浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

第90回アカデミー賞ノミネート速報雑感

2018-01-24 16:29:02 | DVD、映画
アカデミー賞ノミネート作品が発表されました。その雑感。

ノミネート一覧はこちら→2018年(第90回)アカデミー賞(オスカー)のノミネート速報

もちろんアカデミー賞というのはアカデミー会員の投票によって決まる、ある意味、ハリウッドの内輪の賞であって、「優れた作品がノミネートされる」とは限らない。もちろん優れた作品もノミネートされるけど、「ノミネートされたから偉い」と一概には言い切れない。あとノミネートされた作品、観てない作品のほうが多いです。日本公開これからのが多くてね。

今回はすごく異色というか、なんとなく「今までと違うな」と思うことがあったので書いておきたいの。

僕はツイッターでノミネート作品を実況するアカウントを追っかけながら観ていたのだけど、まず「お!」と思ったのが脚色賞に「LOGAN」が入ったこと。アメコミ原作映画が脚色賞にノミネートされるのはかなり珍しいんじゃないかと思う。


「LOGAN」

2009年のアカデミー賞では「一番ヒットしたのは『ダークナイト』なのに何故作品賞に入ってないんだ?」と囁かれた。やっぱりアメコミ原作映画はどうしても下に観られているような感じがある。視覚効果とかそういうのではノミネートされるんだけどね。今回の「LOGAN」は作品賞には入っていないものの脚色賞という「ストーリー」を評価する部門にノミネートされたのは結構新しいこと何じゃないだろうか。僕自身、とても好きな作品だから嬉しい。

それから、驚きとしては「ゲット・アウト」の躍進。


「ゲット・アウト」

「ゲット・アウト」というのは制作費5億円程度のすごく小さい映画。しかもホラー映画(と言っていいと思うけど。。)だし、監督のジョーダン・ピールにとっては初監督作なんじゃないかな。それが、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞にノミネートってのはかなり躍進だと思う。レイシズムを扱った作品であり恐怖もあるけどコメディ的要素もある複雑な映画で、これがちゃんと評価される、というところにアメリカの底力を感じる。

それから、何と言っても「旋風」とも呼ぶべきは「シェイプ・オブ・ウォーター」の最多13部門ノミネート!


『シェイプ・オブ・ウォーター』日本版予告編

これはすごい!この作品は怪獣が大好きで怪獣映画ばっかり撮ってきたギレルモ・デル・トロの集大成作品。半魚人と女性とラブストーリー。こういう作品が評価されるとのは本当に素晴らしいと思いますよ、僕は。この監督は「パシフィック・リム」を撮った人でこういう人が脚光を浴びるのは嬉しい。3月には日本公開されると思うので楽しみです。

あとは「ダンケルク」が作品賞と監督賞ですね。


「ダンケルク」

時間軸をいじる、ひねったストーリーだったので脚本賞にもノミネートされるだろうと思っていたけどノミネートされなかったね。「現代の巨匠」と呼ばれながらノーランは今までアカデミー監督賞に無縁だったので監督賞にノミネートされたのは良かったろう。

主演、助演あたりは僕が観てない作品が多いのであまりわからないけど。。僕の好みとしては主演男優賞ゲイリー・オールドマン、主演余裕マーゴット・ロビー、助演男優賞ウィレム・デフォーだと嬉しいかな。(助演女優賞はあまりにも情報がなくて僕、分からない)

後はねぇ、ガル・ガドット(ワンダー・ウーマン)、ヒュー・ジャックマン(ローガン)の主演賞ノミネートは欲しかったな。「ワンダー・ウーマン」は作品賞、監督賞ノミネートもあり得るじゃないかなーとすら思ってたんだけどね。

ま、お祭りですから何にせよ楽しみです。

Wonder women & Runaway guys./驚くべき女性たちと逃げ出す男たち。

2018-01-05 16:54:08 | DVD、映画
昨年はだいたい30本ほどの映画を映画館で観た。年が明けてしまったけどその総括として。

2014年の映画界は「女性がLet it goする話」と「アメコミヒーローや怪獣がドッカンドッカンする話」が目立った、という話を昔書いた。→寿町アカデミー賞2014

数十本の映画を簡単に総括することに意味があるのか、という疑問は百も承知だけど、それでも僕は2017年の映画は2つの流れに総括されると思う。あくまで個人的感想なのでご容赦ください。

ひとつはなんと言っても「Wonder Women」、つまり「驚くべき女性たち」の映画が多かったと思う。それはもちろん「ワンダー・ウーマン」を契機に「ELLE」、「ドリーム」、「アトミックブロンド」、「シンクロナイズドモンスター」などなど、とにかく強く美しい「驚くべき女性」の映画が目立ったと思う。

もちろん昔から「強い女性」の話はあった。だけど昔のそういう女性主役映画と今年の「Wonder Women」映画はちょっと肌触りが違う。昔だと、非力でか弱い女性がそれでも頑張って、、という感じなんだけど、去年の映画は違う。もともと圧倒的に強く、作品の中で彼女たちこそが真っ当で、一番正しく、一番クールでクレバー、そういう女性だということ。

