さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

仮想IBF王者にワンサイド 田中恒成、充実の最終回TKO勝ち

2023-05-24 05:02:20 | 中部ボクシング



日曜日は名古屋でも、スーパーフライ級の世界的タレントである田中恒成が、世界タイトル前哨戦を戦い、コロンビアのパブロ・カリージョをワンサイドに攻めて、最終回TKO勝ち。
今回はネットの有料配信は購入せず、中部(といっても隣県なので)の友人の厚意にすがり、CBCの放送を見ることが出来ました。


四階級制覇を目指す田中恒成は、ベテランのカリージョを相手に、スピードでまさって優勢のスタート。
2回は右でカリージョが少しばたつく。これはダメージなかったようですが、徐々に速いコンビネーションで切り込み、左フック好打。
3回以降もコンビネーション、右クロス、ワンツーを決め、合間に鋭いジャブを突き刺す。

ワンツーも左省略気味のコンパクトなものから、間を空けて踏み込むもの、打ち下ろしなど多彩。
4回、カリージョの右アッパーが出たと思ったら田中、ブロックして左ボディフックを返す。明らかにカリージョの手が止まる。
そこに田中、さらに左ジャブを連発して休ませず、追撃。コンパクトなワンツー、左フック。

6回以降はさらにワンサイド。上記の攻撃に左右アッパーが加わり、カリージョ懸命の反撃も奏功せず。
田中は小さい上体の振りで外し、シャープでコンパクトなコンビネーションを繰り出し、ヒット連発。
7回などはもう、いつストップに追い込めるか、という感じになっていく。
8回もワンツー中心に、半ば狙い打ちのようなヒットが重なる。

9回、カリージョそれでも粘るが、10回、少し引き寄せられた?カリージョに、田中の右カウンターが決まる。
カリージョぐらつくと、レフェリーがストップ。それまでのヒット数の多さからして、もっと早く止めたかったんだろうなあ、という印象でした。



田中とカリージョの間には、もちろん実力差はありましたが、それでもかつては世界ランカーだった(今は13位とかですが、そういうのはランカーとは言いたくない気持ちです)選手で、来日数戦して全敗とかいう、明らかな格下ではない。
井岡一翔やドニー・ニエテスに判定まで闘ったのを含め、KO負けもダウン経験もないというタフネスとモラルの高さは、見ていて感心させられるものがありました。
その相手に、攻防共に引き締まった、充実の内容で打ち勝った田中恒成、世界前哨戦としては上々の勝利だったと思います。


WBOランクの数字だけ見て、一部マスコミがWBO新王者の中谷潤人挑戦へ、という見出しの記事を出しましたが、カリージョのタイプを見れば、当然狙いはIBF王者フェルナンド・マルチネスだろう、というのは誰の目にも明らかです。
長身と短躯、ボクサーとファイター、左と右。ここまで違って、なんでこの相手選ぶか、という話ですね。

ジェルウィン・アンカハスに連勝したIBFチャンピオンのアルゼンチン人、若干小柄?で、馬力と手数が売りのファイター。
次の防衛戦、指名試合は6月24日だそうで、それに勝てば、おそらく年内に来日という運びになるのでしょう。


今回の試合で終始見られた、コンパクトなワンツー、ダブル、トリプルで出たジャブ、左ボディや左右アッパーは、仮想マルチネスとして、考え得る中で理想に近かったカリージョを圧倒していました。
次は「本物」相手に、この日よりさらに一段上の精度、密度が攻防共に求められることでしょうが、組み立ててきたボクシングの方向性は、ぴったりとマルチネスに照準が合ったものだ、と感じました。



ただ、これは以前から思っていたことですが、やっぱり田中恒成、あれだけスピードがあるのだから、もう少し「スリック」な風味付けがあっても良いかなあ、と。
外して捌いて、相手を少し苛立たせ、傍目にも少し嫌みに見えるくらいの風情、情緒があって丁度良いんではないか、と。

でも本人、ある意味では井上尚弥的な方向、とまでは言わずとも、正直というか果敢に、真っ向から打ち勝ちたい、という気持ちが強いみたいです。
それは数々のコメントや、実際の試合ぶりに、全て出ていますね。
心配込みで見ているこちらとしては、もうちょっと「立ち回る」部分があっていい、と思うんですが、なかなか傍目の、他人の思うとおりになどいかないのがボクシングであり、ボクサーなのでありましょう。それは重々わかってはいますが...。



それはさておき、年内に実現するであろう「本番」がまずは楽しみですね。
問題はTBSが手を引いたらしい今、世界タイトルマッチがどういう形で、お茶の間(笑)に届けられるのだろうか、ということです。
CBCは絶対に放送するでしょうが、他地域向けには今回同様、Locipoで有料、ということでしょうか。それで世界戦が賄えるものか、ちょっとわかりません。

それと、もしIBF新王者誕生、となれば、これも強豪と目されるジェイド・ボルネアとの一戦を見ることになるのかもしれない、というところも、気にかかりますね。
マルチネスvsボルネアは上記のとおり、6月24日、ミネソタで開催だそうです。これも要チェックです。



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