森田知事480万円返還、「刑事罰には触れないと確信」(読売新聞)
千葉県の森田健作知事は16日の記者会見で、自らが支部長を務める自民党東京都衆議院選挙区第2支部が、2005、06年当時、政治資金規正法が禁じていた、外国人や外国法人の持ち株比率50%超の企業から980万円の献金を受けていた問題について、「刑事罰に触れるような行為ではないと確信しているが、道義的見地から、50%を超える基準日以後の480万円は返還した」と述べた。
また、同支部長でありながら、知事選で法定ビラに「完全無所属」と記すなどし、公職選挙法違反(虚偽事項の公表)にあたるとして市民団体から告発されたことについては、「支部の解散手続きが遅れていただけで、私は完全無所属だと思っている」とした。
要するに手続き上の問題であって、法に触れるようなものではないと言いたいようですね。似たようなことを、森田健作の当選前から何度か聞かされた記憶があります。そうそう、民主党支持層の中でもとりわけ狂信的な人々が、小沢一郎を擁護するために似たようなことを言っていましたねぇ。
それなりに長いこと当ブログを呼んでくれている人ならお気づきかもしれませんが、私は「政治とカネ」の問題には鈍感な方です。企業献金の是非を問われたら一応は否定的な立場を取りますが、優先順位はあまり高くありません。「国民の声」を笠に着たポピュリズムのもたらした圧倒的な災厄の前では金権政治の問題など二の次にしてきたわけです。ですから野中広務や鈴木宗男、そして小沢一郎のような「汚い大人」にはむしろ一目置くぐらいの立場で記事を書いてきました。
そんなわけで小沢一郎にはそれなりに好意的、今回の疑惑でも「そういうものだろう」ぐらいにしか思っていない私ですが、しかるに一部の小沢支持層の言動には看過できないものが少なくありません。民主党原理主義者は小沢擁護に熱心ですが、ちょっと単語を入れ替えるだけで森田健作だって擁護できてしまいそうに感じます。何がよいか悪いか、ではなく「誰が」という問題のようですね。小沢なら許されるが森田なら許されないとするなら、そういう考え方自体が私には許容できません。
ちなみに森田氏の問題の一つは「外国人や外国法人の持ち株比率50%超の企業」から献金を受けたことです。御手洗も(あくまで一部の)民主党支持者も、「法律の方がおかしい」と言い出すわけですが、この場合はどうでしょう。日本人が株を持っている企業からの献金だったら合法なのでしょうけれど、ある意味では「日本人ならOKだが、外国人はお断り」みたいな印象を受けます。規制そのものはともかく、規制の根拠には頷けませんね。
県議らが森田知事を告発へ=公選法違反容疑で-千葉(時事通信)
森田健作千葉県知事が自民党の支部長を務めながら、「完全無所属」をアピールして知事選を戦ったなどとして、県議の一部と市民運動グループは11日、千葉市内で会合を開き、「森田健作氏を告発する会」(井村弘子代表)を発足させた。同会は15日に、森田氏を公職選挙法違反の疑いで千葉地検に告発するという。
同会は、森田氏が自民党東京都衆議院選挙区第2支部の代表を務めている点を問題視。「票集め目的で完全無所属をうたい、県民をだました行為は相当悪質」としている。
……で、紹介の順番が前後しますが刑事告発はこちらの団体からです。言わんとすることはわかります。ただ、県民を「だました」という表現が引っ掛かります。いったい誰が「騙された」というのでしょうか?
本当に無所属だと思って森田健作に投票したけれど、後からニュースを見て自民党所属であることを知った、それで「騙された」と息巻いている人はどれだけいるのでしょうか? 選挙後の報道で森田氏への態度を変えた人って、あまり想像できないわけです。この「告発する会」の人は元より森田支持層ではなかった、初めから森田氏を「無所属」などとは思っていなかった人々でしょう。だから森田氏が公然と嘘を突き通したことに怒りを覚えるならわかるのですが……
こちらの記事でも触れたことですが、具体的な所属や地位には触れずとも、森田氏が自民党の支援を受けた候補であることは当たり前のように選挙前から報道されていたわけです(森田氏同様、他の候補も軒並み政党色を隠し「無所属」を自称していましたが、どの政党がどの候補を推しているかは明記されていました)。森田氏が本当に無所属かどうか知りたければ、いくらでも知ることは出来たはずです。それでも自称無所属の森田候補に投票したのは、森田氏を「無所属」だと思いたかったからではないでしょうか。
国民/県民/有権者を「被害者」として位置づけることは時に問題があります。「森田健作に欺された」ものとして扱えば無辜の被害者として有権者を免罪することが出来ます。しかし、それは有権者を「森田健作ごときの稚拙な嘘に騙される愚民」として扱うことでもあるはずです。「騙された」ことにすれば有権者の責は問わない=あくまで有権者を尊重しているかのように装うことが出来ます。有権者は誤っているのではなく、ただ騙されただけだ、と。そんなに容易く騙されるほど、有権者は愚かなのでしょうか? 随分と馬鹿にされたものです(私が言うのもナンですが)。
むしろ自民プロダクション所属の俳優森田健作が演じる「無所属の改革派」に観客席から声援を送っている、森田氏支持層の自意識はこれぐらいのような気がします。有権者は騙されたのではなく、自分から進んで「信じた」のではないかと。あの中には人が入っているのだ、あれは所詮お芝居なのだ、そうやって水を差す代りに舞台を楽しんでいるとしたら、いくら新聞に「主演:森田健作(劇団自民)」などと書いてあっても気にしないでしょう。芝居が終わって、「あの人は本当はヒーローじゃなくて自民党の支部長なんだよ」と言われても、舞台を楽しんだ人にはピンと来ないような気がします。「おまえは何を言っているんだ」と。
そんなわけで森田氏が政治家として失格であることは今さら語るまでもない自明のこととしても(事実ではなく有権者の偏見に基づいて政策を訴えている云々)、森田氏への批判は今一つ盛り上がらない、有権者を十分に巻き込めない気がするんですよね。よっぽど派手な汚職事件でもない限り、首都圏の暗黒政治体制は崩れそうにありません。
>森田健作ごときの稚拙な嘘に騙される愚民
上にあげた馬鹿知事どものほかにも、稲田朋美その他も、あんな馬鹿に投票する愚民かも。福井1区のみなさん、次の総選挙は正念場ですよ。
もう十分に情報は出揃っている、ボロは出ているわけですからね。もうこれ以上「騙された」では通用しない、次の選挙ではもうちょっとマシな判断を下して欲しいものです。
これはまた、低レベルな相対化ですね。本文で既にその誤謬が指摘されているものを、性懲りもなくコメント欄で繰り返す。あなたの偶像を「汚された」ことに狂乱しているようですが、大声で連呼すれば無理も通ると考えているのでしょうか。その点も含めて、まさに歴史修正主義者連中と同じ考え方ですね。日本だけが非難されるのはおかしい、小沢だけが非難されるのはおかしい、たまたま支持する政党は違うとしても、頭の中味は自民党の極右層と何も変わらない。むしろ民主党の危険性は、CREAさんのような人々が支持層に紛れていることとすら思えてきますね。