浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

つけめんの経済学

2008-03-28 23:39:26 | 食べ物
つけめんお好きですか?

僕はあんまり好きじゃないんですよね~。

僕が食べた店だけかも知れないですけどまずスープが魚のダシを使っていて少しにおいが魚くさい。
それから何が嫌だって、麺がぬるいじゃないですか。

ぬるい麺を熱々スープにつけて食べるんでどうにも最後にはぬるくなってくるのがヤダ。

後、何も知らずに大盛とかにすると「こんなにくえねーよ」ってくらい麺が大盛で来たりしません??

こないだ行った店では普通盛りが麺が200グラム(普通のパスタが180グラムです、ってご親切に書いてあった)、超盛りとかいうヤツが400グラムですってよ。更に超盛りも普通の値段。

わーい、お徳だ~、とか思うほど僕も子供じゃないですよ。

聞いた話では、ラーメン屋で一番コストがかかっているのがスープらしい。やっぱりダシ取ったりなんだりでね。一方麺はそんなにコストがかからない。つけ麺はスープが少ないのでコストが抑えられる。だったら麺くらいサービスしまっせ、という商売らしいんだけどね。

今日、昼飯食べに少し気分転換に歩いてみたらテラスみたいなところのあるラーメン屋を見つけた。

「いや~天気もいいし、ここでラーメン食ってみっか~」と入ってみたらつけ麺屋でした。

ここで新しく見つけたんだけど、「あつもり」ってのもあるのね。つまり、麺があったかいの。

まぁ、ぬるくなるってことはなかったんだけどさ。

いや、うまかったんですけどさ。

何さ!?文句でもおあり!?

福岡9時間

2008-03-28 00:57:22 | 日記
春ですね。

仕事で福岡に行ってきました。

あんまり出張をしない人からすると「いいね~出張、いろいろ行けて美味しいもの食べられて」とか言われる場合があるんだけどそんなこともあんまりない。なんか接待とか受ける人なら仕事先の人から「どうですか、この後。ちょっと店押さえてるんで」とかいわれるのかも知れないけど僕はそんなことなくただ行って仕事して帰るだけ。泊まりの時は一人で(もちろん自分のお金で)何か食べたりもするけど今回は日帰り。

9時半の飛行機に乗り福岡に11時半に着き、仕事して18時半の飛行機で帰ってきた。


福岡は南なんであったかいのかなーと思ってたけどそんなことも無かったね。少し風が冷たかった。(地元の人に聞くとその日だけ寒かったらしいけど) こころなしか花粉もそんなに飛んでない感じ。

お昼ごはんは時間が無くて博多駅でケンタッキーを食べた。夕方は空港で一応、博多ラーメン。

高菜ラーメン、明太子トッピング。

ラーメン食べたら後は飛行機に乗って帰るだけだったんだけどビールと餃子も頼みたかったところなんだけど後輩の女性と一緒だったんで自重しといた。その代わり飛行機の中で(その女性とは席が離れている)缶ビールと明太子ちくわで乾杯。飲まんとやってられませんわ、日帰りの出張なんて。

羽田から浅草に帰ってきて、ちょっと飲みたかったので気になってたバーに行って見た。とおりに面した店で、昼間はカフェ、夜はバー。
これが正解。

珍しいビールがたくさんあるのとフードも手が混んでて美味しい。

中はギャラリーにもなってて絵が飾られている。

ベーコンとトマトのオムレツをツマミにビールとズブロッカを飲んでいたら、隣のテーブルでは、イラストレータ志望の女の子の絵を店長(らしき人)が見ていた。どうやらイラストレータになりたくて岩手から出てきたらしい。ええ、聞き耳を立てました。いやらしいからね、僕。

背番号の系譜

2008-03-23 21:55:34 | スポーツ
前に書いた「ジャイアント・キリング」というサッカー漫画でかなり好きなシーンは、サテライト上がりの椿という選手の後ろ姿を見て古くからのサポーターが「背番号7を背負って敵に切り込んでく姿見てるとあいつを思い出すぜ」と昔を懐かしむシーン。(漫画の主人公である監督、達海は元このチームで背番号7番の名選手だった)

背番号のあるスポーツ(特にプロ)だと受け継がれていく番号、というのがあっていいよね。

たとえば野球だと古くは長島の3、王の1なんだろうし、NHL(アメリカのプロアイスホッケーリーグ)だと【The Great One】グレツキーの99番、バスケだとジョーダンの23番とかね。僕はデニス・ロッドマンの10番も好きだったなー。

昔大学の頃にワールドサッカー好きのくらうちと話していたときに「ワールドサッカーでは18番はエースナンバー」という話をしていた。ちょうどレオナルドがブラジル代表で18番をつけてたんだじゃなかったかな。

最近、(我が)アントラーズが結構調子がいいんだけど、そこでも背番号は結構受け継がれている。
特に顕著なのが栄えある2番。この番号はもともとジョルジーニョがつけてて、それを名良橋が受け継いで、更に今は内田がつけている。右サイドバックの系譜、という感じでかなり良いね。


