浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

不思議だけど真実

2014-02-23 19:57:30 | 日記
合気道の稽古は基本的に素手なんだけどたまに「短刀取り」という稽古もする。相手が短刀(もちろん木剣ですよ)を持ってかかって来るのを避けて、押さえ込んで、短刀を取り上げる。

イメージとしてはこんな感じです。


いくら木剣とはいえ相手が武器を持っているとそれなりに怖い。短刀だからそれで叩かれても怪我はしないまでも、やっぱり思いっきり突かれたら確実に痛いだろうし。

その上で、不思議なことなんだけど、相手が何も持っていない時よりも短刀を持っている時のほうがこちらの動きがよくなる。

大事なことなのでもう一回言います。

相手が何も持っていない時よりも武器を持っている時のほうがこちらの動きがよくなる。

不思議だけど。

でもやってみればすぐわかる。

武器なしで(つまり普通の拳で)突かれるときは「えーっとえーっと、相手が右で突いてくるから左に避けて、そのあとえーっと、、」と考えているんだんだけど、相手が武器を持っていたら怖いからそんなこと考えていられない。パパっと身体のおもむくままに動かないと間に合わない。

当たったらまずいので適度な間合いを取るし、かと言って怖がって遠くにいすぎると相手が自由に短刀を振ることが出来るので、少しは詰めないといけない。ちんたらやってると短刀がこちらに来てしまうのでピシッと動かないといけない。

不思議だなぁと思うけど真実です。

もちろんこれが短刀ではなくて太刀だったり、ましてやほんとの日本刀でであったらまたまったく違うと思いますよ。真剣だったらいくら稽古と言われても嫌ですよ。怖いもん、すぐ逃げる。

たぶん僕の今の実力(ってものがどんだけあるのか疑問だけども)だと短刀くらいがちょうど体の動きにブーストを掛けるんでちょうどいいんじゃないかな、と思う。

これは例えば日常生活や仕事で言うとどういうことなのか、ということを考える。

たぶん、すこし自分に負荷がかかってたほうが自分の実力が出やすい、ってことかなーと思う。
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トンカツの楽しみ方

2014-02-20 22:48:34 | 食べ物
先日、胃カメラを受けまして。別にどこが悪いってわけでもないんですが数年前に入院してから定期的に年に一回くらい受けるようにしてる。

考えてみれば数年前、僕が十二指腸で緊急入院したのは東京マラソンの次の日。つまりこの時期。なんとなくこの時期というのは毎年、不吉な感じがする。おそらく年末年始のバタバタが身体に現れるんじゃないかと思ってます。

3、4月と年度末&新年度で忙しいのでそこを乗り切るように不安要素は解消しておきたい。そのための胃カメラ。

結果としてはなんの異常もなかった。もちろん潰瘍もなし。ただ、これは以前やった潰瘍の影響なんで仕方がないことなんだけど少し胃のあたりが変形しているとのこと。胃と十二指腸を繋ぐところが狭まってるらしい。
これがどういう影響があるかというと食べ過ぎると胃液が逆流しやすい、結果、胸やけ、吐き気につながる。つまり「逆流性食道炎」ってやつです。まぁ結論としては「飲み過ぎ食べ過ぎ、ストレスにご注意ください」とのこと。はーい。

胃カメラってやったことない人からは「大変なんじゃない?」と言われるけどそりゃ、それなりに大変です。でも大変だーと言ってても何も変わらないので諦めるしかない。(人間、年を重ねると「文句言っても仕方ないので諦める」ということが増えますね、いいことなんだか悪いことなんだか)

