さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

各団体、ルール策定に動かねばもう嘘だ

2019-11-30 16:58:21 | 海外ボクシング



またしても、計量失格のニュースです。

アンドレス・グティエレス、数年前、日本王者になる前の坂晃典と対戦する話があり、そのとき動画を探して見たことがあります。
ただ、試合ぶりどうというより、フェザー級ランカーのはずが、その時点で130ポンドかそれ以上の契約での試合が続いていて、動いてる姿見ても大柄で「坂との試合、何ポンドで契約したんやろう」と心配になったものです。
結局その試合は、グティエレス側の都合で流れたように記憶していますが、なんだか妙な選手だなあ、と思いました。

で、忘れた頃に名前が出て、こんな話です。
オスカル・バルデスは以前、これも計量オーバーのスコット・クイッグと対戦して、大激戦の末勝つも、アゴを骨折してブランクを作った経験もあり、誠に気の毒です。
「被害者の会」の一員に数えていいでしょう。

以前、山中慎介が「被害」にあった件のとき、1~2ポンド程度なら、条件面や当日計量の数字で折り合えば試合開催、しかし大幅ならコミッションが許可しない、それが世界の趨勢で、統括団体がルールを策定しないのが現状であり、結局は試合中止が可能な状況にない日本の興行事情と、コミッションの無力さが問題だ、と書いたのですが、その前提が先のフィゲロア、セハ戦で崩れ、そして間もなくこんな話です。

今回は同一興行に、バルデスと試合が出来るレベルの選手が他にいたようですが、いつもそう都合良く行くわけでもないでしょう。
ワシル・ロマチェンコに確信的体重オーバー(と、反則技)で勝ったオルランド・サリド、そしてご存じルイス・ネリーなど、結局は契約体重に落とす努力をせず、体格の有利をもって強敵に勝とうとする「手合い」が、こう頻繁に現れるようになると、これはいよいよ、統括団体も具体的なルール策定をし、それを世界戦やイリミネーション、地域タイトルなどの認可の際に、契約に織り込むよう義務づけねばならない、そういう段階に来ていると思います。

そして、上記したような「前提」が崩れ...というか、そもそも存在しないなら、体重オーバーによる大試合中止が難しい日本の有力興行者、関係者やコミッションにとっては、世界の統括団体に対し、それを声高にアピールしていく必要があるだろう、とも。

少し前にコメント欄でご教示いただいた話によると、ジェイミー・マクドネルが大騒動の末に118ポンドで、きちんと計量をパスした背景には、非常に厳しい契約が結ばれていたから、という理由があったのだそうです。
JBCの「国内法」と共に、こういう事例もアピール材料のひとつとして使える...かどうかはともかく、世界の趨勢、関係者の、階級制や計量に対するルーズな感覚を、そろそろ正さねばならない、と思います。
本当に、単にファンとして腹が立つから、ではなく、事故などが起こってからでは遅い、という意味においても。



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5 コメント

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Unknown (アラフォーファン)
2019-11-30 19:36:32
本当に呆れました。ネリに対する批判が世界中から起こっている中、セハ、そしてコイツ、どんどんオーバーの量が大きくなる。5キロなど正気の沙汰ではない。結局オーバーしてもファイトマネーの一部値引きで済む、団体が異なれば、また階級変えれば何の罰も受けない。だからこんな話が出るんですよ。正直タイトルマッチでオーバーしたら2年間停止、再犯で追放、当然ファイトマネー没収、興行主に損害賠償責任を負うなどしないといけないと思います。ウエイト守らないなら何のために階級あるのか、ボクシングの根幹に関わる問題です。
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お疲れさまです。 (元おっさんボクサー)
2019-11-30 21:13:12

体重、 階級別スポーツに置いて最も重要な部分。

もちろん計量時は当たり前。

が、IBFを除けば
当日の体重は増やし放題(笑)

常識的には5〜6kg以上増やしたら動けなくなる。

はずが、10kg前後増やしてもバリバリ動ける 鉄の胃袋をもつ長○川チャンプという例外があったり…

コレって、計量時さえクリアーすれば何でも有り?
階級制の意味あるの?
と 私はずっと疑問に思ってます。

試合当日に体重を激増していない時代の彼と試合している私としては、彼のパンチ力は普通以下でした。

いつか本人とこの辺りの答え合わせはしたいと思っております。

ゴミボクサー、ネリーに関しては
論外ですが…。


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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2019-12-01 20:15:15
>アラフォーファンさん

