この連休は浅草・上野で「したまちコメディ映画祭」というのが開催されてました。
浅草は昔から喜劇の街、ということでコメディ映画ばっかりを集めた映画祭で、全部で10数本のコメディ映画の上映と色んなイベントが行われます。
僕にとってはまぁ地元だし、日本公開前の映画が安く(前売りだと1,300円)観られるのでありがたいイベント。
特筆したいのは会場のあったかさ。
普通の映画館と違って会場(だいたい僕が行くのは浅草公会堂)はこういう映画が好きで来ている人、つまりはまぁ僕も含めて「ボンクラ」(笑)ばっかりなので会場の雰囲気がそもそもあったかい。笑いもいつもより大きいしついつい気を許して声もみんな出ちゃう。「バカだなー」「それダメだって(笑)」「あーあ~(笑)」とかね。雰囲気としてはドリフターズの「全員集合」の収録会場に似ていると思う。僕も子供の頃、一度行っただけだけどね。
終盤のいいシーンでは手拍子したりしてるし、上映後には拍手。なんかアメリカの映画館ってこんな感じなのかな、とも思う。
あとはやっぱり「浅草」ってことだよね。大都市でも無くいい感じにゆったりしてて。特に連休中なんて観光の人が多くてそんなにあせってる人もいない。「まぁだらっとコメディ映画でも観て笑うかぁ」なんて思わせる雰囲気がある。映画の合間に亀十のドラ焼きなんてパクついて、帰り道に居酒屋の軒先でもつ焼きつまみにホッピーなんて飲んじゃったらほんと色んなことがどーでも良くなってきますよ。
僕はこのイベントを去年初めて知って「キックアス」を観た。これまた楽しくてねー。
今年は他に予定も無かったので3本見ました。
日曜日は「宇宙人ポール」。これはこのイベントの中で行われる「映画秘宝祭」というプログラムで映画雑誌映画秘宝主催のもの。上映前に映画評論家の町山智浩と浅草キッドのトークショーもついているお得なもの。このトークが寄り道もたっぷりだったんだけど映画を観るにあたってより楽しめる情報がしっかり語られていて楽しかった。これについてはもう書いたので割愛。
一点だけ思い返すとこの映画って明らかに映画『未知との遭遇』のパロディでもあるのね。そして考えてみると色んな「未知」との遭遇が描かれている。つまり地球人に取っての未知である宇宙人、イギリス人に取っての未知であるアメリカ人、男子(主人公はオタク男子)に取っての未知である女性。そのへんは面白いね。
祝日の月曜は2本。
まずは邦画の『極道めし』。
漫画が原作らしいけど僕はまったく知らなかった。
『極道めし』予告編
話としては、刑務所の中で5人の男がある賭けをする。「順番に『一番旨かった食い物』を話し、もっとも美味しそうだった話をしたやつが正月のお節料理の中から好きな一品を他の囚人からもらえる」という賭け。そして順々に「旨かった食い物」の話をする。
これね、最高です。
とにかくそれぞれの話に出てくる食い物(たまごかけご飯、海辺のバーベキュー、ホットケーキ、ラーメン、オムライス、すき焼き…)がとにかく旨そうで旨そうで。ずっとよだれが出てた。観たのがちょうど上映後にお昼、といういいタイミングだったこともあるしね。
この映画のつくりが非常に巧い。
食べ物が出てくるシーンはすべて囚人の話、つまり想像である、ということ。食べ物が異常に旨そうに写っていたりそのシーンがやけに芝居がかかったりしていても「結局これって想像だもんな」ですべて許せる。
例えばある人の話で戦後すぐのすき焼きの話が出てくる。その肉がきれいに霜降りで旨そうなんです。もしこれが普通なら「こんな時代にこんないい肉ないだろ」と思っちゃうところだけど、これも想像だから「ああ、想像なんで美化されてるんだな」で許せちゃう。映画の中で食い物を旨そうに演出する方法としてはこんなに巧いやり方はないね。
そしてこの映画の主人公は「新入り」というあだ名で呼ばれる一人の囚人。彼の話がメインになっている。これが切なくて切なくて。。見ながら「もう映画はどうでもいい!とにかくお前は幸せになってくれ!」と願い続けてました。
観ながら美味しそうな食べ物でヨダレが出たと思ってたらきれいに泣かされました。ヨダレだらだら、涙ボロボロのいい映画です。
ヒロイン役も良い。イベントということで映画上映後には出演者一同が登壇したんだけどこのヒロインの人顔小さくてびっくりした。こんな人が作るラーメンならそりゃ旨いよ。
出演者の一人、麿赤児(いい役やってたなぁ)が上映後のティーチインで「この映画を観ていると塀の中とこっちとどっちが幸せなのか分からなくなってくる」と言っていた。それってなんとなく分かるなぁ。
