Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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長期間の原因不明の髄膜炎の鑑別診断として抗NMDA受容体脳炎も考慮する

2023年08月12日 | 自己免疫性脳炎
当教室の山原直紀先生らによる抗NMDA受容体脳炎に関する症例報告です.脳炎に先行して,症例1は60日,症例2は22日間の髄膜炎症状(発熱,頭痛)を認めました.抗菌薬やアシクロビルなどによる治療が行われましたが無効でした.当院に紹介され,脳脊髄液抗NMDAR受容体抗体陽性が判明し,ステロイドパルス療法と血漿交換療法により改善しました.いずれの患者にも腫瘍の合併はありませんでした.またHSV感染やクリプトコッカス髄膜炎,MOGAD,NMOSD,GFAPアストロサイトパチーの合併も認めませんでした.



抗NMDAR脳炎では頭痛や発熱が先行しうるものの,既報では頭痛は2週間以内,発熱は中央値5.5日程度で,これら2症例のような長期の髄膜炎の報告は渉猟した範囲ではありませんでした.長期間の持続する髄膜炎の鑑別診断としてNMDA受容体脳炎も検討する必要があります.
Yamahara N, Yoshikura N, Takekoshi A, Kimura A, Harada N, Mori Y, Shimohata T. Anti-N-methyl-d-aspartate receptor encephalitis preceded by meningitis lasting up to 60 days. J Neuroimmunol. 382; 2023, (期間限定ですが,フリーでDLできます)

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