非国民通信

ノーモア・コイズミ

むしろ安倍晋三を推したい

2008-12-08 23:01:30 | ニュース

「小渕氏、子供産んだから少子化相に」自民・笹川氏(朝日新聞)

 自民党の笹川尭総務会長は6日、松江市内での党島根県連のパーティーで、麻生政権で初入閣した同郷の小渕少子化担当相について「なぜ(少子化担当相に)なれたか。子供を産んだからです。もし結婚して子供がいませんと、『少子化』って言ったって、お前方法わかるのかって言われます」と発言した。子供がいなければ、少子化担当相になる資格がないともとれるだけに議論を呼びそうだ。

 笹川氏は「私は男の子が5人、孫が14人。本当なら私が少子化担当大臣だった」とも語った。笹川氏は9月30日、米議会下院の金融安定化法案否決を受けて「下院議長は女性(ペロシ議長)。それで破裂した」と発言。社民党などから「女性蔑視だ」と抗議を受け釈明したこともある。

「子供産んだから少子化相」発言、首相は「関係ない」(朝日新聞)

 麻生首相は7日、自民党の笹川尭総務会長が小渕少子化担当相の初入閣の理由を「子どもを産んだから」と指摘したことについて、「小渕さんが子どもを産んだから大臣になったわけではない。指名した本人が言ってんだから」と述べ、笹川氏の見解を否定した。訪問先の熊本県天草市で記者団の質問に答えた。

 麻生氏も大変だな、と思わないでもありません。まぁ本人が率先して妄言を連発しているわけですし、総務会長だって総裁が指名した人選ですから、自業自得なのでしょうけれど。昨今は自民党内部ですら麻生降ろしが始まりつつあるようですが、思えば組閣当初から大臣や党幹部が問題発言を繰り返してミソを付けるばかりで、党首を支えようという意識よりも自分のやりたいことをやろうとする意識が目立っていました。漢字も読めないと国民から見くびられつつある麻生氏ですが、自民党内部ではもっと以前から舐められていたような気がします。

 さて、笹川氏です。何を言おうとも驚いてはいけないのが昨今の自民党政治ですが、予想を上回る馬鹿さ加減には、ある種の創造性すら感じられます。そういえば9月には「破裂」と言っていたのですね、私は「決裂」と言っていたものだと思っていたのですが、何とも独特の言語感覚です。

 それはさておき、小渕少子化担当相が起用された理由は「子供を産んだから」だそうです。そして曰く「もし結婚して子供がいませんと、『少子化』って言ったって、お前方法わかるのかって」とか。例によってツッコミどころが多すぎて迷います。例えばそう、「結婚」と「子供」をセットで考えているのがダメですね。日本ならずとも経済的な発展に伴って少子化は進むものですが、先進国で出生率が増加に転じている国は軒並み婚外子の割合が急増しているわけです。結婚と子供を分けて考えられるようにならないと少子化の流れは止められませんし、そのためには公然たる婚外子差別など日本の制度上の欠陥を改めること、社会の意識を変えていくことが必要ですが、政府の重鎮が旧態依然とした家族観を当然視しているようでは、とても見込は感じられません。

 そもそも少子化問題とは、自身の出産経験がモノを言うものなのでしょうか。経験がないよりはあった方が好ましいのかも知れませんが、出産経験などよりも他に重要なものがありそうな気がします。というより、生まれながらの特権階級である世襲政治家にとっての子育てと、「普通の」人の子育てでは別世界ではないでしょうか。少なくとも経済的、社会的には何不自由ない立場で子供を産み、育てた人の経験に基づいて行政に着手されても、むしろ逆効果だと思います。

 今まで少子化担当相には必ず女性が起用されてきたわけですが、少子化担当相には男性を起用すべきとの意見もあります。そうですよね、少子化は女性だけが責任を負う問題ではない、男性も参与しなければ解決できない問題ですから。その点では「本当なら私が少子化担当大臣だった」と語る笹川氏の(本気ではないであろう)発言は評価できないこともありません。しかし「私は男の子が5人、孫が14人」と子だくさんをアピールするのはどうでしょうね、むしろ子供が欲しくても出来なかった人の方が、色々な境遇の人に配慮できるのではないでしょうか。その点では配偶者が不妊治療を受けたりして頑張ったけど子供は授かれなかった安倍晋三とかの方が、笹川氏よりは面白い人選かも知れません。子供を産まなきゃ少子化問題には取り組めないと考えるような人よりはずっと期待が持てるでしょう。まぁ、安倍氏が自身の体験から何かを学べるとして、の話ですが。

 

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6 コメント

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はぁ…って感じです。 (いるか缶)
2008-12-09 01:15:03
>もし結婚して子供がいませんと、『少子化』って言ったって、お前方法わかるのかって