名良橋、ジョルジーニョ。

しかしまぁ内田はなんと19歳。ちゃんと育ってくれるならあと10年、鹿島の右サイドは安泰だし、体に気をつけてくれるなら15年は持つかも知れない。

アントラーズ不動の右サイドバックだった名良橋が引退するとき、「本人が嫌がっても(内田に2番を)つけさせて」と言ったんだって。

こういう歴史を見ていく、というのもスポーツの醍醐味ではあるね、確実に。

というわけで開幕2連勝、いまだ失点なし。今シーズンはいいねぇ。

ACLでも2試合やって9-1、6-0という大人気ない(笑)勝ち方でグループ首位。いいんじゃないの~今年は。

自分の生まれた町にサッカーチーム(サッカーじゃなくてもいいけど)があってそのチームが強い、というのは非常に幸福だと思う。

黄砂に吹かれて

2008-03-23 00:15:40 | 日記
明らかに花粉症です。僕が花粉症だ、と言うと人からは意外な顔をされる。結構繊細なんですよ、こう見えて。

特に昨日今日あたりがひどい。
頻繁にアイボンで目を洗い、鼻の穴にプシュプシュするやつ使って、薬も飲んでいるけどやっぱりくしゃみが続いたり鼻水が出る。
更には右目にものもらいも出来てしまった。目がかゆいのにかけない(ものもらいってさわっちゃいけないんだよね)という何と言うか不条理というか。

うーん、参った。

どうやら今年は花粉だけではなく黄砂も結構飛んでいるみたい。黄砂って言うのは花粉よりも細かくてかなりやっかいなものみたい。

黄砂、と聞くと思い出すのは「黄砂に吹かれて」ですね。

---
もう蜃気楼なのかもしれない
片思いかもしれない

あなたに似てる人もいるのに
あなたより優しい男も
砂の数ほどいるのにね
旅人
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もともとは工藤静香の歌だけど作詞者中島みゆきがセルフカバーしているバージョンのほうがいいね。

やっぱり酔う

2008-03-20 00:27:19 | 日記
浅草の雷門あたりの雰囲気が好きで。

雷門のスタバは表にテーブルがあってそこでタバコも吸える。そこの雰囲気がいいね。目の前のとおりを観光客が通っていく。外国人の集団を見ているのも楽しい。今日はお祖母さんと手を繋いだ結構可愛い子が歩いてていい雰囲気だった。

もちろん雷門の前も好き。今日はドッピオさんと待ち合わせだったんだけど雷門の前で面白いのは人力車の客引き。結構イケメンな若い人が「人力車いかがっすかー」と客を引いてるわけだけどうまい人は2人組の女性観光客に「良かったら写真撮りましょうか?」と声をかけている。「そのあたりに立っていただくとちょうちんもちゃんと写りますよ、じゃ笑顔で~キャンキャンっぽく行きましょうか、はいチーズ」なんて写真撮った後に「どこから来たんですか?」と話しかけて「よろしければ人力車でも」とやっている。巧いね。そうか、雷門でのナンパはそうやればいいのか。

入院していたときにお見舞いに来ていただいたお礼もかねてドッピオさんと飲む。

まずは鳥小に行きたかったんだけどお休みだったので酒の大枡で日本酒をやっつける。

その後にホルモンをやっつけに千束通りの喜美松へ。

刺身レバーとかハツ、「タマ」というのがあってうまいうまいと食べてたけど「タマ」と言えばやっぱり「玉」なんだろうな。

このあたりでよね3に電話した。「俺らの下の後輩が生意気なのはあなたのせいです!」とか理不尽な文句を言う。

大人になって、学生時代に比べるとやっぱり酒を飲む量というのは減っていて、「昔みたいに楽しくべろんべろんになって記憶を失うような機会というのはもう無いのではないか」と少し不安になるけど大丈夫。やっぱり酔うね。

2時から飲み始めて7時か8時くらい(覚えてない)にお開きになってひとりで家の近所のそばやでざるを頼んで一口しか食えなくて帰って来て寝ていま起きました。

引き際は自分で決める。

2008-03-18 00:15:35 | スポーツ
今日はほんとは「アントラーズ調子いいっすね~」というのろけ話を書こうと思ったんだけどニュース読んでたらちょっと思うことがあったのでこちらの話。

高橋尚子がマラソンで激負けしたじゃないですか。

それはそれでいいと思うんだけどそのあたりの報道がどうにも「うーむ」と思うよね。

まず、ある大物芸能人が「レース後に手術の話を打ち明けるのはずるい。言い訳だ」とか言っているみたい。これもねー。たとえばこの大会で高橋がぶっちぎりで一位になっていたらどうだったろう?たぶん「痛みをこらえてよく頑張った!」って話だよね。
仮にレース前にそれを打ち明けていて、結果が惨敗だったとしたら「レース前にそれを打ち明けてレースの言い訳をしてた」と非難されるんじゃないかな。

なぜみんな「手術してるのに42.195キロを走ってえらい!」と言ってあげないんだろうね。

それから元金メダリストがひとつのレースで負けたくらいで「引退か?」とか言うのもよう分からない。彼女の目標は金メダル(あるいはオリンピック出場)だけなんだろうか?自分のお金(もちろんスポンサー料も含めね)で好きに練習して好きにレースでている人が、誰にも引退なんていわれる筋合いないよね。
もし仮に彼女が金メダル以外の何かを求めているとしても(なんだろう、ベストの走りとかかな)僕は文句はいえない。


