浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

我々に「老後」なんて無いと思う。桑田佳祐のニューアルバムを聴いて考えたこと。

2017-09-22 15:17:08 | 音楽
桑田佳祐の新譜が出ました。

【早期購入特典あり】がらくた(CD+Blu-ray+BOOK) (初回生産限定盤A)(桑田佳祐 がらくた A5クリアファイル付き)

この時代にわざわざCDで買うのは僕はもうサザンと桑田(ま、一緒だけど)だけになってしまった。新譜が出る度毎に「えーっと、CDってどうやって聴くんだっけ?」と思ってしまう。もちろんCDプレイヤーに入れればいいんだけどさ。CDプレイヤー自体がなかなかもう無いから。

いつもはCDプレイヤーの付いている、昔使ってたパソコン、2010年頃に使ってたやつかな、をひっぱり出してくる。今回は流石にそのパソコンはもう無い。サブ用に買った中古パソコンがあってiTunesなんかはこれにインストールしている。だから今回は楽かな―と思ってたんだけどどうもCDが認識しない。

仕方ないなぁと外付けのCDプレイヤーを買った。

Qtop USB2.0対応 ポータブルドライブ CD-RWレコーダー 2つのUSBケーブル付き 超薄型-シルバー【改良版】
安いなぁ、しかし。。

現代でCDを聴くってのは面倒なことになってしまったねぇ。。

それはさておき、桑田の新譜、大変素晴らしいです。今回買ったのは初回限定盤でDVD付なんだけどこのDVDが良い。桑田もいいしバイオリンの金原千恵子さんがとても良い。

桑田佳祐 - オアシスと果樹園(Full ver. + AL『がらくた』Bonus Discトレーラー)


で、桑田の新譜を聴きながら考えた。桑田佳祐は1956年生まれなので現在61歳。61歳ですよ、、いやぁまいったねぇ。何がまいるのかわかりませんが。

昔、60を超えたらそりもう「老後」だとか「余生」なんてもので後は悠々自適に、ってなもんだったろう。よく比較に出されるけどサザエさんの波平さんが54歳。

もちろん、この現代において61歳を「老後」なんて言ったら各方面から非難轟々だろう。芸能人で言えば、北野武が70歳、明石家さんまが62歳。現役バリバリ。芸能人で無くとも僕の父母が65歳なんだけどまだまだ元気。二人ともフルタイムの仕事からは引退しているけど、働けと言われればまぁ働けると思う。どうすか、皆さんの身の回りの60代70代。かなり元気じゃないですか。

振り返って自分のことを考えると、最近とみに思うのだけど「我々にもう老後なんて無いだろうなぁ」と思う。昔、まだ医療が未発達だった頃は60を超えれば色んなところが悪くなり、病気にもなりなかなかバリバリとは動けなかったろう。平均寿命も短かった。でもたぶん今は違う。

例えば、僕自身で言えば、仮に足が悪くなって立てなくなっても、指と目が動けばなんとかパソコンだけで仕事出来ちゃう。耳が遠くなっても大丈夫。目が見えなくなったらヤバイけど、それでも良い眼鏡でギリギリまで行けるような気がしている。

つまり、老後、働けなくなる時代なんて我々(えーっと僕より年齢下の人全員)には無いだろう。死ぬまで働いて、身体的に働けなくなった時がつまり「死」ですよ。うむ、それはそれでシンプルでわかりやすいじゃないの。

「死ぬまで働く」ということに抵抗を感じる人もいるかも知れない。でも、僕は思うのだけど「死ぬまで働く」と考えた時に「いや、それはちょっとやだな」と思うとしたら、それは「仕事」について考え直したほうがいいと思う、僭越ながら。

もちろん毎朝毎晩、満員電車に揺られて土日も無く、上司にガミガミ怒られ、嫌なお客に頭を下げて、って仕事が一生続くならそれはしんどいだろう。でもさ、そんな仕事だとしたら、一生どころか今だってしんどいでしょう。それはそれでちょっと考えたほうがいいと思う。

例えば僕は、今の仕事が一生死ぬまで続くなら「おお、そりゃありがたい話だな」と思う。比較的自由にスケジュールは決められるし、まぁそれなりの対価ももらえてる。その分、何の保証も無いと言えばそうなんだけど、今、保証がガチガチにある仕事のほうが少ないじゃないですか。そう考えると「プラスマイナスで言えばまあちょいプラスかな」と思ってます。

