浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

サンプラーについて(ポートランドビールレポート補足)

2018-09-07 16:30:09 | 食べ物

ポートランドビールの「サンプラー」についてちょっと補足。

クラフトビールは一つの醸造所だけでも下手すると10種類くらい種類があって、それをちょっとずつ試せる「サンプラー」というのがある。60ml~80mlくらいの小さめのグラスに何種類か入っていて8ドルとか。

まずその飲み方がとっても楽しいし、各店でその提供の仕方、特にグラスの下に敷くトレイが違うので観るのが楽しい。いくつかご紹介。



これはWidmer(ウィドミア)。これが僕はすごく一般的なパターンだと思うんだけど、木のトレイにグラス用のくぼみがあってそこにグラスが入れられるようになってる。



これはDeschutes Brewery(デシューツ・ブリュワリー)。なんて言えばいいんだろう、取っ手のついた板(ほんとこういうのなんていうの?)に6個のくぼみがあってそこにグラスを置ける。



これはポートランドで一番古い醸造所であるBRIDGEPORT BREWING(ブリッジポート・ブリューイング)のサンプラー。この写真は2015年に行ったときのもので、今回は下のように変わっていた。



全体の写真を撮らなかったのが本当に悔やまれる。。



公式インスタグラムに写真があった。要は醸造所の名前の通り、橋を模した形になっていて真ん中にロゴが入っている。持ち運ぶときは取っ手を持ち上げて持てるようになっていて最高にかっこいい。橋好きとしては売ってたら思わず買おうかと悩んでしまうところ。。



これはEcliptic Brewing(イクリプティック・ブリューイング)。Eclipticは「黄道」、つまり太陽の通り道、という意味なのでちょっと宇宙っぽくしているのかな、渦巻き。



そして今回のお気に入りサンプラー、StormBreaker Brewing(ストームブレイカー・ブリューイング)。無垢材にワックス掛けただけっぽい木の枠、グラスはたぶんジャムかなんかの空き瓶かな。いいね、この手作り感。

と、このようにサンプラーを見ているだけで楽しめるのでぜひいろんな店でお試しくださいませ。

ミシシッピ St.から(下)【ポートランド・ビールレポートその2】

2018-09-06 15:18:20 | 食べ物
イクリプティックを出てレッドさんについて道を上がっていく。



地図でみるとこんな感じ。下(南)にイクリプティック・ブリューイングがあり、道を北に上がっていく。

すると、それまでは殺風景な風景だったのが一気におしゃれな(いわば、Hipな)雰囲気になってきた。




…いやごめん、写真の撮り方が下手なのであまりおしゃれに見えないと思うけど。。ホントはもっとおしゃれです。このミシシッピ・ストリートというのはここ最近、人や店が増え、流行ってきている通りとのこと。

この通りの成り立ちがとてもおもしろかった。そもそもこの通りは郊外なんで静かな住宅街で、めぼしいものと言えば音楽スタジオしかなかったそう。そこに15年ほどまえに「リ・ビルディングセンター」というボランティア施設が出来た。

この施設は、家を取り壊したときなんかに出る廃材を無料で受け入れ、それを整理・整備し、安く販売する施設。よく見るとこのセンターの建物自体、廃材の窓を使っているので窓枠がバラバラ。

柵も古い金具(ドリルとかラチェットとか。丸いのはたぶん電気丸のこの刃)を再利用。


カッコいいな!普通に欲しいよ。





中はこんな感じ。洗面台、窓枠だけでもたっぷりある。

すごいざっくりした東急ハンズを思っていただければ遠くないかもしれない。手作り好きな人なら宝探し的に楽しめると思う。

で、安い資材を求める人がここに集まるようになり、そうなるとその人たちにコーヒーを出す店が出来、ランチを食べられる店が出来、そうなりゃ当然、夜はビールが飲める店が出来、、と発展してきたとのこと。

