漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

2

2015年02月26日 | 読書録
「2」 野崎まど著
メディアワークス文庫 アスキーメディアワークス刊

を読む。

 不思議なタイトルだけれど、読みながら納得。要するにこの一作が、それまでに同じメディアワークス文庫から出た著者の作品群、つまり、「[映] アムリタ」、「舞面真面とお面の女」、「死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~」、「小説家のつくり方」、「パーフェクトフレンド」の五作品すべての直接の続編というわけだ。そりゃ、「2」以外のタイトルはないわな。最初からそのつもりでずっと書いていたのか、それともあと付けでこういうことになったのか、分からないけれども、この分厚さに見合うだけの内容がつめ込まれた、盛りだくさんな一冊ではあったと思う。まあ、かなり強引な展開ではあったけれど、ラストの、どんでん返しの連続はなかなか圧巻だった。
 舞台が吉祥寺というのも、面白さをかきたててくれた。実在の場所や建物が(もちろん名前は変えてあるけれど)たくさん出てきて、元住民としては「ああ、あそこか」と思いながら読んだ。名前は変えてあるけれども、今はなきバウスシアターが、クライマックスで重要な舞台となっていたのにも、ちょっとしんみりした。