浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

100キロウォークについての備忘録

2013-05-31 20:23:10 | 日記
完歩は出来なかったんだけどつくば100キロウォークに出てみて「ああ、こうすれば良かったなぁ」と思うことがいくつかあったので書いておきます。

真剣にやっている人にとっては「何をいまさら」というレベルかも知れないけど「まったく何も知らない人が出る」という場合に僕みたいな「ド素人」の体験談が参考になればうれしいなぁ。

【マメ対策】

筋肉痛も辛いけどマメはつらいだろうなぁと思っていた。マメの痛さって外傷的な痛さだから我慢しづらいんだよね。だからマメ予防のスプレー(なんていうものがあるんです、世の中には)は用意してあって頻繁に塗っていたけどやっぱり出来てしまった。このできたマメがさー、「え?人間の足にこんな大きなマメができるの?」というくらいに大きくて。まだ踵の脇だったから良かったけど。あと一つ、足の小指にも出来ていた。小指なんて小指の4分の3がマメ、という状態。はぁ、そんなマメ出来るもんなんだねー。僕はまだ致命的な場所なマメではなかったけど、ドッピオさんは足の真裏に出来てたので辛そうだった。

マメの予防も大事なんだけど出来た時どうするか、という対策をもっとしておけば良かったなと思っています。

僕はとりあえず休憩所で安全ピン(ゼッケンをつけるのにもらった)でマメを刺し中の水を抜くだけしか出来なかった。しかもティッシュも無いので汗を拭いたタオルで拭いて。衛生的に非常に不安。終わった後、再度しつこく水を抜いておいたら半日くらいで皮膚が固定して治っていった。

マメはほっておくのがいいとか皮膚を破いてしまったほうがいいとかいろいろ意見があるけど、個人的な体験から言うと「全部水を抜いて放置」が一番いいんじゃないかと思う。

マメ対策として、出来れば包帯とかテーピングとか、せめてバンドエイドくらい用意しておけば良かった。歩いている途中で、マメの水を抜いてテーピングで固定しておけば結構楽だったんじゃないかと思う。

【ポケット大事】

大して意味はないんだけど今回僕が大会中履いていたのはプーマのショートパンツだった。これが腰にポケットがない。普段はそんなに気にしていなかったけどこれは困ったね。リュックを背負ってそこにいろいろな荷物を入れているんだけどやっぱりポケットにちょっと入れておきたいものとかがある。飴玉だったり飴玉の包み紙だったり。(歩いていると飴は結構大事です)僕のリュックは腰のベルトのところにもポケットがついているタイプだったけど、やっぱりそこのチャックを開けて、取り出して、、ってやっているとかなり手間。ズボンはポケットがあるほうがいいですよ。ドッピオさんはズボンのポケットにペットボトルを入れられていたけど僕は入らないので手に持ったりしていた。

【タイム計測問題】

今回のコースは小まめに「あと○キロ」「スタート地点から○キロ」という表示があまりないコースだった。なのでいま自分がどのくらいゴールに近づいているのかが分かりづらい。このくらい長い距離を歩くのにその先が見えない感じは非常につらい。途中から腕時計をストップウォッチにして10分ずつカウントしていた。なんとなく「10キロを110分で歩いている」という感じがしたので。これを最初からきちっとやっておけばもっと楽になったかも知れない。

たとえば、10キロ進んで折り返し地点で折り返しまた10キロ行ってチェックポイント、という場合、最初の10キロのタイムを計測しておけば良かった。そうすれば残りの10キロは時間を観れば「おそらく半分進んでる、残り○分でつくはずだ」というのが分かって心の支えになったと思うから。

もちろん慣れている人はGPS装置なんかを使ったりしているのかも知れない。

【コースの知識】

今回出たつくばはHPにあまり情報がなかったのでどういうコースを歩くのかよく分かっていなかった。当たり前のことなんだけどコースが分かっていればまだいろいろ心の支えになったかもしれない。今回のコースはメイン会場(スタート&ゴール地点)があって、