いやもう...いっそのこと、もう数件この手の話が続いて、さすがに罰則規定作らんと立ちゆかん、と大手プロモーターやTV局が激怒する、というところまで行ってくれへんかな、と思ったりもしますね。実際はそれこそ事故や、事故級の何事かが起こらんと、何も変わらないだろう、という諦観が勝ちますが。
この件ではアラムが激怒してたようですね。冥途に行く前の置き土産として、そういうものを作るよう、各団体を動かしてくれんものですかね。


>元おっさんボクサーさん

前日、決まった時間に体重が一致してはいる、しかし肝心の当日は...というのは、誰もが思う現行の前日計量制に対する根本的な疑問だと思います。現役途中でこのルール変更をまたいで活動したボクサーの中には、明らかにその適応に苦しんでいるなあ、と見えた例もあって、思い出すと色々複雑です。現在のボクサーたちは、前日計量による時間的余裕も含めて、体力温存しての減量方法を身につけているようですが、それも含めて、階級制度の形骸化と言える部分は確かにありますね。
元おっさんボクサーさんが長谷川穂積と対戦された試合を含め「あの頃」の長谷川の試合ぶりは、私もほぼ全て見ていますが、確かに後の姿とは、パンチ力が違い、従って試合の組み立て方、その前提が全然違いますね。あの頃は聞けば生活面に余裕がなく、栄養摂取も不足があったものか、体調が優れない事が多かったり、すぐ亀裂骨折を負ったりと、色々大変だったとかいう話です。その辺の影響が、対戦時にあったのかどうかはわかりませんが...機会あらば「答え合わせ」してみてください(^^)お話、楽しみです。


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Unknown (月庵)
2019-12-01 20:24:37
環境が腐っていればその環境で生きるものもまた腐る。本質的にはそういう事だろうと思います。今のボクシング界、別して北米ボクシングはスラムそのものです。強制力を伴った規範がないから、誰も彼も好き勝手に目先の利得ばかり追い求め、正直者が馬鹿を見る構造になる。しかもそれが裏の話に留まらずあけっぴろげに表に出てしまっている。控えめに言ってエンターテインメントとしては最悪です。

当日計量があったりなかったり、公開採点があったりなかったり、3KOルールがあったりなかったり……せめてまずその辺のユニファイドルールくらい作ったらどうだ? と言いたいです。古くは渡辺二郎が団体間ルールの相違というくだらない理由で王座剥奪された事例もありますが、それから三十年以上も経過して、ルールが統一されるどころか分裂する一方なのでは、同じ『ボクシング』という競技と本当に言えるのかという疑義すら生じてきます。このままの推移だとUFCの『周辺』に堕する日も近い(現に今の最大興行たるアルバレス興行ですら道を譲らなければならなかった)と思いますが、今の『現役』世代には正直何も期待できないですね。一見すると未だ華やかに見えるという所で、日本以上に深刻な状況と思います。衰退の様を自覚出来ず必然的に自己変革の機運も起こらないのだから。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2019-12-01 23:38:54
>月庵さん

自分で自分の足をかじっているタコの巣窟か、と思うときがありますね。悪く取り出すと際限もないのですが。
ルールに関しては、もう概念が違うのでしょう。ボクシングがサッカーほどとは行かずとも、全世界で広く闘われているものである、その副作用としての現実、とでもいいますかね。厳格な規制ではなく、物事を円滑に運ぶためのもの、という。私はこういうのは詭弁に過ぎないと思う側ですが。少なくとも「スポーツ」ではなく、肉体を直截的に叩き合う「ファイト」において、そのような考え方は危険すぎる、とも。
UFCはその直截さをより極端に、競技体系化したもの、と思っています。詳細に見てはいませんが、聞く話の限りでは、サッカーやボクシングよりも限られた範囲の中で行われている反面、統制が取れている面もある、と。その部分においてはボクシングより上を行っているのでしょう。
機運、については、それを起こすには、本当にもっと酷い事例が必要なのかもしれない、と絶望的な気分になります。これまでで充分、酷い話ばかりだと思うのですが、今回激怒したというアラムにしてからが、自分が取り立てているスターの相手の仕業だったから、という面もあるでしょうし、本当にどうしたら改善の兆しが見えるものやら...。






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