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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

Steve Roach / "Dynamic Stillness"

2009-05-10 09:44:50 | music9
Dynamicstillness



□ Steve Roach / "Dynamic Stillness"

Long Tide

Release Date; 05/05/2009
Label; projekt
Cat.No.; PRO00228
Format: 2xCDs

>> http://steveroach.com

>> tracklisting.

Disc -1.
01. Birth of Still Places   40:28
02. Long Tide        19:41
03. A Darker Light      7:34
04. Opening Sky      5:06


Disc-2.
01. Nature of Things    8:50
02. Further Inside     16:58
03. Slowly Revealed   23:55
04. Canyon Stillness   23:17




世界で最も知られたAmbient Composerの一人であり、80年代から現在までのNew Age、Meditate Music、サウンドスケープというジャンルにおいてある種の定向性を示し続けてきた巨匠、スティーブ・ローチの最新アルバム。


"Sonic Space"と形容される彼の音楽は、その音響圏にアモルファスかつダイナミックなシズルを構築した『どこまでも透明な澱み』であり、不可視な既視感を生々しく喚起するような不条理で幻想的なサウンドでありながら、何処か言いようの無いリアリティを纏って押し寄せてくるようです。


Anti-Melody、Non-Beatのノイズ・ドローンである"Dynamic Stillness"はその実、long periodの回帰的なリズムサイクルによって支配され、この上なく「音楽的」に感じられる。一様に聴き取られるフェーズは、うねる波のようなバックグラウンドに絡めとられ緩やかに変幻しているが、俯瞰すれば秩序的なパターンを描き出す。

特に"Birth of Still Places"をはじめ、今作のメインフレームとも捉えられる電子音の周期的なウェーブは、最後の"Canyon Stillness"において、無窮の深淵を吹き渡る風の轟鳴に成り代わり、同様のリズムで幾度となく暗転を繰り返しています。



Dynamic Stillness...大いなる力によって動かざる静穏

自己と非自己、意識と無意識、動的な非動性。
私たちは自身を取り巻く外宇宙についてと等しく、自己の内面という名状の及ばないダイナミクスを伏拝するばかりであり、其の揺らぎの狭間にある境界こそが自我であると認識している。暗翳に蠢いて這いずるような響きは、まさにそのような存在である自意識と環境とがコンフリクトしている様の「写し」のようでもあります。

無限に続くかと思われるような音の反復は、果てのない茫漠を彷徨し明滅する意識の儚さを露呈すると同時に、「音楽」を為すものが、如何様に時間構築によって空間を意識させるかということを四次元的に体現しているものかもしれません。



同じニューエイジ・アンビエント界隈で双璧を為すRobert Richは、どちらかというと一曲一曲の「楽曲性」を重視しているのに対して、ローチの方法論はよりスピリチュアルで、フラットなスタイルが評価されているようです。


センス・オブ・ワンダーと認知的リアリティ、
そして形而上学との感覚的な重層領域。


私がローチの音楽に傾倒する理由は何よりも、彼の筆致がこの現代において、他のあらゆる音楽書法よりも豊穣な詩的感覚に満ちていると感じられるからに他なりません。いわゆる「タイムレスな音楽」とは評価されても、実際には非常に、この時代性と相まって感受できるインスピレーションが大きいのです。


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