非国民通信

ノーモア・コイズミ

出世する女性

2009-06-14 23:24:30 | ニュース

女性上司で部下のやる気・評価高め コンサル調査(朝日新聞)

 女性上司は部下のやる気を高めて、部下からの評価も高い――。JTB系の人事コンサルティング会社「JTBモチベーションズ」(東京都港区)がこのほど、上司の性別と部下のやる気との関係についての調査結果を公表した。

 インターネット調査会社に依頼し、上司が男性の男女と上司が女性の男女の計4グループで、それぞれ155人ずつ計620人を抽出。青山学院大学経営学部でキャリア意識などを研究している山本寛教授に監修してもらい、各グループの意識の違いについて調査した。

 その結果、「今の仕事が好き」との回答は、女性上司がいる男性グループで63.2%と最も多く、一方、ほかの3グループは54~58%にとどまった。「今の上司だとやる気になる」と答えたのは、男性上司の場合が29.4%だったのに対し、女性上司の場合は38.4%だった。

 いずれも上司が女性のほうが、仕事への満足度や上司への評価が高い傾向だった。

 また、上司の嫌な点を幾つかの選択肢から複数選んでもらったところ、最も高かったのは、男性上司がいる女性が選んだ「リーダーシップがない」(33.5%)だった。

 山本教授は「まだ女性の上司は少なく、いま上司になっている女性は、多くいる男性上司の平均と比べて資質的に優れている可能性がある」とした上で、「社員のやる気を高めたいと思う企業は、女性上司を起用してみるのも一つの方法かも」と話した。

 まぁ、監修した教授が結論に近いものを出していますね。「まだ女性の上司は少なく、いま上司になっている女性は、多くいる男性上司の平均と比べて資質的に優れている可能性がある」と。女性上司の場合は、狭き門をくぐり抜けてきた選りすぐりの女性が多く、一方で男性上司の場合は、ただ長くいるだけでポストを与えられた男性を少なからず含むわけで、そうなると女性上司の平均の方がリーダーシップに長ける、そういう結果になるのかも知れません。男性差別だ、逆差別だのと喧しい昨今ではありますが、こういう性差が出る辺り、まだまだ企業社会は男性社会なのでしょう。

 ……で、監修した教授曰く「社員のやる気を高めたいと思う企業は、女性上司を起用してみるのも一つの方法かも」だそうです。この辺はまぁ、是正措置を勧める上では当たり障りのないところなのかも知れませんが、どうでしょうかね、会社で出世するばかりが人間の価値でもないでしょうし。

参考、マッチョな人

 上記リンク先で引用されているのは日経新聞に今でも掲載されている遥洋子氏のコラムで、端的に言えば「イヤな女」コレクションです。まさに反吐の出そうな「キャリアウーマン」の例が延々と語られており、よくもこうまで性格の歪んだ人間を集められるものだと感心してしまいます。勿論そういう目的で連載が続いているわけではなさそうですが、「社会」で活躍する女性に対する嫌悪感を養わせるには十分のような気がしないでもありません。

 男性的、なのだと思います。上記リンク先のエントリでは「マッチョ」という言葉を使いましたが、遥洋子氏のコラムで肯定的に取り上げられている女性達は誰もが男性以上に男性的――既存の権威が強要する価値観に忠実――です。それはたぶん、属する社会の男性原理には抗わず、その男性原理の中で頭角を現わした人だからなのでしょう。つまり周囲の男性よりも男性原理に忠実な振る舞いを身につけることで、女性という不利を克服した人々であるなら、男性原理に馴染めない人からすれば「嫌な奴」でしかありませんよね?

 そこで冒頭の調査にあった「女性上司」です。どうなんでしょうか、むしろ女性上司の方が会社の論理に忠実な人が多いような気がして、そうした人が増えるのはイヤだなぁ、と思うわけです。リサーチ結果から推測されるように、男性上司と違って女性上司は「選りすぐりの」タイプである可能性が高い、それが「選りすぐりの」「企業原理に忠実な」女性だったら……と。まぁ、だからこそ「男性的ではない」女性が出世できる環境作りが必要なのでしょう。

首相「親の跡継いで悪いこと何もない」 都議選応援で(朝日新聞)

 「親の跡を継いで悪いことは何もない。間違いなく親の背中を見て子どもが育つ。親の背中を見て、『おれもああなりたい』と思ったおやじは良いおやじだ」。麻生首相は9日夜、東京都議選の応援で訪れた品川区の自民党都議の事務所でこうあいさつし、同党内で対立の火種にもなっている「世襲」を擁護した。

 石原慎太郎都知事の三男宏高衆院議員も事務所におり、首相は宏高氏の名前も引き合いに出し、「みんな、おやじさんの代から、その教えを受けてここまでやってきた」。さらに、都議の小学生の息子を見かけると、肩をたたきながら「お前も跡を継ぐのか。世襲頑張れ」と話しかけた。

 さて、これだけ世襲議員が幅を利かせているにも関わらず、有権者が本心で世襲を否定的に見ているとは考えにくいのですが、麻生氏は性懲りもなく世襲を擁護しています。そしてここで注目したいのは「親」=「おやじ」である点ですね。父親であって、母親ではない。

 政治の世界も(とりわけ日本は)男性社会ですから、そこで活躍する女性は少ない、しかるに政府中枢に近いところで活躍する女性となると山谷えり子みたいな父権主義者も少なからず存在するわけで、まぁ微妙な顔ぶれに事欠きません。男性社会に馴染んでいるからこそ、女性ながらにして地位を得ているパターンもあるわけです。

 だからこそ、多少強引な是正措置を用いてでも、「男性的でない」女性政治家が登場しやすい環境を作る必要があるように思われるのですが、それはたぶん、世襲を減らす意味でも有効のような気がします。現行の価値観では「親父の跡を継ぐ」のは美談でも、「母親の跡を継ぐ」のはむしろ否定的に見られますから。「親父と肩を並べてツーショット」は世間の評価を高めても「ママと並んでツーショット」は逆効果ですよね? もしかしたら世襲が有権者から否定されないのは、それは「父親」からの世襲だから、逆に「母親」からの世襲だったらどうだろうと思うわけです。その結果が判明するのはずっと先にことになってしまいますけれど。

 

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2 コメント

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マッチョな女か・・・ (ベースケ)
2009-06-16 20:35:08
医療・福祉関係は「女性の上司」が多い環境にありまして、確かに”マッチョ”な人が多いですね。なんつうか、部下に「完璧」を求めるっつうか。ただこれは特に人員不足が顕著なこともあるのかもしれませんけど。
しかし、みんな働きすぎ。これだけ生産力がある世の中で、なんでこんなにも身を粉にして働かにゃならんのだ、これはつまり”独り占め”が好きな男根主義じゃないのか、と早漏の俺なんかは思います。ある種”過激な”フェミニストなんかも、結局そういう傾向があるような…大杉栄言うところの「一般的な”新しい女”」?
やべこんなこと言ったら消されるかなw
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Unknown (非国民通信管理人)
2009-06-16 22:28:13
>ベースケさん

 私的な経験ではありますが、確かに女性の上司の方が仕事に厳しい、完璧を求める傾向がありそうです。男性以上に組織の論理に忠実だからこそ抜擢された女性だからでしょうか、ともあれこういう女性が持て囃されるとなると、明らかな後退であり、男根主義の強化でもあると思うわけです。むしろ仕事より自分の趣味が大事、やる気のない女性が出てきて欲しいのですが……
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