「北の国から」というドラマがあります。改めて言うまでもないけど。
僕は大好きなんでたまにこのドラマのことを考える。正確に言うと純君や蛍、正吉のことを考える。
「結局、純はゆいちゃんと結婚して富良野に戻ってきたんだろうか」とか「蛍は正吉とやりなおせたんだろうか」とか「いまはどこにいて何しているのかな」とか。
純君にしても蛍にしてもそう思わせる圧倒的な「実在感」がある。
ドラマとか映画でたまにキャラクターにこういう「実在感」があるときがある。別にキャラクターに実在感がなくてもいい映画はたくさんあるんだけど、映画「その街のこども」の実在感は半端無かった。
いろんなところで「いい!」と言われていたのは知っていたのだけどなんとなく見過ごしていていた。元々はNHKでドラマとして放送されて、あまりにも反響が大きいので再編集して劇場公開されたらしい。
話としては非常にこじんまりとしている。2010年の1月16日。登場人物はほとんど二人しか出てこない。ある青年がふとしたことから新神戸で新幹線を降りてしまう。そこである女性と出会う。
青年は森山未来、女性は佐藤江梨子。偶然出会った二人だけどある共通点があった。それは15年前、二人とも阪神淡路大震災で被災していること。
二人が出会ったその日は阪神淡路大震災の1月17日から15年後だった。
しかもこれはフィクションであり映画なんだけど、演じている二人とも神戸出身なので実際に被災している。つまりこの二人自身「その街のこども」なんです。
ここまでを事前情報で知っていたので僕は開始10分くらいからとにかく泣けて仕方がなかった。
二人ともさすがに神戸出身なだけあって関西弁が非常に自然なんだよね。方言がぴっとしていないとこういう実在感は出ない。しかも二人とも本当に被災しているので、台詞の一言一言が脚本によるものなのか、それとも演じてる二人の本当のことなのかがまったく分からない。そもそもどれが台詞でどれがアドリブなのかすら分からない。まるでドキュメンタリーを見ているような気持ちになった。
特に冒頭の居酒屋シーンね。すごかったなぁ。正に普通の人たちの会話を覗き見ている感じでひりひりした。たぶん、あの「すだれ」の効果が大きいんだよね。
そして、二人が新神戸駅を出てただ15年ぶりの街並みを観る後ろ姿だけで、彼らの15年前、そして神戸の15年前が思い起こされる。
二人はひょんなことから終電を乗り過ごし、真夜中の新神戸から御影までを歩くことになる。僕は仕事で実際に行ったことがあるけどたぶん10キロは無いくらいの距離だと思う。
ただただ歩きながらの二人の会話がすごかった。
この映画を阪神淡路大震災を抜きにして考えることは難しいけれど、もし無理やりそれを抜きにして考えて「男女の興味深い会話のやり取りの映画」として観ても非常に面白い。町を歩きながら男が真面目な話してても猫を見つけると女の子って突然「あ!ねこー!」っ言うよね。話聞けよ(笑) また佐藤江梨子が話聞かない感じなんですわ。こういう女の子っている。
森山未来という俳優の作品をあんまり観たこと無かったけど本当に素晴らしいですね。顔が(かっこいいという意味ではなく)非常にいい。あのね、僕は能面を思い出した。無表情という意味ではなくて光の加減やそういう微妙な感じで悪い人にも良い人にも見える。
つまり「実在感」ってそういうことだと思う。世の中に完全な善人も完全な悪人もいない。見方によって善にも悪にもなるのが我々人間だろうと思う。そこが巧く描かれたキャラクターに実在感を感じてしまう。
佐藤江梨子もたいそう素晴らしい。登場から終始一貫、自分の都合しか考えない、はっきり言ってしまってムカツク女ではあるんだけど、あるシーンで!手を振りながら叫ぶ彼女のセリフが、相手のことを思いやったセリフで。。。
たぶんこの映画で多くの人がグッと来るシーンなんだろうけど僕は声を上げて泣いた。ひーとかぐーとかうーとか言いながら泣いてしまった。家でDVDを見ながら泣くことは、ちょっとグッと来て涙がポロリと落ちることはよくあるけど声を上げて泣くことはなかなかない。たぶん「カシム・ザ・ドリーム」以来だと思う。
そして、そこからすぐの二人の別れのシーン。やっと涙を拭いて鼻をかんだところだったのにまた号泣ですよ。
これは言ってしまって構わないと思うけど、この二人の間に恋愛感情は生まれない。でもそんなことより二人の間には魂の繋がりというか何かプレシャスなものが生まれたと思う。はっきり言ってそれだけで、この世界は素晴らしい。大震災と言う理不尽な脅威に立ち向かえる我々の武器はこの「つながり」しかないんじゃないだろうか。
東日本大震災の前に作られた作品なので、今観ると更に重い。
とにかくめちゃくちゃいい映画です。
さて、二人は次の年の1月17日には出会えたんだろうか?そして、今年の1月17日をどんな気持ちで迎えたんだろうか。そして二人はいま何してるのかな。
