NHKに「拉致」放送の命令検討 総務相
なにやらとんでもないニュースです。もとよりNHKも翼賛体質が強く、拝外主義者、修正主義者側の主張をこれまで一方的に伝えてきましたが、どうやらまだまだ足りないようです。まあメディアは右からも左からも批判にさらされる、概ね日本のメディアは多数決的と言うべきか世論の中間あたりを狙った報道をするわけです。すなわち、事実とプロパガンダの中間ぐらい。こうなると左からは事実を余さず伝えていないと批判され、右からは自分たちの要望に従っていないと非難される。
そんな訳で極左の私から見ればNHKだって翼賛メディア、受け入れたくない現実をありのままに伝えず、多数派の要望に媚びるように色々と焦点をずらして不公正な報道を続けている訳です。しかし修正主義者から見ればその程度では物足りない、自分たちの妄想、イデオロギーを忠実に反映していない、気にくわないと。
そんな中で、「NHKには命令放送を行わせることができる。内閣が変わって、拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない。そういうことを含めて検討したい」と述べ、NHKの短波ラジオ国際放送で、拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示した。と・・・
NHKの現状の媚びではまだまだ足りないから、こちらから命令して我々のイデオロギーに沿った放送を行うよう命令を出そうと、そういう動きがあるようです。何を考え、主張すべきかは国家が決めることであり、下々のものはそれに従いなさいと。「政府による放送内容への関与は、放送の不偏不党、表現の自由をうたった放送法1条の理念に反する。」訳ですが、これは「法律以前の問題だ」などの現時を平気で繰り出し、それを誰も批判しない、法よりも党指導者の意思が優先されるのが当たり前と考える層にとっては何ら気にすべきことではないということなのでしょう。これではもはや法治国家ではありませんね。
もっとも「拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない」との断言に対し、世論調査の結果は矛盾した結果を突きつけます。リンク先は「拉致問題」を選択肢に含む「あなたが安倍内閣に期待することは?」のランキングです。総務相の「最重要事項」との断言にかかわらず拉致問題は「年金・福祉問題」「経済問題」「景気・雇用対策」「財政再建」の後塵を拝し、当てはまるものはいくつでも投票できるシステムであったにもかかわらず拉致問題を優先課題に挙げた人は28%に止まっています。その他のメディアによる調査でも常にトップに来るのは年金問題、経済問題であり、通常の世論調査に比して保守色が濃厚なネット上での調査ですら拉致問題は最上位ではありません。それでも現実から目を背ける修正主義者にとっては拉致問題こそが最重要事項なのでしょうか。
たしかに拉致問題は日本側が一方的に相手を非難できる、一方的に正義の側に立てるという点で使いやすいテーマ、支持を得やすいテーマです。しかしいつまで拉致問題を利用し続けるつもりなんですか? そろそろ解決してしまってはいかがですか?