非国民通信

ノーモア・コイズミ

野党の案でもどうにもならない

2016-03-13 11:53:49 | 社会

安倍首相、社民・福島氏に激怒 「福島委員が政権にいたときより受け皿増やしている」(産経新聞)

 安倍晋三首相は7日の参院予算委員会で、「保育園落ちた日本死ね」という匿名ブログをめぐり、社民党の福島瑞穂氏と激論を交わした。

 福島氏はブログについて「この声をどう聞くか」と首相にジャブ。自身が子供の保育園や学童クラブ探しに苦労した経験を披露し、「もうすぐ4月だが、保育園に子供を預けて4月から仕事を再開したい女性が、(保育園に入れられず)戻ってこれない現状もある。これは本当に悲痛な叫びだ。政策の失敗だ」と首相に迫った。

 首相は「政策の失敗というが、失敗ではなくて、福島委員が政権におられたときよりも(保育所の受け皿を)20万人、40万人増やしている」と色をなし、民主党と社民党などの連立政権時代に比べて対策を講じていると強調した。

 

 ……とまぁ、上記のようなやりとりが国会で行われたのだそうです。現政権で、前政権時代よりも保育所の受け皿は増えているとのこと、それでいて全く足りていないと言われてもいるわけです。そして保育所の不足がこれほどまでに注目されている一方、日本では(シングルマザーを除き)女性の就労率が今なお国際的に見て低いことが指摘されていたりもします。(子供を預けて)会社で働く女性は増えているけれどもまだまだ少ない、保育所の受け皿は増やされているけれども需要を満たすにはほど遠い、というのが現状でしょうか。

 結局のところ、悪い方に向かっているわけではありませんが、かといって改善を誇れるような状況でもない、その辺が妥当な評価になりそうです。日本版の軽減税率とかもそうですね、やらないよりは確実にマシですが、狭い品目を8%に据え置くだけという諸外国の軽減税率に比べると、どうにも誤魔化しの域を出ない代物でもあります。何でもかんでも10%と逆進課税まっしぐらを理想とするような党の主張よりは許せるところもあるのですけれど、これで「国民の生活に配慮した」と言われても困ってしまうわけです。現政権の性格として、そういう傾向が強い気がします。

 

保育士賃金引き上げ、野党議員立法へ 月額1万円増想定(朝日新聞)

 民主党と維新の党は10日、保育士の賃金を引き上げる法案を議員立法で今国会に提出する方針を固めた。待機児童の解消のために人材を集めやすくする狙いで、保育士や幼稚園教員の賃金を引き上げる事業者に助成金を支給し、1人あたり平均で月1万円の賃金上昇を想定する。

 保育士や幼稚園教員の賃金は全産業平均より月11万円ほど低く、保育士の確保が難しくなっているという。両党は、保育士の賃金改善を求める2016年度予算案の組み替え動議を今月1日に衆院本会議に提出したが、否決された。改めて法案を出すことで参院選の争点にすることも狙っている。

 

 一方で攻勢に出る(つもり?)野党側の取り組みがこちら。「(保育士)1人あたり平均で月1万円の賃金上昇を想定する」のだとか。う~ん、こちらもまぁ低賃金のまま据え置くよりは確実にマシなのですが、伝えられるように「保育士や幼稚園教員の賃金は全産業平均より月11万円ほど低」いわけです。月額1万円の賃金増があっても、トータルすれば保育士の賃金は平均より10万円ほど低いことになります。それではやはり、人は集まらないでしょう。成果は0ではないとしても、必要なだけの成果を達成できるとは考えられません。

 これは報道の通り野党側の提言ですけれど、仮に自民党側の実績だったらどうでしょうね。少しだけ保育所を増やしても需要には対応できておらず野党からの批判を免れられないように、1万円ばかり保育士の賃金を増やしたところで、やはり必要な人員を確保できずに野党から批判されていたのではないか、そんな気がします。与党を批判する野党の対案と言っても、所詮はこのレベルなのかも知れません。民主や維新の主張が通っても、問題が解決しそうには見えないです。

 どうしても日本の場合、裕福な家庭=専業主婦で、むしろ収入が少ない世帯=共働きみたいなイメージが拭えないでしょうか。その辺は私の印象論ですけれど、女性が会社勤めをして高収入を得られる社会であるのならば、保育園の料金が高くても成り立つ、税金に依存せずとも保育士にマトモな賃金を支払える保育所も成り立つと言えます。しかるに女性の(夫側もですが)賃金が低くて保育園に高額な料金は支払えないようなら、保育所の運営費も抑制されざるを得ません。ヘンリー・フォードは自社の従業員にフォードの車を買えるだけの賃金を支払って成功しましたが、我々の社会は働く女性に保育園の市場価値に沿った利用料を負担できるだけの賃金を支払う気があるでしょうか? そうしない代わりに保育士の賃金を抑制して保育園の料金を抑える、というのでは必ずや綻びが出てしまうものです。


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