非国民通信

ノーモア・コイズミ

ナチスというより大日本帝国だ、と思う

2022-05-27 22:37:32 | 政治・国際

ゼレンスキー氏、男性の出国求める請願書に「故郷守ろうとしてない」(朝日新聞)

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナからの男性の出国を認めることを求める請願書について、反対する姿勢を示した。ニュースサイト「ウクライナ・プラウダ」が22日、伝えた。

 戦時下のウクライナでは、18~60歳の男性は、原則として出国が認められない。報道によると、これを可能にすることを求める請願書に2万5千人の署名がインターネット上で集まっているという。

 記者会見で請願書への意見を求められたゼレンスキー氏は、ロシア軍が攻撃を続けているウクライナ東部で「毎日50~100人が犠牲になるかもしれない情勢の下、彼らは国家と我々の独立を守っている」と強調。その上で「自分がこのような請願書に対処するのにふさわしい人物と思わない」と述べた。

 さらにゼレンスキー氏は「この請願書は誰に向けたものなのか。地元を守るために命を落とした息子を持つ親たちに、この請願書を示せるのか。署名者の多くは、生まれ故郷を守ろうとしていない」と不快感を示したという。

 

 実際のところ出国を試みて国境で拘束されるウクライナ人男性も一定数いることは伝えられていますが、ただ日本を含めて西側諸国のメディア報道はどれほどのものでしょう。戦時中の翼賛体制さながら、ゼレンスキー政権を全肯定する声しか伝えられてこなかったところもあるはずです。結果として、戦争参加を望まないウクライナ人の意思は踏みにじられて来たと言えます。

 「署名者の多くは、生まれ故郷を守ろうとしていない」とゼレンスキーは一方的に請願を斥けていますが、ゼレンスキーの兵隊になることはあくまでゼレンスキー体制を守ることであって、ウクライナに生きる人々を守ることとは必ずしも一致しません。日本でも国体護持を掲げ、国民の命よりも国家体制の存続を優先させた人々がいましたけれど、それは当時の日本の「体制」を守るためであって日本人にとっては災いだったはずです。

 「戦争が始まった。海で陸で野獣のように殺し合う。安全な場所にいる者が他人をそそのかして戦わせる」と、日露戦争時にトルストイは書いたそうです。翻って現在はどうでしょう。国民の犠牲を厭わず勝利を訴えるゼレンスキー体制を、まさに安全な場所にいるNATO諸国と日本がその背中を押し続けています。NATOの世界戦略としては、ウクライナの犠牲でロシアという仮想敵国を弱体化させるのは理想の展開には違いありません。しかしそこに良心があるのかは疑問です。

 日本のメディアを賑わすウクライナ人のコメントは、平和と訳されつつも実は勝利を祈るものや日常の困窮を訴えるもの、そしてロシアへの憎悪を露にするもの、停戦を降伏であるかのようにミスリードするもの等々、多少の種類はありますけれど一つだけ共通しているのはゼレンスキー体制に批判的な声は一切報じられていないことです。しかしそれはウクライナの世論を公正に伝えているのでしょうか。今回の請願署名に現れているように、本当は現体制に肯定的ではない異なる声も存在しており、それは知られるべきものと思います。

 ウクライナのサッカー代表の主将を務めたアナトリー・ティモシュチュク氏はロシア非難の声明を出さなかったことために、ウクライナサッカー協会からライセンスと過去のタイトル、トロフィーの剥奪処分を受けています。ロシアとの戦争に協力的でないものは非国民扱いなのかも知れませんが、ティモシュチュク氏のようにゼレンスキー体制に与することを望んでいない人も本当は多くいるはずです。果たしてウクライナでは「君死にたまふことなかれ」などと唱えることができるのか、ゼレンスキー体制はまさしく大日本帝国を彷彿とさせます。

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