胃カメラって前の晩と朝、何も飲み食い出来ないのが面倒。別にお腹が減って困るってことは無いんだけどつい習慣で朝にコーヒー飲みそうになる。

ということで胃カメラ終わって少し早めのランチタイム。こういう時ってなに食べようか迷うよね。せっかくなんでイイもの食べたくなるし。

「自分はいま、何を食べたいのだ?」と自問し、心の声に従ったところトンカツ定食でした。

オプションで海老フライ追加。

ところでさ、みなさん、トンカツって何かけて食べます?基本はソースなんだろうけど。

僕は最近、一切れ毎に変えてます。

まず最初の一口は塩。これがね、美味いんだ。もし抹茶塩とか梅塩とかあったら塩だけでトンカツ一枚食べちゃうと思う。ちょっとレモンしぼって塩レモンとかいいの。

次に醤油。これも美味い。あっさりしててね。ゴ飯ニトテモ合イマース。

次にやっとソース。ここは甘口ソースと辛口ソースがあって、小さいすり鉢にゴマを摺ってそこに自分なりにブレンド。

あのさ、トンカツに最初にソースかけちゃう方いらっしゃるでしょ、全体にさ。僕はあんまりそれはしない。だってかけちゃったら最後の方は味がしみちゃってベチャッとするじゃないですか。もちろんそれが旨いってのもわかるんだけど。僕は最後までサクサク行きたい。なので、ソースをトンカツにかけるんじゃなくて、トンカツをソースの小鉢につけていただく。

で、後はこれらを気まぐれに繰り返す。その時の気分で「塩2醤油2ソース3」とか「塩3醤油3ソース1」とかになる。

あ、もうちょっとソースで食べたいな、とか思いつつ「やっぱり最後は塩で締めよう」とかね。何ならもう1枚頼もうかなとも思うけど、食べ過ぎはダメなんだってば。
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札幌。

2014-02-18 21:43:38 | 日記
友人の結婚式があったので札幌に行ってきました。

なんだかここ最近、札幌往復はなんだかんだトラブルがある。

2回前は冬に行って、帰りに東京が大雪で千歳で4,5時間待たされて、やっと乗ったものの青森上空で引き返し、千歳空港の床で寝た。

こないだの夏はまず行きの飛行機を乗り過ごし(これは単なる僕のミス)、帰りはJR北海道のトラブル(車両火災だったかな)で白石駅で足止め。白石から空港までタクシーで行ったものの、飛行機には間に合わず。LCCだったのでキャンセルできず、その分のお金は戻らず。

さんざんな目にあいました。

しかも今回は行きの日に東京は大雪。どうなることかと思ったけどまぁ30分遅れくらいで出発できました。

着いたらみんなに「よく来れたねー」と言われましたよ。そりゃ来ますよ、札幌だもの。

ホテル取ってたんだけど友人が「うち泊まれば」と言ってくれたのでお言葉に甘える。

次の日の午前中は、友人のお子さんたちと共に近所の公園でソリ遊び。



なんかスキー場みたいに見えるけど近所の公園です。

この友人はお子さんが多くてお邪魔している身としては遊びがいがあって楽しかった。

昔から子供が好きで、結構子供からも好かれる(と、思ってるけど本当のところはわかんない)

昔、高校や塾で先生をしていた時も「教える技術」についてはあまり自信がないけど生徒とちゃんと話すことはそんなに苦手ではなかった。高校の女子とかになるとちょっと苦手だけどね。その位になるともう子供じゃない。(男子はいつまでも子供)

子供と接するときに自分の中で一つだけルールがあってそれは「子供扱いしない」ということです。

子供だからわかんないだろう、とか子供だから出来ないだろう、ということを勝手に思わない。単純なことで言うと赤ちゃん言葉とかも使わない。「なんとかちゃん、なんとかでちゅねー」とか。(ドッピオさんとかよね3には言う)

一緒にご飯食べてて、スプーンとかが巧く使えなくて食べづらそうでも僕からは手伝わない。「手伝おうか?」とは聞くけど。

自分が子供の頃、何が一番嫌だったかって「子供扱いされること」だったもん。「自分でやりたい」と思っているのにおせっかいで手を出されるのやだったもん。

子供と接するときのルールとして僕は実際にお子さんを持っている人ほどちゃんとしているとは思わないけど、とにかく「子供扱いしない」ということだけは守ろうと思っている。

だから僕は3歳の子供に対して話している口調と、同い年の友人に話している口調が変わらない。内容だって変わらない時がある。「この豚バラうままいよね?」とか「トイストーリー3観た?」とか話しているわけだし。

子供が話してくる話も出来るだけちゃんと聞こうと思っている。子供の話ってだいたい面白いよ。ずーっと機関車トーマスとかアンパンマンとかウルトラマンの話とか聞いてたりする。「え?ロールパンナ?知らないわー。俺の時ってアンパンマンと食パンマンとカレーパンマンくらいしかいなかったよー」とかね。

