さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

色々と付け焼き刃の感あり 両国PPV興行雑感

2021-12-16 08:23:41 | 関東ボクシング


ということで、火曜日の興行、AbemaのPPV観賞、メイン以外の雑感あれこれ。


まあ何より一番良かったのは、谷口将隆の勝利ですね。

長身サウスポーのWBOミニマム級王者ウィルフレッド・メンデスは、見るからにやりにくそうに見えたが、2回、打ち合い、揉み合い、押し合いのさなか、バランス乱す。隙あり。
それを逃さず、左を決めてダウンを奪った谷口、それこそボクサー人生を賭けた一戦で、気迫と集中力の高さが見えました。

4回くらいまでは、その気迫でインファイトを仕掛けるも、ヒット自体は乏しかったのですが、5回くらいから右リードが冴え、足も動き始める。
こういう押し引きが出来れば、長身のボクサータイプ攻略には一番良い、という試合運び。
メンデス徐々に苦しくなり、6回、ホールドで減点される。

8回はメンデスもジャブやボディ攻撃で渡り合ったが、9回は谷口のボディ攻撃で後退。
ここから谷口もやや攻めあぐむ。上下へ散らす攻撃が出来れば、と思ったが、10回にはワンツーからボディへとヒットが繋がる。
11回、早々に左を好打し、TKOに持ち込みました。


試合中から、ライバルにして盟友の京口紘人と覚しき声をはじめ、陣営のアドバイスがけっこう的確というか、谷口の闘い方や特徴をよく把握した指示が出ているなあ、と思いながら見ていました。
相手との位置関係や、出方の変化、展開への対応など。大一番に意気込む谷口の闘志は、それこそ表情からありありと見えましたが、それが悪い方に出なかったのは、陣営が一体感をもって、谷口を支えていた故かなあ、という印象が残りました。その辺は、見ていて、なかなか「良いもの」でしたね。

府立の地下でたまたまデビュー戦を見た選手ですが、こういう大舞台で再挑戦が出来た幸いを得て、しっかり結果を出したのを見ると、やはり嬉しい気持ちになりますね。
これからは王者として、さらに一段上の闘いとなりますが、さらなる健闘に期待します。



大橋ジム期待の若手、松本圭佑はデビュー4連続KO勝ち。体格はますます良くなっていて、見るからに大器という感じ。
強烈なKO勝ちでしたが、これまでのように、スタートから良いのもらう、ということもなし。
徐々に強いのと当たっていくことになろう、来年以降に注目です。

元K1王者武居由樹は3戦目、またも初回KO勝ち。
パンチの交錯があった、と思ったら、際どく避けて打って、当てていて、それでダウンを奪ってのTKO勝ちでした。
この辺はもう、感覚的な部分で、ルーキーとしてはやはり並外れています。
ただ、少ない試合数でこの先を急くとしたら、まだ正直、見えていない部分もあるわけで...その辺、なまじ決定打をすでに持っている選手の難しさというものが、今後出てくるのでは、という気もします。


この試合、ひとつ気になったのはレフェリーのストップです。今村和寛、確かに打たれてダウンしましたが、レフェリー、あんなに「大わらわ」で止める必要ありますかね。
これ、倒した方と倒された方の所属ジムが逆だったら、絶対に続行の可能性を探るところです。普段から、そんな様子はいくらでも見ています。
本当に、しっかりと「設定」が生きている、というか、よう躾けられているというか...あと一、二秒、選手の顔見るなりしろよ、と。
健康管理のお題目を利用して、青コーナーの選手の闘う権利を奪うレフェリング、と断じていいものでした。心底から、嫌な気分になりました。



場内でやっていたという、白のドレスコードがどうのこうの、というのは、画面越しにはよくわかりませんでした。
この辺はもう、緩いカードだから何でもいい、話題が欲しかったのかな、というところです。
仮にメインの相手がドネアやカシメロや、それこそスティーブン・フルトンだったりしたら、そんなどうでもええこと、誰の口からも出て来んやろう、としか...。


