浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

The book of the year 2013

2013-12-31 22:50:37 | 
ついこないだ夏が終わって半ズボンをしまったと思ったらあっという間に年が終わるねー。ほんとに9、10、11、12月ってのはあっという間。

個人的 The book of the year 2013ということで今年僕が読んだ本のベスト1を。本に順位をつけることなんて何の意味もないじゃないかと思うところもあるけど、まぁ何となくね。あくまで「僕が今年読んだ本」なので今年出た本とは限りません。

まずはランクイン作品から。


京都東映撮影所を追ったドキュメント。ほんとに映画が好きで、中には映画撮影所にしか居場所が無くて、ここで毎日映画を作っていた人たちの話。「今だったら絶対問題になるよなー」と思うことがバシバシ起こってる。
これ読んで知ったんだけど、僕は映画「探偵はBARにいる」が好きなんだけど、この作品の監督は東映の流れをくんでいるらしい。


パッと見つけて(たぶん鹿児島の本屋さんだった)「こりゃ面白い!」と思った漫画。倦怠期っぽいカップルを男性と女性の視点から書いているというのは面白いよなぁ。


これぞ僕が読みたい伊坂幸太郎でした。何気ない普通の人のセリフが何か重大な人生の指針のように感じさせるというのはやっぱりうまい。


落語家、立川談志最後の日々を看取った娘さんの日記。もしこれが大落語家とその娘の話ではなく、普通の父娘の話だったとしても僕は泣いていたと思う。それくらいこの著者の文章が巧い。名文だと思う。ふと、父の思い出を語りながらただ最後「月がきれいだった」と切り替えるところがある。これが非常に巧い。くどくどと語らないところが非常に小説的だと思う。


今年、一番読んだ漫画はこれかも知れない。「止界」という時が止まった世界に入れる人々のSFサスペンス漫画。これ面白いよー。町山智浩が語る「悪役論」というのがあって、物語の中で単に「善役と悪役」という構図だとあまり面白くならない。作者の本当の欲望が悪に投影されているとその悪役は魅力的になる。たとえばジョジョのDIOにしてもそれは単なる悪ではなく作者の「強くなりたい、永遠の命が欲しい」という欲望が投影されており、それを、それでも作者の善性の象徴である主人公が倒すのでカタルシスになるのだと思う。そういう点でこの漫画の「佐河」は明らかに作者の本当の欲望の象徴だと思う。
止まっている時の中で、佐河と塩見の一瞬の判断は名シーンだった。
この作品は本当にダラダラ続けないでしっかりと結末をつけてほしい。9巻くらいで終わるのが理想だなあ。


いやもうほんとに待ってましたよ。荒木飛呂彦の短編集。「六壁坂」を未読だったので読めて本当にうれしい。しかしさぁ、こんな話思いつくなんて確実に頭おかしいよね(褒めてます) 「密漁海岸」がほろっとするくらいいい話だったなぁ。杜王町に住む人々には本当に幸せになってほしい。


ああ、これについてはちゃんと書かないといけないな。ここでさっと語れる本じゃない。「攻殻機動隊」「パトレイバーシリーズ」の映画監督、押井守の本。この人の映画は僕はあまり観ていない。「パトレイバーシリーズ」くらい。でもこの人の本と言うのは断然面白い。この人が語るテーマは常に「勝敗論」、と言っても「人に勝つ」とか「金持ちになる」っていう勝利じゃない。おそらくだけどこの人のいう勝利は「自分の好きなことをいかに好きなようにやるか」ということ。
この本は毎回、一つの映画を取り上げてそれぞれにおける「勝利」を語っている。特に面白いのが「上からはめちゃくちゃな目標を言われ、条件は悪い、部下もいうこと聞かない」という映画が多いということ。「マネーボール」「プライベート・ライアン」「パトレイバー2」など。中間管理職の人にとっては参考になる話が多いと思う。
もともとこの本は「勝つために観る映画」というタイトルでWebで連載されていた。でもそのまま収録されているわけじゃないから書籍版を買う意味はあると思いますよ。
Web版では最初のほうに取り上げられた「ロンゲスト・ヤード」が書籍版では最後に来ているというのに著者の意図を感じる。おそらく、伝えたいことはこの映画に入っているんだろう。