このリ・ビルディングセンターを「Magnet」、つまり「磁石」に例える人もいた。こういうのはとってもいいね。日本だとつい町おこしというとハコ物を作りがちだけどハコを作ったってなかなか人は集まらない。リ・ビルディングセンターという実用100%の施設が人を呼び町を作った、というのはとっても面白い。


町並みはとても賑やか。

面白いな、と思ったのがこの通りの路上駐車。もちろんほとんどは違法駐車ではなくパーキング・メーターにお金を払って停めている。それを飲食店も利用している。

人気になって店内の席だけじゃ足りない場合、恒久的に3台分くらい市から路上を借りてしまう。そこに屋根を作りベンチをおいて客席にしてしまう。面白いね。


左側がお店、軒先にも椅子とテーブルを出してるけど足りなくなったので、歩道挟んで路上にも客席を作ってる。この路上の客席はつまり本来は道路ということ。

店としては低コストで客席を増やせるし、市としては安定的に駐車料金が得られる。もちろん客席が増えればお客さんの待ち時間も減る。

日本だと道交法とかの問題で難しいだろう、もったいないことだよね。こういうのどんどんオッケーにしちゃえばいいのになぁと思う。(いや、もちろんいろいろ問題もあるんだろうけどさ)

別の日だけど、この通りに古くからあった音楽スタジオは今はバーになっててそこでハンバーガーを食べた。


パンが白パンでうまかった。


夜はたまにここで映画を流したりするみたいだし、暖炉もあって冬でも外で飲めそうだった。

これもさ、日本だと飲食店が外で映画流したり火を焚いたりするするのは法律的に色々問題あるけど、ある程度は許してくれたほうが楽しくなくなると思うんだけどなぁ。。派遣法とかの規制緩和とかよりこういう楽しいことの規制緩和を進めてくれたほうが僕は嬉しいんだけど。

ビールツアー2件はこのリ・ビルディングセンター向かいの「Stormbreaker Brewing」。Storm breakerというのはアベンジャーズ/インフィニティ・ウォーでソーが新しく作った武器、、ではなくて(いや、そうでもあるんだけど)、ポートランドではネイティブ・アメリカンの言葉でこのあたりの「カスケード山脈」を指す言葉とのこと。



カスケード山脈はカリフォルニア北部からオレゴン、ワシントン州に伸びる山脈のこと。海と並行してあるので、海からの嵐を止める。その結果、山脈の内側まで嵐が来ない、ということで嵐を壊すもの、という意味でStorm breakerとのこと。

その名を使った醸造所でこれまたいくつかの種類のビールを試す。

特に「おお、これいいね」と思ったのがHazy(かすみ、もや)と言われる濁ったビール。まろやかで飲みやすいし甘みがあるんだけどしつこくない。もちろん香りも良い。苦味の強いビールは好きじゃない、という人にはこっちのほうが好まれるかも知れない。

後日、ストームブレイカーの瓶ビールを自分用にお土産として持って帰ってきたんだけど、この「ニューイングランドスタイルペールエール」も少し濁りがあり、とっても美味しかった。

腹の底から「うまいなぁ~」と実感するタイプの味。それってどんな味か?大丈夫です、飲めばわかります。

この店はビールももちろんとっても楽しかったけど、店の作り自体が非常に面白かった。店の前にリ・ビルディングセンターがあるからか店の内装が手作り感溢れていた。それ故にテーブルも椅子も不揃い。


ふたつあるトイレのドアについてる鍵も不揃い。




でもねぇ、結局こういうのでいんだよね。ついつい新しくお店をオープンしようというといろんなものを新品で、揃えて店を作ろうと思っちゃうけどそういうとこのお金を抑えてもっと大事なこと、つまりは美味しいビールとか、に回してくれたほうが客としてはありがたい。

というわけで今回もたっぷりポートランドのビールをいただきました。

とにかく本当にポートランドのビールというのは種類が多くて楽しい。行かれることがあったら、ぜひサンプラー(いろんな種類をちょっとずつ飲める)を頼んでいくつかの種類を飲んでみてください。絶対に自分好みのビールが見つかると思うから。

