浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ただ歩いてたって楽しいよ、結構

2008-06-25 02:41:06 | 日記
出張でして郡山にいます。

郡山までのルートは、仕事場から地下鉄で渋谷に行き、大宮まで出てそこから新幹線。

まずね、渋谷駅ってのがもうよくわからないね。

ハチ公のあるところから入って大宮に行くためのJR線(埼京線とか)までって結構歩くよね。さらに今日はなぜか動く歩道が故障してて単なる歩道になってた。

ちょっとニュースサイトで渋谷駅構内地図を見つけたんだけど、これ本当にRPGゲームのちょっとしたダンジョンよ。よくみんな迷わないよなぁ。


面白いのは地下5階、地上3階建の駅構内で3階にあるのは地下鉄銀座線、というパラドキシカルな状況。なんのこっちゃ。

人も多いしね。笑い話というか事実なんだけどさ、昔大学の頃に人と会う為に新宿に降りたときって「あれ?今日何かお祭り?」と思ったもん。もちろんお祭りなんてことはなくて単なる普通の平日だったわけだけど。

これだけの人が何の文句も言わずちゃんと電車に乗っている、というのは本当にえらいよな。

大宮駅で新幹線に乗るときには結構早めに着くようにしてます。駅ナカの売店でお弁当買えるし。

昔は駅弁好きだったけど、よくよく考えてみると駅弁って高い割りにたいして美味しくない。なんか保存料とかもバリバリ使ってそうだし。だから最近はあまり食べません。

駅ナカのスーパーみたいなところだと作りたてだからあったかいし種類もたくさんあっていい。なににしようかな~とお弁当選んで(おこわ系が多い)、蒸したてシュウマイを一個から売ってくれるところで海老、ホタテ、豚肉シュウマイ三つくらい買って列車に乗ったらもうちょっとした一人宴会です。ビールが進む進む。もちろん本も何冊か仕入れてね。

読んだ人とはしっかり話をしたい。

2008-06-24 02:35:26 | 
ずっと「ああ、買わなきゃ買わなきゃ」と思ってた漫画。

オノ ナツメ
Amazonランキング:位Amazonおすすめ度:



こないだこの人の短編集「Danza」を書いた。それも良かったんだけど、同じキャラで進むこっちもいいね。

本編は「リストランテ・パラディーゾ」というやつでこっちはその外伝的な内容なんだけど一話完結になってるからこっちから読んでも大丈夫。しかも本屋に2巻しかなくて2巻から読んだんだけど。もちろんおすすめはきっちり順番に読むことだけどね。

この人の本って結構独特だから「超オススメ」とは言わないけどこの漫画好きな人とはしっかり話したいな。

ネタばれという書き方は好きではないけど以下、ネタばれ。読んだ人にしかわからない話します。

第六話「フリオとクラウディオ」、の好きなところ。

クラウディオが「まるで一日に二回失恋したみたいだ」というせりふ。さぁ、1回目はどこなんでしょうね?僕はアンジェラガクラウディオを諭したところで「ああ、この人は自分が恋をするようなレベルの人ではないな」と思ったんじゃないかと思うけど。最初のマダームじゃないよね、まさか。

第七話「テオ(1)」はラストシーンがいいね。テオが後ろでなんというか言いたいことはあるんだろうけどもじもじと指を組んでいるのがいい。「反抗期」という複線がここで生きてる。

第十話「女たち」はなんといってもヴィートのプロポーズ。こういう無骨に見えて決めるところ決める、という人はいいなぁ。

本を一冊書くとしたら

2008-06-20 00:49:27 | 
こないだ新入社員と飲んでて「あなたが本を一冊書くとしたら何について書く?」という話になった。

これさ、我ながらいい質問だと思いませんか?はい、得意の自画自賛。

でもね、あんまり人となりを知らない人たちと飲んでて「趣味は?」なんて聞いてもあまり出てこないんですよ。「寝ることですね~」とか言われると気持ちはわかるけど話はあまり広がらない。

でもこの質問だと「別に趣味じゃないけど好き」というネタがいろいろ出てきてね。

飲んでたときは「文房具」だとか「鉄道」だとか「自転車」だとか出てきて面白かったよ。

じゃあ僕は何について書こうか。

まず、書きたいのは「工場」。好きなんだよね、何度か書いているけど。既に工場の写真集は立派なものが出ているけども僕の場合はもう少し突っ込んで内部の写真とかを載せたいな。工場分野で言うと僕は「外観(夜がいいね)」も好きなんだけどなんと言っても「ベルトコンベア」がいい。缶ビールだの色鉛筆だのが可愛らしげに規則正しく作られていく様子なんかいいね~。
こないだテレビでニッカーという絵の具メーカーの工場の様子がやっててじっとり見てた。ねっとりした絵の具がローラーで延ばされて金属に注がれてそれが絵の具になってくのなんかよかったなぁ。