・メイン会場からぐるっと回って戻る20キロ(1)
・メインから出て20キロ先の休憩所に行って同じ道を戻ってくる40キロ(2)
・メインから出て20キロ先の休憩所に行って同じ道を戻ってくる40キロ(3)

という編成だった。

(1)はスタート直後なこともあるし、距離も短いのでそんなにつらくない。(2)も7キロ10キロ20キロの3か所に休憩所があるのでそれは嬉しい。(同じ道を戻るので30キロと33キロにも休憩所があることになる)

辛いのは(3)のコース。これはスタート地点、つまり60キロ地点を出て12キロ歩かないと休憩所がない。ここは本当に精神的につらかった。まっすぐ続く道の先に(時間的に夜明け前の3時くらい)明かりが見えて「ああ、あれが休憩所かな」と思うと前を歩く人のランプだったりしてがっかりする。もし感覚的にでも「あとこのくらい」というのが分かれば楽になれたろうと思う。

事前に自転車でぐるっと走っておけば「ここの次にはこういうカーブがあって、このカーブを超えたら休憩所か」とか分かっただろうね。そこまでやるのはなかなか大変だろうけど。

【休憩の仕方】

僕らは休憩所に着くたびに腰を下ろし、時にはいったん靴を脱いで休んでいた。でも、いったん腰を下ろしてしまうと足ががちがちに固まり、また普通に戻るまでに1、2時間かかってしまう。たぶん休むと体が「ああ、もう終わりね、歩かなくていいのね」と思ってしまうんだと思う。こういう状態になってから歩くのはつらい。出来れば休憩所では水分補給くらいにしておいて、あまり腰を下ろさないほうがいいのかも知れない。(でもなぁ、休憩所で休まないって辛いんだよなぁ。。)

【帽子】

日中暑いかなと思ったので帽子を持っていったけどほとんど使わなかった。もちろん熱射病とかは怖いので持っていくに越したことはないだろうけど。

【補給物】

休憩所の度にアクエリアスが用意してあってこれは非常に嬉しかった。歩いている時は飲み物がない(僕はポケットが無いので持ちづらくて)のでちょっと困った。たびたびドッピオさんに「一口ちょうだい」と言っていた。やっぱり日中、日が射している時は汗をかく。そこでアクエリアスを飲むとかなり体が回復する実感があった。

あと休憩所にあったのは飴とバナナとメンチとキュウリ。どれも非常に嬉しい。飴は持ち運べるし手軽に糖分が取れる。バナナはすぐにエネルギーになるし、メンチは脂分と塩分が取れてうれしい。キュウリの爽やかな水分なんてそりゃ最高ですよ。

個人的にもっと欲しかったなぁと思ったのはしょっぱい物。汗をかくので塩分が不足していた気がした。ドッピオさんがビーフジャーキーをくれて嬉しかったけどもっと噛みごたえがないものが食べたかったと思う。

そう考えるとやっぱりお握りがいいのかなと思う。途中、コンビニで鶏五目お握りを買って食べたけどあれは良かった。可能であれば砂糖醤油につけた焼き餅とかあったらうれしかったな。

嬉しいというだけで言ってしまうと、日中は休憩所で「冷やしトロロそば」が食べたかった(次の日に食べた) 夜は豚汁が欲しかったなー。

【心の支え】

補給物にしてもコースを知ることにしても、タイムを計測することにしてもそれらは「心の支え」になったと思う。「○があるから大丈夫」「あと○分で着くはずだからもう少し」という風に。100キロとなると体力と気力の問題になると思っていて、その中で「心の支え」はかなり大事だと思います。


