非国民通信

ノーモア・コイズミ

大人の自殺も深刻です

2006-10-22 01:23:14 | ニュース

自殺者、年3万人下回る 経済好転?、慎重な見方も

過去1年間の日本人の自殺者数の合計が今年4月、2万9808人と、3年4カ月ぶりに3万人を下回ったことが、厚生労働省の人口動態統計月報(概数)で、明らかになった

 日本の場合、20代と30代の死因のトップは自殺なので、自殺件数が減ったこと自体は喜ばしいことに違いありません。

内閣府の自殺対策推進準備室は「経済状況の好転により経済的な理由で死を選ぶ人が減っているのでは」とみる。

 これは少しおかしいですね。経済状況の好転で恩恵を受けているのは企業、企業役員など富裕層であって、下っ端社員の経済状況は好転していません。

平均給与、8年連続減少 国税庁調査

 国税庁が発表したところでは一人当たりの給与は減っています。経済的に不安定な派遣社員やフリーター、さらには偽装請負が今なお多数生み出されているにも関わらず「経済状況の好転により~」とは、実に無責任な発言ですね。自殺対策推進準備室のお偉いさん達の経済状況はきっと好転しているのでしょうけれど、普通の人は全く逆なのです。それくらい知った上で発言すべきです。

05年の自殺者数は厚労省のまとめが3万553人に対し、警察庁は3万2552人と約2000人多かった。厚労省の統計が国内で自殺した日本人だけを対象としているのに対し、警察庁の統計は外国人も含めているため、数字が異なる。

 日本人が約1億人いて、自殺者が3万人、外国人はだいたい200万人いて、自殺が2千人。日本人の自殺率が3000人に一人の割合なのに対し、外国人の自殺率は1000人に一人。日本在住の外国人の自殺率は日本人の3倍のようです。それと関連して思い出されるのが、

団体保険で300億円回収 05年度、自殺が14%

 最近になってようやく明るみに出てきた、借り手が死亡した場合に消費者金融17社が保険金を受け取る「消費者信用団体生命保険」、借金のカタに死を選ぶ、或いは選ばされるという実に恐ろしい制度です。「全体の約半分は死因がはっきりせず」というのも実に恐ろしい、普通に首を吊って自殺なんでしょうか、それとも謎の黒服に撃たれて自殺でしょうか。せめて死因くらいはちゃんと調べてやってください。

 で、外国人の自殺率が高いというのは、借金のカタに自殺を余儀なくされているケースも多いんじゃないかな、と(しかもその半数は死因不明?)。ブローカーに多額の借金を負わされた上で日本に売られ、違法な低賃金で働かされている外国人にはこういうケースは珍しくなさそうです。それはまあ、異国で差別を受けながら暮らしていれば気を病むこともあるでしょうが、でもやはり経済的な理由から死を選択せざるを得ない人が少なくない中で、とりわけ経済状況好転の恩恵から縁遠い人々の自殺率が高いことは想像に難くありません。これは自殺者を国籍で分けるのではなく、収入など資産状況ごとの統計で自殺件数を発表してもらわないと断言はできませんが。

厚労省、外国人研修見直し 劣悪な環境、失跡が問題化

 リンク先の記事によると約8万3000人が研修生として入国、失跡する研修生は年間2000人、およそ40人に一人が失跡を遂げています。ちゃんと逃げられたでしょうか? 今頃は海の底に沈められている、なんてことがなければいいのですが。

 ちなみに自殺件数は毎年約3万人ですが、労災による死亡件数は毎年1500人ほどです。これは、殺人件数とほぼ同じ数値――すなわち仕事に殺される人の数と殺人犯に殺される人の数はほぼ同じだと言うことです。労災はなかなか認められませんので、実際の件数は1500件を大きく上回ると予想されます。つまり、我々は殺人鬼に殺される可能性よりも会社に殺される可能性の方が高いわけです。

 日本では消費者金融が借り手に生命保険をかけて、借り手の自殺で保険金を受領していたのが明るみに出ました。では普通の企業の場合はどうなのでしょうか? 残念ながらこの辺りを調べる手段を私は持っていませんが、しかるにアメリカの場合、普通の企業が社員に保険をかけ、社員の死亡によって企業が保険金を受け取るケースが多々あるようです。日本でもおなじみのディズニーも、ネスレも、ウォルマートもみんな社員に保険をかけて、社員が死んだら保険金を受領していたことが暴露されました。あまりの激務のために過労で倒れたなら、もうこれ以上仕事を続けられない状況に追い込まれ、死を選んだとしたら、会社が保険金を受け取るのです。日本でも企業を受取人にして他人に生命保険をかける、という行為が消費者金融各社だけの例外的な慣行である保証は何処にもありません。我々は死を望まれている可能性すらあるのです。

 何の因果か自殺者数は統計上は減ったわけですが、一般の労働者は景気回復にもかかわらず給与は下がり、その取り巻く状況は以前として厳しいまま。子供が自殺すればそれを口実に教育委員会の権限強化を企てる輩がいたり、大人が自殺すればその生命保険を受け取ろうとする赤の他人がいます。油断も隙もありませんね。

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