浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

汁を軽んじちゃあかんよ

2012-03-27 22:01:39 | 食べ物
相変わらずの麺食いで麺食べてます。

「何故人はこれほどまでに麺にひきつけられるのか」、という話はどうでもいいんだけど、最近よく食べてる麺はつけ麺なんです。


浅草坦坦亭の坦坦つけ麺。


大阪福島駅近くのラーメン人生JETのつけ麺。(しかし「ラーメン人生」なんて言われるとびっくりしちゃうね)

つけ麺が好きか、と言われると「いや、ラーメンのほうが好きです」と答えると思うんだけど最近食べているのはだいたいつけ麺。なんで?

たぶんそもそもつけ麺屋が増えた、ということもあるよね。この傾向はいつ頃からなんだろう。ふと街を歩けば「ラーメン」と出している店と同じくらい「つけ麺」と出している店がある。もちろんラーメン屋でもつけ麺を出している。

昔は「つけ麺?ぬるくなるからやだよ」と思っていたんだけど、最近はまぁ寛容になってきている。

その上で、「どうにかして欲しいなぁ」と思うのは「割スープ」について。

皆さんご存知だと思うけど、つけ麺を食べ終えると大体残った汁にスープを入れてくれる。

2パターンあって、「テーブルの上にポットでスープが入っていて勝手に自分で注ぐ」のと「汁を店員さんに渡すとスープを入れて返してくれる」の。

個人的には自分で調整できる前者がいいんだけど、まぁ後者でも文句は無い。

とにかく「どうにかしてくれ」と思っているのは割スープの味。

だいたいなんだか風味も何もない、お湯に粉節とかしただけの味気ないものが多い。

こんなのさー、スープと言えないですよ。

下手するとつけ汁自体が甘くてすっぱくてよく分からなくて、そこに風味の無いスープ入れるものだから何がなにやら。

なんていうか、自分の店で検討した、というよりも「つけ麺ってこんなもんでしょ?」と思っているんじゃないの?と思ってしまう。

「麺が太くて固ゆでであればいいんでしょ、汁は粉節たっぷりで甘くてすっぱければいいんでしょ、スープはこんなものでいいんでしょ、これがつけ麺なんでしょ。」

そんなスタンスでいいのか、いやヨクナイ。

チャーシューがあぶってあるだメンマが他より太いだ、ネギが九条ネギだ、そんな細かいところでオリジナリティ見せても仕方が無いじゃないか。お前の本気のつけ麺放り込んで来いよ。

まぁそんなに熱くなることでも無いんだけど。

ぜひとも割りスープは割りスープだけでも美味しい、という状態にして欲しいものです。

この話題になると結局最後、浅草製麺所ってつけ麺屋の割りスープに行き着く。

ここの割りスープは白湯スープみたいな感じで甘味も旨味もあって美味しいよ。しかもそば湯みたいな入れ物にたっぷり来る。

こうでなくちゃいけませんね。

バランスの屋形船

2012-03-25 18:16:06 | 日記
研修をする側、という仕事が多いですが、今回は研修を受けてきました。

どういう研修かと言うと「自分の課題を改めて見つめ直す研修」。

はい、もちろんしんどいよ。

だってさー、僕なんて課題だらけですよ。僕の半分は課題で出来ていて、もう半分はいやらしさで出来ています。

ざっくり簡単に言ってしまうと、過去の自分の人生を振り返り、様々な問題・出来事のときに自分がどう思ったか、ということを見つめ直すことで、自分の思考特性・行動特性を明らかにする、というもの。

僕は幼稚園から書き出したんだけど、結局のところ、幼稚園にやっていたことが26歳になった今でもある意味、変わっていない、ということに気づいて愕然としましたね。

はぁ~幼稚園からやり直したい。。。

まぁ、この詳細はおいといて、非常に参考になる研修でした。

こういう「自分の人生を振り返り、そこでの様々な出来事を見つめる」というのは非常に簡単に「感動的」にすることが出来る。

自分も研修をやるからよく分かるんだけど、こういうのを時間をかけて吐き出させ、ある特異的な出来事に対して少しのタッチ、例えば「それはお辛かったでしょう」とか「そういうことって分かりますよ」とかそういうことをちょっとするだけで人間の自我は簡単にぐらつく。