ということで途中リタイアでしたが、70キロ歩いてみて感じることはこんなところです。

70キロ歩くということは今までの人生になかったし、これからも多分ないんじゃないかと思う。「来年は?」とか言われるけどまぁ「もういいっす」という感じですね。

少なくとも歩いてみたこと無い人には「人生に一度くらいいいんじゃない?」とは言いたいけど。「楽しいの?」と聞かれると「ノー」というしかないけどね。
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100

2013-05-28 22:23:35 | スポーツ
100キロウォークに出てきました。

結論から先に言ってしまうと僕は72キロでリタイア。どーもすいません。


スタート地点


スタートから2、3キロのところ。田んぼの真ん中を歩く。


ブレブレだけど、休憩所のメンチカツとキュウリ。


僕がリタイヤするたぶん1時間前くらい。夜の明けた一本道。

70キロ地点で足が動かなくなり残り2キロを1時間くらいかけてなんとか歩き切り、72キロのチェックポイントで「もうダメっす」という感じでした。一緒に歩いたドッピオさんは見事完歩。すごいね、尊敬するわ。

100キロはね、長い。改めて思いますね。

72キロ地点で残り28キロなわけだけど「ああ、それは無理だなぁ」と思いましたよ。完歩できる人は本当にすごいと思う。結構お年を召した方がガンガン完歩していてすごかったよ。

72キロしか歩けなかったけど体はバキバキだし、足にはマメが出来ている。足のマメは「こんなに大きなマメ観たことない」というくらい大きなもの。

帰り際に事務局の人とかなんとなく喋ってた人から「来年は完歩で」とか声を掛けられたけどいやぁもういいです。「しばらく経ったら楽しい思い出しか残っていなくてまた出たくなるよ」と言われたけどほんとかね。

土曜日の13時にスタートして制限時間は日曜の13時だった。僕は日曜の朝6時ごろにリタイアしたのでドッピオさんをゴール地点で待っていた。11時頃かな、ドッピオさんがゴールして、その後、予約していた温泉宿に向かった。

これが結構ちゃんとした温泉旅館でね、雰囲気も良くて。温泉も悪くなかった。ドッピオさんは体が痛くて入れなかったようだけど。

ホテルの周りには食事をするところがないということなのでタクシーでふもとまで下りて一番近い焼肉屋で打ち上げ。

これまた僕ら好みの店でねぇ。

お父さんが一人でやっている、申し訳ないけどパッとしない店ではあるんだけど食べ物はだいたい旨かったよ。更に、今日の宿を言うと「じゃあ送ってくよ」だって。

ちょうど常連さんが一組来たんだけどお父さんは適当に酒をつまみを出して「ちょっとお客さん送ってくるからやってて」だって。すごいなぁ。さすがに僕もお店の人(しかも初めての店)で店長さんの車で送ってもらったのは生まれて初めてだ。


常々、僕は「町おこしのためには映画かマラソン大会だ」という主張をしている。

映画というのは最近「フィルムコミッション制度」というのが地方都市で一般的になった。町の役所が映画やドラマの撮影に協力し「ロケ地はここがお勧めですよ、お泊りはこういうところがありますよ」と斡旋する方式。これは結構有効だと思っていて、そもそも撮影隊が来るというだけでも町にはお金が落ちるだろうし、もしその映画が当たって「ここがキムタクと長沢まさみが夕焼けをバックにキスした海岸」なんてことで話題になれば更に観光客を呼べるだろう。実際、今の朝ドラの「あまちゃん」効果で岩手県久慈市は観光客が増えているようだし。

そしてもう一つは「マラソン大会」、マラソンで無くても今回のようなスポーツイベント。フルマラソン、トライアスロン、長距離ウォークなんかに出たいと思う人は案外多い。たとえば北海道にサロマ湖100キロマラソンというのがあるけどそれだって結構な人が参加する。なんと3,000人以上ですって。あんなところ(というと失礼だけど)にこれだけの人数を呼べるというのはかなりすごいと思う。

