僕にとってはまぁとにかく「出たら買う」って作家の一人、伊坂幸太郎。
今年前半は「うーん、どうにもそそられる小説がないなぁ」と生意気にも思ってたんだけどここに来て海堂尊も7月と9月に新刊出るらしいし京極夏彦の百物語シリーズの新刊も出るらしいし今からジュルルとよだれが止まらない状態になりましたね。
つーことで伊坂幸太郎の新刊も出ましたよ。
装丁がきれいな小説です。
これ元々は「郵便小説」というスタイルで書いてたんですって。当選した50人にだけ毎月短編小説が届く、という企画。
ずいぶん素敵なことを考えるねぇ。
朝起きて家のポストを開けたら伊坂幸太郎の、しかも全国で50人しか読めない短編小説が届いてる、なんてそりゃハッピーなことじゃないですか。
主人公はある女性に付き添われて恋人に別れを告げなければいけない星野という男性。付き添っている女性というのが体もとても大きい上に言葉遣いも荒いしとにかく乱暴、名前は繭美。
繭美は星野を<あのバス>に乗せるために連れて行こうとしている。<あのバス>というのがどういうものでその行き先がどこなのか?なぜ星野は<あのバス>に乗らなくてはいけないのか?は少なくとも小説内では描かれない。
とにかく<あのバス>に乗ってどこかに連れて行かれる前に彼は恋人に別れを告げることを希望する。そして恋人を訪ねる。
ここで問題が一つ、いや5つくらいかな、ある。
彼が別れを告げなければいけない恋人は5人いる。
なんと彼は五股をかけてたんだよね。いやー、まいったまいった。
(関係ないけどさ、相手が二人だったら股は一つになるから二股って二股じゃなくて「一股」が言葉としては正しいと思うんだけど。はい、関係ないね)
五股なんて言ったら「さいてー」って感じだろうけど星野のキャラクターは決して嫌な感じではない。「うーん、たぶん彼は目の前の女性にベストを尽くしていたら、結果としてワーストな結果になっちゃったんだろうな」とすら思える。
それぞれの短編が、星野と恋人との出会いの思い出(過去)、別れを告げ(現在)、その後日談(未来)、という流れになってる。
さすがもう「名手」とも言える伊坂幸太郎、会話もおもしろいしその後日談もいちいちほんわかとさせる。
そしてとにもかくにも星野はすべての女性に別れを告げる。
読んでてふと思い出したのがこの漢詩。
【勧酒】
勧君金屈巵 満酌不須辞
花発多風雨 人生足別離
(井伏鱒二訳)
この盃を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
そうなんだよなぁ、人は皆いつかすべてに別れを告げていく。(最終的には死ぬわけだから)
でもさ「さよならだけが人生だ」って断言されると「おう、そうだよ、だからどーした。とりあえずまぁ飲もうや」って前向きになれるね。なんつーかそういう小説。
ああ、そうそう井伏鱒二を思い出したのはこの小説、太宰治の「グッド・バイ」にインスパイアされたんだって。そっちは読んでないけどね、僕。
今年前半は「うーん、どうにもそそられる小説がないなぁ」と生意気にも思ってたんだけどここに来て海堂尊も7月と9月に新刊出るらしいし京極夏彦の百物語シリーズの新刊も出るらしいし今からジュルルとよだれが止まらない状態になりましたね。
つーことで伊坂幸太郎の新刊も出ましたよ。
装丁がきれいな小説です。
これ元々は「郵便小説」というスタイルで書いてたんですって。当選した50人にだけ毎月短編小説が届く、という企画。
ずいぶん素敵なことを考えるねぇ。
朝起きて家のポストを開けたら伊坂幸太郎の、しかも全国で50人しか読めない短編小説が届いてる、なんてそりゃハッピーなことじゃないですか。
主人公はある女性に付き添われて恋人に別れを告げなければいけない星野という男性。付き添っている女性というのが体もとても大きい上に言葉遣いも荒いしとにかく乱暴、名前は繭美。
繭美は星野を<あのバス>に乗せるために連れて行こうとしている。<あのバス>というのがどういうものでその行き先がどこなのか?なぜ星野は<あのバス>に乗らなくてはいけないのか?は少なくとも小説内では描かれない。
とにかく<あのバス>に乗ってどこかに連れて行かれる前に彼は恋人に別れを告げることを希望する。そして恋人を訪ねる。
ここで問題が一つ、いや5つくらいかな、ある。
彼が別れを告げなければいけない恋人は5人いる。
なんと彼は五股をかけてたんだよね。いやー、まいったまいった。
(関係ないけどさ、相手が二人だったら股は一つになるから二股って二股じゃなくて「一股」が言葉としては正しいと思うんだけど。はい、関係ないね)
五股なんて言ったら「さいてー」って感じだろうけど星野のキャラクターは決して嫌な感じではない。「うーん、たぶん彼は目の前の女性にベストを尽くしていたら、結果としてワーストな結果になっちゃったんだろうな」とすら思える。
それぞれの短編が、星野と恋人との出会いの思い出(過去)、別れを告げ(現在)、その後日談(未来)、という流れになってる。
さすがもう「名手」とも言える伊坂幸太郎、会話もおもしろいしその後日談もいちいちほんわかとさせる。
そしてとにもかくにも星野はすべての女性に別れを告げる。
読んでてふと思い出したのがこの漢詩。
【勧酒】
勧君金屈巵 満酌不須辞
花発多風雨 人生足別離
(井伏鱒二訳)
この盃を受けてくれ
どうぞなみなみつがしておくれ
花に嵐のたとえもあるぞ
さよならだけが人生だ
そうなんだよなぁ、人は皆いつかすべてに別れを告げていく。(最終的には死ぬわけだから)
でもさ「さよならだけが人生だ」って断言されると「おう、そうだよ、だからどーした。とりあえずまぁ飲もうや」って前向きになれるね。なんつーかそういう小説。
ああ、そうそう井伏鱒二を思い出したのはこの小説、太宰治の「グッド・バイ」にインスパイアされたんだって。そっちは読んでないけどね、僕。