スポーツ選手の引き際、ということはそこにいたる本当の気持ちを僕はわからないけど、やっぱり自分で決めることなんだろうと思う。

昨日かな、テレビで武田幸三のドキュメンタリーをやっていた。「名勝負製造機」と呼ばれるキックボクサー。「ローキックと右ストレートが打てて客を沸かせられれば何もいらない」という人。

最近振るわない戦績、次の対戦者である若き王者(武田は35歳)、そして妻と子供に「次の試合は来なくちゃだめ」と言う彼の姿が映る。

カメラのインタビューには「負けたら引退」とかそういうことは言わないけど、明らかに彼は次の試合を自分のターニングポイントとしていたことは伝わってきた。

練習の合間を縫って後援者の宴会に行き、お酌をしながら試合のチケットを買ってもらう。

そして、試合。

残念ながら結果は4ラウンドKO負け。

リングを降りる彼にファンが声をかけた。

「武田ぁっ!!恥ずかしい試合はしてねーぞ!!胸張れッ!!!次だ、次!!」

そして試合の2週間後、次の試合に向けてトレーニングを始める彼の姿でVTRは終わる。

余力を残して、自分の理想のプレイが出来なくなったことを理由に引退するアスリートだって僕は否定しないけど、ぼろぼろになるまでプレイするアスリートだっていたっていいじゃん。

いま、好きな曲

2008-03-16 00:43:23 | 音楽
音楽をダウンロードすることが一般的になって結構経つけどやっぱ便利なんですよねー。

いや、もちろん「このアルバムは好きなんで形としてもっときたい!」と思ってCDを買うこともあるけど。そうだそうだ、桑田の新しいアルバム買わないと。

特にiTunesをつかってて便利だな、と思うのは「この曲を買った人はこんなのも買ってます」と表示してくれる機能。

ちょっと前からfall out boyというバンドを聞くようになってたんだけど今回はそこからのリンクでそれを買っている人はyellowcardというバンドも買ってるみたいなんで試しに買ってみたらこれがいいのなんの。


このバンドは編成がいいよ。

Ryan Key – ボーカル、ギター
Peter Mosely – ベース
Ryan Mendez – ギター
Longineu Parsons III – ドラム
Sean Mackin – ボーカル、バイオリン

バイオリンかい(笑)。こういうの好きなんですよね~。バービーボーイズもドラムス、ベース、ギター、ボーカル、ボーカル&クラリネット、って編成だし。たまにウッドベースを使ってるバンドなんか見つけるとグッと来るね。

yellowcardは結構有名なバンドなんですかね?ちょこちょこ見てみると「スパイダーマン2」のサントラとかにも曲入っているみたい。ぼかぁぜんぜん知らなかったです。

特に「Gifts and Curses」という曲がいい。(youtubeどうぞ)途中、バイオリンのソロがあってね。

どうにも最近、何にも考えてないようなロックが大好きになってきた。逆に言うとちょっと重たいロックはあんまり聴かないな。

最近すきなのは、
・スピード感のある曲
・高音が良く出てるボーカル
という感じ。
あとできれば途中でソウルフルな女性ボーカルががっと横から入ってきたりするとかなりいいね。あと、PVでスピード感あふれてエネルギーが止まらなくなって最後ギターたたきつけるとかいい。(fall out boyの「Thnks Fr Th Mmrs」とかね。あ、今気づいたけどこれもバイオリン入っているね。)

ライフタイムベストなアーティストって決められるわけがないけど、2008年3月に僕がすきなのはyellowcard。

特に天気が良くなってくるとこういうのいい。

家族の肖像

2008-03-14 00:51:31 | 日記
父親から「退院したなら飯を食いに行くか?」というメールが来た。

父親はもともと出張が多い人なんだけど今は単身赴任で平日だけ埼玉にいる。どうやら明日からまた愛知とか行くみたいだけど。まぁ近いので飯でも、ということ。

ついでに、ということで同じく埼玉に住んでいる妹にも連絡をして浅草で焼肉を食べることになった。

焼肉は1時間でみんな腹一杯。僕の家系の人は傾向的に網に肉を乗せすぎる。

「店変えるか」ということでちょっと落ち着いたバーで家族3人で酒を飲む。いや、母親と真ん中の妹は実家にいるから不在だけどね。

家族と酒を飲むようになって思うんだけどまぁ今更「え?そうだったの?」という話が毎回出てくる。

今回のそういう話は、まず父親がほとんど母親(つまり僕の祖母ね)のことを知らない、ということ。

父の母は父が9歳の時に亡くなった、ということは知っていたんだけど今回新しく知ったのは父親が5歳から1年半入院していて、その時には祖母は体調が悪くほぼ見舞いには来られず、父が退院したらすぐ祖母が1年入院し退院後すぐに亡くなったらしい。だから父は「母の思い出」というのがほぼないそうだ。