いやもちろん塀の中は嫌ですよ。でもね、僕らは毎日好きなもの好きなだけ食べてるわけだけど、この映画の彼らのように「あれ、食いてぇ!」と心の底から願えることって決して悪いことじゃないと思う。
とにかくこの映画お勧めです。タイトルがタイトルだし基本的にはずっと男5人が食い物の話をしているだけなので敬遠する方もいらっしゃるかも知れないけど、絶対にどんな人でも楽しめる映画だと思います。
邦画でこれほど不自然なところ無くて、逆に言えば全部不自然なファンタジーで、旨そうで泣ける映画ってなかなか無いと思う。『南極料理人』も良かったけどわかりやすいストーリーがある分、こっちのほうがいい部分もある。
一点だけ注意。観た後にどこのラーメン屋行くか決めてから観ることをお勧めします。めちゃくちゃ食べたくなるから。実際、僕は観終わった後ですぐラーメン屋行った。
二本目は『モンスター上司』。
10月に日本公開予定の洋画です。
『モンスター上司』予告編
困った上司に困らされてる3人の男が上司殺害計画を立てる、という話。見所は主人公3人のバカさっぷりと上司のひどさっぷり。
3人の男はそれぞれ別々の会社にいて別々の上司に困らされているわけだけど、まず証券会社に勤める男の上司がパワハラばりばりのケビン・スペーシー。
さすがアカデミー賞俳優だけあって「うわーこんな人ほんと嫌だわ」と思える最悪上司。
歯科助手の男の上司はジェニファー・アニストン。なんと彼女が欲求不満のセクハラ上司を演じてる。この女優さんはドラマ「フレンズ」で国民的女優になったんだけど、一皮向けるためにこういう悪役にチャレンジしたとのこと。
いや、はっきり言いますけどこの人がセクハラしてくる会社なんて、、、ねぇ。(実際、他の主人公二人も劇中「お前の上司最高じゃん」と言う)
工場に勤める男の上司はバカな二代目社長。スダレ禿、ビールっ腹の最悪社長を演じるのはなんとイケ面俳優コリン・ファレル。
この人が
↓
こんな役。最高ね。
もうこの3人の最悪上司っぷりだけで観る価値ありますよ。
主人公トリオはそれぞれがそれぞれの上司を殺すとすぐばれるのでお互いが協力し合って互いの上司を殺そう、と計画する。でもねぇ、この3人がバカなもんで話はぐちゃぐちゃに。
笑ったわー。
はっきり言ってこの映画は頭からっぽにして大笑いできる映画です。
とにかく、したまちコメディ映画祭楽しいよ。
浅草は昔から喜劇の街、ということでコメディ映画ばっかりを集めた映画祭で、全部で10数本のコメディ映画の上映と色んなイベントが行われます。
僕にとってはまぁ地元だし、日本公開前の映画が安く(前売りだと1,300円)観られるのでありがたいイベント。
特筆したいのは会場のあったかさ。
普通の映画館と違って会場(だいたい僕が行くのは浅草公会堂)はこういう映画が好きで来ている人、つまりはまぁ僕も含めて「ボンクラ」(笑)ばっかりなので会場の雰囲気がそもそもあったかい。笑いもいつもより大きいしついつい気を許して声もみんな出ちゃう。「バカだなー」「それダメだって(笑)」「あーあ~(笑)」とかね。雰囲気としてはドリフターズの「全員集合」の収録会場に似ていると思う。僕も子供の頃、一度行っただけだけどね。
終盤のいいシーンでは手拍子したりしてるし、上映後には拍手。なんかアメリカの映画館ってこんな感じなのかな、とも思う。
あとはやっぱり「浅草」ってことだよね。大都市でも無くいい感じにゆったりしてて。特に連休中なんて観光の人が多くてそんなにあせってる人もいない。「まぁだらっとコメディ映画でも観て笑うかぁ」なんて思わせる雰囲気がある。映画の合間に亀十のドラ焼きなんてパクついて、帰り道に居酒屋の軒先でもつ焼きつまみにホッピーなんて飲んじゃったらほんと色んなことがどーでも良くなってきますよ。
僕はこのイベントを去年初めて知って「キックアス」を観た。これまた楽しくてねー。
今年は他に予定も無かったので3本見ました。
日曜日は「宇宙人ポール」。これはこのイベントの中で行われる「映画秘宝祭」というプログラムで映画雑誌映画秘宝主催のもの。上映前に映画評論家の町山智浩と浅草キッドのトークショーもついているお得なもの。このトークが寄り道もたっぷりだったんだけど映画を観るにあたってより楽しめる情報がしっかり語られていて楽しかった。これについてはもう書いたので割愛。
一点だけ思い返すとこの映画って明らかに映画『未知との遭遇』のパロディでもあるのね。そして考えてみると色んな「未知」との遭遇が描かれている。つまり地球人に取っての未知である宇宙人、イギリス人に取っての未知であるアメリカ人、男子(主人公はオタク男子)に取っての未知である女性。そのへんは面白いね。
