非国民通信

ノーモア・コイズミ

体育会系社会だし

2008-10-15 22:55:28 | ニュース

中学生の体力、10年間で向上 中高年も上昇傾向 小学生は低下歯止め(産経新聞)

 中学生の体力がこの10年間で向上していることが12日、文部科学省の平成19年度体力・運動能力調査で分かった。小学生も体力低下には歯止めがかかった。ただ、いずれもピーク時の昭和60年度の体力水準を大きく下回っている。

 調査は昨年5~10月、6~79歳の男女約7万4000人を対象に実施された。

 新しい方式で体力テストが始まった平成10年度と比べた場合、中学生(13歳)は、男女とも各項目で記録が向上。50メートル走では男子で0・06秒、女子で0・03秒速くなった。ハンドボール投げでも男子で0・14メートル、女子で0・19メートル記録を伸ばしている。

 しかし、ピーク時の昭和60年度の記録との比較では、50メートル走で男子が0・04秒、女子が0・22秒遅く、持久走に至っては男子で約25秒、女子は約22秒も下回っている。

 小学生は、平成10年度との比較では50メートル走やソフトボール投げといった項目でほぼ横ばいだったが、立ち幅とびで記録を落とした。

 一方、65歳以上の高齢者の運動能力は上昇傾向が続いており、時間内に歩ける距離を試す「6分間歩行」などで男女ともに過去最高を更新した。40歳以上の男女でも、10年度と比べて全体的に記録が上向いているという。

 中学生の体力向上について、調査にあたった順天堂大の青木純一郎特任教授は、男女ともに約9割が運動頻度について「ほとんど毎日(週3日以上)」と回答したことに注目。「中学生はトレーニング効果が大きく影響している」と分析している。

 体力・運動能力が緩やかに上昇しているそうです。昨年までは危機を煽る論調の報道が目立ったわけですが、今年は一部年代におけるピーク時との差を強調するに止まっていますね。むしろ65歳以上の運動能力は過去最高を更新したとか、大人になっても体育会系社会の面目躍如でしょうか。

 学力調査とか、勉強する意欲に関する調査ですと、よく国際比較が持ち出されます。「日本の子供は他国の子供に比べて学習意欲が~」と語られるわけですね(参考としてはこことかこことか)。その一方で体力や運動に関する意識調査に関して、その手の国際比較が持ち出されたケースを私は知りません。学習意欲は他国と比較したがるのに、どうして運動関係の場合は他国と比べようとしないのでしょうか?

・仮説1 私がたまたま見落としているだけ

 これなら、どうと言うことはありません。

・仮説2 比較対象が存在せず、比較できない

 国家規模で運動能力調査をするような体育会系国家が日本以外に存在せず、データを持っているのが日本だけであるのなら、なるほど国際比較が出てこないのも当然の結果です。日本以外の国で大規模な体力調査が毎年のように行われているのかどうか、寡聞にして知らないのですがどうでしょうか? 日本では必修の「体育」ですが、学校のカリキュラムの中に体育の存在しない国も珍しくありません。日本のように、体力、運動能力を重んじる国ばかりでもないでしょうから。

・仮説3 比較すると、好ましくない結論が導き出される

 この場合の好ましくない結論とはすなわち「日本人が体力的に勝っている」ことです。言うまでもなく日本で求められているのは危機意識を煽ることです。凶悪犯罪が減少していると語るよりも、犯罪不安が増していると語られるように、需要はネガティヴな部分にあります。大阪府の財政にしても、全体像を見るよりも悪い部分だけを強調して、ことさら破綻しているかのごとく印象づける方が、府民だけに止まらず国民を喜ばせたでしょう? もちろん学力調査にしても、日本の子供の学習意欲の低さが強調されてきたわけです。それと同じことが、体力・運動能力にも言えないはずがありません。

 とりわけ、日本では敗因を身体能力の差に求めることが好まれています。技術や精神力、戦術では劣っていないが身体能力の差で敗れたのだと、そう語るのが日本流です。太平洋戦争の敗因を経済力や国家規模の差に求める発想と同じ様なものですね。果たして本当なのでしょうか? 運動能力調査の結果を他国と比較し、それを公表しようとするメディアが現れないのは、そこから望ましい結果が得られないからなのかも知れません。今まで自分達が繰り返してきた「フィジカルの違い」という信仰を揺るがす虞がある、だからこそ国際比較はしない……

 

 ←応援よろしくお願いします

 

何度か同じものを引用していますが、これは知っておいて欲しいことなので……

ミランのコーチに聞く選手育成論(スポーツナビ)
第1回:イタリアの子どもと日本の子どもの違いは?

 学校教育に関して、日本の子どもは運がいいと思います。日本では体育の時間にたくさんスポーツをできるけれど、イタリアの子どもは教育制度のせいで運動があまりできないからです。このことがもたらす結果は、サッカーに関しては顕著です。同じ年齢なら日本の子どもの方が運動神経もいいし、テクニックもあるし、ボールタッチも柔らかい。これはプロを目指すサッカー選手のキャリアに役立ちます。

 例えば、平均よりも運動時間が長いイタリアの子どもでも1週間に4~5時間しか体を動かせない。日本の子どもは、サッカーに夢中になるための時間と機会がイタリア人に比べるとたくさんあると思います。


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2 コメント

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Unknown (非国民通信管理人)
2008-10-16 22:58:57
>HYさん

 体育会系社会はしばしば同姓の間柄をハッテンさせますからね。ふふふ……
返信する
すぱるた (HY)
2008-10-16 18:30:02
 体力低下は、人類の進化です。というのは、オーディオ評論家の、故長岡鉄男先生の説ですが。原始人は、野原を走り回って狩をしていた訳ですし。
 スパルタ教育を復活させたらいいんじゃないですかねー。もちろん、全裸少年同性愛で。ウィキでスパルタ教育の項目見てください。子供ポルノどころじゃありません! 
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