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(第1話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしがヒーローガール!?キュアスカイ参上!!」感想

2023年02月05日 | ひろがるスカイ!プリキュア
■(第1話)ひろがるスカイ!プリキュア「わたしがヒーローガール!?キュアスカイ参上!!」感想


(「ひろがるスカイ!プリキュア」第1話より)

20年目のメモリアルシリーズ。各種イベントや話題も盛り沢山で、満を持しての発進です。

主人公たるソラさんは、プリキュアになるべくしてなった超絶優秀な娘さん。本当に優秀です。
言動の一切が「ヒーロー」を体現しており、兵士を蹴散らす悪に生身で果敢に立ち向かいます。
相手がどんなに強くても正しいことをする。確固たる決意。それを実行に移す勇気。幼き頃から積み重ねた憧れと修練。

非の打ち所がない。それ故、そこが弱点なんじゃないかとすら思う。

従来シリーズであれば、冒頭の「ソラさんがスカイランド城下にやってくる」シーンには、「鳥の上でバクバク何かを食べて、お祭りが楽しみだと騒ぐ」「友達出来るかなと期待する」ようなのが入ります。今回はそれがない。彼女は純粋にヒーローを目指していらっしゃる。

ヒーローを目指すことは悪いことではない。彼女の想定するヒーロー像も完璧です。
何せ「泣いている子供を助けて、おうちに帰る」ですよ。絶対正義だ。

ただあまりにもヒーローとして完璧であるが故に、従来の「プリキュアって言ったって、普通の女の子なんだよ!」を知っている私らとしては、不安を覚えます。
リアル世界でいえば、過労死の危険がある状態。

最初期の視聴者は、現在20台半ば。就職という激動を経験し、社会の洗礼を受け、自分の道を歩み始める年齢です。
自分なりの「理想の仕事像」を持ち、それに邁進する。おそらくは正しい。だけどそれで良いのか?
現代の感覚だと、ワークライフバランスは常識です。

ただ難しいことに、一点集中を貫くプロフェッショナルへの憧れも現にあります。第1話を見る限り、ソラさんは完璧に「正しい」。
「もっとお祭りの食べ物とかに興味を持とうよ」と言ったところで、「いえ、筋トレに邁進していたおかげで、パルクールで敵に追いつけました。今日のトレーニングがあるので失礼しますね」と言われたら納得せざるを得ない。

これまでのメモリアルシリーズを振り返ってみると、

・ハピネスチャージ(10周年。最初期の視聴者が中高生になった頃)
子供時代に「プリキュア」を見て憧れていたあの世界は虚構だった。現実には様々な不運や悪意があり、愛や夢が叶わないことも多々ある。
だけどあの時抱いたイノセントな想いは本物だったはず。
「プリキュア」は確かに無力だけど、それでもずっと傍にいる。だからどうか愛と勇気を忘れないで、立ち上がって。

・HUGっと!プリキュア(15周年。最初期の視聴者が就職や成人を迎える)
懸念されていた破綻が遂にやってきた。これまでの努力は、不可避のイレギュラーで薙ぎ払われた。子供時代の想いなんてガラクタも同然。
だけど、私がなりたかった私は、こんなことで心を折られたりはしない。
無駄でも何でも、ここまで頑張ってきたんだ。だから私たちは諦めない。

端的にいえば、暗い影を背負っています。
元々プリキュアは「未来は破綻していて、それは絶対に回避できない」を前提にしている節がある。
たとえば「スマイル」でいえば、敵を倒してもバッドエンドの針は進む。楽しかった夏休みもいずれは終わる。5人が大切にするものも、いつかは終わることが示唆されているものです(そして小説版ではその終わりが描かれた)。

ハグプリで一旦ここに決着がつき、スタプリからはその破綻した未来をどう生き抜くかが描かれていたように思えます。
イマジネーションと共に色々な経験をし、前に進むために時には何かを切り捨てて、いまはまだ明確な目的や計画に拘らず目の前の一番大事なことをやり、表面的な手段に囚われずに様々なリソースを取り込んで成長しよう。想定年齢20代前半から半ばぐらいまでの心構えとして、物凄く納得できる。

異邦人のソラさん(スカイランドの中でも異邦人。彼女は田舎?から城下町にやってきた)はあちこちを見学、体験して学ぶフォーマットを自然にとれますから、上記の展開も自然にできます。
仮面ライダーや戦隊ヒーローの例でいえば、歴代プリキュアの元を巡って、学んでいく形式もなくはなさそう。

これらを踏まえると、ソラさんの語る「ヒーロー」がバッド要素なのかグッド要素なのか難しいです。

ケース1「バッド要素」
「私の思っていたヒーロー像は間違っていた」として、軌道修正する展開。
たとえば「ヒーローたるもの、一度決めたことは曲げない」のような信念を、「時には柔軟に変えるべきだ」に修正するような。

ケース2「グッド要素」
ヒーロー像は間違っていない。それを補強するような展開。
先の「ヒーローたるもの、一度決めたことは曲げない」の例でいえば、「そして正しく決めるには、様々な経験がいる。私はもっと趣味を持とう」といった感じ。

15周年までの感覚(負の要素がにじむ)だと前者、ただその先を描いた20周年だから後者?あるいは全然違う展開?と思考が止まりません。
とりあえず最初の材料としては、ソラさんの仲間への認識かなと思う。一人で戦うつもりなのか、仲間を歓迎するのか。
特にバタフライさんとは価値基準が違いそうに見えます(偏見)から、どういう反応をするか楽しみです。

個人的にスカイさんの好感度がすこぶる高いこともあって、20周年のこの1年を目いっぱい満喫したいです。
色々書きましたけど、第1話のスカイさんは大変に格好良かった。特に初変身直後の拳を握るところ。望んでいた力が遂に。さて、戦うか。と振り仰ぐ(冒頭の引用画像のシーン)。果たして彼女の想いを通じるのか。
卑近な例でいえば、「幼いころから病人を救いたいと思っていた人が遂に医師になった」のような感じでしょうか。無力な子供を卒業し、念願の表舞台に立てた。温めてきた信念と努力が花開く。さあ戦いはこれからだ。ヒーローの出番です!

【追記】
うまく言葉にできませんが、ハグプリまでのシリーズが「子供時代(プリキュア)を卒業して社会人へ」だったとしたら、今作は「子供時代を卒業して社会人(プリキュア)へ」の視点なのかも。「プリキュア」に象徴されるものが入れ替わってるなら、こちらも意識して視聴しないと過去の幻影を引きずってしまいそう。
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