lens, align.

Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

TRANSFORMERS.

2007-08-07 08:07:19 | music5
Transformers



□ Transformers

>> http://www.transformersmovie.com/


メガトロン『またしくじりおったな愚か者!』
スタースクリーム『お許しを!メガトロンさまぁ~!』

↑トランスフォーマーの名台詞(?)。マイケル・ベイとスピルバーグによる映画版でも再現されています。実はアニメは観たことないのですが、本当にアニメっぽいノリでした。「トランスフォーマー」の実写版としての拘りは感じられます。ただ、シリアスな侵略ものSF映画を期待すると裏切られるので覚悟してください(笑)

Steve Jablonskyによるスコアは、如何にもなRemote Controlサウンド。メカニカルな装置の鳴動を思わせるエレクトロ・ビートに、意外と聖歌系コーラスのサンプリングが多かったです。しかし耳に残るメインモチーフはなし。「ターミネーター」へのオマージュと思しき旋律もありました。しかしこれだけヒットした大作にも関わらず、スコア盤のリリースは未定のようです。


さて、マイケル・ベイ監督ということで、重厚で高密度の濃いアクション描写を期待していたのだけど、全体的に淡白で小さくまとまってしまった印象に終わりました。ずんぐりむっくりしたメカがフレームいっぱいに高速で動き回るさまは圧倒されるのだけど、ほとんど何をしてるのか良くわからない。。そういう演出意図(遠景では合理的な速度で、近接距離では敢えて速く動かす)なのはわかるし、それがカッコイイという感性があるのは認めるけど、私はちょっと頭痛がしてきてダメでした。2回目を観るとノレるかもしれないけど、2回目をみたいとは思えない内容。。。


Transformer2


「映像革命」とされるメカの描写は本当に凄まじくて、『2万個以上の部品が動いている』とされる、細部まで書き込まれたオートボッツとディセプティコン達の存在感が非常にリアル。質感や光沢、陰影の付け方から、地球上のメカから本来の姿への『トランスフォーム』の過程も、本当に「そこにある」ような錯覚を覚えさせてしまうほど。メカが一瞬で変形する様は、現代において「機械」と深い関わりを持つ人間にとって、ある種のカタルシスを喚起させるモチーフではないでしょうか。クラッシュシーンや爆炎など、実写で再現できるものは極力本物を使うという拘りも、ハードなライブ感を演出することに成功しています。『ジュラシック・パーク』以上の革命ではないものの、「非存在」が視覚的に「リアルと区別がつかない」という域に達した初めての作品として、ある意味これまでの映像史に楔を打つポイントとなった作品かもしれません。かつてジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」を製作する為に一本の電話で招集して結成されたILM。今また一つ歴史を塗り替えました。


おそらくスピルバーグのカラーが強く出ているのか、前半一時間はプロットや伏線貼りが大部分を占めます。特に、お互いを知らない主要キャラ達が、お互いの活躍によって関係性を築いていく過程に、スピルバーグ独特の演出の癖が出ています。(追記になりますが、スピルバーグは「未知の存在との邂逅」に至る演出が卓越している。映画の鑑賞者が得ている知識に予定調和させるのではなく、高揚感やカタルシスを伴った「出会い」を仮想体験させてくれます。)最近多い、序盤から最後までクライマックスのようなアクション大作の氾濫の中では評価できるものかも。しかし、アクションの比重がラスト30分の市街戦にほとんど偏っているのも、緊張感を持続させるのに難がある構成。大部分がコメディ的な展開なのもあって、ラストに至って急に切迫感を抱くのも無理がある。だから窮屈でソリッドな戦闘シーンにも危機感を感じられない。メカ同士の戦闘よりも、米軍が協力した軍事兵器、カーチェイスのスピード感や重量感のインパクトが勝ってしまう。(威圧的、かつ異様で美麗な敵パトカーとのチェイスシーンは、ベイ独特の様式美とクールな空気感を醸し出しています。)また、地球の命運をかけるわりに、登場するメカの数や戦闘規模も「あれ?」というほどこじんまりしてて、感情移入し辛かった。。これは個人的な嗜好の問題です。


Trans3



【以下、ネタバレ分含みます】

『不可視の壁』と『見えない魅力』という相反するキーワードがセリフの端々に組込まれていて、本作のテーマである「侵略と共存」という対比構造を強調しています。


カマロが変形する恋の指南役、バンブルビー。正義のリーダー、ドジッ子司令官オプティマス・プライム。短気で部下に恵まれない悪の親玉、メガトロン様(唯一、架空の宇宙船っぽい航空機にトランスフォーム)。そんな親方にいつもどやされるF-22戦闘機、スタースクリーム(ドサクサにまぎれて、ちゃっかりメガトロンに攻撃してしまうw)。「グレムリン」のストライプをモデルにしたというフレンジー。これらのキャラはとても痛快で面白かった。例えは古いけど、オートボッツの愛くるしさは、どことなく「ニューヨーク 東八番街の奇跡」のUFO型エイリアンや「ショート・サーキット」のジョニー5に通じるものがありました。彼らは同様に、カレル・チャペックが提唱した概念における、いわゆる「使役されるロボット」ではなく、「機械的な構造を持つ生命体」なのです。セクター7の指揮官も、スピルバーグのエイリアンものにありがちな独特のオーラを放っていたり、危機に瀕して、珍妙な「間」と下世話なユーモアでやり過ごすキャラの逞しさも、ベイの気質が反映されていて、作品に相応しく回っていたと思う。

ラストシーンは戦闘終了からダイレクトに高揚感を保ったまま繋がります。オプティマス・プライムが仁王立ちで夕闇の空を望んで、宇宙に散っている仲間達に呼びかけるショットは涙が出る程カッコイイ。こういう情感のこもったスケール感は大好き。宇宙の彼方に飛び去ったスタースクリームがおいしい役をさらってfin. 製作が決定した2作目に続きます。


個人的に一番面白かったのは、主役の飼い犬のモージョがオートボッツにおしっこを引っ掛けたシーン。オートボッツに毒づかれた主人公が「He did? Bad Mojo! Bad!  (悪いモージョだ!)」と、犬の頭を差し出しながらテキトーに謝ってるところでした(笑)。あそこはハマッた。もう一度見に行こう。。