非国民通信

ノーモア・コイズミ

第一の輪:金融政策

2022-05-10 22:35:32 | 雇用・経済

序:日本経済の現状からの続きです。

 まず最初に、私は第二次安倍内閣を評価しています。その理由は、この四半世紀における他の内閣が軒並み「マイナス方向で一貫」した経済政策をとってきたのに対し、安倍晋三は最も支離滅裂であったからです。悪い政策しか打ち出してこなかった内閣と比べるのであれば、やることがバラバラで一貫性に欠ける内閣の方が、時には正しい方向を向くことがあった、というのが安倍内閣の妥当な評価ではないでしょうか。

 そんな安倍内閣も民主党時代からの政権交代後は、かなり順調な滑り出しでした。狂ったような円高の是正と財政出動、そこに今後への期待感が加わり俄に景気は回復へと向かい始めたわけです。残念ながら短期間で緊縮財政へと逆戻りしたあげくに消費税増税と誤った判断が重なり日本経済は急ブレーキ、その後は僅かに良い方向へのブレもあったながら、全体像としては低迷を続けたまま退陣へ相成ったと言えます。

 経済を好転させたいのか暗転させたいのか異なる方向性の入り交じるアベノミクスではありましたけれど、一つだけ一貫していたのは金融政策で、これは在任期間中から今に至るまで緩和路線が継続されています。当初は行き過ぎた円高の是正に効果覿面であった、財政出動との組み合わせで効果を上げたと評価できる部分なのですが、その後は逆風が吹くことも多いようで非難の槍玉に挙げられることも目立つのが現状です。

 車輪を一つだけ回転させても前進するのは難しい、というのが実態ではないでしょうか。財政出動と金融緩和、2つの車輪が回転していれば、それが逆回転でない限り車両は前に進むものです。しかし車輪の中で回っているのが一つだけであるならば、車両はその場をグルグル回転するだけになってしまう、それがまさに消費税増税後のアベノミクスの姿であったと言えます。

 では現状で成果に乏しい金融緩和路線を逆行させれば良いのかとなりますと、そこはまた別の話です。むしろ他の車輪が逆回転している中で金融引き締めを図ろうものなら、それこそ全速力で景気が後退してしまう可能性もあります。悪いのはあくまで金融政策一本しかなくなってしまったことであり、金融緩和そのものではありません。金融緩和を止めるのではなく、他の政策と連動させることが大事なのです。

 それはすなわち続いて述べる3つの車輪との同時進行が鍵となるわけで、どの政策も一本だけで事態を改善に向かわせることは難しい、車輪は最低でも2輪、最大限の成果を望むのであれば4輪同時に進行方向へと回転させる必要があります。せっかく他の車輪を前方へ回転させるようにしても、これまで成果に乏しかったからという理由で金融面を停止または逆回転に変えてしまえば、第二第三の経済政策を無効化してしまうことになるでしょう。そうならないために、金融政策は今しばらく緩和路線の継続が望まれます。

 

第二の輪:財政出動へ続く

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 序:日本経済の現状 | トップ | 第二の輪:財政出動 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

雇用・経済」カテゴリの最新記事