浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(ネタバレなし)

2017-05-22 14:43:44 | DVD、映画
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」が公開されています。まだ公開直後なので、その話は全くしませんし、僕の感想も書きません。ネタバレとか気にされる方もどうぞお気になさらず。

予告編貼っときます。「予告編すら観ないでまっさらな状態でみたい」という方はどうぞ予告編もご覧にならずに。

MovieExpress『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』予告編


ただ一個だけ、邦題について言っておきますね。それくらいはいいよね?

この映画、原題は「Guardians of the Galaxy Vol. 2」、順当に考えれば邦題は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2」で良いところだろう。だけど「リミックス」になっている。普通、「Remix」と言えば「既存曲を幾つか組み合わせて新しい楽曲を作る」ということなんで、映画で「リミックス」とついていれば、「元の映画の再編集版」と思われるかも知れない。

実際、Twitterとかでも「リミックスかと思ったら2(続編)なんだ」という意見も少なからず見つけた。

うん、確かに紛らわしいよね。

なんで「2」にしなかったんだろうか。僕は3つ考えている。

【1】「2って言うよりリミックスって言ったほうがかっこいいじゃーん」みたいなノリ。流石にこのパターンは考えづらいだろ、と思ってますが。もしそうだったとしたら、こういうのはほんとダメですね。翻訳家の柴田元幸が「直訳で行ける時は直訳でいい」と言ってた。こういうところで独自性出さないほうがいい。

【2】「2って言うと1観てない人が『1観てないし観るの面倒だから今回もパス』と思うかも知れない、だから2ってバレないように『リミックス』って付けとこう」というパターン。これもね、僕は本当にダメだと思う。確かに「1観てないから今回もパス」と思う人もいるかも知れない。だけどさ、そこを逃げちゃダメじゃん、続編なのは確かなんだし、前作観てるからこそ楽しめる場面もあるんだから。

普通にねぇ、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2」にすれば良かったのにね。

ま、そんなタイトルがどうでも良いくらいご機嫌な映画ですからぜひー。あ、1ももちろん合わせてぜひー。


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

地元ビール、地元野菜

2017-05-16 15:38:48 | 食べ物
クラフトビール(地ビール)が好き。

以前、アメリカのポートランドに行った時、そこはビール作りが盛んなところで様々なビールを飲んですっかりハマってしまった。

で、僕の地元の町にもクラフトビールが有ると聴き、先日帰省した時に、いそいそと出かけてみた。

Paradise Beer factory


調べてみると素材から地元のものを使い、水はなんと鹿島神宮の御神水を使っているらしい。鹿島神宮ってのは湧き水が有名なところでね。

自分の生まれ育ったところの水(もちろん僕は御神水で生まれ育った訳ではないけどまぁ水脈は同じだろう)ってのは一口飲んだ瞬間に「コレだぜ!」って感じがする。

もちろん、どこのクラフトビールをそれぞれの味があり面白いけども、こういう「自分を形作った水のビール」を飲めるというのは格別に幸福なものだと思う。

Amazonでも売ってた。


Paradise Beer Factory (パラダイスビアファクトリー) 鹿島神宮御神水使用クラフトビール6本セット(800/本)

この醸造所(マイクロ・ブリュワリーってやつですね)は小規模な農業をやっているらしく、食べ物はこれまたこのあたりで取れた食材を使っている。うん、ピザ美味かったよ。

こういうのってさ、不思議なことにいっつも「地元で採れた新鮮なルッコラ」が美味い。なんでだろ。ルッコラなんて(なんて、というのも失礼だけど)、僕はあまり買わなくて、だから「美味しいなぁ」と思うことがあまりない。もちろん嫌いじゃないけど。だけど、こういうところで食べると「採れたてのルッコラって美味いなぁ」としみじみ思う。

地元の友人達に聴いても「こんなところにこんなおしゃれなお店があったんだ~」って感じなのでなかなかまだまだ知られていないようだ。

鹿島神宮の大鳥居の目の前なのにね。これからも頑張って頂きたいものです。

アゲアゲ

2017-05-07 20:27:54 | 食べ物
一般的な一人暮らし男性よりは料理をする方だと思う。

とは言えほとんどしないのが揚げ物。もちろん揚げ物は好きなんだけど温度管理とかが難しくて。

ということでフライヤーを買ってみた。


山善(YAMAZEN) 電気フライヤー 揚げ物の達人 ホワイト YAC-120(W)

元々は油を使わず揚げ物が出来る!みたいな商品を新聞広告で見かけて調べてみたんだけどどうもピンと来ず。ま、揚げ物ったら油だろ、とこちらにしました。

ゴールデンウィークの帰省に合わせ実家に送り、便利なようなら自宅に持ち帰るしそうでないな実家においとけばいい。

加えて串カツ用ソースも発注。

大黒屋 なにわ名物串かつソース 1800ml

で、やってみました。


楽しい!美味しい!簡単!