更に父には実はもう一人、兄がいたらしい。僕の父は、姉、兄、父、という三人兄弟なんだけどその姉の上に実はもう一人、男の子がいたらしい。しかし残念ながらその男の子は4歳で死に、「じゃあもう一人子供を作ろう」、ということで出来た子が父だそうだ。うーむ、変な話だけど、その男の子が死ななければ父は生まれず、当然僕も生まれなかったわけだ。なんつーか複雑な気分だね。

妹の話で「え?そうだったの?」という話は「おにい(僕のことを妹はこう呼ぶ)が大学で実家を離れた時は絶望した」とのこと。

それ聞いて僕は「ええええ!!??」と思ったんだけど。

まず僕ら兄妹は、僕、妹、下の妹、の3人兄弟。で、前も書いたけど一時期真ん中の妹が難しかった時期がある。今でいう引きこもり。登校拒否をし、家ではかなり反抗期。

その頃は、僕が2階の自分の部屋にいるといつもリビングから妹のわけの分からない声(なんだったか忘れたけどたぶん「いっつもお兄ちゃんと妹ばかり可愛がって!!」とかそういう話)が聞こえ、父の怒り声が聞こえ、下に降りていくと母親が泣いている、という状態が結構あった。

それがちょうど僕が高3で真ん中の妹が中三、下の妹が10歳の時。そして僕は何も考えず大学に進学し、札幌に出て行ったわけだけど、下の妹にとっては頼れる(照れるけどさ)兄がいなくなり姉と2人となった時期はかなり辛かったらしい。本人は「あれは地獄の日々だったね」と言っていた。うーむ、おにいはそんなこと何にも知らずに北炉でよね3やドッピオと飲んだくれてたよ。

そういえば思い出したけどその頃、母から手紙をもらった。そのときの実家の状況(叫ぶ妹、怒る父、泣く下の妹)がつらつらと書いてあって、「正直、いま、私はあなたと下の妹は自分の子として愛していますが、真ん中の妹を愛せません。あなたに言っても仕方ないことは分かっていますが」と書いてあった。「うーむ、おっしゃるとおり俺に言われてもなー」と思ったことを覚えている。

そんな真ん中の妹は実家の町で結婚し、実家の近くに住み、女の子を2人も産み、毎日母の所に孫の顔を見せに行っているんだから不思議なもんだ。

僕の家族というのはかなり幸福な家族だと思っていたけどやっぱりいろいろあるもんなんだな。

で、いつもどおり酔った父親が「俺の人生超ラッキー。何がラッキーってお母さんと結婚できたんだから」と繰り返し始めたのでお開き。

粋な枕

2008-03-11 23:55:47 | 
昔、浅草のいきつけのすし屋のカウンターで昼過ぎに飲んだくれてたら、着物のおじいさんががらりと入ってきた。

おじいさん、と言っても背筋はピシッとしていて、仕立ての良さそうな着物を着て、マフラー、高そうな帽子、使い込まれたステッキ、という出で立ち。

帽子を軽く取って板前さんに目で挨拶をし、帽子とマフラーを店員さんに預けカウンターの一番奥に座った。

お茶を持ってきた店員さんに静かな声で注文をし(僕からは少し離れていたので声は聞こえなかった)その後、一言も喋らずお茶を飲んでいた。

しばらくするとお寿司が運ばれ、おじいさんはもぐもぐとそれを食べ、来たときと同じように会計をし、板前さんに挨拶をし、去っていた。

それを見ていた僕は「うーん、江戸っ子らしい粋なおじいさんだな」と思っていたんだけど板前さんが「あの方、ご存知ですか?」と僕に聞いてきた。

知らないです、と答えると「落語家の○○師匠です」とのこと。

どうやらその寿司屋の常連のようで高座の前には頻繁に来ているらしい。


僕自身は田舎者なので何と言うか江戸っ子と言うか粋な人には素直にあこがれてしまう。粋な江戸っ子と言えば落語家ですね。

一番好きな落語家は古今亭志ん朝。いいよね~、まさに江戸っ子という感じで。

ということで前回に引き続き今回のランチタイム本(一人でランチ取るために本屋で仕入れる本)は古き良き日本、という感じ。

古今亭 志ん朝
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どうやらこのシリーズ5、6冊出ているみたいなんだけどまずは1冊目、テーマは「男と女」。崇徳院や明烏なんかが入ってていいです。

落語で僕がすきなのは、枕(最初)の部分で川柳とか言うじゃないですか。これが妙に粋で好き。

こんな感じ。

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(病気にも色っぽいのとそうでないのがある、と言った後で)なんと言っても色っぽい病は「恋煩い」ですな。「夏風邪と 答えて後は 涙かな」ってなことを申しまして…
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花魁には「この人」と決めた客がいるもんですな。俗に言う「まぶ」ってェヤツです。「星の数ほど 男はおれど 月と思うは主ひとり」なんてェことを申しまして…
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いちいちこういうのかっこいいな。そもそも落語家なんていう商売は何を生み出すわけでもなくて必要ない仕事と言えば必要ない。だからこそかっこいいんだろうな。

まんぷく

2008-03-10 00:39:09 | 食べ物
引き続き食べ物話。

土曜日の夜は仕事上がりに焼肉。入院していたときに何が食べたかったって焼肉ですな。そもそも最近は焼肉自体食べないじゃないですか。昔はね、何かっちゃあ焼肉食べてた覚えがあるけど。そもそも大学の帰り道に食べ放題の焼肉屋(スーパーマン)があっていっつもニオイにやられてふらふら~と焼肉食べてた。

