問、日本国内で国籍別に犯罪統計を見た場合、最も検挙数の多いのはどこの国の人間か?
答、日本人
犯罪統計が記録されて以来、常に検挙数の1位は日本人でした。それも毎年、2位以下に圧倒的な大差をつけてのことです。この国の犯罪のほぼ全ては日本人の手によるものであり、あなたが犯罪に巻き込まれた場合、その犯人は約97%の確率で日本人です。昨今では盛んにテロの危険性が煽られていますが、ではそのテロの犯人は何人でしょうか? 目新しいところでは加藤紘一氏の実家焼き討ちがありますが、これの犯人は日本人でした。外務省の田中審議官宅に爆発物が送りつけられるというテロ行為もありましたが、その犯人も日本人、ついでに「爆弾が仕掛けられて当たり前の話だ」とテロ容認発言をした痴れ者も日本人でした。恐ろしいことに、そんなテロ擁護者に投票したのは100%日本人、日本人以外は一人も投票していません。日本のテロではあまり死者が出ませんが、例外的に死傷者が多数発生した地下鉄サリン事件、日本のテロ史上に残る惨事でしたがアレの犯人も日本人でした。もちろん暴力的な事件ばかりには止まりません、耐震強度を偽装したのも日本人、岐阜県庁の裏金問題も関係者はみんな日本人、飲酒運転で車に追突し3人の死者を出した福岡の事件も、やっぱり犯人は日本人でした。犯人はいつでも日本人です。
日本人は、危険な犯罪者であり、テロリストだ。もしあなたが街中で日本人を見かけたら用心すべきだ、警察は日本人の取り締まりを強化すべきだ――そう、結論づけることも可能かも知れません。
不思議なことに、日本で危険と目されているのは日本人ではなく、日本人よりも遙かに僅かな検挙数しか記録していない国籍の人々です。特に狙い撃ちされているのが中国人、中国人の犯罪件数はどの年度をとっても日本人に次いで2位です。毎年2番目に多いということはそれなりに・・・という気にもなりそうですが、1位の日本人との間には超えられない壁があります。なんといっても1位の日本人だけで全件数の97%、残る3%を他の国の人で分け合うわけですから、どうあがいても日本人の犯罪には及びません。日本以外の国籍保有者の手による犯罪など微々たるものです。
スターリンは言いました「一人の死は悲劇だが、100万人の死は統計に過ぎない」と。日本のスターリニストであればこういうでしょうか「2%強の外国人犯罪は深刻だが、残る97%の日本人犯罪は統計に過ぎない」と。あるいは「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛めばニュースになる」すなわち、日本人の犯罪なんて当たり前すぎて取るに足らないが、外国人の犯罪は珍しいケースであり、大事件だ、と。
まあ、97%の犯罪を担っているからと言って日本人が危ない、日本人に要注意、そう考える人はまずいません。なぜでしょうか? この国で行われている犯罪のほぼ全ては日本人によるものであるのに、ですよ。なぜか? それはこの国に住んでいる人もほとんどが日本人であり、日本人の犯罪が多いのは単に日本人が多いから、当たり前のことですね。ところがこれが外国人、例えば中国人となると話が違ってきます。検挙件数で常に日本に次ぐ2位につけている中国人、日本人の場合と同じように考えれば、中国人の犯罪が2番目に多いのは、母数となる中国人の数がそれ相応に多いから、との結論に達するはずです。もしそうでなければ、あなたは二重基準で判断しています。もう少し公正になる必要があります。
A,韓国人集団による窃盗事件があった。韓国人に対する取り締まりを強化すべきだ。
B,日本人集団による窃盗事件があった。日本人に対する取り締まりを強化すべきだ。
C,ブルキナファソ人集団による窃盗事件があった。ブルキナファソ人に対する取り締まりを強化すべきだ。
さて、以上の3つのケースの内、おかしいのはどれでしょうか? 一番多く発生するパターンはBです。一方で一番多く語られるパターンはAです。さて、おかしいのはどれでしょうか。