やっぱさー、揚げ物はテンション上がるね。揚がってるし上がってる。

油飛ぶかなと思って庭でやったんだけど、そんなに油飛ばないから屋内でも大丈夫。串を刺すのと衣着けるのが面倒と言えば面倒だけど、まぁ着けちゃえばボンボン揚げるだけ。

「孤独のグルメ」でさ、主人公が、

「ご飯があるのか、そうなれば話が違う。ここに並んだ大量のおつまみがおかずとして立ち上がってくる」

と言うシーンがある。

「フライヤーと串カツソースがあれば大量の素材が串カツとして立ち上がってくる」、と僕は言いたい。

とりあえずやってみたのは魚系、マグロ、サーモン。これは手巻き寿司をやったやつの残り。

それから野菜、もちろんナス、長ネギ、玉ねぎ、カボチャ。カボチャ最高。

あとはジャンク系。チーズ、スモークチーズ、ウィンナー。やっぱね、やっすいウィンナーの方が美味い。

実家なんで姪っ子たちがいるんで子どもには大人気。

余りに人気で実家がフライヤー欲しいとのことで持って帰らないことに。自分用にもう一個買わなくちゃな。

映画「美女と野獣」根掘り葉掘り

2017-05-01 23:00:33 | DVD、映画
ゴールデンウィークで1日ということでこりゃ映画を見るしかないやね。「美女と野獣」を見てきました。

「美女と野獣」日本版本予告


偶然、ちょうどこのような本を読んでいまして。


ストーリーメーカー 創作のための物語論

古今東西の様々な物語というものは色々なところで共通した要素を持っている、というのはよく言われることです。それを分析したもの。うん、面白かったよ。

で、ちょうどこれを読んでいたところだったので「美女と野獣」を見ていても「おお、これはその通りじゃないか」と思うところが多々あった。ということでそういう話を根掘り葉掘り。お断りしておきますが映画「美女と野獣」のネタバレをがっつりします。良い映画だと思うし、お金もかかっているし、俳優陣もとても良いから観る価値は確実にあると思う。なんたって「ディズニー印」ですからね、そりゃある程度以上の面白さは確実にあるだろう。なので、ぜひご覧になってからのほうがいいと思います。

ちなみに僕はディズニーアニメ版「美女と野獣」は観てません、すいません。なので、これからの話は解説だとかそんな大仰なものではなくて、単なる僕の感想ね。ご了承くださいませ。

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さて。書籍「ストーリーメーカー」の話からまず入りますが、この本の中で、「物語の基本中の基本は『行って、帰ってくる』である」というのが冒頭に書かれている。

例えば、桃太郎は「鬼ヶ島に行って、帰ってくる」、浦島太郎は「竜宮城に行って、帰ってくる」だものね。で、じゃあどこに行くかというと「今の世界とは違う世界」、それはファンタジーだったら「日常とは違う、例えば怪物がいるような世界」だろうし、もっとリアルな、日常的な話であれば、例えば「安住していたところから何かちょっと違う世界(例えば外国だったり、異文化、何か会社とかそういう組織とか)に行って、結局、帰ってくる」ということになるだろう。

関係ないけどさ、つい先日、久々に「パルプ・フィクション」を見たのね。それで思ったんだけど、これほんと「行って帰ってくる」ばっかりの話だな、と思った。ご存知の通り「パルプ・フィクション」はいくつかの話が狂言回し的に組み合わさっているんだけど、それら、ジュールスとビンセントの話は「裏切った学生のところに行って盗まれたものを取り返して、ボスのところに帰る」だし、ブッチの話は「街から逃げ出そうとしたけど時計を忘れて自分の部屋にもう一度行って、またモーテルに帰ってくる」、ビンセントどミアの話は「ボスに頼まれて奥さんのミアを連れてレストランに行って、ボスの家に帰ってくる」って話だよね。

さて、「行って、帰ってくる」というのが「物語」の基本なんだけど、もちろん「ただ、行って、帰ってきた」ってんなら物語にならない。そりゃそうだ、それはもう「散歩」だものね。行った先に何か「目的」があったり、あるいは行くときには特に目的が無かったんだけど行った先で何かしらに巻き込まれる、とか、そういう「出来事」が無いと物語にならない。上記のパルプ・フィクションで言えば「行った先でトラブルばっかり」な訳だけど。あるいは、何も出来事は無いんだけどただ行くその道すがらがとても興味深い、とかでないと物語にならない。

主人公がたとえば宝を探しに、とか怪獣倒しに、とかのために、「行き」、それを達成して、あるいは達成できなくてもいいんだけど「帰ってくる」、あるいは「帰ってこれなくなる」でもいいんですが。

この前提に基づいて、この本で紹介されているのがウラジミール・プロップという人が書いた「昔話の形態学」というもの。このプロップという人は様々な昔話を要素に分解してみた。そうすると物語には「8種類の登場人物」と「31の要素」がある、と言っている。

まず、8種類の登場人物について。
1,主人公
2,偽の主人公
3,敵対者
4,贈与者
5,助手
6,王女と王
7,派遣者
8,追跡者

細かい説明は省くけど、僕が面白いなと思ったのは「贈与者と助手」、贈与者は主人公のために何かをくれる人、助手は主人公を手伝ってくれる人。例えばスターウォーズで言うとオビ=ワンは「ライトセーバー」をルークに「くれる」ので贈与者、一方、ハン・ソロはルークをミレニアム・ファルコンに乗せてくれるので「助手」。