内田樹の本は今年「見たら買う」という状態で結構読んだ。元々、合気道を始めたのはこの人の本を読んだというのも理由の一つ。それなりに真面目に合気道をしているけどやればやるほど「ああ、こういうののために自分は合気道をやっているのね」と気づくことがある。

さて、僕にとってのThe book of the year 2013は、、






「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」



個人的ランキングですから、どうかご勘弁を。「村上春樹だったらなんでもいい」ってわけでは決してないんだよ。この小説は本当に良かったの、僕にとって。僕は村上春樹の長編の中で『国境の南、太陽の西』がベスト3に入るくらい好き、という非常に変わった人間なわけだけど。今回のこの小説は『国境の南、太陽の西』と同じような感じがしたんだよなぁ。

『1Q84』は2009年のThe Book of the yearにしたんだけど、僕は『1Q84』よりこちらのほうが好きかも知れない。

何故なんだろうなぁ。分からないけど好きなんですよ。「世界中でたった一人の僕のためだけにこの小説は書かれたんじゃないか」と思ったもの。

好きなんです、とにかく。しつこいね(笑)


さて、今年も終わる。

年末になると「七味五悦三会」という言葉を思い出す。江戸時代の言葉らしいんだけど、「1年の間に七回くらいは美味しいものを食べ、五回くらいは楽しいこと(悦)があって、三人くらい良い出会いがあるといいものですなぁ」という意味だそうです。当時の人は年末にこの言葉を思い出し、今年そういうことがあったかどうかを考えたとさ。

指折り数えてみると両手で数えきれないくらい美味しいものは食べた。五回どころじゃなく楽しいこともあった。だってバーベキューを4回もやったからね、今年は。素敵な出会いもあった。残念ながら別れもあった。でも出会いも別れも無いよりは何かがあったほうがいい。

「かぐや姫の物語」の物語を観てそう思ったよ。せっかくこの世に生を受けて、愛を受けて育ったけども思い通りにならないことばかり。「こんなはずじゃなかった」「ここは自分が本当に居たい場所じゃない」と思いつつ日々を過ごして最後にはお迎えが来て無に帰す。どんなに泣き叫んでもそれを拒むことは出来ない。じゃあそんな人生に意味があるのか? でも、何もないよりはあった方がいい。

そういうことです。

今年もお世話になりました。とにかく皆さん、ありがとうございました。大層面白かったです。

来年も理力があなたと共にあるように。
(May the force be with you.)

Happy Holidays !

2013-12-24 01:00:00 | 音楽
サザンオールスターズ - 栄光の男


500 Days Of Summer - You Make My Dreams


Simple Plan Feat. KOTAK - "Jet Lag" (Official Video)


Don't Stop Believin' - From "Rock Of Ages"


ゲスの極み乙女。"キラーボール"


高橋優 「陽はまた昇る」


RHYMESTER - ONCE AGAIN


桑田佳祐 ~ 時の流れに身をまかせ


Do you hear the people sing? - Les Miserables(2012)




May your days be merry and bright,
And may all your Christmases be white.

年末に考える「適職」について

2013-12-22 15:42:22 | 仕事
うわ!あっと気づいたらもう年末。年末、年末ゥゥゥウ!

12月1日に就職活動解禁されたってさ。へー。そういうの僕、ぜんぜんわかんないんですよね。。

大学3年生の12月から1年弱、就職活動というものに忙殺される大学生活ってほんとにどうなんだろうなぁと思う。大学時代に僕はまともな就職活動をしたことないんだけど、何にも言えないけど。一生懸命やっている学生に何の問題もなくて、システムの問題なんだと思うけど。

日本の就職事情について、まず大前提としての僕が感じる問題は「世の中に自分にぴったり合った職業がある」といういわば「適職幻想」なんじゃないかなぁと思っています。

どうもなんとなく外側から眺めていると、就活生というのは「自分に合った職業」を探して、何十社も会社説明会なんか出てるんじゃないかなぁ。

僕みたいな未熟ではっきり言って社会人としてはかなり失格のラインの人間がちょっと言わしていただくなら。

適職なんてものは無いよぉお。いやぁ、ほんとそれは無い。いや、ちょっと語弊があるなら言い換えると「働いたことがない人に適職なんか分からないよ」ということ。

はっきり言って僕、今やっている仕事はそれなりに好きだし、楽しいと思っているし、向いているとも思うんだけど、こんなのやってみる前には分からなかったもの。

やりたいことでもやってみたらそんなに楽しくなかったり、やりたくなかったけどやってみたら案外楽しい、ってこととかあるよ。

英語の「天職」って言葉が僕は結構好きで、それは「Calling」。キリスト教的に言うと「神が君はこれをおやんなさい、と呼んでいる」と言うことらしい。僕はまったくもって一般的日本人の宗教観しか持ち合わせていないけど、この感じはよく分かる。