久保大・元東京都治安対策担当部長によると「統計数値を根拠に、最近になって犯罪が増えているというのは一種の錯覚。例えば犯罪の認知件数は被害者が届けるかどうか、警察が面倒くさがらずに受け付けるかどうかで増減する」「犯罪件数は氷山と一緒で、全体の大きさは変わらなくても(警察や人々が)水位を上下させることで、水面に出ている部分が大きく見えたり小さく見えたりする」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060925/mng_____kakushin000.shtml
よく語られるのが、外国人の検挙数の増加です。これの原因の一つは検挙率の急増であり、検挙数の増加ほど、検挙の対象が増えているわけではありません。これと関連して思い出されるのは警察によるオタク狩り、私も秋葉原路上で警察に因縁をつけられ、持ち物検査を要求されたことがあります。
「カンタンなのは、最も近い繁華街に出向いて検挙することです。本富士署では、管轄外であるはずの上野公園や秋葉原駅周辺で、片っ端から職務質問をし、『最近は物騒だから』と所持品を出させる。その中にカッターナイフやツールナイフ、ハサミでもあったら、銃刀法、ないし軽犯罪法違反で逮捕して、即座にパトカー出動を要請して署に連行するといいます。また、公園周辺に車を停めて休んでいる人物に職務質問し、たまたま、トランクにゴルフのクラブを入れっ放しにしていただけで、『いつゴルフに行ったんだ』と畳みかけ、満足に答えられないと“凶器の隠匿”で逮捕連行してくる。とにかく検挙率アップのためには手段を選ばないのでしょう。微罪でもなんでも逮捕してくると、地域課長に、『よくやった』とほめられるのですから」
実際に捕まった人の体験談がこちらに。
その他、「管轄外からパトカーが来るほどアキバは検挙件数アップには良い狩り場?」
つーわけで、秋葉原のオタクの検挙数が増加しているわけですよ。検挙数増加中の外国人への取り締まり強化が必要なら、同じく検挙数増加中のオタクの取り締まり強化も必要・・・ですか? 検挙数が増えているのは取り締まりを強化したからであって、不当な狙い撃ちで取り締まりを強化したから検挙数が増えて、それを口実に取り締まり強化、拡大再生産というか自家発電というか、感情のデフレスパイラルと言うべきか、いやはや形容する言葉が見つかりません。
まあ別に、検挙なんて気にすることはない、という考え方もできます。例えば小泉前首相も親しくしておりましたアメリカのブッシュ大統領などは実に3回の逮捕歴があります。飲酒運転と交通事故、窃盗、治安紊乱行為がそれぞれ1回ずつ。本当であれば選挙法違反や偽証、インサイダー取引と背任、人権侵害や殺人教唆などでさらに何回か逮捕されていてもよさそうですが、とにかく公表されているだけで3回の逮捕歴があります。筋金入りのワルですね。こんな犯罪者に日本への入国を許していいものでしょうかと疑問すら湧いてきます。
ところがこの逮捕歴3回の犯罪者を諸手を挙げて歓迎する一方で、たった1度だけ検挙された人を危険視する人がいます。さらには、その検挙された人の同国人もまとめて危険視しては、取り締まり強化を要求する人までいます。よりによってそういう二重基準の持ち主が権力の座についていたりする、恥ずかしいことです。
外国人の検挙数で最も多いのは不法滞在ですが、これって悪いことなのでしょうか? まあ不法行為には違いありませんが、法的な庇護を受けられない社会的弱者である不法滞在者、この弱みにつけ込んで低賃金で酷使しては利益を上げている人たちがいます。で、そういう人たちが検挙されたという話は聞きません。不法滞在者を使って利益を上げるのが許されるのであれば、その許される行為を下支えしている労働者の権利くらいは認めてあげてもいいのでは? 筋を通すつもりが少しでもあるのなら、不法滞在者を買い集めて儲けようとする側を検挙しなくてはいけませんね。もし不法滞在の根を枯らすつもりがあるのであれば、ですよ。