行った焼肉屋が半額セールやっててラッキー♪ たっぷり食べた。

日曜日はマイミクのみなみさんとなおきちさんのご夫妻とランチ飲みのお約束。偶然Romiyさんも東京に来ていたのでまずは東京案内。Romiyさんと浅草寺(あさくさでらではなくせんそうじです、Romiyさん)におまいりしたあと裏手の屋台でぐびりと缶ビール。

その後、みなみさんたちとディープin浅草の最たるものである千束通りへ。

一応、土地勘のない方に説明しておきますと浅草寺の裏手、江戸時代は吉原があったので大変栄えたみたいですけど今はディープな商店街。このあたりは「いつか攻めておかねばなるまい」と思っていたんだけど「釜飯 むつみ」くらいで終わっていた。

お目当ての鳥小が時間が早くてまだ開いてなかったのでもうひとつのオススメ、とんかつ屋のみよしで揚げ物をつまみにぐびりと開始。

盛り合わせ3人前。はいドン!

すごいボリュームだね~。油モノがこのくらい盛られると逆に健康的にすら感じる。

1時間くらいで食べつくし鳥小へはしご。

焼き鳥とウナギで日本酒をぐびりと。

無類のわさび好きなんで、ウナギは蒲焼よりも白焼きをわさびで行くのが好き。

いやー満腹。

みなみさん、なおきちさん、Romiyさんありがとうございました~。

つーことで明日は検査で病院。カプセルカメラ飲んできます。

もう大丈夫

2008-03-08 20:01:39 | 食べ物
ご心配いただきました僕の体調ですがもう大丈夫です。

退院直後はやっぱりどうにも血が足りなくて立ちくらみとかしていたけど最近はそれもなくなった。

食べ物も最初はおっかなびっくり食べてたけどだいたい大丈夫そうなので不安なく食べてます。酒もね、それなりに。

先週土曜日には快気祝いにふぐを食べに行きました。

てっさ~♪写真撮り忘れたけど焼きふぐ(炭火で焼くやつ)が異常にうまかったね。

次の日の昼は浅草駅の地下の屋台街(かなりディープな所です。女性一人では入るのがはばかれるような)でタイ料理屋を見つけたのでグリーンカレー&レッドカレー、ついでにミニトムヤンクンラーメンも追加。

MONTEE」という店です。

入院中に「退院したらあれ食べよう」と思っていたものの中のひとつがタイ料理。どうにもトムヤンクンのすっぱい感じとかパクチーとか食べたいなーと思ってたんだよね~。ここは本格的タイ料理で旨かったどす。

入院中に「あんこ食べたい!」と思っていたので浅草「亀十」のどら焼きときんつば。こちらも美味しい。

特になんと言ってもどら焼きですね。皮が歯ごたえがあって喉越しがいい。

次の日の晩御飯はよね3にならったレンジで簡単キーマカレー。

耐熱容器にひき肉、トマト缶、カッテージチーズ、フライドオニオン、スパイス(コリアンダー、ターメリック、クミン、レッドペッパー)を入れてよく混ぜレンジでチンするだけの簡単カレー。ターメリックライスは冷凍して置いたやつ。上にちりばめてあるのはカッテージチーズ。
これもおいしーなー。

次の日はなんちゃってフォー。

アルコール飛ばした白ワインをベースに粉末鶏がらスープとナンプラーで出汁をつくり、そこに桜エビを入れて海のニオイをつける。それを茹でた冷麦にかけて、具はナンプラーで濃い目に味付けし炒めたひき肉と紫蘇の千切り。

紫蘇の香りとエビの香りがいいですわ。写真では湯気でちゃんと写ってないけど紫蘇の緑とエビのピンクと冷麦の白、ひき肉の茶色なんかがかなり綺麗。

うちの近所のスーパーがありがたいことに結構遅くまで開いている。こないだ仕事帰りに寄ったらなんと肉が3パック1,000円♪ 国産牛1パック500円を3パック買っても1,000円なんでかなり嬉しい。

ということで牛肉の紫蘇バター焼き。

バターでタマネギの千切り炒めてそこに牛肉入れて酒を入れて、最後にちぎった紫蘇、塩コショウ、醤油。
椎名誠のエッセイで読んだ由緒正しいメニュー。

ちょっと野菜が足りないのでサンチュで包んで食べました。

食べられるって素晴らしい。

いいじゃん、日本

2008-03-05 21:33:33 | 
仕事場の近くで一人でランチを取るときには大抵まず近くの本屋に寄る。

一人でご飯食べるならなんか読むものがないと暇じゃないですか。

で、今回買ったのが「古今和歌集」。

古今和歌集 (角川ソフィア文庫 81 ビギナーズ・クラシックス)


いや、本当に読みたい本がなくてさー。それぞれの和歌とその説明が書いてある本。とりあえず、って買ったんだけどこれちゃんと読むといいね。

まず最初に序文の説明があります。

原文--
やまと歌は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける

世の中にある人、事業しげきものなれば心に思ふことを見るもの聞くものにつけて
言ひいだせるなり

花に鳴くうぐひす、水に住むかはづの声を聞けば、生きとし生けるもの いづれか歌をよまざりける

力をも入れずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女のなかをもやはらげ、猛きもののふの心をもなぐさむるは歌なり

