浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

おうさまがいないのでへいたいさんはおじいさんにまけましたとさ

2010-07-03 18:59:41 | スポーツ
しつこく見てますワールドカップ。やっぱりベスト8くらいになると見応えがあるねぇ。

ブラジル対オランダなんてこりゃもうすごかったですよ。

仕事の都合で大阪から帰ってくる日だったのでキックオフには間に合わず。家に帰ったらもう後半30分くらいでブラジルが1点先制してた。

見ながら思ったのは「ブラジルまとまってるなぁ」ということ。ブラジルの良さと言えば自由に想像力溢れるプレー、それは反面チームとしてはバラバラになりかねないけど今回のチームはひとつの「チーム」になってる気がした。

1点目のロビーニョのゴールなんか正にその象徴で空いたスペースに走り込むロビーニョもパス出すフェリペメロもまったく同じことを考えていたからの得点。さすがドゥンガ監督、と思ったね。規律あるチームを作ってる。

一方のオランダ。「なにやってんの?」って感じだった。ロビーニョの得点は明らかにDFの連携ミス。なにせ最後ロビーニョを止めに行ったのがFWのロッベンだけなんだもの。「なにこのサッカー?小学生?」って感じですよ。

言うなれば統率された鉄仮面の騎士団に戦う老剣士。前半終了時点ですでに剣は折れ楯も鎧もずたぼろ。

でもここで勝負が決まらないところがすごい。

後半始まってすぐブラジルのオウンゴール。ここから空気がおかしくなかった。

本来であれば言わばこんなゴールはちょっと足を滑らせただけ、何も気にすることはないはず。でもここからブラジルの空気が変わってしまった。

ブラジルチームのまとまりは一気になくなってしまった。みんながみんなただ不安そうな顔をしているだけ。

僕はもし、ドゥンガがピッチにいればなぁ、と思った。

ここで必要なのは技術でも得点でもない。ただ「シンプルな目標」。

「気にするな、1点取ろう」でもいいし「守って延長で勝負だ」でもいい、とにかく誰かがシンプルな目標を大声で叫ぶべきだった。

ドゥンガはそういう選手だった。常に誰よりも大声で味方を叱咤激励していた。

選手時代のドゥンガ。ほんとこの人怒鳴ってた記憶しかないなぁ。

でも残念ながら彼が監督になってそんな選手をピッチ上に置けなかった。それまで一つの生き物のようにまとまっていたチームがたった一つの「声」を出せないことでこんなにバラバラになるなんて。

気持ちのバラバラは苛立ちとなってプレーに表れイエローカードとなって舞う。

これだってドゥンガがピッチに居れば一人一人をぶん殴ってでも(もちろんそんなことする人じゃないけど、してもおかしくないような気がする)「てめーらなにやってんだ!落ち着け、ぼけ!」と落ち着かせただろう。でも残念ながらドゥンガはピッチではなく監督としてベンチにいる。

一方、既に攻め手を失ったかに思えたオランダ、ただの老人ではなく正にハーミット(隠者)だった。何も武器を持っていないように見せてもちろん胸元に毒薬を隠し持っていた。

そして正に毒薬、と言えるオランダのコーナーキックで逆転。

ブラジルの最後の頼みの綱は10番カカしかいない。でも残念ながら彼は王様ではなく、心優しく献身的な騎士だった。決して傍若無人な王様にはなれなかった。

これもサッカー。

わがままな王様を排除し献身的な騎士だけで戦おうとした監督ドゥンガ、結果、残念ながら王様がいないがために負けてしまった。

カカ悔しかろうなぁ。。

一つの救いは4年後のワールドカップはカカの母国ブラジルで開催、ということ。次のワールドカップの頃にはカカは32歳。それまでに王様になれているか、それとも単なる兵士でいるのか。

僕、カカ好きなんです。絶対自分に娘がいて嫁にやるならこんな人ですよ。

泣いてるカカに言ってあげたいね。

「あんちゃんそない泣かんでもええがな、4年間日本でやるのはどや?鹿島はあんちゃんのオジキ(ジーコ)もカシラ(レオナルド)もいたんやでぇ。どや鹿島にこんか?」

(ちなみにカカは子供の頃、親善試合で日本に来ててその時、MVPでもらった賞金5,000円を「初めてのギャラ」としていまだに大事に持ってるらしい。ね~いい子なのよ~)
コメント (3)
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