まっさらな状態で「これやって」「これよろしく」「これお願い出来ないかな?」とか言われたことに右往左往している間に「あ、案外これって自分向いているのね」とか「へーこういう仕事って結構楽しいもんだな」と思うものじゃないかと思う。

例えば僕が自分でも気づいていなかったけど案外自分に向いている仕事というのはエクセルを使った数値分析。もともと理数系は大の苦手で生きてきたんだけど、これはこれでやってみると楽しいし、案外得意。

そういうもんだと思う。

どこでもいいから働けば、と言うつもりはないんだけど、とにかく入ってなんやかんややっているうちに見つかるのが「適職」なんじゃないかなぁと思う。

就職で内定が取れないくらいで気を病むことは無いと思いますよ。いや、僕みたいな人が言うことじゃないと思うし、当の本人にとっては一大事なんだろうけど。

実際、社会出てみて思うことは「どんなことやってても案外食えている人いるもんだなぁ」ということだもの。ほんと今の日本っていろいろあるけど案外いい時代だから食ってくことは出来ると思うんだよなぁ。

と、三連休ずっと仕事しながら考えた。

地獄八景亡者戯

2013-12-19 16:48:24 | 
お誘い頂き桂雀々という落語家の「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」という落語を聴いてきました。


これはその後、飲みに行った店のステーキ。久々にこんなにドンとしたステーキ食べたなぁ。

で、落語の方はというと個人的に桂雀々という落語家の「野望」(いい意味で)を感じた落語でした。

まず「地獄八景亡者戯」という噺を説明させてください。元々は上方の話。それを桂米朝という人間国宝が持ちネタとした。(桂雀々の師匠は桂枝雀という人で米朝の弟子)

話の筋としては間抜けな男がサバにあたって死んでしまい、地獄に行って三途の河を渡って閻魔大王に会う、、という噺。でもこの筋は正直言ってどうでもいいっちゃいい。

この話の構造が素晴らしいのは舞台が地獄と言うわけで近年亡くなった有名人をどんどん盛り込めるということ。

例えば地獄の入り口で「はい、男はこっちに並んで、女はこっち、ああ、外国人はこっちの列、なんか偉そうな人が来たなぁ、あ、マンデラさんかいな」とかね。もちろんこれだけじゃ笑いにならない。今回は「なんかデタラメな手話の人もついてるなぁ」と言っていた。

この構造が素晴らしいでしょ。

地獄の中心に冥途筋という繁華街があってそこは人通りも多くて店もたくさんある、という設定。

「そこでハンバーガーも食べられますよ、メイドナルドで。そうそう最近、カフェが出来て大人気なんですわ、ハカ―バックス、みんなハカバ、ハカバって言っててねぇ、墓場でコーヒー飲もうって」

ハカ―バックス、略して墓場って笑ったなぁ。

そこには劇場もあって何せあの世は人材が豊富なのでいろんな出し物がある。歌舞伎なら中村勘三郎は1代目から18代目まで全部そろってる。落語だって昭和の四天王と立川談志だ集まって笑点ならぬ昇天で大喜利をやっている。あの人間国宝、桂米朝のチケットだって売れている。

「いやいや米朝はまだ生きとるがな」「へぇ、前売り券で」

「漫才もなんでもある。エンタツアチャコ、ダイマルラケット、夢路いとしこいしからなんでもおまっせ。一番人気は松鶴家キリストと浮世亭マホメットの論争漫才。ただねぇ一人一人は人気があるんですが、どうも一緒になるとかみ合いません」

もうこういうギャグのオンパレード。落語を文字で書いてるわけだらこれ読んでもおしろくはないだろうけど、実際に聞いていると爆笑。更にこれ90分もある長い話。演じるほうはハイテンションで喋って動いて大変ですよ。


