非国民通信

ノーモア・コイズミ

第二の輪:財政出動

2022-05-11 22:39:05 | 雇用・経済

序:日本経済の現状

第一の輪:金融政策からの続きです

 日本経済の再生に向けた第二は、至って当たり前のことではありますが財政出動です。しかるに日本では与野党ともに財政再建や無駄削減の方を好む、有権者もまた国家財政を家計と同様なものと捉え、財政支出は浪費であるかのように勘違いし、節約(緊縮財政)に励む政党・政治家に票を投じがちではないでしょうか。日本の政治には民意に応えるほどに経済を悪化させ国民の生活を犠牲にするというジレンマがあります。国民に嫌われる勇気を持てるかも、重要なのかも知れません。

 背景として、お金を限りある資源であり大切に使わなければならないと、そう信じ込んでいる人が多いように思います。しかしお金を使って、それがなくなったのを見たことがある人はいないはずです。お金を使っても、それは持ち主が変わるだけなのですから。何かを購入して代金を支払ったとき、自分の手元からお金はなくなるように見えますが、それは売り手にお金が移動しているだけです。お金はなくならない、ただ所有者が変わるだけ、これは理解されるべきです。

 そこで日本政府がお金を使った場合です。使った分だけ日本政府の支出は増えますが、使われたお金は別の人の懐に納まります。海外の投資家が入り込むと少しばかり問題となりますが、日本国内でお金のやり取りが行われている限り、日本国内のお金がなくなることはない、政府の帳簿にマイナスが増えることはあっても、その分だけ民間の帳簿にプラスが上積みされて帳尻が合うわけです。反対に税が上がってもお金が増えることはない、政府の帳簿が黒字になって、その分だけ民間が赤字になる、お金の量はなくならず、ただ移動するだけです。

 これを踏まえ、まずは何より政府からお金を動かしていく必要があります。昔ながらの土木事業は何かとムダ呼ばわりされがちですが、しかるに日本全国の生活インフラの老朽化は顕著であり、むしろ大々的に行ってこそ経済ではなく国民の安全を支えることにも繋がります。これに加えて需要はあるが採算性の問題で不足している分野の公営化も進めていくべきでしょう。営利事業として成り立たせるのが難しく、民間任せでは解決しない問題は山積みされています。

 顕著なのは福祉系人材の不足で、有資格者に関しては必ずしも不足していない一方で賃金水準の低さを理由に職を離れる人が多いと伝えられるところです。ならば国が十分な給与を払うことで問題を解決してしまいましょう。それ以外にも問題はあるとしても、賃金の問題に関してなら解決するのは簡単な話です。単にお金を出せば良いのですから。民間企業にとっては採算性の問題で難しいことも、国にとっては容易いことです。ただ日本国内でお金を移動させるだけですから。

 地方の公共交通機関は軒並み赤字、どこも都市部の路線の黒字で補填していると聞きますけれど、一部は国営に戻しても良いのではないでしょうか。地方住民の生活インフラを守り、民間企業の経営を守り、そして国有インフラに勤める新たな雇用を創出する、誰も損をしません。日本政府の帳簿にマイナスは増えますが、それは日本で働く人々の賃金になっているだけ、決してお金がなくなるのではなく、政府から働く人へとお金の所有者が変わるだけです。何も問題はありません。

 現在は円安が急激に進み、国外から何かを買うには不利な状況です。しかし円とドルの相場は変わっても、円と円の相場は当たり前ですが変わりません。国外から何かを買う力は減っても、日本国内で生活する人を雇う力が減っているわけではないのです。民間企業が十分な賃金を払おうとしないのであれば、代わりに国家が模範となる雇用主として賃金を払う、民間で出来ないことは「官」が行う、それが日本で生活する人々を豊かにしていく方法ではないでしょうか。

 

第三の輪:税に続く

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