非国民通信

ノーモア・コイズミ

いかにもなパフォーマンス

2010-08-15 22:56:35 | ニュース

歳費返納、全議員が申請=対象の59人、正副議長も―「大変だが、筋通す」(時事通信)

 初当選した参院議員らが任期前の歳費を自主返納できるようにした改正歳費法の施行を受け、参議院事務局が対象の59人に案内を出したところ、期限の13日までに58人が手続きをしたことが事務局への取材で分かった。残る1人は16日に申請するほか、新旧の正副議長も、役職で上乗せされている分の返納を申し出た。

 国会議員の月給に当たる歳費は、任期が1日だけでも1カ月分(129万7000円)が支給される。働いていない期間の給料支払いに批判が高まり、国庫への返納を可能とする改正法が6日に全会一致で成立した。

 対象は7月の参院選で当選し、同月26日から任期が始まった新人と元職。返納額は、歳費から税金を差し引いた後に任期前の25日間分を日割りして算出し、事務局が今月10日に通知した。平均は約79万円で、正副議長も合わせた総額は約4800万円となる。

 ただ、歳費とは別に支給される月額100万円の文書通信交通費は返納の対象外で、歳費を日割り支給とする根本的な法改正も秋の臨時国会以降に先送りされた。

 取材に対し、有田芳生参院議員(民主党)は「労働なき報酬はあり得ないと昔から主張していた身。借金を抱えて大変だが、筋は通さないといけない」と強調。文書通信交通費や秘書給与も日割りの対象とするよう訴える議員もいたが、文書通信交通費については、「個人に還元されるものではない」「月末に支払いが集中する事務もある」と歯切れの悪い意見も。 

 歳費を日割りにして任期期間前に相当する分の給与は返納できますよ、という法改正がなされたわけです。その対象額は約4800万円となるそうで、この危機的な雇用・経済情勢の中でたかが4800万円にしか影響しないような法改正に貴重な時間を費やした人々の良識を疑わないでもありません。そんなことより異常な円高の是正策でも論議してもらいたいところですが、昨今の議員にとって重要なのは「いかに国民に媚びるか」なのでしょう。これ見よがしに「公」の支出を削ってみせる、そうしたパフォーマンスを有権者に披露することは、政策上の課題に対処するよりも優先順位が高いのかも知れません。

 ちなみに建前上は「自主返納」とのことですが、既に58人が手続き済みで残る一人も16日に申請予定とのこと、こういう状態に「自主」と付けるのは大概にして欲しいところでもあります。返納したかどうかを逐一監視されており、もし「自主的な」返納に応じなければ晒し者にされることが火を見るより明らかであるにもかかわらず「自主~」と称する、欺瞞もいいところです。「任期が1日だけでも1カ月分を支給」という現行制度に問題があるとしても、こうした時期にこうした形で是正されることには疑問を感じます。

 なお文書通信交通費や秘書給与も日割りの対象とするよう訴える議員もいたそうです。ただ民間企業ですと何かと事務的な処理は月末に集中する、請求・支払い関係の書類も月末に纏めて送られるのが一般的なだけに、民間の感覚としては文書通信交通費を日割りの対象外としたことは妥当であるように思われます。また秘書は雇われ人ですし、その秘書の給与も日割りにするとしたら任期前後の仕事、たとえば選挙運動がタダ働きになってしまうわけです。政治家の選挙運動期間への支払いならいざ知らず、秘書給与には多少、幅を持たせるべきではないでしょうかね。

 ちなみに有田芳生氏は「労働なき報酬はあり得ないと昔から主張していた」とのこと。まぁ、有権者の圧倒的多数も考えていることは同じようなものでしょう。「労働なき報酬はあり得ない、働かざる者食うべからず」、と。ただこういう感覚が蔓延しているからこそ、今の日本があるような気がしてなりません。それだけに私は逆であるべきだと思うのです、すなわち「報酬なき労働はあり得ない!」。まぁ政治家ってのは普通の仕事とは明らかに別の尺度で測られるべき仕事ですけれど、「報酬なき労働はあり得ない」――つまり人を働かせるには正当な対価を支払う必要があるのだということを、政治家にこそ理解して欲しいのです。「労働なき報酬はあり得ない」みたいなことを自慢げに語る政治家は、事情の如何によらず働けない人を切り捨てるロジックを常に抱えていると言えますから。

 

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5 コメント

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貰えばよい (介護員)
2010-08-15 23:54:37
そして‥もっと国やら国民のために、ちえをだせ
貰え貰え‥自主返納するくらいなら、もやいとかに寄附すればいいさ!返したらもったいないや
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このような・・・ (えちごっぺ)
2010-08-16 10:54:26
残暑お見舞い申し上げます。

このような一見「分かり易い」パフォーマンスは大衆にもてはやされる一方、大きなムダには手をつけないというための「目くらまし」ではと思うものであります。
憲法違反の「政党助成金」の廃止もできないくせによく言うよと笑ってしまいますが、額の大小よりもこちらの方が受けがいいのが、この「日本」という国なんですね(泣)
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-08-16 13:56:09
>介護員さん

 とかく政府の支出に不信感がもたれているのに、ただ返すだけでは芸がありませんよね。返納するよりも有効な使い方を披露するぐらいはして欲しいところです。

>えちごっぺさん

 政党助成金に比べれは甚だ微々たる金額でしかないのですけれど、どうも本当に大きいところには手を付けず、些細なところでムダと騒ぎ立てるのが常態化していますね。小銭は節約できても大きな支出は削れない、ケチ臭いばかりで全く節約できない主婦感覚が、政治家にも有権者全般にも行き渡っているようです。
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Unknown (元大阪府民からの伝言)
2010-08-16 22:23:10
節約できた金は国民一人あたりにするといくらになるか考えれば、こんなのは本当に僅かなものに過ぎない事がまるわかりですよね。
こういうことばかりに労力がさかれて時間が浪費されるほうが、のちほどじわじわとこたえてきそうに思えます。

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Unknown (非国民通信管理人)
2010-08-16 23:01:26
>元大阪府民からの伝言さん

 結局、これ見よがしにポーズを取るばかりで実効性のあることは後回しにされがちなんですよね。今回のようにどうでも良い法案だけさっさと可決して夏休みに突入、もうちょっと優先順位というものを考えて欲しいものです。
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