で。僕はこの話を聞いて桂雀々の野望を勝手に感じたの。

まず枕というか前説でこの話の説明を簡単にしたのね。

「上方落語は大変です、色々鳴り物も入ってくるのでそれに合わせないといけなくて。江戸落語ならただ一人で芝浜やってしんみりさせて『ああ、大みそかだなぁ』と思わせればいいだけの話ですが」

上方落語は話に合わせて舞台そでで鳴り物と言われる三味線や太鼓を鳴らす、いわばBGM。一方江戸落語にはそういのは無い。

もちろん上方が大変で江戸が楽だ、なんて思っているわけじゃなくて、ここで江戸落語における年末の風物詩『芝浜』の話をしたことに意味があるんだと僕は思う。

つまり「江戸落語の年末が『芝浜』なら、上方落語の年末は『地獄八景』にしてやる」という野望があるんじゃないかと思う。

そう考えると『地獄八景』は今年亡くなった有名人をどんどん「今年来たばっかり」ということで盛り込める。

あと三途の河を渡るときに鬼が今年の流行歌を歌って渡し賃を決める、というくだりもあるので流行歌を盛り込める。

更に今回は「今でしょ」「おもてなし」「じぇじぇじぇ」「倍返しだ」の流行語も入っていた。

つまり今年総ざらいの話に出来る構造を持った話なのだ、ということ。

少なくとも僕は「出来れば毎年年末に桂雀々の『地獄八景』を聴きたいなぁ」と思ったよ。



桂雀々の自伝。すごいよ。

更にこの本を読んでからこの人の師匠である桂枝雀のWikipediaを読むと本当に呆然とする。

運命の人と出会ったら

2013-12-17 21:19:11 | 日記
ほぼ日手帳を使っていて、それには1日1ページに「日々の言葉」ってのが載ってる。

本日、12月17日の言葉が良いのでご紹介。

---
愛する人と巡りあう秘訣? 願うことです。そして諦めないことです。
出会ってしまったとお思ったら、その出会いに必死になってしがみつくことです。
その人が運命の人であると、毎日、毎日、自分に向かって語り続けることです。
実は出会うと言うコトよりも、その出会いの瞬間の気持ちを持ち続けるこの方が
難しい、と言うコトを忘れてはならない、と思います。
---

イイ!というか痛い!

僕の(ギザ10くらい数少なくシラスのようにささやかな)経験を振り返ると、運命の人というのはよくわからないけど「けっこう運命的というかドラマティックな始まりだったよな」というのはある。そりゃあこれだけ生きてればね、そういうのくらいありますよ、僕だって。

でもその時の気持ちを持ち続けるのって難しい。

嫌いになるとかそういうことでは無くって、問題は「調子に乗る」ってことだと思う。

調子に乗っていいことはなにひとつないですね。

毎日毎日、出来れば毎時間、「大丈夫か?調子に乗ってないか、自分」と自分に確認すべきだと思うなぁ。

それが出来たら苦労しねーっすよ、承太郎さんっ!と思う年末。

○○なのに、○○

2013-12-16 16:52:36 | 
今年最後のバーベキューでした。

今年一番の寒さだったらしいけど天気が良かったので体感温度はそんなに寒くなかったよ。

バーベキューやると毎回思うんだけど楽しすぎて何を食べたんだか(食べたときは全部うめーうめー言っているんだけど)何を話したんだか記憶にない。酒も飲んでるしね。楽しすぎて写真もあんまり撮ってない。なぜかぜんぜいの写真が2枚だけ。
 
バーベキューで締めにぜんざいってのもすごいね、しかし。


ドッピオさんが撮ってくれた写真。なんかこう見ると「文明社会が崩壊した後、自活する現地の人々」って感じがするね。やってる本人たちは非常に楽しんでいるんだけど。


その後、新橋で二次会やってて話していたこと。

先日ね、友人(女性)から恋愛相談を受けてまして。まず僕に相談するってのがあんまり正しいと思えないけど。「とりあえずなんにでも回答を出す」ってのが僕の得意技なもんですから。