そもそも、犯罪に国籍は関係あるのでしょうか? 特定の欲望を持った人たちが盛んに外国人と犯罪を関連づけようと主張を繰り広げ、メディアの報道はそんな欲望と現実の中間ぐらいに立つのがせいぜい、ろくなものではありません。たとえば、金持ちの、アラブ人の、ブッシュ家とつながりのある、イスラム教徒の、アフガニスタンに拠点を持つ、アメリカで訓練を受けた一団がアメリカでテロ事件を起こしたとき、ブッシュはこの様々な属性の中から「イスラム教徒」「アフガニスタン」を抽出して攻撃対象を限定しました。M.ムーア氏は「ブッシュ家とつながりのある」「金持ち」にも疑いの目を向けたらどうかと言っていましたがね。
さて、そこで日本の場合、検挙されているのはたいていが経済的に貧しい日本人です。なかには裕福な日本人や貧しい外国人の場合もありますが、それは少数派です。では多数派である貧しい日本人の場合ですが、そこから「日本人は犯罪者だ、警戒が必要だ!」という結論を導くのは明らかにおかしいですね。ではそこから「日本人」という属性を差し引くと、貧困が残ります。
日本でも外国でも貧困層の検挙数が多いのは共通ですし、日本国内に限っても日本人であろうと外国人であろうと、国籍にかかわらず貧困層の方が検挙数が多いわけです。そりゃそうです、金持ち喧嘩せずじゃぁありませんが、財産や社会的地位、将来への展望を失うリスクを冒してまで犯罪に走る人は少ないわけで、しかるに失うものがなければ犯罪への歯止めになるのは良心だけです。合法的に働いて大金を稼げる人もいれば、どうあがいても生活最低賃金すらマトモに稼げない人もいて、非合法活動の方が儲かるし、そうやって稼がなければ生きていけないのであればそれは当然、犯罪への動機付けになります。まあ偉い人も非合法なことはやるのですが、残業代を払わなかったり偽装請負を常態化させたり県からの補助金を詐取したり国会で嘘を吐いたりしても、偉い人が検挙されたりはしませんから・・・
まあ仮に貧困層は犯罪率が高いとして、ならば貧困層への取り締まりが必要なのかと、そう考えたがる人は多いでしょう。実際にそういう方針でやっている国もあるし、そういう国を日本は追いかけたがる。取り締まりを強化してもその強化のおかげで検挙数は増えるものですが。ただ貧困が犯罪の温床なら、貧困層を中流水準まで引き上げてしまえば検挙数は激減するわけで、尊敬される国でありたいならそうすべきではないかと。財産と社会的地位と未来を失うリスクを冒してまで犯罪に走る人はまずいませんし、非合法に働くより合法的に働いた方が儲かるのであればわざわざ非合法な就労形態を選択する人はいません。この辺を是正する気がないのに取り締まりばかりを要求する人は治安ではなく取り締まりそのものが欲望の対象であるのか、或いは事実と異なる前提に基づいて考えているかでしょうね。
特定の結論を導き出すために、特定の要因だけを抽出して語られる場合、例えば特定国の出身者を排斥したいという欲望を満たすため、検挙された人がどこの国の出身であるかに力点を置いて報道される場合がしばしばあります。そしてそれに乗ろうとする人もたくさんいます。しかし、国籍ばかりに焦点を当てるのはあまり意味がありません。より関連性が高いのはその人が置かれた経済的環境かも知れませんし、もしかしたら支持政党によるかも知れません。えぇ?支持政党と犯罪率に関係何てあるの?と思われるかも知れません。まぁ、支持政党別検挙件数なんてデータはありませんが、ほぼ間違いなく自民党支持層、小泉・安倍支持層に最も検挙数が多いと推測されます。母数となる数が多いのでそれに伴って検挙数が増えるのも当たり前ですし、自民党および小泉・安倍総理の支持層は低収入層の割合が高い――結果として検挙数が高くなります。自民党および小泉・安倍支持層の検挙数が最も多い、なんてデータが出てきたら、さてどうしますかね。