今やっている仕事が定年があって、今って普通は定年何歳ですか?65歳?それでサクッと辞めて退職金で悠々自適って人は何人いるのかね?これから年金だってどうなるかわからない。再雇用だとか再就職だとかでそんなに高くない給与で働かなきゃいけないなら、むしろ今の仕事をずっと続けられたほうがいいんじゃないかなぁと僕は思う。


よくわかんない話になってしまいましたが、お勧めですよ、桑田のニューアルバム。

本当に描きたかったであろうこと。パイロット版「この世界の片隅に」から

2017-09-21 10:07:05 | DVD、映画
DVD&Blu-ray出てます。


この世界の片隅に

もう話す必要も無いと思うんだけど、とにかく絶対に観たほうがいい作品であることは間違いない。保証します。

作品の内容については前にも書いたから語ることはもうしないけど、ちょっとパイロット版の話をしたい。

(前に書いたのはコチラ)
映画「この世界の片隅に」を観てきました
貴方に。あるいは映画「この世界の片隅に」の個人的感想。

そもそもこの「この世界の片隅に」という作品は漫画原作があって、この原作に基づいて映画化しようと考えたけど、予算がつかなかった。

そこで、クラウドファンディングを行った。クラウドファンディングを簡単に説明すると、ネットで「こういうことやりたいから投資してよ」と資金を集める方法。この作品の場合だと、投資した人は様々なリターン(見返り)があり、その一つがエンドクレジットに名前が載る、ということだった。うむ、羨ましいな、投資すればよかったよ(笑)

それはさておき。

今回、僕が買ったBlu-ray通常版には特典としてこの時作った、ネットから小口で投資を集めてその資金を基に作った映像が入っている。つまりこのパイロット版を様々な企業に見せて、「こういう映画を作りたいんで資金を出してください」とお願いしたということ。そして今、これだけの作品が出来、大ヒットし、Blu-rayにもなっているということはつまり、このパイロット版は成功だった、と言える。

ということで、このパイロット版が映像特典に入っていたので見ました。何分くらいだろ、5分は無いくらい。台詞も入っていない。

これを見てて思ったのがね、やっぱりさ、予告編でも使われている「すずさんがタンポポや梅干しの種を料理するシーン」が入ってるんだよね。僕は思わず「おお!」と思った。

パイロット版ということは、これを観た人が「この映画観たいな」、もっと言うと出資者だろうから「この映画、受けそうだ、当たりそうだ、儲かりそうだ」と思ってもらわないといけない。商売だからね、もちろん。

つまり作り手側としては幾分かは「これでどうだ!」という物でなくて行けない。そこで見せたのがこの「料理シーン」というのがすごいなぁと思うんだよね。つまり、監督はこここそが「この世界の片隅に」の見せ場の一つだ、と思っていた、ということだと思う。そうなんだよ!ドン!(おもむろに机を叩く)この映画はもちろん昭和20年代という戦争の時代を描いているけど、もっとも大切なことはそこに、いわば世界の片隅に居たすずさんたちの話なんだよね。すずさんたちはあの時、同じこの世界の片隅で、きちんとご飯を作っていた、ということなんだよ。そうなんだよなぁ、、やっぱりあのシーン良いもんなぁ。

不思議な映画で、観れば観るほど涙が出てくるシーンが増えてくる。一番最初に観た時はほのぼのしたシーンばっかりでぷっと吹き出してしまうシーンもあったんだけど、何度も観ているうちにその全てがかけがえのない、愛おしいシーンに思えて、それだけで泣けてしまう。