「その人のどこが好きなの?」って聞いたら「スゴイ人なのに自分でそれに気づいていないところ」って言ってたんだよね。

それ聞いて、人が人を好きになるのって「○○なのに、○○」だよなぁと思った。

そういうのって多くないですか。「頭がいいのに偉そうじゃない」とか「仕事がすごく出来るのに人にやさしい」とか。

これって異性を好きになる、という場合だけじゃなくて、同性でも「ああ、いい人だなぁ」と思う時ってこういう時が多いと思う。つまるところ二面性なのかも知れないね。

僕自身は「好きな異性のタイプ」ってあんまり信じていない。「好きになった人がタイプだい!」ってところはあるし。

こういうのって過去を振り返って「ああ、結果的に好きになった異性はこういうタイプが多いなぁ」と思うのはいいと思うんだけど、好きな異性のタイプを決めて「こういうタイプ以外ダメ」って考えちゃうのってもったいないと思うし、意味がないと思う。結局さぁ、惚れちゃったらどうしようもないでしょ。

で、そういう視点で考えたときに自分の(四つ葉のクローバーのように数少なくて、リスのようにささやかな)経験に基づいてみると、僕がいいなぁと思う女性って「物腰が柔らかいのに芯が強い人」が多いんじゃないかな、と思う。いいよね、そういう人って。

笑っちゃうくらいにかっこいい

2013-12-13 18:22:16 | 音楽
武道館ライブに行ってきました、矢沢永吉の。

ほんとに申し訳ないけど僕は矢沢永吉のことはほとんど知らない。一曲を通して聞いたことってないんじゃないかな、と思うくらい。

もちろん嫌いじゃないですよ。

ほぼ日でたびたびインタビューをやっていてそれは毎回楽しく読んでいる。

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「矢沢さんもストレスってあるんですか?」
「あるよ。何がストレスかにがストレスって人間関係だね」
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という言葉はけっこう僕の心の支えになっている。人間関係でめんどうな時「いや、矢沢だってがんばってるんだ」と、勝手にね。

でも曲はほとんど聞いたことがない。

そんな僕が、チケットがあるということでお誘いいただいてしまって。僕は。ここ数年、「ライブ」に関心があるし。なんでもダウンロードできる時代にやっぱり価値があるのはライブだろうな、と思うんです。

武道館はたぶん1万5000人くらい入るんだろうけど、この1万5000人の中で僕が一番矢沢永吉を知らないだろうなぁと思って見てた。駅からの道すがら、女の子なんかが「余っているチケットお譲り下さい」とか書いて立っててさ、「ああ、僕よりこの人のほうがチケット欲しいだろうな」と思ってましたよ。お誘いいただいたチケットなのでお譲りしませんが。

で、矢沢永吉ですが、これがねー、かっこよかったんですよ。もうステージに出てきた瞬間に「うわ!かっこいい!」と思いました。

衣装からいでたちから動きから歌い方から歌ってる内容、声のひとつひとつ、しぐさの一つまでどこをどう切り取ってもかっこいいのよ。もうね「笑っちゃうくらいかっこいい」って言葉があるけどほんとに最後笑いましたよ、「かっこいいなぁ(笑)」って。

白のスーツに白の帽子かぶってビシッと決める、なんてギャグ漫画でしか観たことないけど、これを矢沢永吉がやるとめちゃくちゃカッコいい。

いやはやすごい。64歳、うちの父親より年上ですよ。

MCも面白くて。たぶん本当に「いい人なんだろうなぁ」と感じた。その人が本当にいい人なのか、それとも裏があるのかなんてなんとなく見ればわかるじゃないですか。特にこういうライブの場合、顔がアップで後ろのでっかいスクリーンに何メートルもに拡大されて映し出されているわけで嘘をついていれば表情でわかる。

おそらく、優しくて、道理が分かるいい人なんだろうなあと感じた。

これからガンガン永ちゃんを聞くという状態にはならないかも知れないけど、もし僕が10代でこのライブを観ていたとしたら一生を捧げていたかも知れないね。

ということで、ライブの中で一番良かった「もうひとりの俺」を貼っておきます。


逆輸入

2013-12-06 18:19:31 | 日記
今年もそろそろ終わりますが、今年、ずーっと考えていたのは腕時計のこと。

もちろん四六時中考えていたわけじゃないけど、なにかのタイミングで「ああ、腕時計どうしようかな」と考えていた。

それまでメインで使っていたのが、SECTORとARCA FUTURAという腕時計。前者は金属ベルトで後者はウレタンベルト。なんとなくその日の気分で仕事の時につけてた。