絵の具には興味ないけど出来てく過程は好き。ゴルフボールだとかマスカラとかでもベルトコンベアで作られてるなら見るよ、確実に。

あと、「橋」。これは本当に趣味にしたいよな。いろいろなところ回って橋の写真撮ったりもちろん渡ってみたり、できれば裏側、川を船で渡ってそこから見上げてみたりしたい。浅草発の水上バスに乗るのがすきなんだけどその理由のひとつには色んな橋じっくり見られるから、というのがある。レインボーブリッジの下側なんかいいよ~。10分くらい止まってくれればじっくり見られるのに。
ここ2年くらい好きなのは厩橋。

いいじゃん、このキッコーマンの看板がさ。色はあんまり派手じゃないほうがいいなぁ。吾妻橋(赤)とか両国橋(黄色)はダメだね。原色使いの橋は自然の中にあると似合うんだけど都会では浮くね。

それから「鬼瓦」。これはなぜか昔から好き。おそらく「火の鳥鳳凰編」の影響なんじゃないかと自己分析しているんだけど。唐招提寺展とか三国志展とか見に行ったときも鬼瓦で喜んだ。


それから鍾乳洞。これも好きだね~。行く機会があればせこせこ行く。あ~天気もいいしどこか行くか~ってときに鍾乳洞なんか行くといいよね、すずしいし。
ヘビーリピートしているのは岩手の龍泉洞。

父親の実家の近くなので子供の頃からよく行った。車運転できるようになって甥っ子のお守りするときなんかもなにかっちゃあ行ったもん。
考えてみると北海道ってあんまり鍾乳洞ないよね?なんで?地質的に?

サッカーはな~、結構偏ってるし、鉄道は本格的な人には笑われるくらいの軟派な好き加減だし。

あ、カレーがあったか。書きたいね。

なんというかまぁ

2008-06-18 05:01:42 | スポーツ
皆さん、見てますか?ユーロイタリア対フランス。

前半をピルロがPKを決めイタリア1点先制。
フランスはリベリ負傷、更に一人退場。

とはいえイタリアもピルロ、ガットゥーゾがイエローでもし決勝行っても2人は累積で出られず。

どうなることやら。

水のように、泥のように

2008-06-16 02:29:56 | 日記
久々の土日休み。

土曜は昼過ぎにマイミクのなおきちさんから電話があって、浅草で飲むことに。

浅草のディープなスポット、オープンカフェ通り(これは僕と友人の呼び名、本当は煮込み通りって呼ぶのかな。要は軒先に椅子と机並べてる飲み屋街)の中でも最ディープな「正ちゃん」でビールと煮込み。

天気もいいし、なんとなく気分で僕は浴衣。

仕事の話だとかなんだかをビール、ホッピー、日本酒を間に話す。

なおきちさんは新潟の方なので日本酒を水のようにたしなむ。つられて僕も飲む。場所を寿司屋に移しさらに飲む。会社の友達も呼んだので更に飲む。

ということで泥酔。なおきちさん僕、ご迷惑をおかけしてませんでしょうか?おかけしてたらごめんなさい。

家に帰って即寝。ということで「古畑中学生」も「スーパーサッカー」も見逃した…(涙)

さて、ユーロ(サッカー欧州選手権)。

つくづくサッカーの勝ち点システム(勝ったら3点、引き分け1点、負け0点)は良く出来ている。これから予選各グループがどう動いていくのかということを考えているだけで日が暮れる。

現時点の各グループの点数は下記のとおり。



グループA:
ポルトガルは予選突破確定。次は対スイス。勝とうが負けようが突破。注目はチェコ対トルコ。勝ったほうが突破、負けたら敗退。引き分けならPKかな。僕の予想はチェコ。
ブリュックナー監督がすきなんです。

(内田裕也ではありません)
老練な、という表現が良く似合う。この大会で引退ですって。お疲れ様でした。

グループB:
ドイツ有利の予想に反してクロアチアが2勝で突破決定。さすが予選でイングランドを下して出てきただけある。モドニッチって人がいいらしいですよ、あんまり見たことないけど。