アメリカでも公開されたようなのだけど、そのレビューには「涙が止まらない。でも、何故だかわからない」とあったそうだ。

(出典はこちら→町山智浩『この世界の片隅に』アメリカの観客・評論家の反応を語る

その気持は良く分かる。正にその通りだと思う。映画館で2回観て、Blu-rayを買ってから数度観返しているけど、まだ、新しい発見がある。

本当に素晴らしい映画だと思う。

もうね、大ヒット記念で作られた「すずさんからのありがとう」というCMすら、もう泣けちゃうの。のんさんの声がまた、良いんだよなあ。

すずさんのありがとう

浅草酒祭り2017

2017-09-19 14:09:06 | 日記
浅草酒祭りについては過去記事をご覧ください。→こちら

とにかくビール、ワイン、焼酎、日本酒あたりが試飲し放題で、ちょこちょこつまみもあり最高はイベントなんですよ。今年もドッピオさんを誘って参加。

三連休最終日の浅草は台風一過の良い天気。

ちなみに毎年この三連休、浅草では「したまちコメディ映画祭」というのが行われている。

昔、浅草に住んでた頃は気軽にぷらっと行ってさくっと日本未公開コメディなんかを観たものです。最近は遠くなってしまったのでねぇ。。

つーことで浅草酒祭りですよ。

クラフトビールをがんがん試飲。

南部美人もいただく。

つまみはチキンサラミとか燻製玉子とかカニ味噌とか。

カニ味噌美味かったなぁ。

ドッピオさんと二軒目に行ったけど記憶はほぼない。

写真によるとどら焼き食べてた様子。←覚えてません。

いやぁ、飲んだ飲んだ。

アンタッチャブルの「I drink.」から考える吹替について

2017-09-19 14:04:32 | DVD、映画
このブログのシステムは「下書きで保存」しておく、ということも出来る。なのでいくつか書いて下書きに保存してそのまま忘れてる、、って話もいくつか有る。たまに「あれ、あの記事書いたよな」と思って検索したら書いたつもりで下書きのまま、ってのもある。今からの話はそれ。2014年くらいに書いていたもの。今回、この話をしたいので、まず2014年に書いたものをどうぞ。

映画の吹き替え問題について。

僕にとって初めての洋画体験というと「テレビでアンタッチャブルを見たこと」になる。

もちろんそれまでも映画や洋画は観ていたけど、「ああ、映画って本当に面白いものなんだな」と思ったのは確実に「アンタッチャブル」。

何故か知らないけどテレビでやっていたアンタッチャブルを録画して観た。

今だにこの映画は好きです。
パラマウント ジャパン
発売日:2006-04-21

僕の人生ベスト10に確実に入るし、日によっちゃベスト1になる。

出始めのケビン・コスナーのシュッとしたかっこよさもいいし、同じく出たてのアンディ・ガルシアの不敵なかっこよさったらない。ショーン・コネリー演じる経験豊かな警察官役もいいし、コメディリリーフ的なチャールズ・マーティン・スミスもいい。カナダ国境での銃撃シーンで思わず喉が渇いて酒を飲んでしまうシーンはいいね。

そしてなんと言っても頭髪を抜いてまでアル・カポネの役作りしたデ・ニーロ。円卓でのバットシーンなんてこりゃまた最高ですよ。

はっきり言って僕にとっては文句ない名作。

で、最近改めてDVDを買ったんだけど、観ていてもどうもしっくり来ない。

よくよく調べてみて分かった。

僕が一番最初に観たバージョンはどうやらフジテレビオリジナル版だったようで主役のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)の声を根津甚八がやっていた。しかしDVD版では別の人がやっている。

まぁ声質とかはどうでもいいんだけど一番「ちがーう!」と思ったのは最後の台詞。


(ここから話のネタバレになりますので、嫌な方は飛ばしてください。まぁ今更1987年の映画のネタバレしても誰も困らないんじゃないかと思うけど)

この映画はそもそも禁酒法時代にアル・カポネを捕らえようとしたエリオット・ネスたちの話。

最後、アル・カポネを捕らえ終わり、チームは解散する。

仕事場を出たエリオット・ネスを新聞記者が取材する。アル・カポネを捕えた感想を聞かれ「たくさんの人に助けられたからだよ」と答える。そして最後に一つだけ、と言われてこう聞かれる。

「禁酒法が無くなるとのことですがどうしますか?」

禁酒法がいい法律かそれとも無意味な法律であったかはどうあれ、ネスは法を遵守するために戦ってきた。そしてカポネを捕えることが出来たものの、その過程で仲間を失った。そういう複雑な表情を見せた後にふっと笑って言う。

英語版のセリフは
---
"I drink."
---
です。

それがこのDVD版字幕ではこう。

---
「飲むよ」
---

ここがねぇ、違うんですよ、僕のイメージでは。

僕が観たフジテレビ版ではこう言っていた。

---
「一杯やるさ」
---

元は"I drink."だからどの訳も間違っちゃいない。だけどニュアンスが違うんですよねぇ。。

どう考えても「飲むよ」と「一杯やるさ」ではまったく違うでしょう。

「一杯やるさ」だとそれはお酒を飲むどうこうではなく、自分が今まで仕事で成し遂げてきたこと、失った仲間のために思いを馳せる、というイメージが強い。

一方、「飲むよ」だと単に「禁酒法が終わって酒飲めるようになったので飲む」というだけになってしまいかねない。

別に映画の吹き替えにぐだぐだいうつもりもなくて「この人にはこの人じゃなきゃ」というマニアでも無いんだけどここだけはね。すごく好きな映画なものだからぜひ「アンタッチャブル フジテレビ放送版」のDVDを出していただきたい。


