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「歴史が変わる前の物語」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2021年09月23日 | ハグプリ最終回考察
ハグプリの歴史改変ギミックはかなり完成度が高いと思います。一言でいえば「すごい」。

『タイムトラベルでは歴史は変わらない(変わらなくても破綻しない)』
『歴史を変えたのは、世界の外にいる視聴者による応援』

要するに視聴者の「プリキュアがんばれー!!」の声援が歴史を変えた。「オールスターズメモリーズ」での「好きなプリキュアの名を呼んで欲しい」と全く同じ構図。

『考察』からスタートしたので回りくどい思考になってしまいましたが、至ってしまえば「プリキュアらしい」納得のいく仮説です。
SFとしても通用する整合性があり、歴史を変えているのにタイムパラドクスが起きず、それでいてストーリーが幸せに解決している(えみるとルールーは再会できる)。
ついでにいえば、このトリックは「私たちの」世界の歴史改変をも示唆します。
タイムトラベルものとしてもっと評価されて良いんじゃなかろうか。

【私たちの知らないハグプリ】


(「HUGっと!プリキュア」49話より)

私の説では、歴史が変わったのは21話で黒白キュアが召喚されたとき。この瞬間に過去・現在・未来が変わり、私たちが見ているあの「ハグプリ」になった。

ポイントは「過去も同時に変わる」です。21話より前の話は改変前、ではない。
「時間は過去・現在・未来が同時に存在している」ので、21話で改変が起きたなら1話や20話も同時に改変されます。それを視聴している私たちも改変に巻き込まれますから、改変前の1話を視聴した記憶は失われ、代わりに我々の知るあの1話の記憶になります。
(これを厳密に突き詰めていくなら、私たちの世界がパラドクスを起こす危険があるのですが潔く無視します)

では改変前のハグプリはどんな話だったんだろう?
先に私なりの結論を書くと、元々の歴史での「ハグプリ」はこうだったと思います。

『野乃はなが最終的にマザーに神化し、世界を救う』

以下、根拠を述べます。
まず下記の条件をつけてみたい。改変前なんだから何でもありではあるんですが、それではあまりに漠然としているので取っ掛かりを作ってみます。

条件(1) :改変前であっても「プリキュア」ではあるので、「プリキュア」コンテンツとして違和感のないもの。
「野乃はなが民衆に裏切られて残酷な死を遂げた」とか「仲間を殺された恨みから闇落ちした」のような物語は(2021年現在のプリキュア観点では)ありえない。

条件(2): 変える必要がない箇所は、原則として改変後の「ハグプリ」に準じる。
ご都合主義的な制約ですが、シンプルに進めるために基本ラインは私らの知る「ハグプリ」とします。

条件(3): 「プリキュアの歴史がない」世界なので、私たちの知る「ふたりはプリキュア」(第1作)を参考にする。
これもご都合主義ですが、「第1作」という共通点がありますから、参考にするのは妥当じゃないかしら。
初代に準拠するなら「敵幹部が爆砕される」展開になりそうに思います。初代の頃から「光と闇」の対比構造や闇の側の事情も描かれ、いわゆる「犯罪者的な悪い奴ら」ではないことは示されていました。が、それでも爆砕した。当時はそれが新鮮で「プリキュア」の特徴とも言えましたから、この路線を採用したい。

条件(4): 何か「悲劇」「変えるべき」要素がある
15周年番組での大掛かりな改変ですから、「爆砕された敵幹部がかわいそう」といったことではなく、もっとプリキュアコンテンツに関わる何かが起きたと思われます。

【未来の掛け違い】

条件(3)「ふたりはプリキュア」を参考にするなら、第2期があったと推測されます。我々でいうところの「MaxHeart」が、改変前の世界では放送されていたんじゃなかろうか。

「MaxHeart」では追加枠としてルミナスが登場します。彼女は「光のクイーン」の「娘」ではありませんが、イメージとしてはそれに近しい。この関係性は「マザー」と「はぐたん」にも言えます。