子供にとっても僕なんてすごく便利な、面白い存在だと思うんだよね。たまに来て面白いこと言ってくれて遊んでくれて。親と近い存在、というよりもトトロみたいなもんだと思われていると思う。

ソリ遊びで一汗かいた後、僕の大好きな寿司屋でだらだら飲みつつ寿司に舌鼓。

うーにー!昆布出汁のエキスみたいのをスポイトで垂らしてあるの。

寿司を食べ終わったのが15時。結婚式は19時から。計画性ないですねー(笑)

とはいえ、よくわからない居酒屋に入って友達と話していれば時間なんてあっという間。

結婚式でしこたま飲んで就寝。

次の日は宿飯の恩として朝から雪かき。

ランチは僕のリクエストでみよしのの餃子カレー。


帰りの飛行機はまったくトラブルなく帰ってこられました。

やっぱり札幌いいわー。
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鶏ハムうまーい!

2014-02-13 00:41:35 | 食べ物
鶏むね肉って安いじゃないですか。スーパー行くと「安いなぁ」って思うんですよね。

だけどあまり買わない。パサパサしててあまり好みじゃない。お好きな方はごめんなさいね、あくまで僕の嗜好の問題です。

でもこないだ、飛行機の機内誌の料理コーナーで「鶏ハム」のレシピがあったので気になってた。美味しそうだったんだよね。

ということで、そのレシピとかCookpadのレシピとかを参考に挑戦。

まずつけ汁を作ります。水200cc、酒大さじ1、醤油小さじ1、砂糖少々、塩適当、にんにくひとかけのすりおろし、ローレルを煮立たせて冷まします。なんかスパイス入れると美味しくなりそうだな、と思ったのでシナモンも少しだけ入れてみた。

それに鶏むね肉、400gのやつを一晩漬け込みます。

漬けたら取り出してラップでキャンディ状に成形。端っこを輪ゴムで止める。

鍋にお湯を沸かして、火を止めて鶏肉を入れます。(成形した時、空気が入っていたので浮かんで来てしまった。ザルを落とし蓋代わりに落として浮かばないように抑える)

もう一度だけ煮立たせて火を止めて蓋をする。それをバスタオルでくるんでおいて保温。

バスタオルでくるんでおくとなかなか冷めないね。冷めたのは12時間後くらい。で、取り出して切る。食べる。

美味い!

しっとりして美味いのよ。
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まさにIdiocracy

2014-02-10 19:11:07 | DVD、映画
「Idiocracy」という映画がありましてね。Idiot(バカ)とDemocracy(民主主義)を合わせたいわば「バカ民主主義」というタイトル。(邦題は「26世紀青年」とあまりにもひどいんだけど)

著者 :
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日 : 2009-10-01


冷凍睡眠した主人公が500年の眠りから覚めてみると地球はバカの惑星になっていた、というコメディ。

大統領は「オーイエー!」しか言わない元プロレスラー。アカデミー作品賞はケツを写しただけの映画。真面目なニュースなんて誰も見ないから、ニュースキャスターはビキニの女子アナと半裸のイケメンが楽しくやってる。さーて困った。

という話。

これ、コメディなんですけど、はっきり言って怖すぎて笑えない。

だって、「あれ?これって現実に起こってない?」って思っちゃうもん。

一時期、「B層」という言葉が流行った。小泉郵政選挙の頃にね。「これから日本で増えてくるのは”IQが高くなく”、”構造改革に肯定的”な層なので、政策の訴え方もその層にアピールしたほうがいい」というレポートがある広告会社が出していた、というもの。なめられたものですが。

昨今のニュースを見ていると「ほんとにIdiocracyかもなぁ」と思う。

いや、そうではないと信じたいけど、この反・知性主義の流れは止まらないんじゃないかと思う。

とある男性グループがいて、元々、そのグループのことは「なんかなぁ。。」と思っていた。あるとき、町山智浩という人がそのグループについて言及しているイベントの音声を聞いて「あ、僕、あのグループを嫌いなんだ」と分かった。