管理人様の言う婚外子無視な点もそうですが、私はこれを見て、結婚しないと子作りの方法はわからないってあたりに純潔教育を感じてしまいました。根底にあるのでしょうか。

>少なくとも経済的、社会的には何不自由ない立場で子供を産み、育てた人の経験に基づいて行政に着手されても、むしろ逆効果だと思います。

完全同意します。今何でも愛国心で解決するという本があるらしいのですが、そんな感じで精神論で押し切りそうで怖いです。
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子供を産まなかった保育士は失格者? (焚火派GALゲー戦線)
2008-12-09 21:03:49
 確かに、出産経験(自分の子を産んだ経験)は無いより有った方が良いかもしれません。
 しかし、保育所の保育士に子供が産まれなかったとしたら、その人は資格者として永久にふさわしくないことになるのでしょうか? あるいは、男性の産科医(当然出産しない)や出産経験のない女性産科医は「産後の(予後?)過ごし方」のアドバイスはするのに不適切な立場なのでしょうか? そんなことはおかしいはずです。
 しかし、そういう考え方を利用して一儲けしようと人材派遣のパソナが策動しています。

http://www.business-i.jp/news/special-page/jidai/200811250001o.nwc
>、「保育士資格要件の緩和」などを提案した。子育て後の女性などにも講習で資格が取れれば働く場が増え、保育士不足も解消するという内容だ。
 あるいは、それに同調する読売新聞。
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07103003.cfm
>「准保育士」の資格を新たに作り、育児経験のある人が、衛生や栄養などに関する3か月程度の研修を修了すれば取得できる制度を提案する。

 実は上記の読売の記事について、現状で保育士資格試験を受験できる要件が必要以上に狭いように嘘情報を書いているのですが。(確かに資格試験に合格してなるより、そういう学科のある大学・短大・専門学校卒業でなる人が圧倒的ですが)
http://www.hoiku-shi.com/003/ent618.html
 ただ、現行の試験の合格率は10%台で結構厳しい試験です。
http://www.hoiku-shi.com/003/ent593.html

 ひとつ思うのは学校卒業でなる場合は最低2年は勉強しなければならず、試験合格でなる場合も結構合格率は低く、それなりに現在は専門性を持たされているわけです。
 確かに児童虐待への対応とかモンスターペアレント(私は一概に否定しませんが今回は置きます)への対応などが要求されるようになっているから専門性を高める方向は正しいと思います。 ところが、「数が不足するのを防ぐ」として3ヶ月という短期(なぜか子育て経験者に限りそう)の講習受講者で数合わせしようという方向は否定されません。 幼児は文句を国に言えませんから「出来合い」を与えられても文句は言わないし、人件費は安く上がる(今だって高給取りではないでしょう)し、人材派遣業の新たな儲け口にもなるというようにある人たちには良いことずくめらしいです。 必要であれば、待遇を改善して養成施設を増やすのが本筋かと。
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TBありがとうございます (flagburner)
2008-12-09 21:40:26
>むしろ子供が欲しくても出来なかった人の方が、色々な境遇の人に配慮できるのではないでしょうか。
その案に同意です。
更には、(色んな理由により)子供を産みたくない人への配慮も忘れなければ言うことなしですが・・・。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-12-09 23:37:44
>いるか缶さん

 旧態依然とした家族観そのままなんですよね、少子化が問題だと言いつつ、従来のスタイルを変えさせようとしない。また経済的、社会的に十分な支援が受けられた人にとって、残るは本人の頑張り次第ですから、これをモデルにするとなるとどうなるかは……

>焚火派GALゲー戦線さん

 極論するなら、100mを9秒台で走った経験がなければメダル候補のコーチは務まらないことになっちゃいますからね。特定の実体験を絶対視する、過大視することは色々なものを見誤らせます。関連性だって微妙ですよね、少子化問題に取り組むことと、自分自身が出産することはどれだけ関連があるのか、自分の子供を家で育てた経験と、他人の子供「達」を施設で世話する仕事だってそうでしょうし。

>flagburnerさん

 そうなんですよね、なにも「子供を産んだ人」だけが足を踏み入れる分野というものではなくて、中には子供が欲しくても授からなかった人、別に子供など欲しくない人がいて、ただそういう人々を全て含めた社会の問題なのですから。それを笹川氏はわかっていませんよね。
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Unknown (GX)
2008-12-10 17:04:42
 というか、少子化が増える原因は単純に「子どもが生まれると大変になる」からではないでしょうか。昔見たニュースで「夫の経済力で子どもが一人しか生めない」みたいなことをやっていましたし。
 育児のためのある程度の保障はありますが、それで生活していけるか疑問ですし、それすらも「道徳的」という観点から「受けないこと」がよしとされたり、制度を廃止することが当然とされていますし。最近だと大阪で私立学校に通うための補助金が廃止されましたよね。子育ても男の人が参加することが困難ですし。(男女平等というにもかかわらず、いまだに男は仕事という考えは強い。)
 他にも原因はあるでしょうが、社会的な問題の結果が「少子化」という形で現れているのではというのが私の見解です。
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Unknown (非国民通信管理人)
2008-12-10 23:51:36
>GXさん

 もちろんそう、諸々の社会的要因があって、そう簡単に子供が産めないわけですよね。小渕少子化担当相のように経済的な不自由がない、周りに支えてくれる人がいる状態ならともかく、普通の人にとって子供を持つことは負担が大きい、その負担をどうするかを考えねばならないのですが、笹川氏は何も考えていないのでしょう。
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