「敵幹部を爆砕する」ならトラウムが死亡してしまいます。最終回で未来に帰る手段がない。はぐたんの不思議パワーを使ってもいいですが、とりあえず我々の知るカエル列車での帰還はなくなります。

以上を踏まえ、改変前の世界では「ハグプリ」第2期が放送され、トゥモローが追加戦士として共闘していたんじゃないかしら。未来に帰るために、失われたトゥモローの力を取り戻すとか何とかそんな導入で。(もしかしたら名前も「キュアトゥモロー」ではなく「シャイニートゥモロー」とかだったのかもしれない)

このシナリオなら普通に考えれば、はぐたんの母親はマザーです。
「MaxHeart」も、ルミナスと『少年』は姉弟のようにも見え、(そんな設定はなかったと記憶していますが)ジャアクキングとクイーンの子供のように受け取れなくもない。
ならば改変前「ハグプリ」第2期を見た視聴者が、「トゥモローはジョージとマザーの娘」と連想しても、不思議はないはず。

一方これまた普通の感覚として、はぐたんの母親は野乃さんです。「未来から来た赤ん坊が赤の他人」は、物語としては肩透かしにすぎます。
そこで第2期最終回で、我々の知る「ハグプリ」の最終回シーンが放送され、(半ば視聴者サービス的に)野乃さんが自分の赤ん坊を「はぐたん」と呼んでしまった。

そのため本編ストーリーとしては強く表には出さないものの、裏設定的な推測で「マザー=野乃はな」となってしまい、「野乃さんが後々マザー化する」展開になってしまったんじゃなかろうか。
他作品を引用するのは気が引けますが、主人公が神化するのはこのジャンルでは珍しくありません。初代プリキュアが意識したはずの「セーラームーン」でも「未来で神的存在になる」「娘が助けを求めてやってくる」を扱っていますから、むしろ自然な展開とも言えます。

ただ初期にこれをやってしまうと、我々の知る「普通の女の子」路線とはかなり乖離してしまいます。
これが条件(4)「変えるべき悲劇」だったんじゃなかろうか。

【改変の影響】

この説にはいくつか利点があります。

①正体不明のマザーに説明がつきます。
これまで書いてきた一連の考察には、マザーは何も関わってきません。「あんな意味不明の存在は放置すべきだ」とまで書いていたのですが、「意味不明なのは歴史改変により宙に浮いたからだ」なら何となく収まりが良くなります。

歴史が変わり、野乃さんのマザー化は避けられた。しかし条件(2)の裏返しで、改変前の物語も可能な限り維持され、マザーは残ってしまった。
プリキュア世界では「無から有が生まれる」タイプのパラドクスは前例があります。(参考:「リコのパラドクス」
「マザーが意味不明なことこそが、歴史改変の残滓であり証拠なのだ」と断言してしまったら気持ちいいかもしれない。

②最終回の全人類プリキュア化につながります。
改変前は「特定の女の子が神になる」話。改変後は「普通の人類が、人類として戦う」話。
「(普通の女の子である)プリキュアの歴史が持ち込まれた」結果、「変えるべき悲劇(神化)」が解消されて「普通の人々が戦う」のは流れとして綺麗に思えます。

他、ストーリーとも整合します。
ジョージの語った「民衆に冷たくされ、自己犠牲で解決せねばならなかった」様子にも合います。「勝てない戦いを挑んだ」などなら解決の方法もありそうですが(例えばタイムトラベルして戦力を増強する)、マザーになることで完全解決できるなら、野乃さんを止めるのは確かに難しそう。

また、ジョージが救出のために未来に立ち向かった(私は勝手にそうだと思ってる)のも、「マザーになった野乃はなをどうにかする」であればチャレンジする気持ちが沸きそうです。
逆に言えば、このことから「改変後の」ハグプリの未来で何が起きるのかも予想できるかもしれない。引き続き考えてみたいです。

参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
コメント
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