以前、この話をドッピオさんとしていて「スターウォーズ」でもそういうのがある、という話をしていた。彼がどのシーンの話をしていたのか僕は忘れてしまったんだけど、たぶんアクバー提督の台詞だったと思う。

そう言えば、スターウォーズの名訳と言えばハン・ソロの"I know."ってのがあってさ。帝国の逆襲で、レイアが"I love you!"(愛してるの!)とハン・ソロに言ってそれに答えるハン・ソロが"I know."(知ってたさ) くー!いいですねぇ。。

ここは有名な話だけど脚本段階では、

"I love you!"(愛してるの!)
"Me too."(俺もさ)

となってたのを、ハン・ソロが(というかハリソン・フォードが)「このセリフはハン・ソロのキャラクターに合ってない」と現場で変更させた。それはそれで「映画作りにおけるミラクル」の一つだと思ってる。そして更に"I know."を「知ってるよ」ではなくて「知ってたさ」に訳したのも、「映画字幕におけるミラクルのひとつ」だとすら思っている。

"I know."は普通に訳せば「知ってるよ」なんだろうけど、それを「知ってたさ」という「過去形」にしたところが上手い!

それによって「え?知ってたの?じゃ、いつから?この二人はいつからお互いに好意を持っていたの?」といろいろ考えたくなってしまう名訳だと思います。


あー、アンタッチャブルとスターウォーズ観たくなってきたな。



と、言うのが2014年に僕が書いて下書きに保存していたもの。

なぜ今回この話をしているかというと、この度、アンタッチャブル公開30周年記念版が発売されるんです。


アンタッチャブル30周年記念ブルーレイTV吹替初収録特別版(初回生産限定) [Blu-ray]

はい、もうこの30周年記念版のタイトルをご覧頂いてご理解いただけますね。

そう!このブルーレイには「TV吹替版」が収録されているんです!!

エライ!!偉いぞ!

これが欲しかった!!


予約済でございます。いやー、楽しみだぁ!!

陸・海・空

2017-09-15 13:25:12 | DVD、映画
「ダンケルク」を観てきました。



監督は「ダークナイト」シリーズ、インセプション、インターステラーのクリストファー・ノーラン。結果論だけど僕、この監督の作品は「フォロウィング」「プレステージ」以外は観てる。

寡聞にして僕はこの作品で描かれる第二次大戦中の「ダイナモ作戦」、つまりダンケルク撤退戦についてはまったく知識がなかった。

ザクッと歴史的事実だけを書いてしまえば、ドイツ軍に攻め込まれたフランス軍とイギリス軍はフランスの北端の都市、ダンケルクまで追い込まれた。チャーチルはダンケルクにいる兵士35万人を救出する「ダイナモ作戦」を計画した、、という話。

たいそう面白かったですよ。

この夏は「スパイダーマン/ホームカミング」「ワンダーウーマン」「ベイビー・ドライバー」に加えて本作と名作揃いなんで是非お暇があれば映画館に足をお運び頂きたい。

さて、ここからちょっと映画の内容に触れます。もし「一切何も情報入れずに映画を観たい」という方はぜひ映画本編を御覧頂いてからお読みください。


















ノーランという監督は当代の巨匠扱いされている。実施、本作の宣伝でも「若き巨匠が描く、」みたいなコピーがついていた。どこにあったか忘れてしまったけど僕は見かけた覚えがある。それについては僕は否定も肯定もしない。30代で「バットマン・ビギンズ」という大作映画を監督し、続く「ダークナイト」ではアメコミ映画の歴史を変えたと言っても過言では無いだろう。「インセプション」もヒットしたし、「インターステラー」も話題になった。

しかし、意外なほどに、アカデミー賞には縁が無い。間違ってたら申し訳ないけど、アカデミー作品賞、監督賞にノミネートされたことは無いはず。彼の作品で唯一、アカデミー賞関連と言えば「ダークナイト」でのヒース・レジャーがアカデミー助演男優賞を受賞したくらいなんじゃないだろうか?

