愛しきものたち

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平群町擽原峯垣内  「裏の谷」の地蔵磨崖石仏

2012年05月23日 | 石仏:奈良

「裏の谷」と云う響きがぴったり、とても案内なしでは辿りつけなかっただろう磨崖の地蔵さん。

もう此処に何があったかなど完全に覆い隠すような山野に蔽いつくされ、殆ど忘れ去られたように佇む地蔵石仏・・・。

平群谷、櫟原峯垣内の西、かって河内からの古道が通っていたというが・・・・、現在巨岩の前には撮影にも困るほどの足場しかない。

笹薮に隠れた巨岩は高さ約3m、幅約2mの玉子型花崗岩・・・・・、しかし、この前に立つのには相当骨がおれます。

距離は近いが人跡未踏のジャングルのような道なき道を登ったり降りたり、踏み外したりと・・・。

あの辺りとそこに目的地は見えるのですが・・・・尋常には進めない。

その分出遭えた時、少し向こうに姿を確認できた時は・・・・、もうまるで後光がさしているようでした。

磨崖石仏は東向きの岩正面、中央一寸下方に方形龕部を設け、岩肌に線彫りにした大きい蓮弁の上に立つ、定形中肉彫りの地蔵立像です。

方形龕部は高さ約50cm、幅36cm、像高45cm、刻銘は確認されないながら、像容や蓮弁の様式からも鎌倉期の特徴が窺える。

もうこの先この石仏さんがもっと深い緑に埋もれる事は有っても、白日の下に身を晒すことはないのでしょう・・・。

それもそれとして自然のままに受け入れているような気がします。

忘れ去られても、尚更愛しさつのる石仏さん。

撮影2011.6.5