非国民通信

ノーモア・コイズミ

軍事力では防げない

2022-05-25 22:48:58 | 編集雑記・小ネタ

「ミサイル防げる原発はない」 原子力防災担当相(朝日新聞)

 山口壮原子力防災相は13日の閣議後会見で、原発への武力攻撃に対する防衛について「ミサイルが飛んできてそれを防げる原発はない。世界に1基もない」と明言した。ロシア軍がウクライナの原発を攻撃した事態を受け、自民党や自治体などから原発の防衛力強化を求める意見が出ているが、担当相として厳しい見方を示した形だ。

 原発の防衛強化をめぐっては自民党安全保障調査会が先月、「地対空ミサイル等の防護アセットの展開・配備」などを求める提言をまとめ、全国知事会も3月、ミサイル攻撃に対し自衛隊の迎撃態勢に万全を期すよう要請している。山口氏は「原発の防衛を高めるのは当然」とする一方、ミサイルからの防衛は「これからもできない」とした。(関根慎一)

 

 原子力防災相の発言自体は事実を述べただけと言えますが、それに対する反応はどうでしょうか。これ幸いとさらなる軍備拡張を求める人と、原発廃止を求める人に二極化するイメージですけれど、どっちも自説の補強のために昨今の社会情勢を利用している気がしないでもありません。

 実際のところはミサイルを防げるかどうかは原発でなく軍事基地でも住宅地でも同じであって原発をなくすことで解決するものではないですし、世界に突出した圧倒的軍事大国であるアメリカでも2001年には同時多発テロで世界貿易センターとペンタゴンに飛行機を落とされています。アメリカの軍事力を持ってしても防げないものは防げないのです。

 結局、今回のウクライナ侵攻がそうであるようにあらゆる戦争(テロ含む)には前段があって、それを理解することしか道はありません。例えば同時多発テロを起こしたアルカイダの起源はアメリカからの武器供与を得てソ連と戦ったイスラム義勇兵にあるわけです。現在もアメリカはロシアと戦わせるためにウクライナ地域の武装勢力への支援を強めていますが、供与した兵器の行方を追跡できないことはアメリカ側も認めています。アルカイダのように、いずれはウクライナからもアメリカにお礼参りに現れる勢力が現れることもあるでしょう。それを防ぐ手段が軍事力でないことは言うまでもありません。

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