もちろんアカデミー賞にノミネートされたからエライ、されないからダメという訳じゃないし、色々と運も有るだろう。

ただ、今回の「ダンケルク」、アカデミー賞に絡むんじゃないかな、と思っています。

視覚技術とかそういう技術的なことは僕はよく分からないので割愛するとして、まずあり得るとすると脚本賞。これはアカデミー賞で好まれる「ちょっとツイストが効いたストーリー」になってると僕は思う。具体的に言いますね。この作品は主に3つのストーリーがある。

1つめはダンケルクにいる兵隊たち、彼らは迫りくるドイツ軍に怯えながら救出を待っている。メインとなるのはフィン・ホワイトヘッド演じるトミー。トミーというのは第二次大戦時の兵隊さんを表す言葉らしいので、つまりトミー含めた兵士全体、ということだろう。これは陸の話。

2つめはダンケルクにいる兵士たちを救うべく、民間船でイギリスを船出した民間人。これは海の話。

そして、3つめはダンケルクを狙うドイツ飛行機と戦うイギリス空軍兵士。トム・ハーディが演じている。空の話。

これらが絡み合って一つの映画になってる訳だけど実はここはトリックというかちょっとしたひねりがある。この100分程度の映画で、陸の話はトミーがダンケルクに着いてダンケルクを離れるまでの1週間の話。海はイギリスの港を出てダンケルクに到着する1日の話、そして空はたった1時間の話。これは映画冒頭でも出る。うろ覚えだけど「LAND One week」「SEA One day」「SKY One hour」と字幕で出たと思う。この3つの時間軸を交差させたところは巧いなと思う。だから脚本賞に絡むんじゃないかと思ってるの。

あと、もう一点巧いなと思ったのが、この話を「ドイツ軍との戦いの話」にしていない点。その証拠に、この映画でドイツ軍兵士の「顔」は一度も出てこなかった(と思う、間違ってたらごめん)。その点も巧いと思う。ドイツ軍兵士が出てこないことによって、つまり「この映画で描かれている敵は、ドイツ軍ではない」ということを表している。ではこの映画における敵は何か? 色々と解釈が出来る余地があると思う。

いつもどおり、映画評論家の町山智浩さんが映画ムダ話という音声ファイルでこの映画についても解説している。映画ムダ話は有料だけどそれでも216円程度でこのくらいの解説聴けるというのはお買い得だと思うのでぜひどうぞ。


町山智浩の映画ムダ話63 クリストファー・ノーラン監督『ダンケルク』(2017年)。 史上最大の撤退作戦ダンケルク映画化の根本的問題点とは? ノーランの本物志向の裏に隠されたインセプション的ウソとは?

田原町のTOKYO PiXEL.

2017-09-12 15:59:24 | 日記
先日、地下鉄銀座線の田原町という駅に行ってきた。

行ってきたと言っても僕が10年近く住んでいた街で、しかも会社もあったところ。昼も夜も10年近く居続けた街なんだけどね。

毎週合気道の稽古が近く(田原町の次の浅草駅から歩いて10分のところ)であるんで近くにはたびたび行っているんだけどなかなか田原町では降りないんだよね。。

今回降りた目的は合気道の稽古前にペリカンカフェに行きたかったの。


ペリカンってのは知る人ぞ知る下町のパンの名店で、僕の住んでいた物件のすぐ近くにあったんだけどだいたい予約で売り切れてしまうので僕ですら数回しか食べたこと無い。

そのペリカンってパン屋がカフェを開いたということなんで行ってみた。「あら、そんなに人並んでないから余裕で入れるかな」と思ったんだけど、話を聴いたらみんな携帯番号を伝えて他の場所で待っているとのこと。この時点(土曜日の13時)で40組待ち、このままだと16時にしか入れない、とのことで諦めた。いやぁ、すごいですな。

カフェで一時間ほど潰そうと思っていたのが出来なくなってしまったので近所をぷらぷら歩く。僕が昔、住んでいた物件はよく見ると「解体工事の予定」という張り紙が貼られてた。まぁ、そんなに新しくはない物件だったからねぇ、、仕方ないとはいえそれなりに寂しいものです。

てくてく歩いていてちょっと気になる店を見つけた。

なんだろう?と思ったら「TOKYO Pixel」というお店らしく、8bitデザインなんかをモチーフにした商品を売っている。





ま、見りゃわかると思います、かわゆす。

いやぁ、すごくいい店だと思うし僕なんかはどストライクだけど、こんなところに出すのはすごいなぁ。。単なる住宅街なんですよ。僕が昔住んでた物件からは歩いて3分。

スター・ウォーズハンカチとギャラクシアンTシャツを購入。


調べてみるとどうやら「大図まこと」というクロスステッチデザイナーの方のお店らしい。こういうお店には頑張っていただきたいなあ。

図案の本も出版されてるみたい。

小さな刺しゅうの図案集[オールカラー完全版]たのしいクロスステッチBOOK
かわいいね。

ユニバースとワンダーウーマン

2017-09-06 11:22:37 | DVD、映画
※今回、「ワンダーウーマン」の話をしますが、内容についてはほぼ触れていません。(僕は「まったく触れていない」と言っていいレベルだと思ってるけど、受け取り方によるかも知れないので「ほぼ」と言います) 主には興行収入とか作った人の話とかが多い。それでも「まったく何も事前情報を入れたくない」という方は観終わった後に読まれることをお勧めします。