(僕の小学校からの友人、イ○バに似てる)

次は「オーストリア対ドイツ」「クロアチア対ポーランド」なので、ドイツが勝てば文句なく突破。ドイツが勝てないとよくわからなくなる。ドイツが引き分けでポーランドが(可能性は薄いけど)クロアチアに3点以上で勝つとポーランドに予選突破の可能性、オーストリアもドイツに勝てば勝ち点が4になりまだ可能性がある。順当に行けばクロアチア、ドイツの通過なんだろうけど…。

グループC:
さぁここですよ。まずオランダは勝ち点6得失点差7と横綱相撲で突破確定。次は「オランダ対ルーマニア」「イタリア対フランス」

ルーマニアが万が一オランダに勝ってしまうとイタリアとフランスの敗退決定。ルーマニアが負けても伊対仏が引き分けなら3チームが勝ち点2で並ぶ。そうなると伊仏の得失点差は(引き分けだから)-3で動かず。ルーマニアは負けても3点取られなければOK。

いやー、イタリア対フランスはこりゃすごいな。何せ前回ワールドカップの決勝カードですよ。しかもこの2チームが予選敗退の背水の陣で顔をあわせるなんて誰が予想しただろう。荒れそうね。二国にとっては勝利が絶対条件。その上でルーマニアが勝たないことを願うしかない。

前評判では「イタリアのC組一位は間違いない」(←カペッロが言ってた)とか「優勝はイタリア」と上げる人もいたのに。ここまでとはね。サッカーはわからんもんです。

僕の予想、というか希望はイタリアが1-0で勝ってルーマニアはオランダに負けてオランダ、イタリアの勝ちあがり。

イタリアは負けたらおそらく監督のドナドーニは解任。

Dグループ:
スペインの突破、ギリシャの敗退が決定済。ギリシャはディフェンディングチャンピオンなのにね。スウェーデン対ロシアの勝ったほうが突破というわかりやすい話。引き分けなら得失点差でスウェーデン。

イブラヒモビッチは期待できるけどどうにもロシア監督ヒディングが侮れない。僕の予想ではスペイン、ロシア。

ということで僕の予想を元に決勝トーナメントを組んでみるとこうなりました。


こんなんなったら楽しいなぁ。切れ切れのC・ロナウド=ポルトガルと手堅いドイツ。スペイン対イタリアなんて見たいよね~。セスク、F・トーレス、イニエスタとタレント揃いのスペイン、がたがた言われながらも勝ちを重ねるイタリア。しかも勝ったほうはベスト4でオランダ(おそらくロシアには勝つ)でしょ。こりゃたまらん。

なんてことをユーロ2008勝ち点シミュレーター(これ)なんかでやっているとあっという間に夜ね。

リアリズム、ファンタジー

2008-06-14 12:56:50 | スポーツ
最近、あんまり寝てません。

まずなんだか仕事でいろいろやることがあってね。仕事自体は楽しいんでストレスにはならないけど。

更にチームに新卒が研修で6人ほど来ていてその人たちに多少時間を取られる、というのもある。まぁこれも別に嫌いじゃないし。なにせ初々しくていいね。

仕事も遅くて新卒がいる、となると「もう遅いから打ち合わせは飲みながらやろうぜ」ということになって夜は仕事場横の定食屋で酒を飲む、というルーティンワーク。「酒控えます」といいつつ、日曜日から金曜までは毎日飲んでました。いかんいかん。この定食屋がさー、定食もあるし一品物もあるし酒もあるしで行きやすいんだよね。「今日は酒はちょっと」って人がいても「じゃあ晩飯食えばいいじゃん。俺は飲むけど」となるんだよね。

さらにはユーロ(サッカー欧州選手権)も始まってるわけです。



全試合見る、なんて気合と時間はないんだけど見られる限りダイジェストは見てネットで結果はチェックしています。

ワールドサッカーで僕が好きなチームは断然イタリアとオランダ。

このチームは対照的と言えば対照的。

イタリアはリアリズムの極地。1-0でも勝てばいい、という試合運び。見ていて面白いか、と言われるとうーむ、と思うんだけど結局勝つんだから気持ちいい。

一方、オランダは美しさの追求。勝つことよりもサッカーの美しさのほうが大事。

自分でも何でこの対照的な2チームがすきなのかようわからないんだけどね。

今日(14日)未明に特集番組でダイジェストとオランダ対フランスを見ていて、この大会では明らかにオランダに注目だね。伝統の4-3-3を捨てた、だとかチーム若返りに失敗しているだとか前評判的にはあまりいい話を聞かなかったけどいやいやいや。