--

現代語訳--
和歌は人の心を種として、それが様々な言葉になったものである。

この世に生きている人はかかわりあいになる出来事や行動が多いので、それらについて心に思ったことを、見るものや聞くものに託して言葉に託しているである。

花の枝で鳴く鶯や、川にすむ蛙の声を聞いて、いったいどんな生き物が歌を詠まないでいられるだろうか。いやすべての生き物が感動して歌を詠むのだ。

力を入れていないのに天と地を動かし、目に見えない恐ろしい神や霊を感動させ、男と女の仲を親しくし、勇猛な武士の心を慰めるのはやはり歌なのである。

--

もうこれだけで良くないですか!?よくなくなくない?

いいね~。

人はいろいろな出来事が多いんですって。それらに感動したら歌を詠まずにいられないんですって。しょんでしょんでその歌は天と地を動かし、男女を親しくし、武士の心を慰めるんですって。

いやー、そうだよな~。

たとえば最初の「和歌」って「ロックンロール」でもいいし「映画」でもいいしなんだったら「ブログ」でもいいじゃん。そういうもんですよね。

深いな~。

和歌の中で「ああ~、きれいやわー」と思ったのはこの歌。

山風に 桜吹きまき 乱れなむ 花のまぎれに たちとまるべく

はい、解説します。

「山風に 桜よ どうかふき乱れてくれ (あの人が)花嵐に 立ち止まってくれるように」

わかります、これ?僕は超わかる。わっかーる。

春は別れの季節ですね。愛した人が旅立っていく季節です。そんな時期に咲くのは桜。春一番のような突風が吹いて桜吹雪が舞い散ってくれれば旅立った人もそれを見るために立ち止まってくれるかも知れない。少しでも自分の近くにいてくれるかも知れない。そんな淋しい気持ちと桜吹雪の情景ががっと浮かびますね。

うーん、美しい。

こういうのちゃんと残していた日本人ってのはいいじゃないですか。

ローマ人列伝:クレオパトラ伝4

2008-03-04 23:53:10 | ローマ人列伝
クレオパトラの魅力に骨抜きにされたアントニウスはまず、妻と離婚しクレオパトラと正式に結婚します。

離婚された妻とは当然、このとき、ローマ市民から圧倒的な支持を受けていたアウグストゥスの姉オクタヴィア。同時代のローマ市民からも良妻賢母の象徴とされていたオクタヴィアという妻がありなら外国の女王と浮気をし、更には離婚したアントニウスに市民は非難轟々。

アホ面下げてクレオパトラと共にローマに戻ったアントニウスはローマ市民から総すかん。昔の故事により「権力者が外国の女王を連れてローマに来たら災いを起こす」という思い込みもありました。

想像ですがここまでのすべてがアウグストゥスの作戦だったようにも思えます。なぜならこの時点でアントニウスを「外国の女王を引き連れてきた災いの元」として、更には「自分の姉を理不尽な理由で離縁した酷い男」として、ローマにとっても自分にとってもアントニウスを討つ理由が出来たのですから。
アウグストゥスは常に自分の欲望よりも民衆が納得する「大義」を優先しました。そして「大義」がないときには辛抱強く大義を作る人でした。

大義、ということであればクレオパトラにもありました。それは「カエサルの血」カエサリオン。もちろんアントニウスにとってもアウグストゥスを打倒するためにカエサルの子、カエサリオンは格好の材料。血による正当継承者を主張できます。

またクレオパトラにとってはカエサルへの愛はそのまま怨恨へ。そして怨恨はエジプト王朝によるローマ帝国併呑という野望へ。愛情と利害がすべて一致した2人でした。

アウグストゥスとの戦いが始まります。


さて、遺言状でクレオパトラに一切触れなかったカエサル、彼女を愛していなかったのでしょうか?

このローマ人列伝はほとんど僕の想像というか妄想ですから僕はここでも妄想します。

カエサルはクレオパトラを本当に愛していたのです。だから、遺言状に名前を書かなかったのです。

もし遺言状にクレオパトラの名があれば、権力を狙うものが彼女とその子を盾に内乱を起こすかも知れない。

もしクレオパトラが「カエサルの妻」「カエサルの子の母」ではなく単なる「エジプト女王」として生きていれば。

後継者アウグストゥスは徹底的に現実的ですが決して冷酷ではありません。更に彼の得意技は「自分がやらなくてはいいことは一番得意な人間に任せる」こと。軍事と公共事業を親友アグリッパに一任したように、属州エジプトの統治も女王クレオパトラに一任したでしょう。もしそうなればカエサルの腕の中でクレオパトラが語った「祖国エジプトの平和」は保たれたのです。