「マーベル・シネマティック・ユニバース」というのがある、という話は何度かしたと思う。

マーベルというアメリカのコミック出版社が、コミックに登場するキャラクターたちの単独映画を作り、それを「アベンジャーズ」という映画で大集合させる、というもの。各単独映画は同じ世界にいる、ということになっており、それぞれの映画に他の作品のキャラクターが出てくる。他の作品で起こった出来事が他の作品にも影響したり、、というもの。

これはさ、確かに巧い商売だよね。例えば「アイアンマン」が好きな人は当然、「アベンジャーズ」を観る(アイアンマンが出るからね)だろうし、「アベンジャーズ」を最初に観て、例えば「キャプテン・アメリカかっこいい」と思った人は遡って「キャプテン・アメリカ/ファースト・アベンジャー」を観るだろう。

更にいうと「観てる人にだけ分かる仕掛け」があったりしてそれはそれで楽しいよね。別の作品にちょっとマイティ・ソーのハンマーが出てきたりしてさ。

もちろんいい事ばかりでなく、各作品で色々矛盾が出ないように調整するのが大変だろうし、一個コケると他の作品にも影響が出かねないのでいろいろ苦労はあるだろうけども。

これでマーベルがめちゃくちゃ儲かっているのはもちろん言うまでも無い。

さて、それを黙ってみてられないのがマーベルのライバルであるDCコミックス。当然、DCはDCで「DC・エクステンデッド・ユニバース」というのを始めた。これは「マン・オブ・スティール」というスーパーマンの映画を発端にバットマン、ワンダーウーマンなどの映画を作って「ジャスティス・リーグ」というヒーロー大集合映画にまとめていく、というもの。「マン・オブ・スティール」「バットマンVSスーパーマン」「スーサイド・スクワッド」なんかが期待ほどヒットせず、企画自体危ぶまれていたこちらですが「ワンダーウーマン」で大当たり。

うむ。

当然、この「スーパーヒーローのユニバース化」という企画を他の映画関係会社も黙ってみているはずが無い。

出てきたのが「モンスターバース」という企画。これはレジェンダリーという映画制作会社と日本の東宝が提携し進めている企画。2014年のハリウッド版「ゴジラ」を発端とし、2017年「キングコング:髑髏島の巨神」でキングコング、2019年の「ゴジラ:キングオブモンスターズ」(原題)でゴジラを出し、2020年に「ゴジラVSキングコング」という映画を作って対決させる、というもの。もうね、何が何やら(笑)

加えて「ダーク・ユニバース」という企画もある。これはユニバーサル・ピクチャーズというところがやってる(これからやる)企画で、昔の怪物映画を同じ世界の中でどんどんリメイクする企画。まずこの夏公開のトム・クルーズ主演「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」がスタートとなる。これは1932年公開の「ミイラ再生」が元ネタのミイラ映画。続けて「フランケンシュタイン」「透明人間」なんかが作られるみたい。フランケンシュタインの怪物役がハビエル・バルデム、透明人間はジョニー・デップという、豪華過ぎるキャスティング。ザ・マミーではラッセル・クロウが博士役で出るようで役名が「ジキル博士」ということなのでこれは「ジキル博士とハイド氏」に繋がっていくんだろう。このダーク・ユニバース企画にはあと、ドラキュラ、狼男、半魚人なんかも予定されてるそう。もうね、何が何やら(笑)

あともう一つ、これは言っちゃうとそれ自体がネタバレになるから書かないけどとある監督も「ユニバース」的に作品を作り出している。

2008年の「アイアンマン」から始まった「ユニバース」企画は丸10年経ってここまで広がったのだ、と考えると映画史的に大変興味深い。

そして、丸10年経った今年、ユニバース系(という言葉を勝手に作ってますが)の最大ヒットはなんと言っても「ワンダーウーマン」だろう。

確かに「マーベル・シネマティック・ユニバース」というヒーロー大集合企画は一大ムーブメントとなり、本来なら契約の関係でマーベルヒーローながら、アベンジャーズシリーズには出られなかったスパイダーマンまでがこのユニバース(宇宙)に入ってきた。それがこの夏公開の「スパイダーマン/ホームカミング」、もちろん信頼と実績のマーベル印、ある一定以上は当然面白い。