悪いほうに使うと例えば詐欺とか洗脳とか(ちょっと大げさだけど)に繋がる。

そこまで行かなくても、例えば参加者がみんな涙を流しすっきりする、非常に感動し「先生、ありがとうございました」と口々に叫ぶ、、、んだけど、明日になったら「感動的な瞬間だったなぁ」という記憶しかない。つまり、何の身にもなってない、そういうことって結構ある。

最初、プログラムを聞いて、もしそういうことになったら危険だから、というか役に立たないから気をつけないとな、と少し身構えていた。

だけど、今回はさすがプロの方。非常にうまくバランスを取っていた。

このバランスは非常に参考になったねぇ。

概念的な方向に議論が膨らみそうになったら「具体的な事例(結構バカバカしかったり)」を出すことで現実的な問題に引き戻す。

現実的な些事に入り組んだら逆に観念的な話で膨らます。「結局、あなたの言っている愛ってどういうことなんですか?」みたいな。

基本的に礼儀正しく、時にざっくり(それはさぁ、なんとかじゃん、みたいな口調)

きちんと流れを見つつ、時折流れを正しい方向に引き戻す言葉をかける、というのはなかなか難しい。それを今回の講師はちゃんとやっていて「すごいなぁ」と思った。

この研修は内容がヘビーなだけあって、時間も結構かかる。2日間の研修だったんだけど1日目が終わったのはなんと4時。もちろん夕方の4時ではないよ、朝の4時。朝の9時に始めて1日目の終了が4時、そして2日目の開始が朝9時。参加している側もヘビーだけど講師が一番ヘビーだよ。

体力あるなぁ、と思って聞いてみたら趣味はフルマラソンとのこと。なんと二日目が終わった次の日もレースがあるそう。これはすごいね。

やっぱ資本は体力だ。

帰り道、橋を渡っていたら屋形船が見えた。

しかしなぁ、、、幼稚園の頃からかぁ。。はぁ、、、

前を向いて歩こう

2012-03-21 19:41:01 | 日記
スカイツリーが出来たから上を向いて歩いている人も多いけど。

家の近所でも地方でも、まぁ歩いて移動することが結構歩けど、最近思うことは「みんな前を向いて歩いていないなぁ」ということ。

スマホを観ながら歩いている人も多いし、そうでなくてもグループで話しながら横を向いて歩いている人ってとても多い。

そりゃもちろん、北海道の畑の真ん中あたりあたりを歩いているならそれでもたまに熊に出くわすくらいで(冗談だけど)大して危なくはない。

でもさ、大阪梅田駅の御堂筋線改札のあたりだの新宿だの渋谷だの、とにかく人が多いところではそういうのって結構危ない。

僕はまっすぐ歩いているけど目の前の人が明らかに僕を認識していなくて、「ああ、このまま僕が避けなければ確実にぶつかるなぁ」ってことほんと何度もあるよ。

あと、例えば立ち止まりながら人と話していて「それはあっちだよ」みたいな感じでさっと腕を伸ばす人がいる。普通だったら顔や視線もそっちに向ければいいんだけど、顔は相手のほうを見たままで腕を伸ばす。

こういのってとてもびっくりする。僕は予想していなかったので何度も避けたことある。格闘技用語で言うとバックハンド・ナックルですな。

あと、僕は出張時には大体キャリーケースをゴロゴロ転がしている。周りの人の迷惑にならないように気をつけてはいるつもりだけど、周りの人がいきなりバッと反転してくることがある。で、そういう人はあまり足元を観ていないので僕のキャリーケースに気づかない。いや、もちろん「そんな鞄持って歩くなよ」と言われればその通りなんだけどさぁ。

一番「ああ、これ危ない」と思ったのは傘。例えば地下鉄の地上の出口で、本当であれば一度立ち止まり傘を広げ、歩き出せばいい。屋根のあるところから出てから開け、とまでは思わない。僕だって屋根のあるところで広げ傘をさし、外に出たいもの。

でもね、階段を歩きながら、隣の人と話しつつ(視線は隣の人)、傘を前に出し、広げている人、ってたまにいるんです。

これはね、危ない。だって前から人が来たら傘の先を刺しちゃうじゃないですか。僕は何度も「あ、このまま刺さったら治療費とか請求できるんじゃないの?」と思ったことあるよ、ほら性格悪いから、ボクちん。

