Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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被虐待児症候群と間違えかねない glutaric aciduria

2004年10月16日 | その他
乳幼児において両側性の硬膜下血腫を見た場合,何を疑うであろうか?当然,非虐待児症候群を疑い,頭部以外にも外傷がないかを確認する必要がある.もし虐待のエピソードがない場合,鑑別診断として挙げるべき疾患にglutaric aciduriaがある.この疾患はglutaryl CoA脱水素酵素の欠損により生じる常染色体劣性遺伝の代謝性疾患であるが,症状として進行性のMacrocephalyのほか,錐体外路症状(ジストニアなど),小脳失調といった中枢神経症状を呈する.MRI画像では,大脳の萎縮,大脳白質や淡蒼球の信号異常を認めるが,さらに両側性の硬膜下血腫・水腫を認められることもあり,被虐待児症候群との鑑別を要する(Retina 23;724-725, 2003).
今回,本疾患のMRS所見が報告されたが,前頭葉白質にてNAA/Cre上昇,Cho/Cre軽度上昇,myoinositol/Cre上昇という結果であった.この結果は,本疾患では,neuroaxonal damage,demyelination,astrocytosisが生じていることを反映するものと言えよう.

Pediatr Neurol 31;228-231,2004
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