漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ボアズ=ヤキンのライオン

2011年05月16日 | 読書録

「ボアズ=ヤキンのライオン」 ラッセル・ホーバン著 荒俣宏訳
ハヤカワ文庫FT 早川書房刊

を読む。

 ずいぶんと昔、高校生の頃に一度読んだことがあった気がするが、入り込めなくて、さらりと読み捨ててしまったように思う。内容もさっぱり覚えていない。だから再読だけれども初読のようなものだった。ホーバンがこの作品を書いた年齢に近くなってきているせいだろうか、今読むと内容が素直によく分かる。これは、ボアズ=ヤキンの物語であると同時に、いやそれ以上に、ヤキン=ボアズの物語。だから、邦題も本来なら、きちんと原題のままに「ボアズ=ヤキンとヤキン=ボアズのライオン」とするべきだったのだろうが、ながいタイトルは嫌われたのかもしれない。村上春樹の、特に初期の作品が好きな人なら、きっと気に入るのではないかと思う。

 先週の土曜日には、行けないと思っていた吾妻ひでおのサイン会に、都合がついて行けることになったので、娘をつれて行ってきた。想像はしていたが、集まっていた人はほとんど、僕と同じくらいの年齢の方々ばかり。吾妻さんはひとりひとりていねいに、イラスト(ななこと自画像)とサインをしてくれた。丁寧な方だなあと思った。