残念ながらクレオパトラにその愛は伝わりませんでした。

愛を理解しない者に勝利はありません。そもそもアントニウスとクレオパトラの主張はカエサルの遺志に背くもの、正統性もありません。

舞台は海上へ。いざアクティウムの海戦へ。

もともと海戦が頻繁ではなかったローマ軍、この戦いはローマ史上最大の海戦と後に呼ばれます。

クレオパトラもエジプト軍司令官として戦場に出向きます。

しかし、敵は知略あふれるアウグストゥスと武名名高きアグリッパ。

交戦直後からアントニウスとクレオパトラは劣勢となります。

クレオパトラ率いる軍は一時退却、更にそれを追いアントニウスも退却。

総司令官アントニウスをアウグストゥス軍は「部下を捨て女を追いかけた」と嘲笑されます。

アレキサンドリアに退却したアントニウスに届けられたのは「クレオパトラ自殺」の知らせでした。

既に彼にとって心の拠り所は権力ではなく温かい彼女の胸だけでした。クレオパトラが死んだのであれば既に彼の帰る場所はありません。故郷ローマですら既に彼の敵。目の前にはアウグストゥスの正規ローマ軍、そして部下を捨てた自分に付き従う兵士は数えるほどになっていました。一度はカエサルの腹心として栄光に座にあった彼に残されたものはクレオパトラへの愛だけでした。そして彼は絶望とともに自らの胸に刃を突き立てます。

しかし実はクレオパトラ自殺の報は誤報。彼女はまだ生きていました。(想像ですからおそらくアウグストゥスの戦略でしょう。)

瀕死のアントニウスはアウグストゥス軍により彼女の元に運ばれました。そして何よりも望んだ彼女の胸で絶命します。

カエサルに無視された悲嘆から生まれた怨恨、それが肥大した彼女の野望。しかしそれはアントニウスの死と共に空しく散りました。

彼女の心に残ったものは何か?
それはカエサルと比べれば愚鈍でも彼女を心から愛し、最後まで自分のために生きてくれたアントニウスへの愛。最初はカエサルへの恨みから生まれた愛、しかしここに来て彼を愛している自分に気づきました。

そして気づいた時にはもうアントニウスはこの世に居ません。ならば生きていても仕方がありません。彼女は毒蛇に自分の身をかませ自殺をします。


彼女の最後の言葉は「アントニウスと共に葬って欲しい」でした。

現実的ではあれ、冷酷ではなかったアウグストゥス、この願いを聞き入れひとつの墓に二人を葬ります。更にクレオパトラとアントニウスの間に生まれた子も引き取り親戚として育てます。

しかし冷酷ではなくても現実的だった彼。カエサルとクレオパトラの子、カエサリオンだけは殺します。カエサルの名を継ぐものは自分ひとりでいいからです。

愛ゆえに遺言書にカエサリオンの名を残さなかったカエサルの思いは伝わりませんでした。

以後、大王朝エジプトはローマの一属州となります。



ユリウス氏族の女という意味のユリア、など自分の名前すら持たず、女王どころか政治の場である元老院にすら入る権利のなかったローマの女性たち。一方、女王として国を治めたクレオパトラ。
親の決めた結婚をし、政治のために離婚すらされたローマの女性たち。一方、自らの愛する人を自分で選んだクレオパトラ。その愛する人とは英雄ユリウス・カエサルと最愛の人アントニウス。そして敗者になったとは言え愛する人と葬られたクレオパトラ。

彼女の名は歴史上名だたる「美女」として残っています。


<クレオパトラ伝:完>

ローマ人列伝:クレオパトラ伝3

2008-03-03 23:20:13 | ローマ人列伝
エジプトに向かったアントニウスが出会った女性とはもちろんクレオパトラ。

アントニウスは一目で恋に落ちます。それはもちろんクレオパトラの美しさもあったでしょうが何より彼女はカエサルの女。彼女と結ばれることで彼はカエサルになれる、と勘違いしたのでしょう。ちょうど彼はクレオパトラと出会ったときのカエサルと同じ50代になっていました。

聡明なクレオパトラはカエサルの遺言状で無視された瞬間こそ憤怒に駆られましたが、ひとまず心を落ち着け次の手を練っていました。

彼女の武器はやはり「聡明さ」と「女であること」。次の一手は二つ考えられました。ひとつはカエサルの正当な後継者アウグストゥスを狙うこと、そしてもうひとつはカエサルの部下でありながら野望を持つアントニウスを狙うこと。


こっぴどく振られたときにあなたなら次の恋愛相手にどんな人を選びますか?「やっぱりあの人が忘れられない!」と昔の恋人と似た人を選んでしまう人がいます。
しかし聡明で自信にあふれる人であれば「あんな人、もともと私は好きではなかった。私の好きな人はこの人なの」と以前の恋人とまったく逆のタイプを選びがちです。なぜなら昔の恋人を好きだった自分を認めてしまえば、同じく自分の自信を傷つけられた思い出も認めることになるからです。

クレオパトラが選んだのはアントニウスでした。

カエサルが瞳に持っていた理想と似たものを持つアウグストゥス、一方、自分の野心だけに燃えるアントニウス。アントニウスはカエサルに比べれば凡庸な男でした。しかし凡庸であるが故にクレオパトラの魅力には落ちやすく、クレオパトラの言うがまま。
以前であれば「そんな退屈な男」と切り捨てたかも知れませんが、今のクレオパトラは違います。「もともと私はカエサルなんて愛していなかったわ。カエサルに権力があり言い寄ってきたから相手をしただけ。本当に私が好きなのはアントニウスのような男」と自分に言い聞かせます。