まぁこんなこと言ってもどうしようもないんだけど町歩いていると「危ないなぁ」と思うんです。

渋谷とか新宿とかだとね、たまに道端に座っている人(その手の人じゃなくて普通の若い女性とか)もいるからさ。

都市のサバイバルはまぁ大変なもんですね。

きっちりの歯

2012-03-20 22:25:49 | 日記
最近、歯医者に通っています。

元々、会社の人に紹介された歯医者に行っていたんです。昔、親知らずを抜いたときもそこで抜いた。結構ウデのいい歯医者さんだった。

「だった」というのはどうも歯医者さんが変わっちゃったんだよね。久しぶりに行ったらなんか若い先生になっていた。若いことがうんぬん、ってわけじゃなくて、その人に診てもらったときに「ああ、これはやだなぁ」と思うことがあった。

それはね、診察台の前にテレビがあったんです。たぶん患者さんに退屈させないように。そのテレビ観ながら施術されたんだよねぇ。そりゃ深刻な施術じゃなく、さっと口の中をきれいにする施術だったのかも知れないけど、それって嫌じゃん。

ということで、歯医者から遠ざかっていた。

遠ざかっていても虫歯にはなるもので、どうにもなんか歯が痛いってわけじゃないけど違和感があるなぁと思っていた頃、近所に歯医者さんが出来た。

前行ってた歯医者は嫌だったのでこっちに通いだしてみたんだけど、これがいい歯医者さんでねぇ。

何がいいってまず腕がいい。

ついこの間、奥歯に金属を埋めたんだけどこれまたすっきりと素晴らしい腕前だった。普通さ、そういう詰めた時ってしばらくは違和感が残るでしょう?それがね、一切無いのよ。「あれ?俺、今日詰めたんだよな?」と不思議に思うくらい。

それからいいところは、丁寧であるところ。人によっては「ちゃっちゃか終わらせて欲しい」というのもあるかもしれないけど、僕はせっかく行ったんだから細かいところまでやってほしい。行くまでは面倒なんだけどね。一個一個丁寧に観てくれるし、小さなそれこそ点のような虫歯まで治してくれる。


玉に瑕なのは、どうやら小児科の先生のようで、ちょっと対応が子供向け、ってところかな。

奥歯抜いたときに、「まだ触ってるだけですからね~、まだ触ってるだけですよ~、はい抜けた」みたいにちょっとフェイントをかけられたんだよね。そりゃ子供にはそういうのいいかもしれないけど、こちとらいい年なんだから「抜きますね」ってハッキリ言ってもらっていいのにね。

とにかくまぁ仕事がきっちりしているし、対応も良い。微妙に東北訛りがあって出身地聞いてみたら八戸だった。あのあたりの南部訛りには敏感なんです、僕。

なんだかねぇ、キャラクターはまったく違うんだけど札幌の金寿司というお寿司屋さんの三代目を思い出す。仕事がきっちりしている上に人当たりもいい。

どの分野であれこういう人のサービスを受けるのは気持ちがいい。

いたいよう

2012-03-17 12:01:23 | DVD、映画
ヤング≒アダルト」という映画を観てきました。


いい映画です。僕は好きです。

が、言っておきますがこの映画、なんとなくちょっとしたコメディとかロマンティックなヒューマンドラマっぽく見えるけど、はっきり言います。

これはホラー映画です。

もう僕にはドロッドロのサスペンス・ホラー映画にしか思えない。

あらすじ。

ミネアポリスに住む37歳バツイチシングル女性が主人公。ティーン向けの恋愛小説(こういうのを「ヤングアダルト小説」って言うんだってさ)のゴーストライターをやっている。
あるとき、地元に住む大学時代の元カレから子供が産まれた、というメールが来る。そのメールを見てふと、地元の町に帰る。

主人公はシャーリーズ・セロン。

僕ねぇ、好きなんですよ。観るたびに「ああ、お綺麗ね~」と思ってしまう。「ハンコック」って映画でも良かった。(あの映画、そこ以外にいいところあったのか、と思う人もいるかも知れないけどさ)

上に貼ったアメリカ版のポスターだと完全に痛い女性だけど、日本版のポスターはお綺麗よ。

映画の中でも家ではダルダルのジャージにキティちゃんTシャツなんだけど、勝負をかけてばっちり決めるとやっぱり「お綺麗ねぇ」と思ってしまう。

実は僕、同い年なんです。米倉涼子も同い年なんでなんとなくかぶる。

で、この映画の監督の前作は「マイレージ・マイライフ」。こっちもいい映画で僕は好き。

両作に共通しているのは、主人公が決して単なる「イイ人」ではないところ。「マイレージ・…」だって主人公(ジョージ・クルーニー)はリストラ宣告人で、いい年して家庭も持たず、嫌味ないい暮らしをしている、という人だった。