一方、ライバル出版社であるDCコミックス。こちらはスーパーマン、バットマンを擁しアメコミスーパーヒーローの保守本流でありながらこのユニバース企画(DC・エクステンデッド・ユニバース、以下、DCEU)では期待ほどのヒットを出せず。どのくらい「期待ほどのヒットではない」のか、制作費と世界興行収入の対比(出典はWikipedia、単位は100万ドル)を見てみます。今のアメリカ映画だと「制作費の3倍稼げば続編作れるレベル」らしいです。

マン・オブ・スティール 225/668(296%)
バットマン vs スーパーマン 250/873(349%)
スーサイド・スクワッド 175/745(425%)


もうこのくらいだとすごいのかどうか分かんなくなってきますが。ざっくり1ドル100円と考えると、バットマンvsスーパーマンで873億稼いでる、ということになる。悪くないんじゃない?と思うかも知れないけどマーベル・シネマティック・ユニバースの世界興行収入上位3位を見るとこうなる。

アベンジャーズ 1,519/220 (690%)
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 1,405/267(526%)
アイアンマン3 1,215/200(607%)


つまり、桁が違っちゃってるわけですね。こう比べてしまうとバットマンとスーパーマン戦わして8億ドルというのはやっぱり寂しい。せめて10億ドルは超えたいところだったろう。

というところで今回の「ワンダーウーマン」ですよ。このワンダーウーマンというヒーローは「バットマンVSスーパーマン」にも出てきてた。

あ、まず僕の結論から言っておきます。今回のワンダーウーマン、僕は最高でした。単なる明るく楽しいアメコミスーパーヒーロー映画ってだけじゃなくて、色々考えさせられるし、はっきり言って泣けるし、もちろん熱くてグッと来る最高の映画でした。

ここからしばらく「ワンダーウーマンを観るべき理由」を列記することになる。

興行収入から話しましょう。今回のワンダーウーマン、アメリカ公開(6月2日)から三ヶ月経っての現段階での世界興行収入はなんと8億ドル。マン・オブ・スティール、スーサイド・スクワッドは余裕で超えてる。おそらく「バットマンVSスーパーマン」も超えて現時点でDCEUナンバーワンになるだろう。

ちなみにじゃあ現時点(2017年9月)で興行収入と制作費はどうなっているか。

ワンダーウーマン 800/149(539%)

制作費1億4900万ドルと言えば、ざっくり150億円ということになり、すごい金額に聞こえるけど、実は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」よりも制作費は低い、ということになる。しかし興行収入としてはバットマンVSスーパーマンに迫る勢い、対比で言えば制作費の5倍強を稼いでいることになる。もちろん売上がすべてではないけども、これだけ稼いでいるということは特筆に値すべきことだと僕は思う。

それから監督について。今回の「ワンダーウーマン」の監督はパティ・ジェンキンスという方。この方は「モンスター」という映画で高く評価された。シャーリーズ・セロンがすごい演技でアカデミー主演女優賞を獲得したりしてね。アメコミスーパーヒーロー映画で女性が監督、というのは今まであったんだろうか?僕の知る限り無いと思う、あったらごめんなさい。そして結果、この映画は「女性が監督した映画」でナンバーワンのヒットとなった。「女性が監督したアメコミスーパーヒーロー映画」でナンバーワン、という意味ではないですよ、「あらゆるジャンルの、女性が監督した映画でナンバーワン」ということ。つまりこれはもうアメコミスーパーヒーローが云々という話じゃなくなって来ちゃってるんです。

アメコミスーパーヒーロー映画の枠内で考えても、「シリーズ1作目」ということで言えば最大のヒット。だいたいシリーズ物ってのは、1が面白かったら2が儲かり、2が面白かったら3が儲かる、というパターンが多い。そりゃそうだよね、1観て面白い、と思ったら2を見に行く人が増えるってはずだから。だから、そんなに評価高くない作品が意外と成績が良かったりする。例えばサム・ライミ版「スパイダーマン」で言うと評価が高いのは2なんだけど、成績は1が821億円、2が783億円、3が890億円となっている。2で下がって3で上がってる。何が言いたいかと言うと続編ではない1(これをオリジン物と呼ぶ場合もある)として最大のヒットである、ということ。これはかなり実力がある(つまり、面白い映画)と言ってもいいんじゃないだろうか。

しかもアメコミスーパーヒーロー物としてはあまり多くない女性主人公物だしね。

つまりとにかく大大大ヒット、ということです。もし「えー?ワンダーウーマン??」と思って観に行ってない人がいるならそれはやっぱりもったいないと思う。町山智浩さんがラジオで言っていたけどこれはいわば「全部乗せ」の映画で、笑いあり、ロマンスあり、アクションあり、、と色々入ってる映画です。ぜひご覧いただきたいと僕は思います。