祝日の月曜は2本。
まずは邦画の『極道めし』。
漫画が原作らしいけど僕はまったく知らなかった。
『極道めし』予告編
話としては、刑務所の中で5人の男がある賭けをする。「順番に『一番旨かった食い物』を話し、もっとも美味しそうだった話をしたやつが正月のお節料理の中から好きな一品を他の囚人からもらえる」という賭け。そして順々に「旨かった食い物」の話をする。
これね、最高です。
とにかくそれぞれの話に出てくる食い物(たまごかけご飯、海辺のバーベキュー、ホットケーキ、ラーメン、オムライス、すき焼き…)がとにかく旨そうで旨そうで。ずっとよだれが出てた。観たのがちょうど上映後にお昼、といういいタイミングだったこともあるしね。
この映画のつくりが非常に巧い。
食べ物が出てくるシーンはすべて囚人の話、つまり想像である、ということ。食べ物が異常に旨そうに写っていたりそのシーンがやけに芝居がかかったりしていても「結局これって想像だもんな」ですべて許せる。
例えばある人の話で戦後すぐのすき焼きの話が出てくる。その肉がきれいに霜降りで旨そうなんです。もしこれが普通なら「こんな時代にこんないい肉ないだろ」と思っちゃうところだけど、これも想像だから「ああ、想像なんで美化されてるんだな」で許せちゃう。映画の中で食い物を旨そうに演出する方法としてはこんなに巧いやり方はないね。
そしてこの映画の主人公は「新入り」というあだ名で呼ばれる一人の囚人。彼の話がメインになっている。これが切なくて切なくて。。見ながら「もう映画はどうでもいい!とにかくお前は幸せになってくれ!」と願い続けてました。
観ながら美味しそうな食べ物でヨダレが出たと思ってたらきれいに泣かされました。ヨダレだらだら、涙ボロボロのいい映画です。
ヒロイン役も良い。イベントということで映画上映後には出演者一同が登壇したんだけどこのヒロインの人顔小さくてびっくりした。こんな人が作るラーメンならそりゃ旨いよ。
出演者の一人、麿赤児(いい役やってたなぁ)が上映後のティーチインで「この映画を観ていると塀の中とこっちとどっちが幸せなのか分からなくなってくる」と言っていた。それってなんとなく分かるなぁ。
いやもちろん塀の中は嫌ですよ。でもね、僕らは毎日好きなもの好きなだけ食べてるわけだけど、この映画の彼らのように「あれ、食いてぇ!」と心の底から願えることって決して悪いことじゃないと思う。
とにかくこの映画お勧めです。タイトルがタイトルだし基本的にはずっと男5人が食い物の話をしているだけなので敬遠する方もいらっしゃるかも知れないけど、絶対にどんな人でも楽しめる映画だと思います。
邦画でこれほど不自然なところ無くて、逆に言えば全部不自然なファンタジーで、旨そうで泣ける映画ってなかなか無いと思う。『南極料理人』も良かったけどわかりやすいストーリーがある分、こっちのほうがいい部分もある。
一点だけ注意。観た後にどこのラーメン屋行くか決めてから観ることをお勧めします。めちゃくちゃ食べたくなるから。実際、僕は観終わった後ですぐラーメン屋行った。
二本目は『モンスター上司』。
10月に日本公開予定の洋画です。
『モンスター上司』予告編
困った上司に困らされてる3人の男が上司殺害計画を立てる、という話。見所は主人公3人のバカさっぷりと上司のひどさっぷり。
3人の男はそれぞれ別々の会社にいて別々の上司に困らされているわけだけど、まず証券会社に勤める男の上司がパワハラばりばりのケビン・スペーシー。
さすがアカデミー賞俳優だけあって「うわーこんな人ほんと嫌だわ」と思える最悪上司。
歯科助手の男の上司はジェニファー・アニストン。なんと彼女が欲求不満のセクハラ上司を演じてる。この女優さんはドラマ「フレンズ」で国民的女優になったんだけど、一皮向けるためにこういう悪役にチャレンジしたとのこと。
いや、はっきり言いますけどこの人がセクハラしてくる会社なんて、、、ねぇ。(実際、他の主人公二人も劇中「お前の上司最高じゃん」と言う)
工場に勤める男の上司はバカな二代目社長。スダレ禿、ビールっ腹の最悪社長を演じるのはなんとイケ面俳優コリン・ファレル。
この人が
↓
こんな役。最高ね。
もうこの3人の最悪上司っぷりだけで観る価値ありますよ。
主人公トリオはそれぞれがそれぞれの上司を殺すとすぐばれるのでお互いが協力し合って互いの上司を殺そう、と計画する。でもねぇ、この3人がバカなもんで話はぐちゃぐちゃに。
笑ったわー。
はっきり言ってこの映画は頭からっぽにして大笑いできる映画です。
とにかく、したまちコメディ映画祭楽しいよ。