弘法大師ゆかりの井戸を見守るように、その縁の岩肌に刻まれた三体の磨崖石仏。
肝心の井戸はすっかり荒れ果て、真っ赤に錆付いたトタンで覆われ、見る影も有りませんが・・・。
<集落入り口辺りには辻の地蔵さん>
近鉄生駒線平群駅の東側、矢田丘陵の西側山裾地域は住宅開発の波から逃れた長閑な集落が点在する。
現在三里と呼ばれるこの辻堂より南側は岩井村と呼ばれ、あの岩の間から湧出す弘法大師ゆかりの井戸が村名由来と成っている。
辻堂から少し山手に進むと念仏寺と言う最近改築された寺があり、その駐車場の横手、道路脇一杯にこの何やとも分からないトタン覆いの井戸が有る。
井戸の奥?はたまた正面の?幅2m足らずの山形岩に方形を彫りこみ、中に二体の如来像刻み出し、上部には月輪のキリ-クとバクの種字を刻んでいる。
良く見れば更に右手、同岩面にもう一尊、更に隅っこに阿弥陀の小石仏。
土砂と枯れ葉に腰から下は埋もれていますが・・、像高約40cm・・・、共に阿弥陀のようにも見えますが??頭上の種字は向かって左が阿弥陀、右は釈迦になっています。
天正九年(1581)の銘が有り、安土桃山期の像立。
追刻だと思われる阿弥陀如来は殆ど半身以上土に埋まってちょっと可愛そうな姿に成っています。
それでも三尊共にしっかりした彫りで中世の気風が感じられます。
撮影2011.6.5