その話はこれ→「9条どうでしょう」文庫化記念「ライブ!9条どうでしょう」から。

あの、こういうこと言っても単なる言い訳だけど、そのグループ自体がやってることとか、歌ってる内容とか、メンバー一人一人に何か文句があるわけじゃない。また、こういうグループを好きになるファンの人たちだってたくさんいるだろう。ほんとに、グループ自体やそのファンの人たちに何か苦言を呈するとかそういう気持ちは無い。ほんとに無いんです。もし僕だって例えば中高生の頃に聞いていたら「あ、いいじゃん」と思ったかも知れない。それは否定しません。

ただ、先日、とある国際会議の晩餐会でこのグループと、もう一つ女性グループが呼ばれて歌を歌ったというニュースを聞いて、とにかく嫌な気持ちになった。繰り返しになるけどこのグループと例の女性グループがどう、というのじゃない。

ただ画像を見て、本当に申し訳ないけど北朝鮮かどこぞの画像にしか思えなかった。

何が嫌だかって、こういう場にあのグループを呼ぼうと決めた役人。

「よくわからないけど売れてるし若い子に人気あるんだからいいんじゃない」という思惑で決めたのであれば、本当に腹が立つし、「海外に向けてこれこそ日本が誇るべき文化だ」と真剣に考えているのであればそれはそれでセンスを疑う。

まさにIdiocracyじゃん。
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鑑定士と顔のない依頼人

2014-02-06 19:37:33 | DVD、映画
前に「いいから黙ってこれ観ろ」と薦められることって結構ありがたいことだよなあという話をしました。

いいから黙ってこれを

映画でも本でもテレビドラマでもなんでもいいんだけど、細かいことを知らずにまっさらな状態で楽しむってのはなかなか出来ることじゃない。

映画にしたって誰が出てて誰が監督で、どういう筋書きで見どころは、、ってわかって観ることも否定はしないけど「とにかく面白いから」って情報だけを知って観るとひとつひとつにドキドキすると思う。

例えばさ「フロム・ダスク・ティル・ドーン」なんて何にも知らないで観たら途中で飛び上がるくらいびっくりすると思うんだよね。僕もはっきり覚えてないけどあれは驚いた。

出来れば上映時間も知らない方がいい。どうしても上映時間を知ってしまうと「ああ、もうそろそろ中盤だな」とか「もうクライマックスだな」とか思っちゃうじゃん。

ということで今回「とにかく面白いから!観て」と言われて観ました『鑑定士と顔のない依頼人』

何も知らずに見たほうがいいです。だから今回は予告編も貼りません、ポスターも貼りません。

僕ももともとまったくノーチェックの映画だったので、薦められてからは一切、情報を入れないようにしていた。知っていたのは主演がジェフリー・ラッシュということだけ。

すごい映画でした。

タイトルだけ覚えていただいてご覧になられたらいいと思いますよ。




(この下のこと、読む必要無いです。こんなの無視してご覧いたいだたほうがいいと思います)

これ余計なことなんで無視していただいていいんですが、「鑑定士と顔のない依頼人」って何かミステリアスなことが始まりそうな感じがするいい邦題ですね。原題は「The Best offer」、「最上の提案」みたいな感じかな。
もし邦題がそのまま「ベスト・オファー」だったら絶対ダメだったと思う。最近の洋画の日本語タイトル問題はいろいろ思うところがありますが、今回の邦題はとても良いと思います。
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ウルフ・オブ・ウォールストリート

2014-02-05 00:06:20 | DVD、映画
何だか1月末からダダダッと観たい映画が公開されてたまらないですね。

(これはたぶんアカデミー賞の関係。アカデミー賞は12月末までに公開された映画がノミネート対象で、やっぱり12月に公開したほうが記憶も新しいので評価されやすい。ということでアメリカでは年末にアカデミー賞狙いの大作が公開される。それが日本に来るのが数ヵ月後のこの時期ってこと)

先週末は「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「アメリカン・ハッスル」が公開。どちらを観ようか迷ったけどやっぱりスコセッシは観ておかないとと思って「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を観てきました。

どうでもいいけど「ウルフ・オブ・ウォールストリート」ってさすがにタイトルが長いんじゃないだろうか。タイトルは何でも全部日本語に訳せとは言わないけど、さすがに長すぎて言いづらいのはちょっと変えたほうがいいんじゃない?「ウォール街ハチャメチャ狂騒曲」でどう?いや、冗談だけど。