このときクレオパトラ30代半ば、カエサルと暮らした頃のピチピチした魅力は失っていましたが経験を重ねた女性としての魅力があったのでしょう。僕も女性は30歳からと思っていますよ、りちゅさん。カエサルさえも落としたクレオパトラ、アントニウスなど赤子の手をひねるようなもの。彼女とアントニウスは手を組みます。

話はずれますが、もし、ここでクレオパトラがアウグストゥスを狙っていたら。僕はクレオパトラの戦略は頓挫していたと思います。
そもそもカエサルは故郷ローマにユリアという妻がいました。ローマの女性らしくおとなしく貞淑な良妻。ある意味癒し系。その彼がエジプトと言う異国に来た時にこそ、妻とは違うタイプの女性を求めてクレオパトラとの逢瀬を重ねたのではないでしょうか。
一方、アウグストゥスは徹底的に現実主義者。自らの評判とローマ帝国の威信に傷をつけるような行いをするわけがありません。そしてアウグストゥスの妻はリウィア、後に「国家の母」と呼ばれる聡明な女性、ある意味どやし系。自宅にいる妻がそんな感じですからもしアウグストゥスが浮気をするのであれば彼女とは違ったおとなしい女性を選んだのではないでしょうか。つまり、クレオパトラにはアウグストゥスは落とせなかったと思います。

彼女が落とした男は愚鈍でも自らの意のままになるアントニウス。

ローマとエジプトという国の命運を二人が握ります。

彼らの生きた時代から役1,600年後、シェイクスピアは彼らを主役に戯曲「アントニウスとクレオパトラ」を書き上げます。

ロマンス悲劇として名高いこの戯曲のとおり、彼らは悲しい最後を迎えます。

…to be continued...

ローマ人列伝:クレオパトラ伝2

2008-03-02 11:31:06 | ローマ人列伝
クレオパトラの戦略は見事でした。落ち目のポンペイウスには目もくれず右肩上がりのカエサルを彼女の魅力と少しのサプライズで落とし、そのカエサルの仲裁を持って弟を抑え女王に返り咲きました。
更に彼女は女性にしか使えない同盟策を講じます。それはカエサルの子を身ごもること。生まれた子はカエサリオン、つまりカエサルの子、というそのまんまの意味の名をつけられます。

聡明な彼女のこと、こう思ったのかも知れません。
カエサルがローマ帝国の王まで後一歩、しかしカエサルの直系の男子はこのカエサリオンのみ。そうなれば当然、カエサルの後を継ぐのは我が子カエサリオン。ならば自分はエジプト女王のみならずローマ王の妻であり、更には母。

しかし紀元前44年、カエサル暗殺。

カエサルの死を知ったクレオパトラは疑っていませんでした、遺言書には当然「クレオパトラとカエサリオンにすべてを譲る」と書いてあることを。

しかしその期待は裏切られます。

遺言状を抜粋してすげー簡単に要約するとこんな感じ。

・カエサルの名と資産の四分の三を自分の姉の孫、アウグストゥスに譲る。
・残りの資産を全市民に譲る。

※アウグストゥスはこの頃まだオクタヴィアヌスと呼ばれていました。名を変えるのはまだ先ですがこの列伝ではアウグストゥスで通します。簡単だから。

クレオパトラのクの字もカエサリオンのカの字もシジマのキの字も出てきません。

女性、特にプライドが高く自信に満ちた女性が一番傷つくのは「無視されること」です。クレオパトラは悲嘆にくれ、その後、憤怒に駆られます。どうして30分だけなのよォォォ~。いや、言いたかっただけ。

そしてこの遺言状に同じく憤怒に駆られた男が一人。マルクス・アントニウスです。



長年、カエサルの腹心として働き、ガリア戦争にも参戦した古参武将、このとき40歳。武力だけではなく護民官、執政官などの要職も経験するほど政治力に優れた男です。カエサルの約20歳年下の彼は「カエサルの次は自分」と信じて疑わなかったに違いありません。実際、カエサル暗殺時にはカエサルと共に執政官(現代の総理大臣みたいなもの。独裁を防ぐため2人置くのが常。このときカエサルは終身独裁官兼執政官だったので、代表取締役社長カエサル&代表取締役副社長アントニウス、みたいな感じ)の職にありました。それが遺言状での記載はナッシング。代わってあるのはアウグストゥスという名。「誰だそいつは!?」と確認するとカエサルの姉の孫で若干18歳。これは頭に来ます。

無骨で直情的とは言え、アウグストゥスへの怒りを隠すくらいの知恵はあったアントニウス。ひとまずアウグストゥスと盟を結びます。更にはアウグストゥスの姉オクタヴィアと政略結婚。「俺とお前の友情パワー」と言い張り「よっしゃお前のためにカエサルを殺した奴らをやっつけてくるわ」と潔く東へ旅立ちます。しかしこの混乱に乗じて小アジア(エジプト、ギリシャ、ペルシャあたり)を一気に押さえアウグストゥスに対抗するのが彼の本心でした。

そしてエジプトで彼はある女性に出会うのです。

…to be continued...