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Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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MRIにおける上小脳脚の萎縮は進行性核上性麻痺の診断に有用である

2005年03月05日 | その他の変性疾患
進行性核上性麻痺(PSP)は,一般に40歳以降で発症する緩徐進行性の変性疾患で,パーキンソニズム,垂直性核上性眼球運動障害,構音障害・嚥下障害,前頭葉性の進行性認知障害などを呈する.MRI所見として被殻・中脳の信号変化や中脳被蓋部の萎縮,第三脳室の拡大などを認めるが,他のパーキンソニズムを呈する疾患(CBD, MSA, PD)と鑑別が困難な症例も少なくない.
1964年のSteeleらによる原著においてPSPの病理所見として,歯状核の神経細胞脱落・グリオーシスならびに上小脳脚の萎縮・脱髄が記載されているが,最近,病理学的に見て,上小脳脚の萎縮はPSPの鑑別診断において有用であるとの報告がなされた(Neurology 60; 1766, 2003).これらを踏まえ,今回,上小脳脚のMRIでの評価がPSPの診断に有用であるかの検討がイギリスから報告された.方法はvolumetric MRI(T1WI, 1.5T.上小脳脚の容積測定)をprospectiveに計53名(PSP 19名,MSA 10名,PD 12名,対照12名)に対し施行し,全頭蓋容積で補正した上小脳脚容積を算出した.この結果,14/19名のPSP症例で上小脳脚萎縮を認め,一方,34名のnon-PSでは2名のみ上小脳脚萎縮を認めた(この2例はMSAであった).さらにPSPは,対照,MSA,PDと比較し,上小脳脚は有意に萎縮していた(順にp<0.001,p=0.001,p=0.003).PSP群においてHoen-Yhar分類と補正上小脳脚容積に有意な相関はなく,また年齢や罹病期間,UPDRSII, III,MMSEとも相関はなかった.結論としてPSP診断におけるsensitivityは74%,specificityは94%であった.以上より,中脳被蓋部の萎縮などとともに上小脳脚萎縮はPSPの診断に有用であると考えられる. Neurology 64; 675-679, 2005
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