今回も主人公のシャーリーズ・セロンははっきり言って「痛くて、嫌な女」。冒頭から「ああ、ダメね、この人」って感じ。

飲んだくれてそのまま寝てベッドで起き、2Lペットボトルのコーラをラッパ飲み。夜は適当な男と酒を飲む。男が「プノンペンでボランティアをやっててさ」と言うのに対して「プノンペン?ウゲ」みたいなことを言って顔をゆがめる。(でもさ、女性を引っ掛けるためにこういうこと言う男も男だよね) そのくせその後はその男としっかりベッドを共にする。

心の友は愛犬だけだけど、その愛犬の扱いだってそんなに丁寧じゃないよ。ご飯を食べさせるときはベランダにほったらかしだし。

そんな彼女が地元に帰り、子供が産まれたばかりの元カレと会う。

大きなクライマックスまでははっきり言って彼女の行動は寒い。面倒な女性。特にクライマックス直前の元カレとの会話のシーンはすごい。ここで彼女のアップは寒いとか痛いとかを通り越して「ああ、もう狂っちゃってるな」と寒気がした。

そして、その次のシーンで分かる過去。ここで一気にドーンですよ。

それが分かったらはっきり言って元カレの無神経さに腹が立ってくる。あいつもさぁ、そりゃ奥さん守るためとは言えその言い方はねーだろーよ、チューしたのにさぁ。(なんか主人公に感情移入しちゃってムカついて来たね)
そもそも子供の写真なんて送らないでよ!私がこんなになっちゃったのもあなたのせいじゃない!デリカシー無さ過ぎ!!(感情移入しすぎて女性言葉になってきた)

「過去」という亡霊は人をどこまでも追いかけてくる。その亡霊に関するホラー映画です、この映画は。

その描かれない亡霊は血まみれでそんじょそこらのホラー映画に負けず劣らない。

普通、こういう映画は主人公がある出来事で改心し、気持ちを変え、前向きになっていく、というところなんだけど、「マイレージ・マイライフ」でもそうだったけど、この監督の作品はそうじゃない。前と何も変わってない。はっきり言ってただ無意味に傷ついただけのような気もする。(この映画では主人公が乗っているミニクーパーが象徴的) でも、事故った車でもまだ走れる。走るしかない。

スヌーピーの名言を思い出した。
「配られたカードで勝負するっきゃないのさ」

映画の公式サイトを観ると「奇抜で、面白くて、心温まる映画」とか書いてるけど正直「はぁ?」という感じです、僕は。じぇんじぇんあったまんないよ。だけど、心温めるだけが映画じゃないからね。心が冷えるからこそ身体があったまる、ってことだってある。心が冷めたからこそ温もりを求めることだってある。

地元の町を出て、働いている30代独身の方はガッツリ落ち込む可能性もあるけど、だからこそお勧めです。

英語版のキャッチコピーが秀逸。

"Everyone gets old, Not everyone glows up."
(誰もが年を取る、でも誰もが大人になるとは限らない)

いたいよぅ。




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あとはどうでもいい勘繰りを少し。地元の町の名は「Mercury(マーキュリー)」、架空の地名だそう。なぜわざわざ架空の都市名をつけたんだろうか?
主人公は繰り返し「こんな田舎のマーキュリーなんて大ッキライ」と言う。「マーキュリーって水星のことだよなぁ」と思って後で調べてみたら、元々はギリシャ神話の「マーキュリー」から来ているみたい。ローマ神話の「ヘルメス」、つまりブランドの「Hermes」と一緒。で、ヘルメスは旅人、泥棒、商業、羊飼いの守護神であると共に、死神の側面もあるそう。
考えてみると映画の中の地元の町、マーキュリーに住む人々はしっかりと家庭を持ち、子供を作りいわばちゃんと大人になっていっている。つまり言い換えると「ちゃんと死に向かっている」とも言える。一方、マーキュリーを嫌う主人公はいつまでも大人になれず、若く見せようと何度もネイルサロンに通い、ウィッグをつけ、ヌーブラで胸を寄せる。つまり死を避けている。この辺の対比は面白いかも知れない。まぁ考えすぎかもね。

ただ、前作「マイレージ・マイライフ」の主人公はある意味「リストラという死を告げる死神」だったので、つながりはあるかもね~。

辞書について

2012-03-17 00:53:22 | 
先日、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」(長いね、通称タマフル)というラジオ番組で国語辞典特集をやってた。

なんのこっちゃ?と思うでしょ?