もう予選グループの今のところ明らかに圧倒的な強さを誇ってる。

なんたってイタリアに3-0で勝ち、フランスに4-1ですよ。4-1って!なんじゃそりゃ。

サッカーにおける美しさ、というものが何なのか、ということはいろいろな意見がある。僕もようわからないけど要素のひとつは明らかに「速さ」。フランス戦のゴールなんて本当に速かった。自ゴール前でキーパーがはじいたボールを拾い、そこからタン、タン、タタ、タン、でゴール!みたいな感じ。いや、言葉だけじゃ伝わらないけどほんとにそんなリズム。

新幹線が、F1カーが、美しいように、速いってことは美しい。

一方、イタリアはよ~。死のグループと前評判のCグループ(オランダ、イタリア、フランス、ルーマニア)でルーマニアに引き分けだもんね。

予選最終戦の第三戦は後がない(完全にない)イタリア対フランス戦。こりゃガチンコですな。

もう少しヨーロッパと日本の時差が縮まってくれると僕も少しは眠れるんですが、って明石家さんまが言ってた。

ローマ人列伝:ポンペイウス伝 5

2008-06-05 00:35:58 | ローマ人列伝
一大決戦に負けたポンペイウス。ギリシャから更に南下します。

負けたとはいえ彼はローマ最高の武人。オリエント征伐という偉業を成し遂げたポンペイウスの名はいまだエジプトに響いています。

彼にとってエジプトは第二の故郷のようなもの。ローマを捨て、ギリシャで負けたとは言え、まだ広大なエジプトの地が残っていました。

日暮れに大型のガレー船でエジプトに入った彼を以前からの知り合いであったアキッラスとセプティミウスという人間が迎えます。

旧き友と温かい抱擁、と思った刹那、ポンペイウスの動きが止まります。

以前であればローマの武人を迎えたであろうエジプト、しかし今は時代の趨勢が変わっていました。

エジプトはこの時、プトレマイオス王崩御に伴う権力争いの真っ最中。王の息子派も王の娘(=クレオパトラ)派も欲していたものはローマとの戦いではなくローマからの庇護。そのために取り入るべきは武力のポンペイウスではなく権力のカエサルでした。エジプト人がカエサルに差し出せるものはカエサルの敵であるポンペイウスの首、そのためにポンペイウスは殺されました。

紀元前48年9月29日、奇しくもポンペイウス58回目の誕生日のことです。

武力によってローマ権力の最高まで上り詰めたポンペイウスは一人の刺客によってその生を終えました。

そして殺されたポンペイウスの首はポンペイウスの死から約10日後、エジプトへと到着したカエサルの元に届けられます。

盟友でありライバルとも言えるポンペイウスの死をカエサルがどうとらえたか、カエサルの自伝のひとつとも言える『内乱記』の中に、ポンペイウスの死についての記載が一行だけあります。

「アレクサンドリアで、ポンペイウスの死を知った」

自分の周りで起こったことを歴史家以上に記載しつつも、自分の感情は極力記載せず後の世の人の判断に任せたカエサルが残した一行をどうとらえるべきでしょうか?

シニカルな歴史家は「あえて一行しか書かないことで民衆派にも元老院派にも敵を作らなかった」と記すでしょう。

僕はカエサルにとってポンペイウスはかけがえのない友人であったと思っています。友の死を冷静に語るほどカエサルは強くなかった、と考えるのはセンチメンタルすぎるでしょうか?

とは言え、カエサルの本当の気持ちは2000年後の今となっては想像の中にしかありません。

これでカエサルのルビコン渡河を発端とするローマ内乱は終了します。共和制ローマに輝き咲いた武力の大輪、ポンペイウスの人生は終わります。

後に残されたのは蛇足の如き後日談です。

内乱を制し、ローマ最高権力者となったユリウス・カエサル。ポンペイウスを愛し、彼と組み、彼を利用し、そして彼を殺したカエサル。ファルサルスの戦いから4年後、彼は暗殺されます。皮肉にも暗殺された場所はポンペイウスの偉業を称え設立されたポンペイウス劇場。