ミシシッピ St.から(上)【ポートランド・ビールレポートその2】

2018-09-04 13:56:32 | 食べ物
到着2日目は「オ州酒ブログ」さんのビールツアーに参加。本当は土曜日はツアーを開催していないようだけどなんと個別ツアーをやっていただけることになった。ラッキー♪

まずは「Ecliptic(イクリプティック) Brewing」へ。


そもそも、このブリュワリーのあるあたりだけど行きすがら「自分一人だったら絶対来ないよなぁ」と思っていた。このあたりというのはここ10年くらいで発展してきたエリアらしくこのイクリプティック・ブリュワリーに行くには、例のWidmerから道を登っていく感じ。「ほんとにこんなところに店あるの??」と少し不安になる。



ストリートビューではこんな感じ。

右側の灰色の建物がイクリプティック。たぶんこのストリートビューは少し古くて、今ではもう少し建物が出来てはいるけどちょっと殺風景であることは変わらない。

なかなか、観光客はここまではいかないだろうなぁ、と思うところに行ける可能性があるのがツアーの良いところ。

ブログ管理者でありツアーガイドのRed Gillenさんからお話を伺いながらイクリプティック・ブリュワリーのビールを頂く。


Redさんによると、ポートランドでこれだけビール作りが盛んになったのには3つの理由があるとのこと。

1,ポートランド近郊の豊かな水源と農地

このあたりというのはマウント・フッドという山がありそこからよい水が流れてくる。ビールづくりに重要な水が確保できるということ。これは確かに実感として理解できる。ポートランドでは普通の水道水で十分に美味しい。だいたい皆さん水筒を持ち歩いていていろんなところで飲料水を補給している。更にビールに必要な麦芽やホップなんかも安定的に採れる。こういう自然環境に恵まれたということがビールづくりが盛んになった理由のひとつだそう。

2,チャレンジ精神

ポートランドでは「とりあえずやってみよう」というチャレンジ精神が根付いている。例えば若い人がガレージで「とりあえずビールでも作ってみるか」とビールを作り出したり、きちんとしたブリュワリーでも「こんな感じで新しい味を作ってみるか」と作ってみたりしている。これにより、もちろんたくさん失敗もするけど新しい、美味しい、面白いビールが出来、ポートランドビールの下地を広げていっている。

例えば、ということで聞いたのが最近のポートランドビールではHazy(霞、もや)という種類が出ているらしい。これは僕も飲んだけどこれはこれでとっても美味しかった。



この写真の真ん中のもの。イメージ的にはにごり酒みたいなものですね。

頭の固い人は「ビールが濁ってるなんて!」というかも知れないけど「いいじゃん、作ってみようよ」と作ってみて「うまけりゃいいじゃん」ということ。

3,シェアしあう風土

ポートランドではブリュワリー同士が学び合い、教えあっている。例えば近所のブリュワリーだと普通は「商売敵」な訳で、自社の秘密なんて教えられない、と思うけど、そんなこと気にせずに聞きに行ったり、聞きに来たら教えてあげたり、ということをしている。これは非常にポートランド独特の文化とのこと。(余談だけど、後日、他の場所でもこの文化について聞いた)これによって、日本語でいえば「切磋琢磨」しあってビール文化が高まっている、とのこと。

なるほど。

この3点に基づいて活発化しているのが「ビール文化」ってのがいいね。堅苦しくなく、気軽に飲めるビールってのがさ。

(続く)

【ポートランド・ビールレポートその1】

2018-09-03 13:34:47 | 食べ物
またポートランド(アメリカのオレゴン州)に行ってきました。

3年ぶり2回め。前回の内容はこちら→「ポートランド旅行記」

今回はポートランド在住のむめもさんに、ポートランドのまちづくりについてのオープン講座にお誘いいただき、勉強半分・観光半分。

まずはビールからですね、ポートランドですもの。

改めてお伝えすると、オレゴン州ポートランドは「マイクロ・ブリュワリー」という小さな醸造所がたくさんあることで有名。それぞれの醸造所が多彩なビールを作っており、そういうのを試しているだけでとっても楽しい。