さて、観てきました。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 予告編


映画評論家、町山智浩氏があるとき、こう言っていた。

「マーティン・スコセッシの映画には必ず何かをガンガンぶっ叩くとか人の頭を堅いところにガンガン打ち付けるというシーンが出て来ます。そういうのが出てくると『いよっ!スコセッシ!』と思ってしまうわけですが」

なんちゅう説明だ、と思うけど本当にその通りですね。

いよっ!スコセッシ!って映画でしたよ~。

あらすじ→ウォール街で成り上がりたいと思っていた主人公ジョーダン・ベルフォード。クズ株を売りつけることで成功し、自分の投資会社を設立し、巨億の富を築く。しかし、、実話に基づいた話。監督スコセッシ主演ディカプリオは5度目のコンビ。

(以下、ネタバレ)










今回の話は「王になった男が周りを見回すと周りには何もなく、結局堕ちていく話」です。

この話好きですねー、ハリウッド映画は。「ゴッドファーザー」とかね。元はシェイクスピアなんだろう。
「子が父を倒す話」「兄弟げんかの話」「無垢な女性をレディにしたけど最後、捨てられる話」と同じくらい好きですね、この「王になり、堕ちる話」って。

(たぶん、この辺の話は『映画は父を殺すためにある』って本で解説されてたと思う、うろ覚えだけど)


それを骨子にスコセッシらしい意地の悪い乾いたブラックジョークを振り掛けてついでに娼婦と白い粉足しておきましたー、という映画です。牛丼特盛カレーがけチーズトッピング温泉玉子載せタルタルソースぶっかけみたいな感じ。

あ、言っときますけどデートやお子様連れには向きません。(ダメ、絶対)

ところどころほんとに笑えるシーンばっかりなんだけど、それは話的には「笑っていいのかな」とブラックすぎて冷や汗をかくようなところ。最高でした。

ドラッグにハマりすぎて最後は筋弛緩剤飲んで、同時にFBIに目をつけられてグニャグニャになりながらケンカするシーンは最高でした。このグニャグニャのシーン、ドッピオさんに真似してほしいなぁ。

キャスティングも良かった。メインのディカプリオ、脇のジョナ・ヒルはもちろん、FBI捜査官(クルーザー上の笑顔の裏での対決シーンは見応えあり)、食えないスイス銀行頭取(ジャン・デュジャルダンが好演)最高。あと脇にロブ・ライナー、ジョン・ファブロー、スパイク・ジョーンズと映画監督が出てるのも好きな人にはたまらないね。
そうそう、女性陣も元から結婚していた糟糠の妻の感じ、更に成り上がってから結婚するモデルの感じもいいね。

なんかネット上の感想を観ると賛否両論みたいで、否の方は開始40分で席を立った、ってのもある。その気持ちも分からなくない。誰が見ても50点ってよりは100点と0点しかつけられない映画、ってほうが僕は好きです。

僕はスコセッシのファンだから幾分好意的にとらえてしまうところがあるんだけど、あのスコセッシがしかもディカプリオと組んで単なる悪趣味の下世話なだけな映画を作るわけがない。

この作品の主人公ジョーダン(ディカプリオ)が象徴しているものは「アメリカそのもの」なんじゃないかなーと思う。野心的で、見た目は良くて仕事はバリバリ。笑顔がキュートでプレゼンテーションだって巧い。たぶん悪い人じゃない、仲間からは信頼されているし家族を愛してもいる。でも結局やっていることはセックス、ドラッグ&金儲け。

何よりものブラックジョークがこれだけめちゃくちゃなことをやったジョーダンが今では社会に復帰しているということ。これぞ「懲りないアメリカ」!USA!USA!