この番組は時に非常にコアな特集をすることで有名。

例えば「4、5映画特集」と言って映画の続編の4、5の話をずっとしたりとか「真のクラブミュージック特集」として中学校の吹奏楽部のCD(世の中にはそんなものがあるんです)を特集したりとか。「OKB48特集」はもちろん「お気に入りのボールペン特集」、律儀に48本集めてやってた。

その一環として国語辞典特集。

ゲストは僕が好きな芸人サンキュータツオ。この人は芸人活動の傍ら、大学で日本語学を教えている人で、東京ポッド許可局というポッドキャストをやっている。

さすがの僕も「国語辞典で1時間?」と思ったんだけどこれがこれが、ほんと1時間じゃ足りない話でした。

詳細はポッドキャストで聴けるのでぜひどうぞ。

「辞書特集feat.サンキュータツオ」(前編)

「辞書特集feat.サンキュータツオ」(後編)

ホントに開始10分くらいで「あ、このヒト、く、狂ってる(笑)」と実感しますよ(褒めてます)。

で、これ聴いたら僕も国語辞典が欲しくなった。

考えてみたら僕は一冊も持ってないし身の回りにもない。

一冊くらい持っていてもいいな、どれ買おうかな、と悩んでみました。

独特の語釈で有名な「新明解国語辞典」は魅力的なんだけどちょっとクセがありすぎる。

新明解がどれくらい独特かと言うと「動物園」の項だけで分かる。

【動物園】生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、捕らえて来た多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を余儀なくし、飼い殺しにする、人間中心の施設。(第4版)

すごいでしょ。

こんなの何も知らない人が読んだら動物園に偏見を持ちかねない(今の版では変更されているそうです)。

「恋愛」の項目も面白い。

【恋愛】特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態。(第4版)

で、「合体」をひくとこう出ている。

【合体】1,起源・由来の違うものが新しい理念の下に一体となって何かを運営すること。2,「性交」のこの辞書でのえんきょく表現。(第4版)

ちゃとオチがついている。

まぁ読み物としては面白いけど好みが分かれるところだね。

いろいろ悩んでみた結果、サンキュータツオ氏のお勧め「集英社国語辞典」を購入してみました。

この辞書の特徴はなんと言っても「横組み」であること。英和辞典に慣れた身としてはまったく違和感ない。

ネット、電子書籍隆盛の現代ですが紙の辞書はこれはこれでいいやね。


「ちゃんと勉強するなら絶対、紙」と言うのが僕の信条であります。特に辞書は紙がいい。

その理由をちょっと説明させてください。高校、大学と僕は英語を勉強していた。結構前の話ではあるけど、そのときだって電子辞書はあった。でも紙の辞書を使っていた。

紙の辞書の一番の利点は「たくさんの単語を1ページで見られる」ということです。

どういうことかと言うと、この頃の辞書の使い方というのは「調べる」ということよりも「調べて覚える」というほうが大事。そのために、例えば一度調べた単語には赤線を引く。そして僕は二回引いたら青線、三回引いたら黒線、四回引いたらもうぐるぐる丸で囲ってしまう、というルールにしていた。
そうしていると、他の単語を引いたときにも偶然なかなか覚えられない単語が目に入る。その「パッと目に入った」という記憶って結構残ってて、テストの時なんかに「あれなんだっけ?なんかあの単語の上のほうにあったなぁ」とふと思い出せたりする。
電子辞書にはなかなかアンダーラインを引けないし今はiPadなんかでそういう機能がついたのがあるんだろうけど、この一覧性はなかなか再現できない。

と、言うことで最近話題の「辞書作りの人々を描いた小説」(すごいな)、『舟を編む』も読んでみました。いい小説でしたよ。
三浦 しをん
光文社
発売日:2011-09-17


言葉を愛する人々なんだけど、大事なことは言葉じゃない。言葉を大事にするからこそかも知れないけどね。

DNAとかイズムとか。

2012-03-13 20:36:12 | 日記
あんまり重い話と思わないで頂きたいんですが。

昨日、とある会社が民事再生法を申し立てました。

とある、って言ったって僕が昔勤めていた会社です。いくつかの会社に勤めてきたけど、この会社での経験が僕にとっては非常に大きい。身も心もすべてささげた、とは言えないけどそれでも身も心も8割くらいはささげたかな。