100キロ走るとなればそりゃ日帰りじゃ出来ないでしょう。前泊も後泊もする。ご飯だって食べる。お土産だって買う。気に入れば「次回来るときはもう一泊延ばして観光もしようかな」と思うでしょう。

今回のつくば100キロウォークももっとそこをやれば町おこしにつながるだろうなぁと思ったよ。

HPにあんまり情報がないので僕らは適当にネットで調べた宿を取ったけど「100キロウォーク出るならお勧めの宿」とか出しておいて「いつリタイヤしてもチェックインできます。ゴール地点まで無料送迎。筋肉痛にマッサージあり」とか出されたらみんな予約するだろう。

近所の名物かりんとう饅頭(うまいんだこれが)だって、100キロウォークの休憩所でちょっとサービスして「甘い物どうぞー」とやって、ゴール地点で「お土産にどうぞ」と売ればバシバシ売れると思いますよ。

つくば市はもっとこのイベントの可能性を掘り起こすべきだと思うなあ。


僕の(ささやかな)経験から「100キロウォークに出るために必要なこと」ということを後で書こうと思ってます。
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ワサビ焼肉

2013-05-22 22:46:49 | 食べ物
レバ刺し、

そう言えば今も食べられないんだっけ?

ま、いいや。

レバ刺し頼むとタレを聞かれますよね?

「ニンニク醤油、ゴマ油塩、生姜醤油、どれにしますか?」

みたいな感じで。

僕はだいたい「全部」と答える。好きなのはゴマ油塩だけどニンニク醤油と生姜醤油も捨てがたい。一番好きなのはニンニク醤油をつけたやつをゴマ油塩にグリグリしてそこに生姜乗っけたの。

タレだとか薬味は出来るだけ一杯あったほうが嬉しいね。

大阪出張でした。

駅からホテルの道のりになんかいい店あったら晩御飯食べたいなぁと思っていたら焼肉しかなかった。いや、ほんとですって。焼鳥とか食べたかったんだけどほんとにホテルまで焼肉屋しか見当たらなくて。

一人焼肉はあまり種類を食べられないから好きではないのだけど、ここは半人前もあるし一枚ってのもあるらしい。こういうのは一人にはありがたいね。

タレとだし醤油と塩で頂く店らしい。薬味はおろしニンニクと黒山椒、そして葉ワサビ。このバリエーションが嬉しい。


とにかく嬉しいのが葉ワサビ。

もうこれだけでツマミになるわー。

常々思うけど焼肉とワサビは合う。肉の脂がワサビの辛さを中和するのでそんなに辛くない。

マルチョウをワサビ醤油で食ったら旨くてさー。

ワサビ醤油に合うとこ下さいってお願いしたらハチノスを出してくれた。

ハチノスってあんまり食べないけどこれがうまーい!とろけるわ。あんまりハチノスがとろけるってないよね。

ワサビで食べる焼肉、これからも追求していこうと思うちょります。

そういえばレバ刺しをワサビ醤油で食べたことなかったな。今度やってみよう。
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「とりあえずアスファルトは敷きました」

2013-05-20 10:12:59 | DVD、映画
結構楽しみにしていた「探偵はBARにいる2」を観てきました。

1はDVDで観たんだけど案外良くて。僕は好きです。1のことは前に書いた⇒「探偵のいるBAR

はっきり言うけど、話の筋的には1も2もほぼ一緒。謎があって探偵が相棒と調査して、そこに謎の女が絡んできて。調査していく過程で悲しい過去が分かり。。女性が変わっただけでほぼ一緒の映画と言ってもいいんじゃないかと思う。

それが悪いと言っているわけじゃない。シリーズ物の映画ってそれを観たくてみんな観ているわけだし。

もうこっちとしては大泉洋の探偵と相棒の松田龍平が観られれば満足なんです。更に今回はそれに尾野真千子が絡むってんだから文句ないですね。

そりゃ話としては無理がありますよ。だいたいさぁ、中山峠越えたあたりの道でカーチェイスして更にサブマシンガンがんがんぶっ放して大事件にならないってのはさすがに現実離れしているでしょう。