最後のシーン、ジョーダンの言われるがままにしている聴衆たちはアメリカを盲信している国民そのものだよ、って言っているような気がした。

ちなみにこの主人公は実在の人で、株式詐欺、まぁいわゆる「風説の流布」で捕まったけど1年ちょいで出所。いまでは「セールスセミナーの講師」をやってるらしい。決まり文句は「人を殺したわけじゃない」、すごいね。

しかしさぁ、マーティン・スコセッシって71歳ですよ。それがこれだけのパワフルなこってりした映画を撮れるってすごいね。老いて益々盛ん、ってこのことだね。次回作は遠藤周作『沈黙』の予定。ってずっと言われているけど。いつ出来るのかなぁ、楽しみにしているんだけどなー。
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「愛」があれば必ず伝わる

2014-02-03 18:33:13 | 
プレゼンテーションの「技術」って最近流行ってるんじゃないかな。

聴衆の前に立って何かを喋るとき、いかに巧く伝えるか、っていう技術。たぶん本屋に行けば売るほどある(という意味の無いジョーク)

僕は仕事柄そういう機会があるからそれなりに勉強した。もちろんプレゼンテーション技術って大事だと思う。ぼそぼそとよくポイントのわからない話し方だと確かに伝わらないよね。どういう論理構成にするか、どこにポイントを持ってくるか、どういう資料を使うか、どういう声の大きさで、どう身振り手振りを加えるか、という技術はもちろん大事。

でもさ、技術だけじゃダメなんだよ。

こないだ、ある講演会に行ったの。

時代劇研究家の春日太一氏の「池波作品映像化の技法」というもの。まずこの春日太一氏という人は僕が2013年Book of the yearの1冊に選んだ「あかんやつら」の著者です。

今の時代に、しかも春日太一氏のように若い(30代中盤)人が時代劇研究家を名乗っているというのが非常に興味深い。

「あかんやつら」は京都東映撮影所という日本映画の黄金時代を気づいた場所とその周囲に集う人々のノンフィクションだった。熱くて、いい本でしたよ。


で、その春日太一氏が浅草の生涯学習センター(うちの近所にある結構立派な建物で、図書館が入っているのでたまに行く)で講座をやるってのを道端の掲示板で見た。


正直、時代劇についての知識というのはほとんど無いし、池波作品もほとんど読んでいないんだけど、春日太一氏の話を近所で聴けるというのは貴重な機会なので行ってみた。

結果ね、すごーく面白かったんですよ。今回のテーマは「鬼平犯科帳」で、僕はほとんど知らないのに大変に話が面白かった。

面白いだけではなくて、感動した。ところどころ涙を流しそうになった。春日太一氏は持論を展開した後に「例えば鬼平○話で、こういう台詞があります」と脚本のセリフを読み上げるんだけど、そういうところで涙が出そうになった。

聞いてて改めて感じたのが「プレゼンテーション技術も大事だけど、それよりもっと大事なことがあるな」と言うこと。春日太一氏はいわゆる「プレゼンテーション技術」をほとんど使っていない。ただ、90分間身振り手振りもアイコンタクトも無く話しているだけ。

もしこれがプレゼンテーション技術バリバリの講演、例えばオバマ大統領のスピーチなんかを思い出して欲しいんだけど、熱っぽく身振り手振りも満点だったら、何も知らない僕が感動するのはわかるんです。

でも春日太一氏はそうではなかった。じゃあなぜ、僕は感動したのか。講座を聴いた後、それを考えていた。

で、思うんだけど、たぶん根本にある「愛」が大事なんじゃないかと思う。

春日太一氏はたぶん、時代劇を大変愛していて、その愛に基づいて徹底的に調べている。そして「何としてもこの面白い時代劇というものを多くの人に伝えたい」と心の底から思っているんだと思う。少なくとも僕はそう感じた。

やっぱりこれですよ、人に何かを伝えるって。「とにかく伝えたいんだ!」という強い気持ちが無い人がいくら「技術」を学んでもそれは絶対に伝わらない。

逆に「技術」が無くても(技術が無い技術が無いと繰り返して春日太一氏には本当に失礼な話だけど)、「これを伝えたい!」と強く思っていることがあって、更に伝えるために夜も寝ないでそのことを調べていれば、絶対に伝わる。たぶん春日太一氏は寝る間も惜しんで鬼平の原作を読み、ドラマを観て、脚本も読み込んでいるんだろうと思う。そうじゃなきゃあんな風に話せないと思う。

残念ながら時代劇という分野は現代日本では消えつつある。だけどその面白さを「愛」を持って語る春日太一氏は日本にとって必要な人だと思う。

僕だって講演を聞き終えた瞬間「鬼平読みてー!鬼平ドラマ観てー!」って思ったもの。来週もあります。来週は「仕掛人 藤枝梅安」、楽しみだ。
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