それと、もうひとつSECTORのウレタンベルトのやつがある。これは少しカジュアルな時に。

加えてジョギングとかアウトドア用にG-SHOCK2つ。「なんでG-SHOCKふたつも必要なの?」とか突っ込みはやめて。そんなに高いものじゃないのでつい買ってしまうのよ。

つまり腕時計は5つあるということになる。普通に考えればそれで十分でしょ、って話なんですけどね。

あるとき、メインのSECTORとARCA FUTURAが止まってしまった。時計って何故か同時に止まりませんか? なにこれ、シンクロニシティ?

電池交換をしたけど動かないのでオーバーホールに出すしかないんだけど双方ともイタリア製だけあってオーバーホールも結構な金額がかかる。「え?それってそれなりの時計の買えちゃいません?」という程度。

まぁランニングコストとして仕方ないんだけど、どうもなぁ、と思って修理してないままだった。

そうなるとスーツに合わせる時計が無くて。

仕方がないのでかなり昔、高校入学のときにもらったシチズンを棚の奥から引っ張り出してきてつけてた。これはこれで悪くないんだけどね。

ということで、修理するか、新しいの買うか、ということをずっと悩んでた。

買うならいいもの欲しいよねー、ということでちょっとデパートとかに行く用事があったらオメガとかタグホイヤーとかを眺めてた。(さすがにロレックスまでは勇気が出ない)

でもさぁ、やっぱりオメガとかって結構するのよね。左手につけるそんな大きくないものに30万とか40万とかか、と考えるとちょっと勇気が出ない。もし失くしたら一生立ち直れないですよ。

うむむ、考えてたところでセイコーの逆輸入の時計を見つけた。

つーことで購入。いいすよ、それなりにがっしりしてて。

今の時代、「携帯見れば時間わかるんだから時計なんかいらないよ」という人もいると思うけど、僕は携帯じゃ不十分なんだよなぁ。例えば両手がふさがってる時にいちいち荷物をいったんおいて、ポケットから携帯を出して、、なんてめんどうじゃないですか。

あとさ、お客さんと話している時に気づかれないように時間を確認する、というのも携帯じゃなかなかしづらい。

いや、シンプルに言うと腕時計好きってことなんだけどね。

途中からでも大丈夫

2013-12-05 22:07:30 | 
塩野七生の「ローマ人の物語」をガシガシ読んでたのは2008年。なんとまぁもう5年前になっちゃうんですね。

それで「ローマ人列伝」を書いていたのが2009年。いま考えてもよう書いたもんだなぁ、と思いますよ、我ながら。

まとめはこちら→「ローマ人列伝まとめページ

(自分で言って申し訳ないけど「ティベリウス伝」「ネロ伝」「ハンニバル伝」は自信あります)

「ローマ人の物語」は既にすべて文庫化されて久しく、僕もたまーに「あ、カエサルのあのとこ読みたいな」とか思って部分部分ぺらっと読み返すだけ。でもね、改めて思い返しても面白いシリーズだったなぁと思いますよ。

たまに「ローマ帝国と一緒じゃないか」とか「こういうときアウグストゥスならもっとうまくやるんだろうなー」とか思ってる。

面白いんだけど、さすがにハードカバー15冊、文庫本でも40冊というボリュームを前にすると普通の人は躊躇するよね。

そういう時、僕は「別に頭から最後まで一気じゃなくて、ところどころ読んでも面白いすよ」という進め方をする。

ということで、「少しでも興味あるならここだけでもどうぞ」というオススメしておきます。(末尾にあるのはハードカバー全15巻中の巻数)

<ハンニバル戦記> 2巻

戦記物が好きだったら絶対面白いですから大丈夫。既に弱小国となっていたかっての大国カルタゴが生んだ稀代の天才ハンニバルがどうローマを追い詰めたのか。これはドキドキワクワクの大活劇です。

<ユリウス・カエサル ルビコン以前> 4巻
<ユリウス・カエサル ルビコン以後> 5巻



「とにかくカエサルは面白いから」というだけでオススメするのがこの2冊。2冊でもヘヴィというのであれば「成り上がる話」が好きなら「ルビコン以前」、政治的暗躍話が好きなら「ルビコン以後」だけでも。

