブラッド・ピットが出てほしいなと思ってます。

アカデミー賞結果

2014-03-03 16:13:04 | DVD、映画
アカデミー賞が発表されました。

いやー、外しましたね。まいったまいった。前に予想を書いてから(こちら⇒「アカデミー賞予想」)いろいろ下馬評を見て「うわ、修正したい」と思っていたんだけど、それはそれでいいか、と思ってました。予想することが楽しいわけであたっても外れてもそれはそれで楽しいしね。僕の予想と本当の結果を書いておきます。

◆作品賞
予想)「アメリカン・ハッスル」と「ゼロ・グラヴィティ」の一騎打ち、それに続くのが「それでも夜は明ける」
結果)「それでも夜は明ける」

◆監督賞
予想)デヴィッド・O・ラッセルが本命。対抗がアルフォンソ・キュアロン
結果)アルフォンソ・キュアロン

◆主演男優賞
予想)本命ディカプリオ、対抗クリスチャン・ベール、キウェテル・イジョフォー
結果)マシュー・マコノヒー

いやーここは下馬評聞いて「マコノヒーかな」と思ってた。そもそもディカプリオは半分僕の願望だし。「それでも夜は明ける」が作品賞を取れない、という前提での予想だったからキウェテル・イジョフォー挙げてたんだよね。

◆主演女優賞
予想)サンドラ・ブロック、功労賞的な意味でジュディ・デンチ
結果)ケイト・ブランシェット

◆助演男優賞
予想)パーカッド・アブディ、ブラッドリー・クーパー、マイケル・ファスベンダー
結果)ジャレット・レド

◆助演女優賞
予想)分からない。ジェニファー・ローレンスはない
結果)ルピタ・ニョンゴ

こう見るとかすったのは監督賞のみ。それ以外は大ハズレ。いやー、まいったまいった。

今年は「それでも夜は明ける」「ダラス・バイヤーズ・クラブ」「ゼロ・グラビティ」が目玉だったんだね。