PPVの放送については、画質は何しろ抜群で、回線も安定していて、100点満点でした。

ただし実況解説については...ことに実況の方、ひかりTVの配信で出ている方ですが、試行錯誤のさなかだとはいえ、試合中に平岡アンディへの「インタビュー」をして、リング上で選手が良いパンチ決めているのを無視するのは、やはりよろしくありません。それは別枠でやってね、と。
全体的にくだけた感じを出したいというところなんでしょうが、ほぼ「ダベり」のレベルやな、と思うところも多かったです。
ただ、ひとつ言えば、アンダーからメインまで7試合、全部ひとりに任せること自体、無理があるわけですが。
※すみません、4試合目までは別の人でした。失礼しました。



まあ、日本のボクシング中継で、それに半ば専念というか、専門的なことも含めて、落ち着いて語れる実況アナウンサーって、なかなかいるものではないですが。WOWOWは高柳さんが有名ですが、正直、そんなに良いとも思いません。若い赤平さんという人が最近良いですかね。ちょっとボリューム下げて欲しいときもありますが、聞いてて「ホンマに好きなんやな」と伝わってもきます。


ゲストの方々は、思った以上にいろいろ「弁えて」いて、安心しました。
関根勤さんは、試合展開をしっかり見た上で、要点を的確に捉えるコメントしていましたね。
ヒカキンさん、ていうんですか、こちらは基本、「凄い」という感想を言う役割に徹していました。普段何してる人なのか、全然知らんのですが、変なおふざけも何も無く、意外というと失礼ですが、見た目と違って、きちんとした人でした。



しかし全体としては、番組作りがどうにもチープというか、あまりうるさく言うのも何ですが、色々付け焼き刃というか「テストケース」の限界というか。
実況も上記のとおり、PPVならではの値打ち、有り難みを感じないものでしたし、格闘技の中継の「ノリ」も、個人的には今イチでした。
さらに、これは本音言うと嫌われそうですが、4回戦から「煽りVTR」作らないかんのか、とも思います。
極論すれば、そういうのはセミやメインからだけでええんちゃうの、と。まあ、時と場合によりけりかもしれませんが、優勝劣敗の世界で、あまりにも何でもかでも、というのは...という。

あと、驚いたのは選手の入場の際、大半が音声ミュート(笑)。これはびっくりしました。
メインでもディパエンの時、音消しましたね。いやはや...まあ、はしなくも「そんなもの」だった、ということが見えてしまいましたが。

まあ、個人的には入場曲なんて、無理なら流さんでもええよ、と思ってます。
音楽なしで入場してきても場内が盛り上がる、それが本当のスターボクサーであり、真のチャンピオンというものでしょうしね。





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8 コメント

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Unknown (hiro)
2021-12-16 18:27:48
と、同じAbema格闘チャンネルにて、本日の力石ーロイ・ガスガメインの興行も生配信とのことです(急遽発表というのが何とも…)。平日でもライブ続くのは凄いですなほんとに…。
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Unknown (アラフォーファン)
2021-12-16 19:09:59
谷口くん、見事でしたね。メンデス上手いけど、パンチ打つ時上体だけで足動かないから身体流れてたけど、谷口くんのステップイン、アウトが良かった故ですよね。
押し合いもありましたが、ダーティーさはなく、巧みさプラスαで相手を削って最後倒したので良かったです。
渡邉会長は、これで世界王者二人、今後重岡くんもですが、きちんと試合組んであげて欲しいです。

松本くんも頭構わず振り回す相手に冷静でした。次あたりでランカーとひと勝負して欲しいですね。

武居くんも見事でしたが、右フック返すとき思いっきり身体開くのはちょい危うい。カウンター上手い選手には別の攻め口を見せてくれると良いですが、魅力ありますよね。

私もHIKAKINさんに悪い印象なかったです。一ファンの素直な感想を言ってくれて、他の方の邪魔にならない。最近増えたユーチューバーの中で、けしからんのもいますが、この方は分を弁えており、一般目線を伝える役を果たしてくれたので好感持ちました
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2021-12-16 20:58:01
>hiroさん