でもほら、そこは映画だから。サービスでアクションと火薬多め、ってのは続編映画の基本ですよ。

1の舞台は基本的に札幌で少し小樽が出てきた。この小樽感が良かったんだよねー。何も知らない人が小樽を出そうとするとオルゴール堂だの運河あたりの夜景だのを出すところだけど(もちろん現実のそれらは素晴らしいし僕も好きだよ)、この映画における小樽は寒々しくていい感じにさびしくて「ああ、小樽だなぁ」と思ったの。

2では室蘭が少し出てきます。海と工場の町ってだけで僕は「いいなぁ」と思ったよ。僕の実家もそんな感じだから。

あと予告編を観たドッピオさんが「こういう『とりあえずアスファルトは敷きました』って道、北海道っぽいね」と言っていた。さすが道民、そのとおりだと思う。

映画の中でカーチェイスをする道が本当に「とりあえずアスファルトは敷きました」っていう感じの北海道っぽさでいい。北海道って広いからさ、こういう道多いんだよね。両サイドは森、標識も信号もしばらくなくてとりあえずアスファルト敷いただけ。そのくせたまに砂利道になったりする道ね。

あと、この映画は松田龍平だよねー。今回も最高。強くてとぼけてて。松田龍平は最近こういうちょっと外した力の抜けた感じの役が多い。それはそれですごくいいのだけれど、そろそろ直球ど真ん中のアクションものとかやってほしいなぁ。もう誰もが「かっこいい!」というくらいの。松田龍平主演で「蘇える金狼」をリメイクしてくれてもいいと思うんだけど。

尾野真千子はいつもの尾野真千子でした。もう少し出番が多くてもいいような気がしたけど。「尾野真千子は泣きがいい」ってある人が言っていた。僕もそう思う。少し顔が崩れるくらい心の底から泣いている感じがする。ドラマ「カーネーション」での号泣シーンも良かった。最近の泣きがいい女性はこの人と前田敦子です。がんがん泣いて欲しい(←変態)

繰り返しになるけど、話の筋に無理はあるよ。あれだけの事件に関係しておいて探偵が警察に引っ張られないわけがない。そもそも前作でエライ大事件に関わってるわけで。でも話が無茶なところが昭和ハードボイルド映画っぽくてまたよいと僕は思うんだよなぁ。昭和ハードボイルドっぽく必ずお色気シーンがあるし。こういう話の筋には関係ないお色気シーン、作ってる側が「サービスで入れときましたー」と思って入れてる感じがして、昭和っぽい。

このシリーズはこの路線で行ってほしい。年1回くらいやってくれると楽しいな。
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かっこいいというよりも「粋」

2013-05-14 19:41:53 | 
こないだ、年上の人たちと飲んでいて小説の話になった。

で、周りの3、4人が「浅田次郎の『天切り松 闇がたり』はいいよー!最高にかっこいいよ!」とテンションが2段階くらい上がって喋っていた。浅田次郎はどうも僕は今まで読んできたことがなくて『地下鉄(メトロ)に乗って』をたぶん読んだくらい。それもあんまりピンと来ていなかった。

この年齢になって何か自分の知らないものを「あれ、いいんだって!読むべき!」と押し付けるように薦められることって少ない。押し付けるように、って書いているけど決して悪い意味じゃないんだよ。僕だって本当に大好きなものは「いいから!もう黙ってこれ読んで!」と薦めることあるもん。

どうも最近はみんな遠慮がちになって、自分が一番好きなものでも「うん、まぁ、僕は面白かったけど、好みに合うかどうか、、、まぁ観てみてもいいんじゃないかな」と薦める人が多いような気がする。それはそれで気を使っていただいていてありがたいんだけどたまには押し付けられるのも悪くない。