着いた初日にまずは「Widmer brothers」へ。

何はなくても僕にとってはポートランドビールといえばまずWidmer IPA。3年前にポートランドに来たとき、初めてこのビールを飲んで「な、な、なんなのだこれは!?」と衝撃を受けた。

もちろん、僕はビールが好きだけどこんなに衝撃的なビールはそれまで飲んだことがなかった。その頃、僕の知っているビールといえば普通のビール(つまりまぁ、一番搾りだの黒ラベルだの)かギネスなんかに代表される黒ビールくらいしか種類を知らなかった。そんな時にIPAを飲んだらこれが美味しくて美味しくて。更に同じWidmerのHefeweizen(へフェヴァイツェン)を飲んで「おお、これまたぜんぜん違う!!」と思った。これが僕がクラフトビールにドハマリするきっかけだった。

思い起こしてみると、僕は3年前のポートランドでIPAというビールを生まれて始めて飲んだんだけど、その頃って日本でIPAって本当に飲めなかった。そりゃ非常にマニアックなビール好きの人は知っていたかも知れないけどそれでもやっぱりわざわざ自らネットで調べたりして専門店にいかないと飲めなかった。それが今ではヤッホーブルーイングのIPAがコンビニにあったり、KIRINがGrand KIRINのブランドでIPAを出しててスーパーにおいてたりする。日本のビアシーンも変わってきたなぁと実感する。僕は「豊かさ」というのはひとつ「種類の豊富さ」でもあると思っていて、日本のビールが「豊か」になっていくのはとっても良いことだと思う。


つーことでまずWidmer IPA。道の向かいのオープンスペースでも飲めるようになっててとっても気持ちがいい。

うーん、コレだぜ!って感じ。

店内に移って更に別のIPA。

これは「Warpin'Dropin'」というネーミング。どのIPAも、というかどのビールも、味が多彩でとっても楽しい。

困るのは、何杯か違う種類を飲んでいると「うーん、2杯前に飲んだの美味しかったからもう一回飲みたいな。あれ?3杯前だっけ?最初に飲んだやつだっけ??」と飲めば飲むほどわからなくなってくること。まぁ、楽しいからいいんだけど。

そうそう、3年前と比べて、今回気付いたんだけど、バーのビアメニューが紙でテーブルに置いてある形ではなくてカウンター上のモニターに映されているのが増えた。今回、お店に行ってまず「ビアメニューあります?」と聞いたら、「これ見てね」と頭上を指さされることが多かったように思う。

つまりこれは、ビールの種類が多くて入れ替わりが激しい、ということなんだろうね。各醸造所が実験的にいろんな種類のビールを作っているということ。イメージとしてはもう鮮魚居酒屋が黒板に「今日のオススメ」みたいに書いてるようなのに近い。この一期一会感がね、ポートランド・ビールは楽しい。

Widmerは地元では大きめの醸造所であり、コンビニでも瓶ビールが売っている。


Widmerを出てもまだまだ日が高くハッピーアワー(早い時間はお得、みたいなことをほとんどのお店がやっている)にも間に合うので街中にある「Lardo」へ。

Lardoというのはつまり「ラード」、豚の脂のこと。ポークサンドウィッチがメインだけどビールもたくさんおいてあって楽しい。

道端で飲めるしね。やっぱり外飲みは気持ちが良い。



なんと言ってもここはハッピーアワーがお得。通常1パイント6ドルがハッピーアワー(15時から18時まで)だと3ドル。なんと半額ゥゥゥ!!それと大きなピクルスが一本1ドル。どうしてもアメリカにいると脂っこくて炭水化物たっぷりの食事が多くなるのでこういうあっさりしたものは嬉しい。


ビール2杯とピクルス一本、ビール1杯毎にチップ1ドル払っても10ドルで1ドル余るというこの安さ。素晴らしい!近所にあったら毎日いくなー。

(続く)