<パクス・ロマーナ>  6巻

僕が一番好きなのはこれかも知れない。1000年に一人の天才カエサルの後を継いだアウグストゥスの活躍。心躍る戦記ものではまったくないし、むしろ元老院とのやり取りだけなんだけど、とにかく面白い。マネジメントだとか経営戦略面としても学ぶ事が多い。

<悪名高き皇帝たち> 7巻

これもほんと面白いんだよなー。(←今回、面白いしか言ってない) これと次の「四皇帝の一年」は北野武監督で「アウトレイジ・ローマ帝国 ~全員悪人~」として映画化してほしいですね。


書いてて思ったけど正直8巻以降はやっぱり前半のどれか読んでないとちょっと楽しめないかもなぁと思った。ひとつだけ、10巻は独立していてローマ帝国時代の建造物とかインフラについてのもの。これから入るってのはちょっとマニアックかも知れない。通して読んでると楽しめるんだけどね。

とにかく上記に挙げたものはどれも面白いんでどれかから読み始めて「で、どうなるのかな」と次の巻に進んでもいいし、「なんでこうなったの?」と前の巻に戻ってもいいと思う。

ちょうど年末年始の休みにぴったりだと思うよ。

たちの悪いジョーク

2013-12-04 18:12:22 | 日記
映画「ウォッチメン」にコメディアンという登場人物が出てくる。この映画は「もし現実にスーパーヒーロー(スーパーマンとかバットマンとかね)が存在したら」というストーリーなのでこの人も実際のアメリカ史に関係していることになっている。J・F・ケネディをダラスで暗殺したのが実はこの人で、ニクソンの腹心としてベトナムでさんざん活躍した(悪い意味でね)という設定。

この人は「結局、この世の中はたちの悪いジョークみたいなもんじゃないか、この世がジョークなんだったら俺はそれに乗ってやるよ」という主義の人。つまりダークナイトにおけるジョーカーみたいなキャラクターなんです。


12月になって今年も終わろうとしてますが、しかしまぁたちの悪いジョークみたいなことが起こりますね。

最近一番驚いたのは例の都知事の借用書の件。あれはすごかった。さすがの僕もびっくりした。何より驚いたのはあの借用書のフォーマット。「5000万」とだけ書いてあるの。ありゃあ驚いた。¥マークもねぇ!印紙もねぇ!捺印もねぇ!割印もねぇ!おまわり毎日ぐーるぐる、オラ、こんな村やだー。いやいや違うけど。

スゴイねぇ。

こんなのayaさんとかが見たらブチ切れそ、、いや、非常に丁重なお言葉でご指導されそうでございますね。

僕は会計なんかはよく分からないけどさすがにこの借用書見せられたら「オイ」って突っ込みますよ。(それか5000万の頭に「1億」って書き加えるかな←文書偽造になっちゃうからやっちゃダメですよ)

スゴイねぇ。まさにタチの悪いジョーク。本当にすごいと思うのは都知事がこの借用書で話が通ると思っていることだよなぁ。

このシーン、後で動画で見たけど「ああ」と思ったのが都知事の借用書の持ち方ね。人差し指と親指でつまむように持ってる。これって普通「汚いもの」「触りたくないもの」を持つ持ち方だよね。こういうところに人間の心理って出ちゃうもんですねぇ。身体は嘘をつけないというのがよく分かる。

あと最近、議論されてる例の特定秘密保護法案。これもスゴイ。

「あなたは秘密を漏えいしたので罰します」
「え?秘密ってどのことですか?」
「どれが秘密かは秘密です」

こういうアメリカンジョークありそうだよね、旧共産圏的な。

こういうのの歴史上の常套句は「いやいや、いちおうこういうルール作ってますけどまともな人の行動には適用するわけないじゃないですか~、いやだなぁ。安心してくださいよ~」ってこと。もちろん歴史上こういう言葉が本当にそうだったことない。

契約書の最後の一文にあったりするちょっと分かりづらい特記事項なんかとおんなじ。よく読むと「違反した場合○万お支払いただきます」って入ってて「いや、万が一のためです。本当にこうしようとは思ってませんから」とか言われることがあるけどこれほど信用できない言葉はない。




あの、抑えて書いてますけど、僕、久々に結構怒ってます。