極力、人から勧められたら四の五の言わずに本は読んでみる、映画なら観てみる、音楽なら聞いてみる、という姿勢でいたいと思っているので、読んでみましたよ。

ざっとしたあらすじ。

舞台はバブル期の日本。刑務所に一人の老人が入ってくる。最初は低姿勢だけど他の囚人とはどうも雰囲気が違う。松蔵と名乗るその老人は、自身の生い立ちを他の囚人に語り出す。彼の語り方は六尺四方には聞こえない不思議な声の出し方をする。その語り方は昔、盗賊の間で仲間うちだけで聞こえ、見つからないように話す「闇がたり」という手法。そして老人、松蔵は大正時代に、仕立屋銀次、抜け弁天の安吉、振袖おこんなどの仕立屋一門に育てられた伝説の夜盗「天切り松」だった。

彼の語る話は、山縣有朋元帥から伝説の金時計を盗んだ話、など、闇から語る大正・昭和史だった。

あのね、とかくかっこいい。かっこいいというよりも「粋」

なんかね、喋ってる台詞はちょっと歌舞伎っぽい。

「知らざぁ言って聞かせやしょう、目細安吉一家の若頭、黄不動英治たぁ、この俺のことよッ!」

みたいな感じでね。なんなんだろうなぁ、僕自身、歌舞伎の知識なんてほとんどないのに、歌舞伎口調で話されると「イヨッ!」と思ってしまうんだよね。たぶん、日本人のDNAに刻み込まれているリズムなんだろう。

夜明け前の東京、屋根の上を走る英治の後ろに月に照らされた桜吹雪、みたいな感じで情景もかっこいいの。

思わず読みながら「いよッ!〇〇屋!!」と大向こうから掛け声掛けたくなるよ。

エンターテイメント物だからススッと読んで行ける。いいもの教えてもろたな。あと3巻くらいあるらしいのでしばらく楽しめる。
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楽しいとつまらないの間

2013-05-12 00:11:48 | 音楽
ギターを習っています。

月2回程度、1回1時間のゆるーい習い方だけど。習い始めて3ヵ月。

今はあんまり楽しくない時期です。もちろん教え方が悪いとかそういう話じゃなくてね。

これは僕だけかも知れないけど、何か新しいことを始めたときの「楽しさ」というのはこんな曲線を描けるのではないかと思っている。

つまり、最初は楽しい。しばらくするとあまり楽しくなくなる。そのうちまた楽しくなる、そしてまた楽しくなくなる、、の繰り返し。

30過ぎてから、毎年何かを始めてみよう、と思って始めてみて、確信を持っているのはこういうこと。なんだってこの曲線だった。

始めた当初は何も知らないことばかりだから、習うことすべてが楽しい。毎日毎日上達していく感じがする。それは楽しい。そのうち、上達するのに時間がかかることをやらなきゃいけなくなる。だいたい地味なことね。それって自分の上達はなかなか見えない。

僕のギターで言えば、最初はドレミを覚えて弾いてるだけでもそりゃ楽しかった。今はいくつかのコードを覚えているところ。それぞれのコードを押さえろ、と言われれば押さえられるんだけど、普通に(プロ並じゃないよ、なんとなく普通の曲になっているくらいに)早く押さえようとすると出来ない。いまはここを練習しているところ。

だから今の練習はただ単に「A、、、E7、、、D、、、」とコードを押さえているだけ、ということになる。全く音楽には聞こえない。ちょっと前まではとりあえずドレミに慣れるために第九とかを弾いていた。弾ける人からしてみれば「なにやってんの?」って話だろうけど、それでもそれなりに音楽に聞こえるので楽しかった。