ここでね、「美女と野獣」で「あ、この人助手だ」と思ったのがさ、ベルの父親が居なくなって馬だけが村に帰ってくる、その時にその馬はベルを乗せてビーストの城に連れて行ってくれるんだよね、つまりベルはこの馬のおかげで別の世界(=ビーストの居る城)に行くことになる。まさにこれは「助手」の役割だな、と。まさにルーク・スカイウォーカーがミレニアム・ファルコンのお陰でタトゥイーンから宇宙に行けたように。
あ、そうそう、この馬が「フィリップ」という名前だったね。フィリップという人名の語源は「馬を愛する人」、あと、どこかで僕読んだ覚えがあるんだけどそもそもの語源は「馬」だったはず。(漫画「ヒストリエ」でフィリッポ2世というキャラクターが出てきて、その時にそんなこと書いてあったような気がするけど、いまその漫画が手元に無いので不明)

ここもこの映画ちょっとおもしろくてさ、この映画の登場人物ってほんと「名は体を表す」なんだよね。主人公「ベル」はフランス語で「美しい」という意味だからまさに「美女」、もちろん「ビースト」は「野獣」。執事の「ルミエール」は燭台の形になってるけど「ルミエール」ってフランス語で「光」の意味じゃなかったべか。あとボットはそのまま「ミセス・ポット」だし、その子供の「チップ(Chip)」は英語で「食器の欠け」という意味もある、だから映画のチップはカップの姿になっててちょっと欠けが入ってるね。

僕はフランス語はほとんど知らないから、後の登場人物は想像するしか無いんだけどガストンの相方(というか使いっぱ)は「ル・フゥ」なんだけど、これって「間抜け」の意味じゃなかったかな。その他、もし登場人物たちの名前の意味が分かる人居たらぜひご教授ください。特に「ガストン」はどんな意味があるのか知りたいです。

さて、続いて31の要素について。記載します。

1,不在→2,禁止→3,違反→4,情報の要求→5,情報入手→6,策略→7,幇助→8,加害または欠如→9,派遣→10,任務の受託→11,出発→12,先立つ働きかけ→13,反応→14,獲得→15,空間移動→16,闘争→17,標付け→18,勝利→19,加害あるいは欠如の回復→20,帰路→21,追跡→22,脱出→23,気づかれざる帰還→24,偽りの主張→25,難題→26,解決→27,認知→28,露見→29,変身→30,処罰→31,結婚ないし即位

ちなみにこれはすべてであって、すべての物語がこの要素すべてを含んでいる、という訳じゃない。

ここで一番「うん、面白いな」と思ったのが物語の始まりが「不在」ということ。この「不在」というのは「主人公の近親者が居ない、居なくなる」ということ。これって「美女と野獣」でいえばお父さんが帰ってこない、居なくなるということかな、と思った。で、そう考えるとさ「この世界の片隅に」も、「お兄ちゃんの不在」というのが物語の最初のほうにあるね。「この世界の片隅に」ですずさんはあるものを「欠如」され、最終的には象徴的に「欠如を回復する」ってのも興味深い。

ちなみに映画評論家・町山智浩氏は「美女と野獣」を「アレンジド・マレッジ」、アレンジされた結婚、つまりは策略結婚とか親の都合による結婚など本人が望まぬ結婚、の話と語っており、その中で「美女と野獣」と「この世界の片隅に」の類似性を語っている。ついでに「逃げ恥」も要は一緒と言っている。→参考:映画その他ムダ話「美女と野獣」の回

「美女と野獣」に戻すと、「父が不在」になり、ベルは城に閉じ込められる、そして早速「西の塔には行くな」と「禁止」される(ごめん、これ西だっけ?東だっけ?忘れちゃったな)。当然、ベルはそれに「違反」するね。

ここで僕は疑問に思ったのだけど西洋の物語における「塔」ってなんなんだろうね。なんか塔に幽閉されること多くないですか。タロットカードで「塔」の意味は(正位置では)、「崩壊、災害、悲劇、悲惨」などの意味があるとのこと。なんでこんなに「塔」って不吉なのかね。。「バベルの塔」から来てるのかなぁ?

とにかくまぁこの物語は最後に「変身」があって「結婚」があってめでたしめでたし、と。

などなど、と色々面白かったですよ。

映画として言えばさ、僕は主人公ベルがエマ・ワトソン、ということしか知らなかった。脇役、というか城の家来たちは物語の大半何かに変化させられていて俳優の顔は見えない。声は聞こえるけどね。だから誰が演じているかほとんどわからなかったけど、人間に戻ったのを観てあらびっくり。ルミエールがユアン・マクレガー、コグスワースがイアン・マッケラン、ポット夫人がエマ・トンプソン、、もう当代随一の名優たちじゃないですか。そりゃ見応えあるわね、そりゃ。コメディリリーフとしてル・フゥも笑わしてくれたけど、この人、「アナと雪の女王」でオラフの声演っている人なのね。そりゃ面白いわ。

オススメですよ。