劇場内のポンペイウスの銅像の足元に、カエサルは倒れたと言われています。



まるで、自らの復讐にポンペイウスが立ち会ったかのように。いや、ポンペイウスが唯一の友を黄泉にいざなうかのように。


<ポンペイウス伝 完>

ローマ人列伝:ポンペイウス伝 4

2008-06-04 00:28:21 | ローマ人列伝
(今回、画像がたっぷりなので携帯ではわかりづらいと思います)

さて、カエサルのルビコン渡河を発端とするローマ内乱の雌雄を決する大決戦、ファルサルスの戦いが始まります。

武勇を誇る「偉大なる」ポンペイウス軍とローマの昇竜カエサル軍のギリシャにおける総決戦。ここからは軍の動きと共に実況中継でお送りします。

【1:開戦前布陣】

まずは川を上に右にポンペイウス軍5万4千。さすがは武勇名高きポンペイウス。一度は丸腰でローマを後にしましたがギリシャ、エジプトを回り各属州を手なずけ多国籍軍とも言える軍備を備えました。布陣は右翼、中央、左翼に歩兵を三分割、そして左翼の左に機動力あふれる騎兵を配置しています。古のハンニバルとスキピオによる「ザマの会戦」を紐解くまでもなくこの時代は「騎兵を制するものが戦いを制する」時代でした。

※余談ですが「その時代における最も殺傷能力のある軍」は常に戦争においての鍵になっています。古代においては白兵⇒剣兵⇒槍兵。日本の戦国時代においては鉄砲兵、第二次世界大戦においては戦車、そして現代軍事学ではアパッチなどを代表するヘリ部隊です。

一方、左のカエサル。兵力はポンペイウス軍の半分にも満たない2万3千。しかしガリア戦争から引き続きカエサルに付き従っているだけあり意思統一は立派なもの。布陣はポンペイウスに応じるかのように両翼と中央、騎兵。特徴的なのは右翼を二陣に分割していること。これはなんでしょうね~。

【2】

兵力で増すポンペイウス軍は定石として受けの戦い。まずはカエサル軍が仕掛けます。カエサルは左翼、中央の兵それぞれ4分の3、そして右翼第一陣をポンペイウス軍に進攻させます。

平野戦において実は「突撃」という合戦の仕方は思ったよりも成果が薄い、と軍事学者は言います。

全速力で何千人もの兵士が突進してくれば見た目の威力はありますが、反面、距離を走ることによってせっかくの隊列が乱れます。

考えても見てください。100m先の止まっている敵に向かって全力疾走をして、そのまま狙いを定めて剣を刺すことが出来るでしょうか?

ポンペイウスは突進するカエサル軍の隊列の乱れをしっかりと見据えていました。彼の軍はしっかりと敵に向け槍を立て走ってきたとこを刺せばいいだけなのです。

土煙を上げ走りこんでくるカエサル軍、切り結ぶ第一合はポンペイウス軍のもの、と思ったそのとき、戦場に一瞬の静寂が響きます。

ポンペイウス軍は驚きました。なんと1秒前まで全力疾走していたカエサル軍がポンペイウス軍の槍の間合い一歩手前で一糸乱れず全員「立ち止まった」のです。

収まる土煙と怒号、再度固まるカエサル軍の隊列。

言うなれば規則正しく打たれていた音符の中の一拍の休止符。

すべてのものにはリズムがありリズムを制したものがマエストロです。

この瞬間にはカエサルは稀代のマエストロとなります。

拍をずらされたポンペイウス軍、自分のリズムを刻んだカエサル軍、そして戦いが始まります。

兵力では劣りますがさすがはカエサル幕下の屈強なローマ兵(すこしガリア兵も混じっています)、ポンペイウス軍と渡り合います

一方、攻め込まれたポンペイウスは兵士に「落ちついて受けろ」という指示を出しますが残念、多国籍軍の脆さか指示が浸透しません。攻めるものあり、守るものあり。兵力差ほどの有利には働きません。

【3】

思ったよりもローマ兵が減らない状況を見たポンペイウス。ならば一気にカエサル本陣を攻める作戦に出ます。北は川に阻まれているため南から。そのために騎兵を南に配したのです。機動力に優れる騎兵ならばカエサル騎兵を迂回してもじゅうぶんカエサルにたどり着けます。勝負とばかりにぐぃーんぐわーんと騎兵を進めます。

