非国民通信

ノーモア・コイズミ

彼らはなぜ自民党に投票するのか?

2006-10-23 23:06:48 | ニュース

衆院補選神奈川16区 一票は、どんな基準で

 予測されたこととはいえ、衆院補選では両選挙区とも自民党の勝利に終わりました。例によって両方とも世襲議員です。どうせ世襲議員だけで固めるのであれば、衆議院ではなく貴族院と改名した方が良さそうです。

 さてそれでは、自民党に投票したアホの子達の声を聞いてみましょう。

 小泉政権下で景気がよくなったというが、個人的には、まるで実感がない。老後の不安も感じる。銀行から貸しはがしに近いこともされた。
 それでも、民主党という党はどうも分からない。「自民との政策の違いがはっきりしない。第2自民党みたいだ」。18日の党首討論をテレビ中継で見たが、「小沢さんはどうみても自民の人。何が言いたいのか分からなかった」。

 こういう声が最大公約数的な意見ではないでしょうか? 自民万歳ではないが、だが民主党ではダメだ、と。ただ、なぜ民主党ではダメだと考えるのか、その根拠を持っているわけではなさそうです。

 これに関連して思い出されるのですが、粕谷秀樹という5流スポーツジャーナリストがこんなことを書いていました。

 メディアの世界で生きるのであれば、常に反体制を貫かなければならない。ただし、物事を見きわめる眼力は必要だ。民主党、社民党、共産党のように、なんでもかんでも反対するだけでは、大衆の支持は得られないだろう。異を唱えるだけではなく、どうすれば改善できるか、具体策を提示するべきだ。「アンタは嫌いだから認めない」という論調は、小学校の学級委員会以下といっていいだろう。

 たぶん、たいていの人はこう、民主党などの野党はただ反対しているだけ、それに代わる改善策は示していない、御上に抗うのは嫌いだからだ、そう信じている人が多いのではないでしょうか。上の引用は純粋なスポーツ関連のコラム、政治を語る場ではありませんでしたがまるで枕詞のように野党への中傷から始まります。それだけ、こういうカスのような考え方が市民の間に浸透していると言うことでしょうか。

 しかし実際に野党は「反対しているだけ」なのでしょうか? 本当に「具体策を提示」していないのでしょうか? 意見が対立するのは「アンタは嫌いだから認めない」からであるとする根拠はあるのでしょうか? たしかにメディアは政府与党への翼賛記事一色、政府与党に従わない相手は「抵抗勢力」と位置づけられ、その主張は歪曲して伝えられ、ネット上では市民からの熱心なバッシングを受ける。そんななかでカスのように批判精神を持たない大政翼賛的なジャーナリストが偏見をそのまま書き連ねる。そうして、有権者達は野党が実際に何を主張しているのか、何も知らない、野党の主張から耳を背け知ろうともしない、挙げ句の果てには知ったつもりになって野党への不信を重ね、自民党に投票する・・・

 ただ、実際にどういう政治運営をしているのか、それを知らない、知ろうとしないその対象は野党だけではありません。多くの有権者達は、自民党がどういう政党で、どういう政治を行っているのか、それを知らないまま投票しているのではないでしょうか。世論調査で「政府に望むこと」が問われるとき、項目の分け方によって差異は出るものの、常に1位を争うのは年金問題などの社会保障、雇用などの経済対策です。つまり、国民は社会保障の改善や景気対策を望んでいる――しかし、政府自民党がどのような社会保障改革をやったのか、どのような経済政策をやってきたのか、それを知った上で野党の主張と比較、投票した人はどれだけいるのでしょうか?

 小泉政権下で景気がよくなったというが、個人的には、まるで実感がない。

 これは当たり前の感想です。国家全体で見れば景気は回復していますが、それは企業と富裕層の景気が回復しているだけ、国民の大半を占める中流以下の階層の平均所得は減少を続けています。だからもし、この有権者が会社経営者や投資家でない限り、景気回復を実感できることはないのです――なぜなら普通の人の所得は下がっているから。自分の実感として政府が発表する景気回復に疑問を抱ける立場にいる、それにもかかわらず景気がよくなったと騙る政府与党を支持する。だが、もう一度冷静に考えて欲しい、あなたの景気はどうなのか? 国家の景気がよければ自分の景気はどうでもいいのですか?

コメント
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