今はあんまり楽しくない時期。ただ「ここを乗り越えればまた楽しい時期が来るんだろうなー」という確信はあるのでやってる。

そうそう、ギターと言えばだいたい初心者がつまずくのが「F」というコード。これは人差し指で1、2、6弦を押さえ、中指で3弦を押さえ、小指で4弦を押さえ、薬指で5弦を押さえる、という本当に「えーっとちょっと言ってることがわかんないです」というもの。

「オレ、そういうの出来ないんだろうなぁ」と思ってた。だけど2、3回やったら出来た。

だいたいこういう身体とか指先を使うことって僕の今までの人生で、普通の人がつまづくところは必ずつまづくし、普通の人はつまづかないところもだいたいつまづいてきた。

でもFは出来る。「普通の人はつまづくけど僕はつまづかない」というのは生まれて初めてかもしれない。これは結構、感動的に嬉しかったなぁ。

ということで今日も練習。

「A、、、E7、、、D、、、えーっとえーっと、、F、、、A、、、」
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完全ネタバレ「舟を編む」レビュー

2013-05-07 16:06:41 | DVD、映画
「舟を編む」って映画を観て来ました。これは原作が良かったので見たかったの。

関係ないけど、最近は本が出てからすぐ映画化されるねー。

良かったですよー。泣きました。映画観てると僕は2回に一回は泣くのであんまり参考にならないと思うけど。

「原作読んで面白かった方」「松田龍平が好きな方」「辞書が好きな方」は観て楽しめると思います。

特に松田龍平はすごい。松田龍平が出てるだけで最近はもう100点。とにかく本当に大河ドラマ三国志では曹操をお願いしたい。人間くさくて冷徹でそれでも魅力あふれる曹操になると思う。「探偵はバーにいる2」が楽しみだー。

あとはもう「この映画のここ好きだなー」という話だけなのでがっつりネタバレです。一応、別リンクにしときました。作品解説なんて立派なものじゃなくて「ここ良かったなー」というだけの話です。

どうぞ⇒『完全ネタバレ「舟を編む」レビュー』
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じぇじぇ

2013-05-06 18:13:50 | DVD、映画
最近、「あまちゃん」観てます。NHKの朝ドラね。

テレビでは観られない(うちのテレビはアンテナ繋げてないから)し、毎日観るのはあんまり性か合わないからNHKオンデマンドでまとめて観てます。

いや、あのですねー、朝ドラは「カーネーション」から気になってたの。いたるところで「あのドラマはすごい」って話聞いてて。

で、合気道の人たちと飲んでる時に「あまちゃんは面白い」って聞いて「ウチ、テレビ観られないんすよねー」って言ってたらいまネットで観られるんですって、ご存知でした?奥様。

NHKオンデマンドって登録とか面倒なんじゃないのかなーと思ってたけど、iPadでサクッと観られていいね。

宮藤官九郎脚本だけあってやっぱり面白いです。

個人的には「桐島、部活やめるってよ」の人たちが出てるのがいい。ヒロキとカスミ。カスミなんてかなりメインなのね。これからリュウタも出て来るらしのが超楽しみ~。

舞台が岩手県沿岸と言うのが個人的に最高ですよ。僕の父の実家に近いあたりだから。みんなあのあたりの南部弁話してて僕としては非常にしっくり来る。

ただ一つだけ言うと、ウニ取れなさ過ぎじゃない?ま、いいんだけど。
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東京だよ、おっかさん

2013-05-06 02:29:55 | 日記
両親が来てました。

下の妹が妊娠しているので様子を見に。えーっといつ予定日だったかなー?仕事は産休に入ったので近々なはず。

晩飯は浅草でとのことなのでスカイツリーが見えるとこに行って来ました。なんつーか「東京だよ、おっかさん」みたいな感じ。

アサヒビールの上のレストラン。


生ビールを模したビルのちょうど泡のとこ。

スカイツリーが近くに見える。

そのあとはスカイツリーが見えるテラスのバー。


スカイツリーはねー、嫌いじゃないです。だいたいああいう大きなものは「どうもねー」と思うたちなんだけど。

スカイツリーが出来て浅草歩いてる人はみんなだいたい上を向いて歩いてる。

それだけで悪くないやね。
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藁の楯

2013-05-02 01:17:26 | DVD、映画
藁の楯って映画を観ました。面白かったですよ。

何にも知らないほうが楽しめると思うので以下、ストーリーのネタバレはほとんどしてませんが、それでも「ほんとに何にも知らない状態で観たい」という人は読まないほうがいいかも。