【4】

応戦するかと思われたカエサル軍騎兵、易々とポンペイウス騎兵の突破を許しますポンペイウス1二桂で王手秋味で王手。

【5】

もちろんこれは稀代の策士、カエサルの作戦通り。残しておいた右翼第二陣が先回りをしポンペイウス騎兵の前に立ちます。
子供の頃から馬に触れ馬の性格を知り尽くしていたカエサル、馬は足元に兎がいるだけで足を止めてしまう本質的には臆病な動物であることは知っていました。そこをつき馬の目の前に歩兵を出したのです。さらにカエサルが用意したこの右翼第二陣はカエサル軍の中でもベテラン兵の集まり、正にカエサルの秘密兵器でした。

【6】

右翼第二陣に足止めを食らい、回り込もうにもカエサル騎兵に背後をつかれポンペイウス騎兵は一気に全滅。唯一の逃げ道だった南方向に散り散りとなり敗走します。

【7】

カエサル騎兵と右翼第二陣はそのまま一塊となり目の前に空いたポンペイウスへの道を疾走。

【8】

それと呼応するかのように一応、ポンペイウス騎兵の突破にそなえていた左翼、中央の残り兵も前へ。

【9】

川に挟まれたポンペイウス軍右翼が殲滅され、カエサル左翼がポンペイウス本陣に進軍し始めたところで勝負有。

敗北を悟ったポンペイウス、エジプトへと敗走します。


(このカエサルの美しい用兵をアニメでどうぞ)

…to be continued...

ローマ人列伝:ポンペイウス伝 3

2008-06-03 00:11:14 | ローマ人列伝
「ここを渡れば人間世界の悲惨、渡らなければわが破滅。進もう!神々の待つところへ!我々を侮辱した敵の待つところへ!賽は投げられた!」
(うーん、この台詞は何度書いてもきもちーなー)

カエサルがこう叫び、ルビコンを渡ったという報せを受けたポンペイウスと元老院。さてどうしたか?

まず元老院議員、さすがのカエサルと言えども元老院最終勧告に逆らうとは思ってもおらず上を下への大騒ぎ。とにかく自分の財産を確保し一目散にローマ本国を後に逃げ出します。

そしてポンペイウス。事実上のローマ独裁官となった彼はまずカエサルに向けて親書を送ります。内容は「まぁまぁ落ち着いて」という感じ。

その親書を受け取ったカエサル「話す気があるなら会談に応じる」という親書をしたため部下に持たせます。しかし、その親書がローマに届く頃、既にポンペイウスはローマにいませんでした。カエサルの侵攻を恐れたポンペイウス軍の指揮官が結託し、「大将、とりあえずいったん引いて兵力を固めましょう」と進言したのです。

おそらく、カエサルのルビコン渡河の知らせを聞いたポンちゃんは「あ、そー。でもカエサルと俺なかよしだからさ~、なんとかなっぺ」という感じだったでしょう。

しかし部下から「やばいっすよ」と聞いた瞬間、「なにー!」。何度も言いますがポンちゃんには戦略なんてないんですってば。

通常、ローマ本国は属州に囲まれその属州に軍をおいていました。ローマ本国は内乱や反乱を避けるため軍を置かない決まりでした。つまりポンペイウスは丸腰。それに危機感を感じた手下にそそのかされ軍備を固めるために既にポンペイウスは親書の返事を待たずにカプア(ローマの南、ナポリの手前)に移動した後でした。

易々とローマ本国を取り返したカエサルに対するため、ポンペイウスに必要なものは兵力と地盤(=資金)。彼がそれを手に入れられるとすれば以前から制圧を繰り返してきたオリエント(東方)。彼はギリシャ、エジプト、アフリカ南部と言った属州を渡り地盤を確固たるものにします。ここにローマ本国およびガリアを地盤とするカエサル軍、それ以外の属州を地盤とするポンペイウス軍、というローマ世界すべてを巻き込んだ戦いが始まります。

こちらが当時のローマ地図。

ピンクがポンペイウスの地盤、緑がカエサルの地盤。イタリアの上、現在のフランスは当時ガリアと呼ばれほとんど森ですから広いだけで意味はあまりありません。さらに水色の地中海はローマ海軍を持つポンペイウスの庭のようなもの。ローマ本国を手放したとは言えこの時点ではポンちゃんやや有利。

決戦はまず、ポンちゃん制圧を目指すカエサルによる補給基地急襲作戦から始まります。ドゥラキウムの戦い、と呼ばれるこの戦いではさすがのポンちゃん、カエサル軍を一蹴。続いて戦いは大一番、ファルサルスの戦いで両軍が雌雄を決することとなります。


…to be continued...

