非国民通信

ノーモア・コイズミ

脅威でなくなった結果

2022-05-29 22:20:02 | 編集雑記・小ネタ

 さて先日はバイデン大統領が来日し、極右層を歓喜させるコメントを連発して帰りました。他にも国連安保理の常任理事国に日本を推すみたいなリップサービスもあったわけですが、どうしたものでしょう。実現性はさておき、世界の最先端を走る超大国であった30余年前の日本であれば常任理事国にふさわしかったかも知れません。しかし衰退を続け国家全体の経済規模では中国の足下に及ばず、平均年収では韓国の後塵を拝するようになった現代の日本が本気で常任理事国を目指すとしたら、それは諸外国の失笑を買うだけです。

 ただ「衰退したからこそ」アメリカが態度を変えたところもあるように思います。30数年前の日本は少なからぬ産業分野で世界の頂点に君臨しており、日本企業に太刀打ちできないアメリカ側では感情的なジャパンバッシングが吹き荒れていた他、日米半導体協定など市場への不当な介入も続けられました。この時代は日本こそがアメリカのハイテク、防衛産業の基礎を脅かすという安全保障上の脅威として受け止められていたのですが、翻って現在、日本にアメリカの脅威となり得る何かは残っているでしょうか。それが何もなくなったからこそ、アメリカは安心して日本の常任理事国入りを支持できるようになったと言えます。

 経緯はさておき、世界で最も忠実な国である日本を万が一にでも常任理事国に据えることが出来れば、それは実質的にアメリカが2票を持つことになるわけです。アメリカの意向に従う国だけで「国際社会」を構成したいと願う人々にとって、それは望まれるものなのかも知れません。ただアメリカを盟主と仰ぐ国は経済力や軍事力で先行してこそいるものの、人口規模の面では少数派に止まります。アメリカの覇権ではなく世界の平和を守ろうとする意思があるならば、イギリスを外してインドやブラジル、南アフリカあたりを常任理事国入りさせるべきでしょうね。

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