(しかし毎回思うけど、最近の予告編は見せすぎだと思う。少しでも「面白そうだな」と思ったら予告編も見ずに観に行ったほうがいいすよ、損はしません)

ストーリーはシンプル。幼女を殺した犯罪者がいる。「その犯罪者を殺したら10億円やる」とその養女の祖父である大富豪が賞金をかけた。その犯罪者が福岡で警察に捕まる。警察としては、裁くために東京まで移送しなければいけない。それを狙って日本中が容疑者を殺そうとしている。その容疑者を殺して服役しても10億円もらえるから。その犯罪者は裁判になれば死刑になるだろう。とはいえ、法治国家としては公開殺人をさせるわけにはいかない。だから、その犯罪者を守るSPたち。この設定だけでドキドキするじゃないですか。

なにより、僕の好きな「でも、やるんだよ!」映画です。

「守る相手は守る価値もないクズ、組織は腐ってる、仲間は少ししかいない、周りは敵だらけ、そもそもやめてしまえば10億円もらえる、でも、、、でも、やるんだよ!」

いいですねー。

それを結構大きいスケールで映画化してましたよ。大きいスケールと言ってもそれは邦画としては、であって、ハリウッド映画にしたら予算なんて大したもんじゃないだろう。だけど、それでもこれだけのもの作ってくれるなら、もうそれだけで拍手したいですよ。

単純にアクション映画としても面白かったし、もっと深い、答えの出ないテーマもありました。

そのテーマというのは、人が人を裁くとは、人が人を死刑にするとは、どういうことなのか、ということです。

こんな難しいテーマを退屈ではなく飽きさせず、エンターテイメントにしていた。素晴らしいですよ。

もちろん答えは出してない、それは見た人が考えなければいけないんだろう。

「もし自分があの状況にいたら?」とついつい考えてしまうね。

でも繰り返すけど映画自体が難しいわけじゃない。

役者も良かった。

メインキャストは言うまでもないとして、話をレベルアップさせているのは山崎勉ですね。「マルサの女」で権藤という非常に見応えのある悪役をやっていたけどそれを彷彿とさせた。僕としては、がめつく脱税していた権藤が査察を受けて一度負け、それでも這い上がり財を成し、でも、孫を失ってしまった、という風に見えてしまった。そう考えると権藤の人生って悲しいんだよなー。

あと若い刑事が良かった。

1点だけ、本当にどうしようもないけど言わせていただきたい。それは藤原竜也の犯人役。いや、よかったですよ、僕も充分満足しましたよ。でもねー、監督が「十三人の刺客」の人なので、悪役・クズ、と言われるとやっぱり「十三人の刺客」の稲垣吾郎を期待しちゃうじゃないですか。でも残念ながらそれほどではなかった。藤原竜也ならできると思っていたんだけどなぁ。この人が稲垣吾郎を超える「狂気」だったらこの映画はもっとすごくなったと思う。もちろん、僕の期待が大きすぎるのかもしれないけど、それくらい藤原竜也には期待していた。藤原達也には出来ると思うんだけどなー。藤原達也と神木隆之介にはぜひ「ダーティ・ハリー」の悪役「スコルピオ」並みの悪役をいつかやっていただきたい。繰り返すけど、今回の藤原達也が悪いわけではまったくなくて僕の期待が大きすぎるだけです。

ということで、こういうのは何も知らないで見に行ったほうがよいと思うのであまり書きませんが、オススメです。
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