ローマ人列伝:ポンペイウス伝 2

2008-06-02 00:09:34 | ローマ人列伝
武力を誇り当時ローマの最高権力者となったポンちゃん。彼に近づいてきた男とは当然のことながらその人間とはポンちゃんの6才下であるユリウス・カエサル。

スッラ存命の頃はすたこらさっさとエジプト逃避行、スッラの死後、ローマに帰国していた彼。そのときの彼には、ローマを動かすために足りないものが2つありました。それは武力と金。

カエサルには人をつかって戦争をする、といういわば将才は誰よりも優れていましたが自らが最前線に立ち適を倒すタイプではありません。更に金に関して言えばこの時点で(まともな政治活動をしているわけでもないのに)一国の国家予算にも匹敵する借金だけがありました。

一方、彼にありあまるほどあったものが政治ビジョンと民衆人気。

「出来ないことは出来る人に任せる。自分は得意なことをやる」が信条だったカエサルは足りない2つを人と組むことによって補おうと考えます。武力はもちろんポンペイウスによって、金は当時の大富豪クラッススから。

クラッススとポンペイウスは長年の政敵ではありましたが間を人たらしカエサルが取り持つことで手を結びます。ここに有名な三頭政治が成ることとなります。


マルクス・リキニウス・クラッスス。「ローマの富を半分持つ」と言われた大富豪。

カエサルによるポンペイウス操作は見事なものでした。カエサルはまず自らの娘、ユリアをポンペイウスの妻として差し出します。

※これもね~、僕ぁ理解できないんですがポンペイウスとユリアの結婚も、彼の妻ムキアとの仲が妻の不倫により離婚してたからなんですが、妻の不倫相手とはなんとカエサル。ポンちゃんも何考えてんだか。たぶん、何も考えてない。

更に当時行われた農地改革でもポンペイウスは重要なポストを果たします。が、これも結局はカエサルがやりたかったことをポンペイウスの名を借りてやっただけ。

カエサル側から見ればポンちゃんは名前だけ通ってて自分の言うこと聞いてくれるいいヤツ。ポンちゃんから見ればいろいろこまごましたことをやってくれて結局美味しいところを自分にくれる使えるヤツ。まぁいいコンビ。割を食ってるのは金だけねだられる大富豪クラッススですが、政治力も民衆人気も無い彼にとってはポンペイウス、カエサルと並び評されるだけでも価値はありました。

そんな彼らの蜜月が崩れるのはカエサルにとって最大の戦争であるガリア戦争の時。

広大なガリアの征服をもくろんだカエサルは一路北へと向かい、ローマを留守にします。その間、三頭政治の一頭であったクラッススは似合わぬ戦争に出向き敗死。ローマに残ったのはポンペイウスのみ。

自分たちの権力を奪われること、政治権力が一人に集中することを何よりも嫌う元老院はガリアの地で目覚しい戦果を上げるカエサルに眉をひそめだします。「カエサルは王になろうとしている」と考えた元老院は得意の政治力でポンペイウスを懐柔し、ポンペイウスの武力だけを頼りに「即刻武装解除の上、ローマ帰還」という元老院最終勧告をカエサルに命じます。

何度か書いたと思いますが当時のローマ帝国においてあくまで主権はローマ市民と元老院。この元老院最終勧告に逆らうものは国家の敵です。ローマの昇竜、カエサルに元老院が強気で出られる理由はもちろん、ローマを守る「偉大なる」ポンペイウスの威光があるからです。

もつれたカエサルとポンペイウスの運命の糸。ローマ本国と属州を隔てるルビコン河で決戦はスタートします。


…to be continued...

ローマ人列伝:ポンペイウス伝 1

2008-06-01 02:19:41 | ローマ人列伝
ローマ人列伝、今回は「偉大なる」ポンペイウス。


何度も繰り返しますがこのローマ人列伝は僕の個人的な趣味で書いているものですから歴史的間違いはご容赦ください。(ご指摘はありがたくいただきます)

今回はなぜか長くなります。5回シリーズの予定。途中で合戦絵図分析なんていう戦好きにはたまらない回もありますんでよろしくお付き合いください。

今回の主人公、ポンペイウス、生まれは紀元前106年ですからユリウス・カエサルの6歳上。

フルネームはグナエウス・ポンペイウス・ストラボ・マグヌス。相変わらず長いですね、ローマ人の名は。いつもなら飛ばしてください、と言いますがちょっと解説しときましょうか。