この出来事が今の僕に現実的に何か影響を与えることはあまり無い。だからまぁ重い話と思わないで頂きたいわけですが。

とはいえ、やはりそれほど深くコミットした会社が無くなる、というのは結構淋しい。

そのための準備は着々と進んでいて「まぁそれしか方法は無いだろう」とは思っていたけど実際にそうなるとやっぱりなんとなくね。

想像してみるに、自分とは既にあまり関わりが薄い会社でもそう思うんだから、実際勤めている会社が倒産、なんて場合のショックはすごいんだろうね。

ほら、よくあるじゃないですか。社員には何も知らされておらず、ある日出勤したら会社のシャッターに貼り紙がされてて倒産を知る、とかさ。

そういう時ってもちろん「明日からの仕事どうする?」という現実的な問題もあるけど、自分の所属先がなくなってしまう、という何となく「よりどころ」が無くなってしまう喪失感も強いんじゃないかな。

「マイレージ・マイライフ」という映画があって、その映画の主人公はリストラ代理人。劇中にリストラ宣告をするシーンがたくさん出てくる。リストラ宣告をされた人が今の気持ちを語る。その人たちって数名は役者なんだけど、他数名は実際にリストラされた人たちを集めて本当の気持ちを喋ってもらったらしい。つまりここだけドキュメタリになってる。

この中の一人が言う。

「リストラってのは死と一緒だ」

民事再生法とリストラはこれまたぜんぜん違う話だけど、なんとなく気持ちは分かる。


と、淋しい気持ちでもしょうがないのであえて前向きになってみよう。

昔、会社が傾きかけた頃(今考えるとあの頃が「終わりの始まり」だったわけだけど)、こう思っていた。

「たとえ社名が変わっても、経営母体が変わっても、最悪、会社が無くなってしまっても、会社のDNAとかイズムが残っていけばいいじゃないか」

いまとなってはそれが現実になったわけだ。ということでDNAとかイズムを残していくしかないね。

2011年3月10日

2012-03-10 14:10:41 | 日記
その他の3月10日なんてほとんど記憶に無いけれど、2011年3月10日のことは不思議と覚えている。

2011年は両親ががちょうど還暦で、父親は2月に定年になったばかり。

兄妹三人でせっかくだからお祝いしよう、という計画をしていた。真ん中の妹がただご飯に食べに行こう、と二人を誘い、そこにサプライズで僕と末の妹がいる、という計画にしていた。

少し良いお店を予約し、花束を手配し、ケーキも手配した。

そのやり取りをしていた。

次の日、仕事場から家に寄らずに実家に帰るために10日は荷造りをしていた。簡単なだけど。

12日は我々家族にとって少しばかりのメモリアルになるだろうとは思っていたけど、それさえなければその10日も、そしてもちろん11日も、毎年と変わらない、何でもない日になるはずだった。

11日があって、当たり前だけど実家には帰れなくなった。そもそもバスが動いていなかったから。

あれから一年。

すべてが変わってしまったような気もするし何も変わらないような気もする。

多くの人が亡くなった。

村上春樹の言葉を思い出す。

「亡くなった人に生ある我々が出来ることは、その人のことを忘れないでいることだけだ」

僕は一般的な日本人としての宗教観しか持ち合わせていない人間だけどそれでも祈る。

何者でもいいから少しでも人々の悲しみを癒してくれますように。

Here I go again

2012-03-06 20:28:31 | DVD、映画
前からどうもやるヤツだと思ったけどやっぱりやるね~。

俳優、クリスチャン・ベイルの話。

もちろん我々にとってはダークナイトのブルース・ウェイン。


関係ないけど東村アキコの漫画で、

「男はみんなみんな『ダークナイト』好きなんだ!隙あらば『ダークナイト』の話してやろうって狙ってんだ、男ってのはみんな!いっつもいっつも『ダークナイト』のことばっか考えてんだ! バカだ、あいつら!」

