漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

世界の終わりの七日間

2016年01月31日 | 読書録
「世界の終わりの七日間」 ベン H ウィンタース著  上野元美訳
ハヤカワ・ポケット・ミステリ 早川書房刊

を読む。

 「地上最期の刑事」シリーズの完結編。隕石による世界の週末まであと一週間というところから物語は始まる。
 設定からして、ミステリというよりはSFなのだけれど、SFとして描かれなかったところに、この作品の素晴らしさがある。純然たるSF作家が書いていたなら、多分、こういう結末をとらなかっただろう。なんとも言えない余韻。SF好きの人にも、ミステリ好きの人にも、純文学好きの人にも、すっと受け入れられる気がする。ネヴィル・シュートの「渚にて」と並ぶ、破滅SFの名作として記憶されるんじゃないかと思った。