僕は大好きなんでたまにこのドラマのことを考える。正確に言うと純君や蛍、正吉のことを考える。
「結局、純はゆいちゃんと結婚して富良野に戻ってきたんだろうか」とか「蛍は正吉とやりなおせたんだろうか」とか「いまはどこにいて何しているのかな」とか。
純君にしても蛍にしてもそう思わせる圧倒的な「実在感」がある。
ドラマとか映画でたまにキャラクターにこういう「実在感」があるときがある。別にキャラクターに実在感がなくてもいい映画はたくさんあるんだけど、映画「その街のこども」の実在感は半端無かった。
いろんなところで「いい!」と言われていたのは知っていたのだけどなんとなく見過ごしていていた。元々はNHKでドラマとして放送されて、あまりにも反響が大きいので再編集して劇場公開されたらしい。
話としては非常にこじんまりとしている。2010年の1月16日。登場人物はほとんど二人しか出てこない。ある青年がふとしたことから新神戸で新幹線を降りてしまう。そこである女性と出会う。
青年は森山未来、女性は佐藤江梨子。偶然出会った二人だけどある共通点があった。それは15年前、二人とも阪神淡路大震災で被災していること。
二人が出会ったその日は阪神淡路大震災の1月17日から15年後だった。
しかもこれはフィクションであり映画なんだけど、演じている二人とも神戸出身なので実際に被災している。つまりこの二人自身「その街のこども」なんです。
ここまでを事前情報で知っていたので僕は開始10分くらいからとにかく泣けて仕方がなかった。
二人ともさすがに神戸出身なだけあって関西弁が非常に自然なんだよね。方言がぴっとしていないとこういう実在感は出ない。しかも二人とも本当に被災しているので、台詞の一言一言が脚本によるものなのか、それとも演じてる二人の本当のことなのかがまったく分からない。そもそもどれが台詞でどれがアドリブなのかすら分からない。まるでドキュメンタリーを見ているような気持ちになった。
特に冒頭の居酒屋シーンね。すごかったなぁ。正に普通の人たちの会話を覗き見ている感じでひりひりした。たぶん、あの「すだれ」の効果が大きいんだよね。
そして、二人が新神戸駅を出てただ15年ぶりの街並みを観る後ろ姿だけで、彼らの15年前、そして神戸の15年前が思い起こされる。
二人はひょんなことから終電を乗り過ごし、真夜中の新神戸から御影までを歩くことになる。僕は仕事で実際に行ったことがあるけどたぶん10キロは無いくらいの距離だと思う。
ただただ歩きながらの二人の会話がすごかった。
この映画を阪神淡路大震災を抜きにして考えることは難しいけれど、もし無理やりそれを抜きにして考えて「男女の興味深い会話のやり取りの映画」として観ても非常に面白い。町を歩きながら男が真面目な話してても猫を見つけると女の子って突然「あ!ねこー!」っ言うよね。話聞けよ(笑) また佐藤江梨子が話聞かない感じなんですわ。こういう女の子っている。
森山未来という俳優の作品をあんまり観たこと無かったけど本当に素晴らしいですね。顔が(かっこいいという意味ではなく)非常にいい。あのね、僕は能面を思い出した。無表情という意味ではなくて光の加減やそういう微妙な感じで悪い人にも良い人にも見える。
つまり「実在感」ってそういうことだと思う。世の中に完全な善人も完全な悪人もいない。見方によって善にも悪にもなるのが我々人間だろうと思う。そこが巧く描かれたキャラクターに実在感を感じてしまう。
佐藤江梨子もたいそう素晴らしい。登場から終始一貫、自分の都合しか考えない、はっきり言ってしまってムカツク女ではあるんだけど、あるシーンで!手を振りながら叫ぶ彼女のセリフが、相手のことを思いやったセリフで。。。
たぶんこの映画で多くの人がグッと来るシーンなんだろうけど僕は声を上げて泣いた。ひーとかぐーとかうーとか言いながら泣いてしまった。家でDVDを見ながら泣くことは、ちょっとグッと来て涙がポロリと落ちることはよくあるけど声を上げて泣くことはなかなかない。たぶん「カシム・ザ・ドリーム」以来だと思う。
そして、そこからすぐの二人の別れのシーン。やっと涙を拭いて鼻をかんだところだったのにまた号泣ですよ。
これは言ってしまって構わないと思うけど、この二人の間に恋愛感情は生まれない。でもそんなことより二人の間には魂の繋がりというか何かプレシャスなものが生まれたと思う。はっきり言ってそれだけで、この世界は素晴らしい。大震災と言う理不尽な脅威に立ち向かえる我々の武器はこの「つながり」しかないんじゃないだろうか。
東日本大震災の前に作られた作品なので、今観ると更に重い。
とにかくめちゃくちゃいい映画です。
さて、二人は次の年の1月17日には出会えたんだろうか?そして、今年の1月17日をどんな気持ちで迎えたんだろうか。そして二人はいま何してるのかな。