一応、ワンダーウーマンがDCEUに初登場する「バットマンVSスーパーマン/ジャスティスの誕生」は観ておけばそりゃ今回の「ワンダーウーマン」も楽しめるとは思うけど、観て無くても全く問題ないと思います。


バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット ・エディション ブルーレイセット(期間限定/2枚組) [Blu-ray]

なんかよくわからないんだけど、未公開映像もプラスした特別版が出てるみたい。現段階で観る限りこれ1,000円代でめちゃくちゃ安くなってるみたいだね。ワンダーウーマン人気にあやかったのかワンダーウーマンをセンターに置いたパッケージ。

モンモン(熊本話の続き)

2017-09-05 11:10:56 | 食べ物
ひともじぐるぐると馬肉なんかを突きながらお酒を飲んでいたら大層気分が良くなってきた。

夜も更けてきたしちょっと〆に麺でも食べたいな、と思って店員さんにお勧めラーメンを聴いたら「天外天」ってのが有名らしい。数人が並んでおり確かに人気店のよう。

ラーメン700円をいただく。スープは豚骨ですかね、麺は細めストレート。飲み終えた身体に染み込むほど美味いねぇ。。なんか粉がかかっててこの粉が美味い。にんにくガッツリ目の味です。

「うまいうまい」と言いながら食べてたら店員さんが「うちは辛口ラーメンもお勧めなんで、次回ぜひ」というので「次いつ熊本来るかわからないんで今食べます」と言ったらさすがの店員さんも苦笑い。。そりゃそうだね。

でも辛口も確かに美味しかったら良しとしよう。


次の日はいい天気。路面電車で熊本駅まで。

路面電車のある街ってのはだいたい良い街だ。

熊本駅のお土産物屋さんはくまモンがたくさん。

熊本はうまいモンとくまモンばっかの街ですな。

熊本で食べた美味しいもの

2017-09-03 22:23:07 | 食べ物
47都道府県ぜんぶ一回は泊まったことあるんだけど、それでも、あんまり記憶に無い都道府県というのもある。もちろんその都道府県にはまったく責任は無くて、僕が深夜に到着して朝出発しただけ、みたいな感じだから。100%僕のせい。

そういう都道府県のひとつが熊本。ここはねー、本当にもったいない。熊本はほんとに深夜に到着して駅前の東横インに泊まり、周囲にめぼしい飲食店も見つけられなかったので駅近辺でラーメンを食べ、朝出発しただけ。それで「記憶に無い」と言われてもそりゃ熊本に失礼だよね。

今回、ちょっと用事があって熊本に行ってきました。別に帰っても良かったんだけどどうせ次の日休みだし、なんなら泊まってみるか、と一人泊。

今回、仕事が終わったのが熊本の中心街あたりでホテルもそのあたりに取ったのだけどこれが正解。お店がたくさんある。よく知らないんだけど熊本には上通り下通りみたいな地域があり、そこが中心街の様子。駅よりは熊本城に近い。

まずはぷらっと入ったお店でひともじぐるぐる。

皆さん、ご存知ですか?「ひともじ」とは熊本弁で分葱のこと。これをさっと湯がいたのをぐるぐるっとまいて一口サイズにする。それに酢味噌。美味いんです。

そして馬刺し。

左からレバー、霜降り、コーネ。コーネってのはたてがみの根本の部分、もうね、脂(笑)。うんまいねぇ。。肉も美味いが醤油が美味い。九州のこってりした醤油が馬肉に合う。

さらに天草産アジ。

こちらは刺し身醤油で。うまいうまい。

更に〆にひともじぐるぐるをお代わり。


結構楽しくなってきたんで次の店に。こっちはちょっと高級目。(と、言ってもお値段はお手頃)

ほら、しつらえが高級感あるでしょ。


ナニこれ??って思ったら右側のお水がたまったところにつけるとふわふわと伸びてきてお絞り。



面白いね。

そうそうこのお通し美味しかったなー。真ん中は豆腐かと思うけでしょ?実はクリームチーズなんです。そこに梅肉。美味い美味い。

ここでは馬ホルモン刺し。

これめっちゃくちゃ美味いです。柚子胡椒で行ってもいいし、にんにくスライスで行ってもいいし、もちろん両方セットで行ってもいい。

つーことで熊本は食べ物美味いよ!

※今回行ったのは一軒目が「居酒屋 五郎」、二軒目が「桜庵」でした。

(ラーメン&くまモン編に続きます)