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Lang ist Die Zeit, es ereignet sich aber Das Wahre.

皇帝ペンギン

2006-05-19 00:34:33 | music3

──ある日、全てが真っ白に覆われた。
多くの生き物は逃げたが、彼らの先祖はここに残った。
氷だけの世界で生きることが、どんなにつらくても。

Empereur_1

I want to live in paradise
I want to live in the south
I want to live in paradise
At the south of the earth tonight.

               ──エミリー・シモン 「真っ白な世界」

□ 『皇帝ペンギン』

2005年 フランス
上映時間:86分
原題:"LA MARCHE DE L'EMPEREUR"
監督:Luc Jacquet
音楽:Emilie Simon

ロケに13ヶ月間を費やした、南極に生きる皇帝ペンギン達の“愛”を描くドキュメンタリーフィルム。
説明おはり。
紋切り型のレビューは避けることにして、この手のフィルムに見慣れた者としては、編集も物語性もまずまず普通通りで、特に傑出したところが見出せないというのが率直な感想。とはいえ、そんな人間の意匠とは無関係に、モデルとなったペンギン達は実在し、今この瞬間も、その過酷な環境のなかで生き抜き、あるいは息絶えている。。そう思うと、スクリーンに踊る電子の陰影にも胸を打たれるものがあります。

やはり凡百のドキュメントと一線を画するのは、美麗で力強い、しかし嫌味のないカメラワークと、音響、音楽が一体となった映像の描写力。オープニングを流れる南極の壮麗な景色とEmilie Simonの透明で煌くような音楽が、この映画を悲壮ながら生命力に満ちた「映画」足らしめる大事な要素となっています。

結果的に辛口になりましたが、実を言うと、何故か私はこのオープニングからずっと目がうるうる(笑)ひとつがいのペンギン夫婦が卵を壊してしまい、外気にさらされた卵が罅割れてしまうシーンではものすごいショックを受け、ヒナペンギン(カワイイ!)が凍えてしまうところや、ヒナペンギンが鳥に食べられてしまうところや、ヒナペンギンの親ペンギンが食べられてしまったりヒナペンギンが....(以下略と、哀しいシーンばかりフックのように印象に残ってしまい、「何処がパラダイス!?」と、主題歌に苦言を呈したくもなりましたが、それでも「生きたい」と願う故に、哀しみ、奮い立ち、生を謳歌する「皇帝の行進」に、最後には、共に地球上で雄雄しく生きる同胞として誇らしくシンパシーを感じるに至ったのでありました。

日本版イメージソングのCHARAの曲“光の庭”が思いの外(かなり)良かったです。ヒナペンギンのアップで『きっとまた会える』というコピーもベタベタだぁーと思いつつズキューンとやられました。+。゜゜+(ノ□ヾ。)°+゜。+。日本のマーケティングもなかなかやるようになったな。。。

学生の頃までは、こういった単館系のアートフィルムにどっぷり浸かっていたのだけど、接点が少なくなってからというもの、この手のフィルムに対する感受性が以前とはちょっと変化したような気がします。より感情的に反応するようになったのかな?フランスのオーベルニュ地方、クレルモンフェランでは毎年世界最大級のショートフィルム・フェスティバルがあるのですが、来年は行ってみたいです。これからは映画の作り方自体が非常にパーソナルな形になっていく時代。私も機会があればいつかは。。。という気持ちをひっそりと秘めつつ。。。

http://www.clermont-filmfest.com/



□ Tunes of the Day

□ 土井 宏紀 / "地球大進化"

地球大進化(ファースト・デモバージョン)
探求 ~古代~
あたらしい生命



□ Love Spirals Downwards / "Ever"

Above the Lone



□ Chimera / "Earth Loop"

Lately
All I Need



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