古代ローマの人の名は基本的に氏族名・家族名・個人名・仇名で成り立っています。家族名ってのはまぁ苗字みたいなもの、個人名はファーストネームですね。仇名はあったりなかったり。

面倒なのは氏族名ってやつですがなんですかね~、日本で言ったら屋号みたいなものでしょうか。ちなみに僕の家の屋号は源兵衛(げんべえ)です。僕も母の実家と僕は苗字が違うんですが(母が父と結婚して名前が変わった)それでも地元にいるとたまに「おー、源兵衛んとこの孫か」と言われたりします。そういうのが氏族。

このローマ人列伝をご愛読いただいている方は既にお気づきかも知れません。ポンペイウスの氏族名、グナエウス。はい、名門じゃありません。古代ローマで(カエサル以前)名門といえばコルネリウス、クラウディウス、あたり。グナエウスなんて誰も聞いたことありません。グラディウスとかグダグダっすと間違えそうです。僕だってこれを書こうと思って本名調べて知りました。

それからこれは僕の想像なんで信用しないで欲しいんですが家族名であるポンペイウス、どうもポンペイ(犬の絵があるところですね)から来てるような気がします。

ちなみに仇名であるマグヌスは「偉大な」という意味です。数々の戦功を遂げた彼に送られた名です。

歴史上でこの仇名がついていた人はかのアレクサンダー大王。



さて、決して名門ではなかったポンちゃんですが、お父さんは努力し当時の政治の最高役職である執政官を務めるほどになります。

ポンちゃん本人が活躍しだすのは17歳の頃、当時、同盟都市がローマ本国に反乱を起こしたことから発生した同盟市戦争からです。17歳という未だ春うららの飲み会も知らない小僧であったポンちゃん、軍才は秀でたものがあり活躍したそうです。その後は父を支える軍人となります。
そしてローマ政治の中央に足を踏み入れます。

当時のローマの状況としては民衆派であるガイウス・マリウス(スッラ伝で出てきましたがスッラのライバル)が台頭し始めたころ。そして彼により元老院派とみなされたポンちゃん父ちゃんは殺されます。

ここではっきりと言いますがポンちゃんのイメージは「人当たりのいい呂布」です。武力99政治25。呂布と違うのは人望はそれなりにあるところ。呂布との共通点は武力の強さ、そして政治ビジョンの無さ。今の世の中がどうなっていくのか、どうすべきなのか、ということは一切考えていません。
そんな彼が父をガイウス・マリウスに殺されたのです。
ここで彼が従うべき人間が決まりました。当然、ガイウス・マリウスのライバルであるスッラ。ガイウス・マリウスは民衆派、スッラは共和制派でしたがそんなの関係ありません、つーか知らねーよ。父を殺されたんだから従うべきはそのライバル、ウガウガ、という単純な理由でポンちゃんは私兵3万を従えスッラに従うことを誓います。

「民衆派ばんばん殺そーっと」と思っていたスッラにとって武勇名高いポンペイウスと私兵3万は渡りに舟。副将に取り立てます。民衆派討伐という名目を得たポンちゃん、ばっしばっしと武功を上げます。はい、董卓配下に居た頃の呂布をイメージしてくださいね。

彼の活躍のおかげでスッラ反対派である民衆派の実力者は全滅。共和制は確固たるものとなります。武功を遂げたポンちゃんは25歳で凱旋式を行う、という当時の最年少凱旋式記録を成し遂げます。ちなみにそれまでの最年少記録はザマの戦いでカルタゴの名称ハンニバルを破ったスキピオですから、どれだけ当時のポンちゃんが偉大だったかはお分かりいただけると思い増す。

そしてスッラの引退&死去。スライド式にローマの最高権力者の座に就きます。

ここからはまぁ彼の軍才を示すだけなので起こった戦争だけ書きます。

ヒスパニア遠征
海賊征伐
ミトリバス征伐
オリエント征服

というわけで彼の軍才によりローマ領土は拡大していきます。

これらの武功によりとうとう彼は当時の政治最高役職である執政官になります。

(彼の偉業を称え建設されたポンペイウス劇場にある彼の像)

さてここで、彼ははたと困ります。目の前の敵を倒すことにかけては誰よりも自信があります。しかし、ローマという国をどういう方向に持っていくべきか、そもそも彼はどうしたいのか、ということについては何一つアイディアがありません。更に困ったことにはそのことにポンちゃん自身が気づいていませんでした。「なんとかなるしょ」だけです。

ここに、その彼に気づき、彼を利用しようと思う人間が現れるのです。

…to be continued...