「ジャスティス・リーグ」というヒーロー大集合映画でも、映画全体を通していえばダイアナ(ワンダーウーマン)が一番良かったと思う、僕は。

例えば「ドリーム」なんかはその最たるものだと思う。なにがすごいって「実話だ!」ということだよね。1960年代、まだ女性の社会進出が盛んになる前に、NASAで女性が(しかもアフリカ系アメリカ人の女性、というね)事実活躍していた、ということ。これほど強いことは無いでしょう。

「アトミックブロンド」もそう、これはフィクションだけどこの中のシャーリーズ・セロンは一番強く、そして美しい。「シンクロナイズドモンスター」は始めはダメ人間だけど最後には強くなった。こういう特徴の映画が多い年だった。そういえば「スプリット」も戦うのは女性だったし、「美女と野獣」もある意味、ワンダーな女性の話だよね。

彼女たちの映画の特徴として僕は何度観ても何度も涙が出るんだけど、「まっすぐ前を向いて歩く姿」が素晴らしいと思う。「ワンダーウーマン」のノーマンズランドのシーンや「ドリーム」でドロシーがNASAの廊下をただ静かな笑顔で歩くシーン。「アトミックブロンド」も「シンクロナイズドモンスター」でも、とにかく女性が「私は負けない」と静かに決意し、ただ柔らかく笑みを浮かべ、まっすぐ前を向いて歩いて行く、というそのシーンはなぜこんなにも美しいんだろう?? 自分でも何故だかわからないけど、何故か不思議な感動があって何度も何度も見返しては涙をためてしまう。


一方、男性は何をやっていたか。僕は「逃げる話ばっかりだなぁ」とずっと思っていた。第二次大戦で40万人ものイギリス兵が戦場から逃げる話「ダンケルク」、超特急列車の中でゾンビから逃げる話「新感染・ファイナルエクスプレス」、激戦地から負傷兵を助けつつ逃げる話「ハクソー・リッジ」、CIA内部から情報持って逃げる話「スノーデン」、強盗の逃し屋の話「ベイビードライバー」、ほんと逃げる話ばっかりでした。

「ゲット・アウト」なんてそもそも「ゲット・アウト!(出てけ!)」って映画なんだからそりゃ逃げるわね。スーパーヒーローのウルヴァリンだって「ローガン」では逃げて、そして次の世代の子たちを命をかけて逃してあげてた。唯一、ちゃんと戦ってたヒーローといえばスパイダーマンとガーディアンズとジャスティス・リーグくらいじゃないのかな。「マグニフィセント・セブン」は痛快バトルでしたけど、あれは昔の「荒野の七人」のリメイクですからね。。アベンジャーズのソーだって今回の「ソー・バトルロイヤル」では結構逃げてた。更にいえば「スターウォーズ/最後のジェダイ」だってね、反乱軍が逃げることがメインの話だった。

もちろん僕は「逃げること」自体を悪いとは思ってない。無駄に死ぬなら逃げて生き延びるほうが価値あると思う。特に「ダンケルク」、「ハクソー・リッジ」は実話ベースで「逃げることの価値」という話でしたね。逃げる話だってそれはもちろん感動的でもある。「ダンケルク」なんかね、特にグッと来ましたよ。

とにかく今年は驚くべき女性たちと逃げ出す男たちの映画が心に残った。

Wonder women & Runaway guys. そういう時代になったのかそれともそもそもそれが本質なのか、僕には断言できませんが。

宮島に行ってきました

2018-01-04 13:38:26 | 日記
皆様、あけましておめでとうございます。引き続き、広島の話。

ぷらりと宮島に行ってきました。宮島までは広島駅からJRとフェリーで1時間少し。だけど、平和記念公園から直通の船が出ているのを見つけた。こちらだと45分、ちょっと割高(JRだと600円弱に対してこちらは2,000円)だけど船好きなので船にした。


快適ですよ。市内の川を航行しているときにはデッキにも出られて気持ちがいい。

ガイドさんがくれるかっぱえびせんめがけてユリカモメが集まってくるのも楽しい。

ちなみにこのガイドさんはたびたび「右手に見えますのは、、」という感じでアナウンスしてくれるんだけど、「広島県が作った◯◯ビルです、これは◯億円かかってるのに雨漏りがして完全な税金の無駄遣いです」って感じの話が多くて面白かった。

宮島では鹿がのびのびと生活していてかわいい。

鹿島神宮(鹿が神様)近くで生まれ育ったので鹿が観られると嬉しい。

多分、厳島神社を観るのは生まれて初めてだと思う。てくてく順路通りに歩いているだけで心のそこから「い・い・ところだなー」と思える。

瀬戸内海に来ると常に天気が良くて海がキラキラと輝いている。その中で古来からの神社がある。本当に心が洗われる、とはこういうことだな、と思える。

ふと、改めて厳島神社を観ていて思ったんだけど、古来の人はたぶん「映画を作ろう」と思ったんじゃないかな。もちろんその時代には映画なんてものは無いけど、歩いているとこちらから「チラッ」と見えて、そこを進むと日陰になって、そこを抜けるとドン!と景色がひらける、みたいな。

漫画のコマ割りとか映画のカット割りを天然でやろうとしたんじゃないかなぁと思う。

そういう視点で、この神社が出来た時代にこれを観た人は正に「この世のものとは思えない」と思ったんじゃないかな。一度、行かれてみるといいと思います。