宮崎亮のことは気になりますが、カードがあまりに酷すぎますね。配信は前から決まってはいなかったんですか?やっぱり、チケット売り上げに響く、ってことなんですかね。


>アラフォーファンさん

重岡兄弟が「同門」というのがねえ、もうそういう時代でもないかと思います。まあ、若いからライトフライに上げた方が良いかもしれませんが。
谷口は現状、ベストを出し切って、戴冠出来たんだから良かったです。
アンダーはまあ、つつがなくというところでした。放送席は、実況がいまいちでしたが、ゲスト解説は余計なことをほとんどしなかったですね。香川照之をボクシング界のA級戦犯たらしめた、井上vsナルバエス戦の悪夢を地獄の底と見れば、天国とは言いませんが充分、地上世界の話でした(笑)。
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Unknown (ポイズン)
2021-12-18 06:23:48
自分は中小ジムに所属して、大手のジムの興行で青コーナーで出場しましたが、五分五分の内容では、判定では勝てなかったです(笑)

興行主や戦績優秀なボクサーに忖度するジャッジしかいませんよね。

聞く話によりますと、ジャッジやレフリーは交通費しか支給されておらず、となりますと、あまり面倒な事に関わりたくないかも、ですね。

無難に興行主に贔屓しておこう、みたいな。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2021-12-18 11:31:29
>ポイズンさん

そこまで掘り下げて言うと、結局レフェリーはプロじゃ無い、ということになります。それに何を求めるのだ、という。
もっとも、それ以前の問題で、レフェリーが個人的な信念を貫いて、公正、厳正な判定、裁定を貫こうとしても、業界側はそれぞれ、てんでばらばらに好き勝手を言い、誰もレフェリーを護ろうとはしないでしょう。それに対し、ファンの立場であれこれ言うのも限界がある、と思ってはいます。
しかし赤コーナーの選手が倒れ、ダメージを負っていても限界まで闘わせ、そのせいでさらに余計なダメージを負う、という試合が過去に何度もあり、それを見ている目には、青コーナーの選手が続行可能か不可能かを見ることもせずにストップされる様を見ると、やはりひとこと、言いたくなりもします。百歩(百万歩かもしれませんが)譲って、贔屓の判定や裁定は仕方が無いとしても、選手の命に関わるところを、その贔屓に持ち込むなよ、とだけは、最低限言わせてもらいたい。そういう気持ちです。
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Unknown (ポイズン)
2021-12-18 12:22:56
お気持ち分かります。

松倉義明(宮田)VS大雅アキラ(協栄)の日本スーパーフライ級王座決定戦で、大雅はダウンするんですが、立ち上がり力なくファイティングポーズをしますが、視点は定まっておらずにも関わらず、レフリーが続行を命じ、再び松倉の強打でダウンし、そのまま意識を等戻す事なく数日後に死去しました。

レフリーに殺された、と思ったものです。

ちなみにポイントは競っていたと記憶します。
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Unknown (hiro)
2021-12-18 21:46:29
と、おまけですが、明日13:00からの内藤未来選手メインの立川での興行はyoutube配信のようです(そういえば新人王の決勝ですね、今年は全く終えてませんが…)。まあ色々とありつつも、リアルタイムで見れるイベントが増えるのはありがたいのです。

https://www.youtube.com/channel/UCeY2nVsqjVIZ40JEN6meMKA
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2021-12-20 13:12:40
>ポイズンさん

具体的な試合を例示していくと終わらないですね。あの辺の人たちは本当に悪質だったと思います。


>hiroさん

何しろ、多くの目に触れる機会を増やしていくことですね。その中から秀でたものを示す者が現れたら、そこから注目される道がある、という。誰にも見られず知られず埋もれていくのでは惜しいですからね。
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