って台詞があって笑った。男なんてそんなもんです。

で、クリスチャン・ベイル。

「マシニスト」という映画で不眠症の男を演じるために30キロやせた、という話は聞いていた。

こんなの。

すごいね、これまた。

で、一年後の「バットマン・ビギンズ」ではこんな感じ。


今回「ザ・ファイター」という映画を観たら主人公の兄役をやってた。これがいい役でいい役で。


実在したボクサーの伝記映画なんだけど、クリスチャン・ベイルはそのボクサーの兄役。元々は天才ボクサーだったけど引退しクスリにハマりぼろぼろ。仕事もしないでクスリばっかりやっている、やることといえばネズミ講に美人局。一応、弟のトレーナーではあるんだけど練習には来ない。

「練習いかなくていいの?」「大丈夫、9時からだ」「もう11時よ」「なんてこった」って会話はちょっと面白かった。

自慢できるのは「シュガー・レイ・レナードからダウンを取った」という過去の栄光だけ。本当にろくでもない人間だけどどうにも憎めない。

そういう役なんで不健康に痩せている。少し禿げかかった感じはわざわざ抜いたそうです。目だけがギョロっとしてて危ない人の感じがよく出てる。


はっきり言って面倒な人以外の何者でもないんだけど、それでもいくつかのシーンでグッと来る。

この人だけじゃなくこの映画、いい映画でしたよ。

ボクシングを題材にしているけど、ボクシングをテーマにしているわけではなくて、家族とか地域とか、がテーマのような気がする。

ストーリー的には「負け犬たちのワンスアゲイン!」。もうね、男の子はこういう話大好きなのよ。「ちょっと勝つ→調子乗る→こっぴどく負ける→あきらめかける→これじゃダメだ→修行→勝つ」、話はこれで終わりなんだけど男の子は好きよね。

映画のクライマックス近く、ホワイトスネイクの「Here I go again」が印象的に使われるんだけどこれ良かったなー。「こんなにいい曲だったっけ?」と思った。

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An' here I go again on my own
Goin' down the only road I've ever known,
Like a drifter I was born to walk alone
An' I've made up my mind
I ain't wasting no more time

もう一度自分の足で行こう
この道しか知らないから
独り身の流れものとして生まれたんだ
もう心は決まってる
もう無駄な時間は過ごさない
---

その他のキャストもいい。特にヒロイン役のエイミー・アダムス。ちょっと前までディズニー映画でお姫様やってた人だけど今回は安いバーのウェイトレス。下っ腹、二の腕あたりの肉のつき方がリアルでいい。

一つの映画から3人もアカデミー助演にノミネートされて、2人が取った(助演男優、助演女優)ってのは伊達じゃないね。

映画評論家町山智浩もラジオで褒めてました。→キラキラのpodcast

ほんとこの人の映画評はこれだけでグッと来ちゃうから困る。

最終便なんて無ければいい

2012-03-01 19:40:59 | 食べ物
仕事で福岡に行ってきました。

朝7時の羽田発にのり夜9時の福岡発で戻る、というスケジュール。

本当にさー、羽田福岡間なんて最終便無ければいいのにね。あるから日帰りしなきゃいけないんですよ。

しかも今回はスカイマークなので行きも帰りも出発ががっつり遅れた。行きはなんと2時間遅れの上に、一度機内に入って席についてから降ろされた。機材の整備不良ということで機材変更。

僕は結構飛行機乗ってるほうだと思うけどこんな経験は初めてだ。

おかげで福岡についてからお昼を取る間もなく仕事。ラーメンとか食べたかったなぁ。

夜はお客さんと食事。まぁ接待と言うかなんと言うか。

福岡はやっぱり魚が旨いね。

もちろん札幌も美味しいけど北と南で出る魚の傾向が違う。

福岡では生のサバとかフグ刺しとか食べた。生のサバ旨かったなぁ。

飲みながら食事していて、刺身の大皿をだいたいつまみきったところで店員さんが「お刺身ゴマ和えにしちゃっていいですか?」と聞いてきた。

なんのこっちゃ、と思ったけどお客さんと一緒でそれどころじゃなかったんで「お願いします」とだけ答えておいた。

そしたらこんなのが出てきた。

ちょっと残った刺身を醤油とすりゴマで和えたの。醤油が九州らしいすこし甘めの醤油。

これがねー、旨い!

白いご飯にこれぶっかけて食べたかったわん。

心残りのまま福岡空港に向かおうとしたら雪。

そしてやっぱり飛行機は出発遅れ。どうせ遅れるなら飛ばなきゃいいのに。そしたら僕は速攻中州に戻ってラーメンなのにさ。

4月から九州よく行くようになるのでこの悔しさを取り返します。